甘き夜明けよ、来たれ   作:ノノギギ騎士団

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啓蒙
知識寡少な民に智慧を与え、全体の水準を高めること
啓蒙思想。その革新的思想運動は16世紀より18世紀で起こった
余波はヤーナムにも押し寄せたが、伝統と偏見を打破する活動は、ヤーナムにおいて全て不発に終わり、弾圧された
それらこそヤーナムをヤーナムたらしめる負荷であったからだ



啓蒙取引

 医療教会の黒服、ピグマリオンは医療教会の工房の存在を知識として知っていた。

 黒服の先輩達が話していた「あの辺にあるらしい」程度の噂話だったが、実際のところ、それは真実であった。

 しかし。

 

「オ、オドン教会……うーん……」

 

 墓地広場を下った先、静寂のなか西から来る風音が、今は不思議なことに何かの唸り声にも聞こえる。どこから誰かが見つめているような視線が振り切れない。

 

 そんな気分になるのはピグマリオンだけのようだ。隣に立つブラドーは、まったく気にする素振りなくオドン教会の屋上を眺めていた。恐らく空を見ているのだろう。彼は朝にずいぶんと感動していたようだから。

 さて、問題は件のオドン教会である。

 異邦の神父──オドン教会の信徒ではない──が医療教会から管理を依託──「押し付けた」とも言う──されている教会は、曰く付きである。

 

「行くぞ」

 

「あ、ちょ、ちょっと、待ってください。こ、ここ、心の準備が……」

 

 オドン教会の信徒は、皆狂ってしまうのだという。

 理由は分からない。

 ヤーナムの医療者であれば口をそろえて「気の狂いは珍しい病ではない」と言うだろうが、異邦人の目線から言わせてもらえば、そもそも気の狂い自体が滅多に起きるものではない。

 それが例外なく発生するのであれば、オドン教会は医療教会の比ではなく『おかしい教会』だ。

 

「通り抜けるだけだ」

 

「そ、そうですか……」

 

「時にピグマリオン。昨夜、何か珍しいものを見なかったか」

 

「はぁ、珍しいものですか……?」

 

 ──世間話だろうか。

 それにしては妙な話題だと思いつつ、記憶を探る。

 

「ええと。そうですね。カインの狩人を見かけました」

 

「そうか」

 

 ブラドーの望む回答ではなかったようだ。不機嫌になってしまったので戸惑う。

 彼は考え事をすると前髪を掻く癖がある。

 しかし、触れては何か足りないものに気付いて指先が離れていく。

 

「ひょっとして……何かお探しなのですか?」

 

「肌身離さず持っていたのだが」

 

「無くしてしまったのですか。どうしましょう。心当たりの場所はありますか? 探してまいりましょうか?」

 

 彼は、うっかりさんなのだろう。

 伺うと彼は数秒の迷いの後で歩き出した。

 

「見つからないだろう。今はまだ」

 

「は、はあ?」

 

 まただ。

 ピグマリオンは思う。どうも彼は言葉が足りない。

 『まだ』とは、どういう意味だろうか。置き忘れた物に『まだ』なんてあるのだろうか。

 けれど機嫌を損ねたくもないので彼の長銃を持つピグマリオンは、黙って彼の後を追った。

 

 数分もしないうちにピグマリオンは泣き叫んだ。

 

 オドン教会は「通り抜けるだけだ」というブラドーの言葉は真実だった。ここまでは良かった。ここしか大丈夫ではなかったとも言うべきかもしれない。戦々恐々しながら入ったオドン教会は、盲人がいただけで見かけ上は普通の教会であったのも彼の警戒心を大いに解いた。

 

 また、ピグマリオンはブラドーの『医療教会の古狩人』という肩書き──暗殺者という追加職名は都合良く忘れることにした──を無意識のうちに信じていたことに気付かされた。だからこそ弛緩と緊張の落差に耐えきれなかったのだ。

 

「アウト! これはアウト! 無理無理! 私、高いところダメなんですぅぅ……! ひうぅぅ……!」

 

 オドン教会の内壁の一部は重々しい石扉になっていた。それを驚異的な怪力でこじ開けたブラドーに言いたいことはたくさんあるが、答えてくれないのでひとまず伏せた。

 

 問題は、その奥だ。

 

 ヤーナムでは珍しくない昇降機で上昇し、隣の建物へ渡る外回廊を往く。

 その先は黒服の先輩達が噂していた『医療教会の工房』の塔だった。工房道具が出しっ放しだが、人の気配は無い。職人達は、まだ寝ているのだろう。ブラドーが、そこで使い古されたロープを調達した。次に向かったのは、塔の階下だった。

 塔の内部に入ってすぐに気付いたのだが、老朽化した階段は崩れ、張り巡らされた板もところどころ壊れている。しかも塔の最下層は暗く、数メートル先も見えなかった。これは底も見えないほど深いということを意味する。

 ──そういえば、先ほど乗った昇降機はしばらく上昇し続けていた気がする。

 思い出せば、現在の高度がいかほどであるかまで思い至り、脚がすくみ、腰が引けた。

 

「ほんとに無理、無理無理! まだナメクジを生で食べるとか! 献血バケツ三杯のほうがマシです!」

 

「では私に殺されるが、どちらがマシかね」

 

「でも、でもね? ブラドー氏? 落ち着いて聞いてくださいよ? ほら、見てくださいよ。階段が壊れているじゃないですか? 無理なものは、無理だと思うのですよ。つまりその、物理的に、という意味ですが……」

 

 しかし、ブラドーの目は冗談や冗句、まして酔狂ではなかった。ピグマリオンは腹を括った。

 死期が身近な彼にとってこの種の覚悟は常であったからだ。健常者では、およそ耐えきれなかった。

 

「命綱はある。行け」

 

「貴方がロープの端を持っているだけじゃないですかっ! あと、ボロボロのそれを命綱と言い張るのは許されざることですよ!」

 

「使いたくないのなら、構わないが」

 

「しっかり結んでくださいよ! 死んじゃうじゃないですかっ! さぁ、お願いします!」

 

 黙々と結ぶ彼を見ながら、ピグマリオンは命の儚さに思いを馳せた。

 ブラドー曰く、塔を下る中途に医療教会の工房とは別の工房があるらしいのだが、そんな噂は聞いたことがない。事実とも考えにくい。上層に行くには切り立った崖があり、市街へ行くにも深い谷がある。立地条件が悪すぎる。

 自分は何だかんだと理由をつけて今日ここで彼に殺されてしまうのだと確信した。

 

「この先に降りれば足場がある」

 

「分かりました。……あの、ブラドー氏、お願いがあります。私が死んだら、そのことを南区の教会支部に伝えていただけませんか。異動先でもよく励んでいると。それから窶しの古狩人の方に──」

 

「結び終わった。行け」

 

 間の悪いブラドーは、ピグマリオンの勇気を全て聞き逃し、長い足で背を蹴った。

 心の準備もなく突き落とされた奈落は、どこまでも深く、暗い。

 

「あアぁぁあーッ! 死ぬぅぅーッ!」

 

「死なぬよ。……まだ」

 

 命綱は頼りない物だったが、確かにその役割を果たした。

 ロープが張り詰め、胸の空気を押し出す。慣性の急制動に抗えず、ピグマリオンは胃の中身を吐き出した。

 

「ぐぅぇ、かっフ……」

 

 吐瀉物が鼻腔を遡った。

 純粋に痛い。涙が出た。

 

「足場があるだろう」

 

「あ、し、ば……足場……ああぁ?」

 

 靴の先が、固いものに触れた。

 石壁に打ち付けられた板のようだ。

 

「たしかに……」

 

 暗くて一歩先も分からないが、ブラドーの言うとおりの足場があった。

 両足を着けると身を吊していたロープの緊張が解けた。

 ブラドーはどうするのだろうか。不安で見上げていると命綱無しで降りてきた。

 

「ひゃぁあっ!」

 

 一歩間違えれば、間違いなく死ぬ高さだ。

 今立っている板の間も果たしてどれほどの強度があるか分からない。──にも関わらず、彼は堂々としていた。

 まるで。

 

「ブラドー氏……恐くはないのですか? 落ちるかもとか、死んでしまうかもとか。考えないのですか?」

 

 窓のない塔の中は、朝であっても暗闇が支配している。

 だからこそ、より深く昏い闇が感じられた。

 

「私は何も恐れない」

 

「そう……ですか。お強いのですね……」

 

「……。あと二回ほど下がれば着くだろう」

 

「分かりました。大丈夫です。次は、自分で歩きま──」

 

「よし、行け」

 

「この野郎、押すなってばァぁああーッ!」

 

 次にブラドーが降りてきたら、自分で降りるとしっかり発言しよう。

 心に決めたが、その後、不意打ちの足蹴が二度あり、その都度、死ぬ思いをしたのでピグマリオンは彼に対し、一切の抵抗を諦めた。

 

 もし、月の香りの狩人がいれば興味深い事態に深く頷いたことだろう。

 ──やはり時計塔のマリアは正しかった。

 その証拠に、ピグマリオンの情緒は何度か死んだ。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

 医療教会の上位会派──かつての聖歌隊の気付きが突然訪れたように。

 ピグマリオンが、我が身を捕える長い夢を悟ったのも突然のことだった。

 医療教会の工房を下り、秘匿された古工房の扉を開ける。

 錆びた金属が甲高い悲鳴を上げ、軋んだ。

 

 長方形の外の世界には高く昇りつつある朝日、そして白い花弁が見えた。

 その瞬間、頭の中でありとあらゆる知が解けては広がり、新たな関連を得、視界には原色鮮やかな火花が弾けた。知に蕩ける快楽が脳をすみずみまで侵す。そうして彼が我に返った時、目の前の光景は、数秒前と変わらないものであった。

 

 それでも、何もかもが異なって見えるのはなぜか。

 ピグマリオンは、意味も分からずに笑った。理屈は分からない。けれど理解が及んだのだ。

 

 正しく、啓蒙を得た。

 

 工房の庭に足を踏み入れたブラドーが、ある時、制止した。

 辺りを見回していたピグマリオンは彼の背中に鼻をぶつけた。

 

「あぐぅ。す、すみません……。でも、急に止まらないでください。何事ですか?」

 

「月の香りの狩人」

 

「月の? 何ですって?」

 

 彼は答えてくれなかった。

 代わりに腰に提げていた槌を手に取り、握りしめた。

 

 その時だ。

 

 庭の先、古工房の扉がキィと小さな音を立てて開いた。そして足音。

 現れたのは、ヤーナムではありふれた狩人の服を着た男だった。

 トリコーンと血除けマスクで顔は見えにくいが、これといった特徴のない青年に見えた。

 だが、ブラドーはそう見なさない。

 

「お目にかかれて嬉しい。とても久しぶりだ。実に、二〇〇──ええ、何十年かぶりだ」

 

 口を開いた青年が、狩人の一礼をした。顔を上げる一瞬に彼の瞳が見えた。

 銀灰色の深い色だ。

 彼に気を取られていたピグマリオンは、やがてルドウイークの長銃の折りたたまれていた銃身を伸ばし、散弾を装填した。

 ここは立地が悪いのだ。そんな場所に待ち構えている人物がいる。これは異常な事態だ。理性が追いついたからだ。

 

「──狩人の悪夢を閉ざしたのは、お主だな?」

 

「いかにも。獣狩りの夜は、ひとまず終わり、形を変えて続いている。最初は鼻で笑っていたが『悪夢は巡り、そして終わらない』とは、たしかに真理の一側面を言い当てたものであったらしい。誰かの夢が終わったならば、次の夢を始めなければならなかった。呪いにしてもそうだ。悪夢の主が失せても呪いは続いている。……ご存じだろうが、ヤーナムの海にはどうも底というものがないらしい」

 

「…………」

 

「貴公とは、ゆっくり話がしたかった」

 

 その狩人は、両手の武器を地面に落とした。銃とノコギリ鉈が石畳で鋭い音を立てて転がった。

 取りこぼしではなかった。彼は、意志を持って手放したのだ。

 敵対を諦めた──とも見える。

 ピグマリオンはひとまず銃口を逸らした。

 

「今さら許しを請うつもりかね?」

 

「私は欲深なので、もっと別のものが欲しい」

 

「では『最も新しき夜明け』か? 笑わせる。ヤーナムのザマは何事だ」

 

 ピグマリオンは、初めて彼の声色に怒気が宿ったのを聞いた。

 言葉の意味が、啓蒙的真実を感じる今ならば分かった。

 

 ヤーナムの時間は、狂っている。

 

 この朝は、どんなに眩しくともブラドーの言うとおり『まやかし』だった。ヤーナムの時間は、進みながら止まり、止まりながら動き続けている。啓蒙が拡張した知識は、彼にも日常が異常であることを認識させていた。

 そして。

 会話を聞けば、その原因は対峙する彼にあるという。

 槌を構えたまま、ブラドーは彼を睨みつけた。

 

「血がヤーナムの歴史であるならば、ヤーナムの歴史とは血によって作られるべきだ。それは血の遺志に依ってだけ。私は、今のところ間違っているとは思わない。誰もいないヤーナムに、歴史の絶えたヤーナムに、いったい何の意味がある?」

 

「愚行の上塗りにもほどがある。恥知らずめ」

 

「貴公が言う恥には、実に深い味わいと重みがある。貴公は強い。医療教会の秘密を守り続け、呪いを甘んじて受け入れられるほど達観している。しかし、多くの人は違う。救われない病み人が『それでも生きたい』と求めた故郷がヤーナムだろう。望む声が聞こえる。ならば求める限り与えよう。──『導き』は、願う者の前に現れるのだから」

 

「ゲールマンは耄碌したか。狩りとは『継承』だと教わらなかったようだな。……狩人ならば、ただ獣を狩り続けていればよかったのだ」

 

「狩りとは『感傷』でもある。あまりに温かい、血の通う感情の動きだ。これを問いかけられて内臓が痛むのは、貴公ではないか? ご友人の姿が見当たらないようだが」

 

「…………」

 

 ブラドーは突然、笑うように頬を歪め、髪を掻き、不吉に指の関節を慣らした。

 狩人は、目を逸らした。

 

「まぁ、この話はほどほどにしよう。私は、争いに来たのではない。いずれ。おいおいな。……どうやら娘に会ったようなので、その礼と厚かましい依頼のために参上した」

 

「マリアの、マリアではないマリア。あれこそ何事だ」

 

「ああ、実は俺なんだ」

 

 ピグマリオンは、ブラドーの考えていることが分かった。

 文脈と現実。どちらが破綻しているか考えているのだろう。

 

「以前も言った気がするが──最近の狩人は嘘にしても、もうすこしマシなことが言えないのか? 二〇〇年の知恵を絞ってそれか? 本当の愚か者か? ヤーナムの夜明けは那由他の彼方のようだな?」

 

 狩人は、焦ったようにワタワタと手を振った。

 

「あれも嘘ではなく、これも嘘ではなくて! 彼女は確かに俺で、俺ではない。けれど失った素晴らしい可能性の一端だ! その怪訝な顔! じゃあ回転ノコギリの話から始めよう。忘れもしない。時を遡ること約一年と半年前、あれは俺が聖杯に挑もうと準備していた頃──」

 

「もういい」

 

 ブラドーは槌を下ろすと工房に向かって歩き出した。

 危うく素通りされそうになった狩人が行く手を遮った。

 

「いいや、聞いてもらうぞ! ずっと狩人の誰かに話したくて、誰かが悪夢から這い出てくるのを待っていた! 上位者を回転ノコギリで細切れにしたら、こどもができるのはおかしいだろうって! 相談した聖歌隊は、やっぱりちょっとズレて──」

 

「やかましい! 脳漿をブチまけたいようだな!」

 

 かなりイイ速度で槌を振ったブラドーだったが、彼の槌は狩人をかすりもしなかった。

 素晴らしい反射速度で避けた狩人は、肩をすくめると片手で工房の扉を開けた。

 礼儀をわきまえたドアマンのように彼は腰を折った。

 

「……極めて不本意だが。まったく存外のことだが。……一方的な約束であれ、果たすべきことは、果たされるべきだろう。悪夢より這い出た礼をもらおう」

 

「祭壇に安置している。ご検収いただきたいところだ」

 

 ブラドーが、薄暗い工房の中に入っていく。

 ひとり外に残されたピグマリオンは、彼に続いて入ってもよいものか迷う。そのうち狩人と目が合った。

 

「おや」

 

「私は南区の教会支部から来たピグマリオン。……貴方は、ただの狩人に見えるが」

 

 ピグマリオンは、ちらりと工房の奥で何かを探っているブラドーの背を見た。

 

「きっと、そうではないのだな。私には何が何だか分からないが、でも、何らかの事情を知っているのなら教えて欲しいのだが──」

 

「あぁ、教会の黒服だな。脳に瞳が欲しいのか?」

 

「ひぇっなに言って? この人なにこわ……」

 

 逃げるように工房に駆け込んだ。

 ブラドーと言えば工房の奥、祭壇に置かれた木箱の中をあらためていた。

 その背を叩きながらピグマリオンは、狩人が扉を閉めようとして「なんだか埃っぽいな……」と結局、開けっ放しにする様子を見ていた。

 

「ブラドー氏、あの人、頭がおかしいですよ……! 脳に瞳なんて意味の分からないことを言っていますし──ブラドー氏! ブラドー氏! 何してるんですか!?」

 

 獣の臭いに驚くピグマリオンは、自分の正気を疑った。

 ブラドーが白い獣皮をまとっていたからだ。

 頭には歪んだ角が生えている。規模は違うが、いつか見たことがある聖職者の獣にそっくりだ。

 

「あわあわぁっ! お願いですから、貴方まで頭のおかしなことをしないでくださいっ!」

 

「至って正気だ」

 

「正気の沙汰でやることではないから言っているんですよ!?」

 

 お願いだからやめて欲しいと泣きついた。

 だいぶ前から顔面はぐしゃぐしゃなのだが、それでもすがりついた。これから生活する立地条件最悪の住居において、同居人の正気は彼にとって重大問題であったからだ。

 

「諦めろ」

 

 すこしの会話で分かったことは、ブラドーは頑なであり自分の意見を翻すことは少ない性質ということだった。

 もはや諦めるしかなくなり、ピグマリオンは更に泣いた。

 いったい何が悲しくて、獣の似姿を見続けなければならないのだろう。しかも聖職者の獣なんて縁起でもない。

 

「まともなのは私だけか……!」

 

「じきに慣れる。そういうものだって最初の狩人も言っていた。ささ、座って、座って」

 

 狩人は助け船を出すような口ぶりで、いつの間に準備していたのだろう、お茶を小さなテーブルに配した。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

 

 後方の壁に立つ、ピグマリオンが居心地悪そうに身じろぎする、微かで忙しない衣擦れが聞こえる。

 暗殺者が交渉テーブルの椅子に座った時点で『敗北した』と言える。

 もっとも責める者は無く、まったく何に対し敗北したのかさえ判別しがたい。

 

「貴公とお話できて、私は本当に嬉しい」

 

 対面に座る彼──便宜上『月の香りの狩人』は、血除けのマスクを下げると朗らかに笑いかけた。

 

 医療教会、ヤーナムの真実の一端を知る医療者は『月の香りの狩人』と呼ばれる、夢を見る狩人の存在を知っている。

 ヤーナムに巣くう人間ではないもの。人間を越えた何か。それに魅入られた異邦者が囚われる夢の存在を認識している。

 紆余曲折、そして屍の山を積み上げて医療教会が手にした悪夢もある。医療者達は、狩人の悪夢に人員を送り込むこともできた。決して浅くない歴史、なにより実験棟で積み上げた知見もある。

 

 だが、こんなものは把握していないだろう。

 

 悪夢はすでに医療者達の視界に収まりきらない規模だ。

 悪夢は漁村で芽吹き、ヤーナムに根を張り──枝葉を伸ばし続けている。

 

 月の香りは、未だ存在する。

 だが、対峙する狩人がまとう気配は強すぎる。

 ありえない仮定だが、夢を見る狩人を何十人と集めても彼には敵わないだろう。

 

 まるで月そのものだ。

 

 ブラドーが席に着いた理由のひとつでもある。

 この狩人の正体や本質は見極めきれないが、ただちに殺しきれるものではないと判断せざるを得なかった。

 他の理由は、実に大したものではない。

 悪夢から這い出てきたせいだろうか。狩人の悪夢では当たり前にあった狂気が、現実のヤーナムではひどく薄い。また『悪夢より這い出た礼』である『とある聖職者の頭蓋』が気に入った──という即物的な理由も加味された。

 

「依頼と見返りを聞こう」

 

 単刀直入に尋ねる。

 想定内の質問だったようだ。

 狩人は人差し指でテーブルを突いた。

 

「この古工房を守っていただきたい」

 

 暗殺者への依頼にしては『らしく』ない。

 だが、自身は秘匿の防衛には向いているとも思っている。

 話の続きを促した。

 

「今の私は貴公と同じだ。余人に悪夢の秘密を知られたくはない。だから悪夢を閉ざしたが、閉ざすということは、開くこともできるということだ。私は常々思う。全ての秘密が、一カ所に秘匿されているのは好ましい状況ではない。私は、さんざんヤーナムを走り続けた。死因を網羅したと思えるほど労力を費やした。聖堂街上層からメンシスの悪夢に行くのに、どれほど邪眼が面倒であったか。最後には、もう『ヤーナムキャンプファイアーに上位者を並べておいてくれ』と思ったほどだった。いけない。愚痴になってしまいそうだ。忘れてくれ……」

 

「…………」

 

「見返りは、狩人の悪夢。その出入り口を進呈しよう」

 

 悪くはない条件──のように聞こえる。

 しかし。

 

「信に値するものは?」

 

「時計塔の麗人に誓おう。もっとも『血に酔った狩人の瞳』が必要だ。もし、手に入る機会があれば墓碑に触れてみるといい。貴方ならば、真偽が分かるだろう」

 

 一瞬、彼の視線が建物の外に動いた。

 捨てられた古工房、その小さな敷地には多くの墓石がある。そのうちのどれか一つだと彼は語った。

 

「沈黙は、了解と受け取らせていただく」

 

「……構わん」

 

 医療教会を裏切ることはできないが悪夢に戻れない以上、狩人の提案を受け入れざるをえない。また、彼の発言が真実であった場合、狩人の悪夢の鍵が握れるのであれば悪くない条件だ。

 教会から受けた任は「悪夢を探る者を誅せよ」だが、彼は既に悪夢を探してはいない。……我ながら小賢しい屁理屈を捏ねていると思うが『今の狩人』は対外的な理由として説明可能な「暗殺対象外」と言える。

 

「ありがとう。ひとつ、肩の荷が下ろせたような気がする。……いつも、彼女の墓を暴かれるのではないかと気がかりだった。現在のヤーナムには多くの試行が必要だが、教会には気付かれたくないことが多い──というか邪魔をされたくない。貴公が教会の動向に目を光らせているのなら、私も動きやすくなる」

 

 いったい何をしているのか。

 ブラドーも気がかりにすべきことだったが、いずれ分かるだろう。

 

「ところで、昨日は誰か知人に会わなかったか? ヘムウィック付近にいるとは意外だった。狩人の悪夢にいた誰か。古狩人には?」

 

「……。明言は職務に差し支える。話すことはできない」

 

「それもそうか。ふむ。すまない。貴公の信仰の邪魔をするつもりはない。非礼をお許し願いたい」

 

「最も多くの秘匿を破った者は、最も多くの秘密を持つ者と言える。……狩人。お主、マリアになったつもりかね?」

 

「まさか。それは傲慢が過ぎる。私は彼女のように座して待つ気概がない。性分か。じっとしていられなくてね」

 

「ほう、手駒もいるというのに」

 

 ──とっておきの。

 そう告げると狩人は、ほんの一瞬、目を瞬かせた後で気まずそうに目を逸らした。

 

「セラフィは、そういうものではない。彼女は彼女の価値判断で存在し、行動している。娘だが……どういう存在なのか、俺もいまいち定義し損ねている。しかし、まぁ、とても美しい、そして恐ろしい、何より心配な娘だよ」

 

「母親は誰か? マリアとは言うまいな」

 

「いやだから。生産者の顔が見えるだろう? つまり俺。あと回転ノコギリ──」

 

「餞別だ。健やかなる幸福を願って鐘を鳴らしてやろう。父子共々死ぬがよい」

 

「貴公の鐘は、どこからどう見ても暗い情念と呪いの類いだ。……あぁ、そういえば。セラフィが礼をしたいと言っていた。邪険にしないでもらえると助かる」

 

 ブラドーは鼻で笑う。

 狩人はヒョイと肩をすくめる仕草をした。

 二人のカップは、空になっていた。

 

「戸棚に小さな鐘を置いている。三度鳴らせば応えよう」

 

 交渉は成立した。

 もはや月の香りの狩人に告げることはなかった。鐘も使うことは無いだろう。

 そう思っていたのだが。

 

「あの、ヤーナムの異常が貴方のせいであるならば、なぜ、こんなことを?」

 

 ピグマリオンが挙手をした。

 狩人が「うん?」と目を向ける。ブラドーも振り返った。

 二人の視線を受けると彼は、その場で身震いし、両手を背にまわした。

 

「現在のヤーナムは、時間の流れが『おかしい』ことが私にも分かります。思い返せば、微々たる変化があれど、毎年同じ仕事をしていたように思います。クランツさんの息子の首を私は二百何回か刎ねたことでしょう。……これには、いったい何の意味があったのですか?」

 

「クランツさんの家のなかで獣が現れ、一家惨殺の憂き目に合わなかったことには意味があるだろうな」

 

「ご、ごまかさないでいただきたい……! 今日の私はクランツさんに恨み言を言われる日でした。歳を召してから授かった一人息子です。それを殺したことを私はひどく恨まれたのです! ヤーナムの異常を引き起こしている貴方ならば、きっとご存じだったハズだ。誰も彼も最初から救えたのではないですか?」

 

「ピグマリオン」

 

 黙れ、とブラドーは言った。

 

「けれど、ブラドー氏。でもしかし! 彼と貴方の言っていることが真実だとすれば、この先のことだって彼は知っているのでしょう!? 救うこともできただろう! 獣になったあの子だって! 病んでいる私だって!」

 

 一息で言い切ったピグマリオンは、肩で息をしていた。

 その彼が落ち着いた頃、狩人が言った。

 

「私は便利で万能な神ではない。そして、獣の病も君の病も完全に治すこともできない」

 

 ピグマリオンの顔は、紙より白くなった。

 

「そんな……。超常の力を持つ貴方は、街を狂わせるよりも病を治すことが難しいとおっしゃっているのですか?」

 

 狩人は、椅子に腰掛けたまま微かに眉を寄せた。

 

「ああ、難しいことだ。なおすことも作り出すことも難しい。……壊したり殺したりする方がよほど簡単だ。結局のところ、俺一人ではヤーナムを救えない。救えなかった。この先、時間を進めても最後の最後に残るのは俺一人だ」

 

「……そんな……」

 

「しかし今は協力者がいる。そして時間だけはいくらでもあるのだ。いずれ智慧も啓けるだろう」

 

「…………」

 

 ピグマリオンは、唇をかみしめた。

 しばらく経ってようやく「わかり、ました」と言って教会式の礼をした。

 

「貴方がヤーナムの平穏のために尽力しているのであれば……ブラドー氏が貴方を信じる限り、私も信じることにします」

 

「ご理解に感謝する。週に一度、輸血液を持って来よう。貴公が穏やかに過ごせるよう努力をする」

 

「ありがとうございます。それから、たいへん恐縮なのですが……お手紙を届けていただけませんか? 南区の教会支部まで」

 

 ピグマリオンが、上ずる声を発した。

『無視せよ』と狩人へ無言の伝言をしたが、彼は「まぁまぁ」と意見を退けた。

 

「彼は貴公の存在を知ってしまった。夢を知覚しているのならば、話も早い。時が巡ればいずれ忘れ去られる手紙とはいえ、さいごにひとつ願い事を叶えてもいいだろうさ」

 

「…………」

 

 そうした『さいごにひとつ』の願い事によって、漁村の秘密を暴かれた経緯を持つ者としては、とても不愉快である。

 ピグマリオンが表情を和らげ、手帳を取り出し何事か書き付けるとそのままページを破り、狩人に渡そうとした。

 

「待て」

 

 それを横から取り上げたブラドーは、内容を確認した。

 

「『人のお手紙を読むのは』と言いたいところですが、ブラドー氏のお仕事ですからね。し、仕方ありませんね……あぁぁ、恥ずかしい。ご感想は要りませんからね……」

 

 文面に個人を特定できることは何も書かれていない。

 またピグマリオンの署名も無かった。

 意図してのことか。忘れているのか。

 どちらでも都合が良かったので黙っていた。

 狩人にページを渡すと彼は「ふむふむ」と内容に目を通し、やがて懐にしまった。

 

「適当な封筒を見繕っておこう」

 

「はい。よろしくお願いします。投函場所なんですが、教会のわきに懺悔室があるのです。小さな箱がありまして、そこに」

 

「ふむふむ。分かった。たしかに届けることを約束しよう」

 

 狩人が笑う。充実して楽しげだった。

 何事か。ピグマリオンが問いかけた。

 

「いやなに。長い夜でいろいろな人から頼まれることがあった。できる限り応えてみたものの、結果は悲惨なことばかりだ。依頼者のことを考えれば、最初から応じなければよかったと思えるほどにな。だから……こうして何でもない『おつかい』ができることが嬉しいんだ」

 

「そうですか。……輸血液の件は、くれぐれもよろしくお願いします。私の体は……正直に申しますと、いつもあまり好ましくない状態なので……」

 

「分かった」

 

 狩人は、席を立つ。

 そして帽子を被ってから、何事か思い出して振り返った。

 

「……最後にもうひとつだけ。夜ごと悪夢より狩人が戻ってくるのは、珍しいことではない」

 

「古狩人を狩れと?」

 

「それは場合によるだろうが、そうではない。悪夢より這い出てくるのは、頭蓋だけではないという話だ。ローレンス初代教区長が悪夢から這い出てくれば私にとっても幸いだ」

 

 銀灰色の瞳が、ブラドーの被る白い聖職者の獣の皮を見ていた。

 古い人々が、戻ってくる。

 狩人は、小屋をぐるりと見回した。

 

「ここは、私にとって大切な場所だが……古狩人にとっては、特に、大切な場所だろう。普段とは違うものを見たら、いつでも鐘を鳴らして欲しい。私も必ず知らせよう」

 

「その言葉、違えることあたわず」

 

「肝に銘じておこう。古き狩人には敬意を払わなければ。……我々は、万が一に備えて、億の手を揃えるべきだからな。さて。今日は、貴公と話せてよかった。また次の夜に会おう」

 

 狩人の姿は、最初から存在しなかったように消えた。

 ピグマリオンが小さく呻き、その場に崩れ落ちた。

 

「何事だ」

 

 彼は、震えて泣いていた。

 涙声で訴えることは、あまりに痛々しい。

 

「あぁぁ、ああぁ……人ならざる者に救いを求めるなど教義に反することです! 病を治すことなんてもう諦めていたのに! ようやく諦めることができたのに! ……あの人に縋れば、治るかもしれないと思ってしまった……。お許しください、お許しください……うぅ、心弱い私をお許しください、誰か誰か、愚かな私を罰して……お許しを……お許しを……」

 

 虚空に祈りを捧げる信徒の存在は、真剣であればあるほど。医療教会の真実を知る者ならば滑稽で嗤ってしまう光景だ。だが、ブラドーは嗤う気分になれなかった。その理由を考える。きっと狩人の悪夢に比べて狂気が薄いせいだろう。

 

「ピグマリオン、働け」

 

「はい……はい……何でも、何だってします……そうです、私は正しき医療教会の狩人で信徒で、いまや罪人なのですから……」

 

「教会の定める罪など罪にはならぬ。ヤーナムに足を踏み入れた時からお前は罪人なのだ」

 

「ええ、はい、はい、そう、そう……え?」

 

 泣き濡れたピグマリオンは眼鏡をとり、ブラドーを見上げた。

 それから言葉にならない声で口を動かした。

 ──そんなことを言ってしまえば、ヤーナムの民は皆、罪人だ。

 面倒になったブラドーは、踵を鳴らした。ピグマリオンは足音に怯えた顔をした。

 

「グズグズするな。掃除をしろ。──見よ、ひどい埃だ」

 

 ピグマリオンは涙や涎でひどい顔を拭った。

 眼鏡をかけなおした彼は立ち上がり、背筋を伸ばした。

 

「あ、ああ、そうですね。かしこまりました、ブラドー氏。ええと、寝床の確保と戸も直さなければならないでしょうね。屋根は、後回しでもよいでしょうか……ふむ、水は……井戸が使えるか見てまいります」

 

 心なしか目つきも違う。……仕事を与えている間、ピグマリオンはシャンとするらしい。

 掃除をしながら、彼は尋ねてきた。いくぶん落ち着きを取り戻した彼は、穏やかな病み人だった。

 

「ブラドー氏……あの狩人は、何者なのでしょうか?」

 

「月の香りの狩人──だった何かだ」

 

「は、はあ……なるほど……?」

 

 その存在が知られたのなら、教会は頭を痛め、終いには叡智に耐えきれず破裂させることだろう。

 ピグマリオンは困惑し、ため息を漏らす。

 

「ヤーナムは不思議な街です。いつもどこからか声が聞こえる。そして視線を感じるのです。どこにも誰もいないのに。なぜ。人のちっぽけな理性では捉えきらない何かが存在するのではと何度も考えて、その度、ありえないと否定してきましたが……ひょっとすると、その考えこそが真理だったのでしょうか?」

 

 ブラドーは答えず、手の中に置いた狩人の礼である頭蓋を見つめていた。

 ピグマリオンは布巾を手に、大きくはない工房、部屋の隅で立ち止まった。そして何かに被せられた大きな白い布を持ち上げる。彼は驚いて半歩下がった。

 

「ひっ! な、なんだ……人形か……人形? なんでこんなところに。しかもこんな……。ブラドー氏、ご存じですか?」

 

 壁に背にもたれるように座っているのは物言わぬ等身大と思しき、灰の髪が印象的な人形だ。恐る恐る近付いた彼は「身長は二メートルはありそうだ」と不思議そうに言う。白い敷布をたたみ始めた彼は、この人形をどうするべきか迷っているようだった。

 

「知らん。愚か者のことなど忘れた」

 

「しっかりご存じですね!」

 

 つい数時間前。

 ブラドーにしたように彼は床に膝を着き、手を取った。

 

「美しい人形だ。生きてはいないのに、仄かに温かい。……人形なのに、どうして……? 私はおかしくなってしまったのだろうか」

 

 ──そのとおり。まやかしだ。

 そう言ってしまいたかったブラドーは口を噤んだ。

 頭蓋のざらりとした感覚のなかに同じ温かさを感じたからだ。




啓蒙取引
狩人、久しぶりのお使いにルンルンで素敵な封筒を見繕う:
 選ぶのは勿論手持ちで一等、上等な封筒だ。カインハーストの封蝋は綺麗に剥がれた。やや使い古された感があるが、紙質は歴史を経ても素晴らしい。
 ……クルックスが言い、狩人が認めたように「誰かのためを思う気持ちは決して、悪いものではない」。そう。間違いではないのだ。時にトドメになってしまう間の悪いことがヤーナムにおいて、しばしば、あるだけで。


ブラドー:
 シモンに会ったことは無論『ご存じ』だが、わざわざ狩人に知らせることもなかったので適当な言い訳で追求をかわした。ヤーナムには敵に呪いを送ることはあっても、塩を送る文化はない。そもそも(やむを得ないことだったが)交渉の席に着いただけで殺し合いし続けた仲にしては、十分すぎる歩み寄りであろう。誠意は十分見せた。
 ……それはそれとして。上位者と回転ノコギリの話は作り話だと思っている。ビルゲンワースの冒涜的神秘の話かと思ったら物理的すぎて、コイツをビルゲンワースの末裔だ何だと認めたシモンの目が節穴だったんじゃないかと思い始めた。射手で窶しのクセに人を見誤るなど古狩人の風上にもおけない。


ピグマリオン:
 いろいろありすぎて、今日になって二〇〇年以上市街にいて初めて出会った『窶しの古狩人』についての情報は誰にも伝えられていない。
 ブラドーには一応伝えたが、彼が聞き落としたのでノーカウントだし、その後、何度かバンジーをさせられて情緒が死んでいたのであらためて言うタイミングを逸した。
 月の香りの狩人には、そのことを伝えるより先に、自分の手紙と輸血液についての交渉をしてしまったので、やはりタイミングを逸してしまった。
(彼自身の努力ではどうにもならないが)体も悪ければ、自前の運も悪く、上司運もヤーナム最悪を引いたピグマリオンの今後にご期待ください。彼自身は、いつか神の恩寵たる揺り戻しの幸運があることを信じているようです。もし使命を見つけたらどこまでも堕ちていける人間性を持っています。天使なんて現れた日にはハードラックとダンス・ダンス・ダンス。可愛いですね。



 イラスト:ブラドーとピグマリオン

【挿絵表示】


 1P漫画
 黒服のピグマリオンは輝く剣の狩人に憧れていた

【挿絵表示】




 そういえばBloodborneのボスは、負けているときは「こいつ嫌い」と思うのですが、勝てると「また戦いたいな」と思う絶妙なラインのボスが多いです。ただし、恐ろしい獣。お前のズームパンチを俺は許さん。
 ところでBloodborneはめちゃくちゃセールをしているので定価がもう分かりません。きっと広報班に重度のBloodborne推しがいるのだと思います。
 だから君もヤーナムの血を受け入れたまえよ……


 本話で『暗殺者の朝』編が終了しました。
 次回より『学徒紀行~聖杯探索~』を2話構成でお送りします。
 最近、読み始めた人は「Bloodborneの話ばかりじゃないか!」と思っていらっしゃる方がいるかもしれません。次話より魔法界にちょっと触れていきます。今後ともお楽しみいただければ幸いです。

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