意に沿わぬものの存在により、起こされた感情のさざ波。ときに大波ともなる。
だからこそ、聖杯へ挑む狩人達は冒涜を尽くしたのだ。
深海の底をかき混ぜ、その果てを見るために。
沈黙は、思考を強いる。
ヤーナムの夜は、特にその傾向が強い。
実際のところ。セブルス・スネイプは、小さな家のぐらつく椅子に座り考え事をしている。
あと夜明けまで二時間も無いというのに時間の進みが遅く感じる。
油っぽい髪が、魔法の光を受けて独特の光沢を放っていた。
(獣……人……あれは、たしかに、人のように見えた)
道中、見かけた獣を思い出す。
服をまとう獣が自然発生したとは思えない。
魔法界で言うところの人狼であったとも思わない。そもそも、今日は満月ではない。
「先生、静かに」
何も話していないが、注意を受けてネフライトを見る。
彼は長柄の杭を持ち、腰に指していた銃を抜いた。
銃口は、階段に向けられていた。
耳を澄ませると微かに衣擦れの音が聞こえた。侵入者は、階段を降りる前に立ち止まったようだ。
「撃つなよ、僕だ」
「──セラフィです」
ネフライトが銃口を逸らす。その後、階段から降りてきたのは、貴族風の華美な装束に身を包んだセラフィ・ナイトだった。
銀色の絹のような髪が明るくなりつつある外の光に照らされて輝いている。
反面、彼女の顔色は暗い。
「侵入者……はぁ……先生とは、なんたることか」
顔を見るなり溜め息を吐かれてしまった。
彼らはヤーナムの外からいったい何が来ると思っていたのだろうか。
疑問を口にすることは叶わず、セラフィは階段の途中で天窓を見上げた。
「僕の担当の先生がヤーナムにやって来るとは……。あぁ、月の香りの狩人様は、僕をきっとお咎めになる」
「学校の用事を校長から承ったのが、偶然我輩だっただけだ。寮生がいるからと来たワケではない」
「では、その理解をいたしましょう。──そうでなければ、別の目的があるのかと疑ってしまうところだ」
冷えた目が探るようにスネイプの顔を見た。
セラフィの手は、東洋人の男が持っていた刀と似た物を持っていた。セラフィが脚を止めたので滴る血は滞り、床に黒い染みを作った。
「セラフィ、詮索は君の役割ではない。夜に戻るといい」
「言われずとも。ただ、朝陽と共に僕は去るよ。後は任せてしまうが……それでもよいかな?」
「彼の方は、それで十分だとおっしゃるだろう」
セラフィが仰々しく礼をして階段を登っていく。再び窓を割るガチャンという音が聞こえた。
「……割るのはいいが、直しているのかな」
スネイプは直していないと思った。
「まあ……いいや」
わずかに考え事をしたネフライトは、結局、動かないことに決めた。そして眠たげに背を丸めた。
屋外からは、銃声が聞こえる。
それでも、いつか夜は明ける。
夏の夜明けは、もうすぐだった。
■ ■ ■
夜が明けた。
長い長い夜のような気がした。
スネイプが溜め息を吐いた頃。
外では、人の声と扉を叩く音が聞こえた。
扉を封じる閂を外すためにネフライトが立ち上がる。つられるように立ったスネイプは手伝うでもなく、窓の外に映るトリコーンを見ていた。
「やれやれ。久しぶりに慌ただしい夜だった」
「ええ、本当に」
「まさか長に会うとは思わなかった」
「最近は、気まずくなる前に会合に顔を出してますか?」
「行ったとも」
「よかった」
「半年前に」
「──そろそろ本当に糞袋野郎の誹りを免れませんよ」
「早まるな。今日は天気が良い。顔を出してみよう」
「俺も行きます」
「長に立ち向かう勇気くらいある」
「いえ、監視のためです」
「……同士が真面目で俺も鼻が高いよ」
扉が開いた。
銀灰の瞳がそろって屋内を見た。
月の香りの狩人が帽子を取り、家の中に入ってきた。
「ご苦労、ネフ。夜通しすまなかったな。先に学舎に帰って休むといい」
「先生とのお話。私も同席したいのですが」
「内容は後で伝える。学徒達とテルミを部屋から出してくれ。帰りがいつになるか見通しが立たなくなってきた」
「それでは……仕方が、ありませんね」
ネフライトは、懐から短銃を取り出すと頭上で空砲を撃つ。
──くれぐれも。
彼は、最後に声の無い警告を告げる。途端にその姿は霞みより儚く掻き消えた。
月の香りの狩人が手を差し向けた。
一足先に彼は椅子を引き寄せて座り、その後方にクルックスが控えるように立った。
月の香りの狩人から目を離さず、スネイプは椅子に座った。
「さて。異邦より来る、ホグワーツの先生様。『遙か暗澹たるヤーナムへようこそ』と言いたいところなのだが……すでにご覧になったとおりだ。観光には向かない街だ。用件を告げたら去るといい。小難しい用件ならば返答は後日になる。その際は、こども達を介して伝えよう」
「長居はしない。本来、ふくろうが手紙を届ける役割であるが……なぜか届かなかったので、我輩が送り届けに来た」
スネイプはテーブルの上に四封を出した。
月の香りの狩人は、その一封を手に取り、懐から出したナイフで封を切った。
「……次年の教科書リスト? あぁ、テルミとネフが気がかりにしていた物か」
「ああ、やはり他の生徒には届いていたのですね」
クルックスも手紙の内容を見て頷く。
封筒を揃えた彼は、まとめてテーブルの脇においた。
「今からダイアゴン横丁で教科書諸々の道具を揃えるには時間がかかるだろう。授業開始から一週間、準備の猶予期間を設けることも併せて伝えさせていただく」
「心配無用。九月一日まで間に合わせる。……ます」
クルックスの解答にスネイプは、長々歩いてきた体感を思い出した。数日は野宿をした覚えがある。彼らが子供の足でロンドンの町中まで来るのは時間がかかるだろう。
そのことを言及しようとしたところ、月の香りの狩人が口を挟んだ。
「ご用件は以上か。これでおしまいならば、街の出口まで送ろう」
「手紙が届かない理由を聞いてよろしいですかな? 来年度もこのようでは、こちらも対応を考えなければならない」
「ああ、それは大事な用事だな。……ふくろう? ふくろう便とやらが届く場所に送付先を変更しておこう。クルックス、誰か郵便窓口になってくれそうな友人はいるか?」
「何人か心当たりがあります」
「よろしい。もし全てに断られたら、日時を定めてこちらの誰かに受け取りに行かせてもいい。先生がヤーナムに来る事態は避けるようにこちらも注意を払おう。この度は本当に不運な出来事だった。ああ、質問の解答は『ふくろう便は、運がなかった』とさせていただきたい」
「あと二つ質問がある。よろしいですかな。昨年、ヤーナムを訪れたクィリナス・クィレル元教授のことで」
「……。ああ、賢者の石とか岩とか塊とかの事故で亡くなられたと聞いた。とても残念に思う。こども達に多くの可能性を拓いた先生だった。彼が何か?」
「闇の魔法使い、『名前を言ってはいけないあの人』との関連についてはご存じですかな?」
「何でも取り憑かれていたとか。賢者の石騒動の概要はクルックスから聞いている。トロールとかいう巨人が入り込んだと。学校の整備した万全な防御態勢に感心したものだよ。私のこども達は問題にしないだろうが、他の子供はずいぶんと怖い思いをしただろうとね?」
彼は目を細めた。
馴染みの人間であれば、それが笑みだと分かるものだったが、スネイプにはただの嫌味に聞こえた。
「結論から申し上げれば、あの人は生きている可能性が高い。そしてヤーナムのことを知ってしまった。これはヤーナムを秘匿する貴方にとって、都合が悪いのではないかと校長は案じている」
「お気遣いありがとう。しかし、心配は無用だ。ヤーナムに踏み入った場合、対処の用意がある。ホグワーツ及び魔法界の手は借りない。それと一つ訂正させていただきたい。先生も知ってのとおり『ヤーナムは秘匿されていない』。辿り着けただろう? ……さて用件は、今度こそ最後かな?」
早急に話題を終えようとする狩人に、スネイプは慎重に切り込んだ。
「『闇の帝王は、ヤーナムに危害を加えないだろう』。校長はそう見ている。ところでヤーナムは、魔法界において認知されていない土地というのはご存じですかな?」
「ああ、世界地図にも載っていない。最近、確認したところだ」
──もっとも『ヤーナム』だけならばインドにもあるがね。
冗談めかして狩人は言った。その真偽は、さておき。
「闇の帝王は、ヤーナムにある何か──仮に秘密と呼ぶが──それを暴くまで友好的な態度を取る。校長は、それをたいへん危惧していらっしゃる」
「ほう。それはありがたいことだ。民が殺される心配ではなく、秘密が暴かれる心配でもなく、私が敵に回る心配を?」
狩人の後方に立つクルックスは、たしなめるようにスネイプへ視線を送った。彼を刺激するな、と釘を刺すような目であった。
だが、その釘はすでにネフライトから受けている。
そして、ここに至った今、引き下がることはできない。何としてでもダンブルドアの望む言質を引き出さなければならない。
狩人がギラつく目を向けた。
「何とか言いたまえよ、先生。ヤーナムの外の道理は知らないが、ヤーナムでは無言を肯定と受け取る」
テーブルに、血濡れた腕を乗せる。
むかつくような鉄臭さが鼻に届いた。
「……イギリス魔法界は、いまだ闇の帝王の脅威から回復できていない。魔法使い・マグルとも未確認の地であるヤーナムに対し、何の主張より先に『敵か、味方か』という判断を強いてしまう。そのことは、先に述べるべきだった。ゆえに回答は『お見込みのとおり』と告げなければならない」
ひたり。
こめかみに一条の汗が流れる。
──それでも、こちらが有利だ。
自分が杖を振るうより、彼の持つ杖(ステッキ)を振るうほうが早いハズがない。
狩人はスネイプの回答に瞬きをし、椅子の背もたれに寄りかかる。そして、鷹揚に両手を広げた。
「勝手に殺し合えばよい」
月の香りの狩人は、微かに笑ったようだった。
「私は二度の世界大戦に参加しなかった。第三次の予定は決まっているのか。どちらでもよい。不参加だ。同じく魔法界の殺し合いにも興味はない。──今のところはな」
彼は傍観を貫く姿勢を見せた。だが、闇の魔法使いとの戦いにおいてこれは無回答と変わりがない。
味方になる可能性があるのならば、その言質が欲しい。
「では──」
次の言葉を紡ぐ前に狩人は封筒を持ち、立ち上がった。
「ご足労いただいたところ失敬なことだが、これ以上の話し合いを私は望まない。いま口頭で交わす約束に何の意味がある。互いに文書を残したほうが後々の諍いが少なくて済むだろう。……前時代的で意外なことに感じるかもしれないが、ヤーナムには契約の文化がある。互いに申し込み、互いに果たし、互いが命を懸けて守る。その交渉の格式と伝統を私も重んじよう。交渉の門戸を閉ざすつもりはない。しかし、以前の手紙にこうも書くべきだった。『ご相談は、随意に。──だが、できれば書面で』と」
「…………」
「そもそもだ。闇の帝王とやらの脅威は遠いのだろう? それとも何か急ぐことがあるのか? 明日にでも闇の帝王が復活する予定があるとか」
「そのような予定はないが……」
「では今は十分だろう」
彼はひとつ手を叩き、封筒をクルックスにまとめて渡した。
「──最後にひとつ。質問がある。これはクィリナス・クィレル元教授の疑問でもあるのだが」
「ほう。何か」
スネイプは一冊の手帳を取り出した。
「それは」
見覚えがあるのか。月の香りの狩人の顔色が、マスクのせいで分かり難いが、確かに変わった。
スネイプが取り出したのは、クィレル元教授の手記だ。それを何枚かめくる。
「貴方は『聖堂街の古びた教会の近くで立ち止まり「あそこにいるものがみえるかい?」と質問』した。そこには何がいたのか。伺ってもよろしいですかな?」
「はてさて。何だったかな。しかし、何であれヤーナムに関係のない先生には教える法が──」
帽子を被る瞬間、銀灰の瞳と目が合った。
卓越した魔法使いにとって。
その呪文は唱えるに値せず、杖を振る必要もなかった。
開心術。他者の心に踏みいる魔法だ。
逸る気持ちが思いがけず踏み込ませたのか。あるいは長く感じた夜への恐怖が薄れ、今さらになって好奇をくすぐったのか。術者であるスネイプ自身にも定かではない。
しかし、結果としてスネイプは月の香りの狩人の光彩に飛び込むような感覚を得た。
「ところで、貴公。よく無礼だとか言われないか? 特に、慇懃無礼だとか言われたことはないか?」
言葉はすでに鼓膜を振るわせる音ではなかった。
記憶も感情も見えない。
断片の一片も感じ取ることができなかった。
ただ、気付けば対峙する月の香りの狩人の顔面には、大きな穴が空いていた。立ち上がった彼の後方にあるべき建物の内壁が見えない。どこに続くか分からない。深い。だが虚だった。
「やはり時計塔の貴婦人は正しい。秘密は甘いものだ。分かるとも。しかし、かなしいかな。深淵を覗くには瞳が足りないようだ」
スネイプは、我に返った。
月の香りの狩人の顔面は、正しく存在していた。
けれど不快に歪んでいる。
「それ。たいへん不愉快なのだが、魔法界ではありふれた挨拶なのか? ならば私もガトリング掃射をお見舞いすべきだった」
「お父様。慈悲を」
クルックスが厳しく、なだめるように月の香りの狩人へ声をかけた。
「……。さあ、もういいだろう。用件は済んだ」
狩人が扉を開けて外にさっさと出て行く。
「先生、どうぞ」
クルックスに促されてスネイプは外に出た。
街を出るまで護衛すると言われ、迷路のような路地を歩いた。街の至るところに獣の四肢が散らばるが、中には狩人やクルックスと似た狩人服を着た遺体も転がっていた。
遺体を運ぶ掃除をしているのは山高帽を被った黒装束の男達だ。沈鬱な顔をして馬車の荷台に乗せている。なかには目が合っただけで怒鳴りそうな顔つきをしている者もいる。スネイプは足早に狩人を追った。
しばらく歩くと長い橋に出た。記憶にある道だった。
「ご足労ありがとうございました。道中、お気を付けください」
クルックスが、場違いに思えるほど丁寧で礼儀正しい挨拶をした。
それに答える気分になれず、軽く手を上げる程度に応じた。
月の香りの狩人が「ああ」と呼び止めてきた。
「先生、クィレル先生の手帳を私にくれないだろうか? 先生方は、もう中身はすっかり見てしまったのだろうが……ヤーナムの情報が閲覧可能になっているのが、どうにも落ち着かない」
「……。これは彼の遺品だ。親族に返却することになっている」
「おっと。それでは取り上げられない。しかし、ありがとう。みだりに人目に晒されないよう祈っている。この先が出口だ。振り返らずに行くといい」
「失礼」
ヤーナム。
月の香りの狩人が「遙か暗澹たるヤーナム」と述べるのはもっともだ。望んで留まりたい土地ではなかった。
ダンブルドアへ伝えるべきことは多い。
スネイプは足早に歩き出した。
■ ■ ■
「一件落着ですね」
「まったくだ。……ところでクルックス。俺……変なこと言っただろうか?」
「常識的な対応だったと思いますが……」
そわそわと落ち着かない狩人は、無意味に枯れた羽根を模した帽子を指で弄っていた。
「大丈夫? 大丈夫だよな? 白黒ハッキリする言葉は使わなかったな?」
「え、ええ。『勝手にしろ』とおっしゃっただけと受け取りました。だからこそ先生も白黒つける話を続けたかったのでしょう。……な、何か?」
結局、狩人が話を終わらせたので全ての話は『勝手にしろ』で終わった。
眼前に迫る危機でもなし。
そもそも闇の帝王だとか『名前を言ってはいけないあの人』だとかが、何をしたのか。狩人は、具体的なことを何一つ知らない。テルミからの情報では「ただの狂人で殺人犯」とだけ知らされている。それ以上の判断材料もないのに「判断しろ」とはヤーナム一般しか知らない彼にとって難しいことだった。
狩人は、ようやく帽子から手を離した。
「実は……学徒達に口酸っぱく、ヤーナムの代表気取りであれこれを言うなって口止めをされている。カインハーストの女王様の面子もある。だから、先生が来た時からずっと『これはすごくマズい』って思っていた。学徒達を呼ぶにはもう遅すぎたし……しかし、大丈夫。乗り切った。よくやった、俺」
「人形ちゃんもきっと労ってくれますよ」
狩人は、丸くなりがちな背中をピンと伸ばした。
「ああ、そうだ! 記念に新しい乳母車買おうかな!」
「乳母車。ははあ、なるほど。ガトリング付き乳母車を?」
昨年のクリスマス奇行の謎が氷解する。
クルックスにとっては渾身の思いつきであったが、狩人に激しく拒否された。
「俺の純真な夢を火薬庫と合体させるんじゃない! あー! 忘れてくれ! そういえば、そうだ、そうだよ、俺、赤ちゃんなのに何で政治しなきゃならないんだ……?」
「お父様は話の分かる上位者、のテイ、なので仕方がないですよ。でも、次は文書で来るのでしょうから、ユリエ様やコッペリア様の知恵をお頼りましょう」
「ああ、ぜひそうしよう。ぶん投げてやる。もう勝手に書いて出してくれって気分だ」
「人間、得手と不得手があると誰かが言っていましたから…………ん?」
橋を歩むスネイプの後方に靄がかかる。
朝の霧にしては濃い。何より局所的であり、敵対を示す赤をまとっている。
特徴的な、ねじ曲がった角と獣の体表が見えた。クルックスは、叫ぶように狩人を呼んだ。
「お父様!」
クルックスは橋を指差して狩人を見上げた。
「だから市街で『お父様』は禁止って言っただろう。さてはお父様大好きだな?」
「そうです! あ、いえ、今はそうではなく! で、でも! あれ、あれは! 夜の、教会側の……!」
──暗殺者ではないか。
クルックスが再び橋を見た時。
暗殺者は、瀉血の槌を自らの腹に突き立てた。
引き抜いた時、それは名称のとおりの長柄の槌となり、刺々しい歪な血肉がぬらりと光った。
「争わないさ。介入もしないとも。──ああ『俺は』な」
「しかし……」
「俺は、安全に帰れる道を示し、礼を尽くした。咎められるいわれはない。天秤はこちらに傾いた」
「そ、そうかも、しれませんが、あの、死んでしまいませんか?」
「さぁ、どうだろう。彼は足が遅いからな。……振り返らなければ瀉血の槌も届かないのではないかな?」
狩人は、まるで大したことがないことのように言う。
けれど後方に気付かず歩き続けるスネイプと狙う暗殺者の間合いは、確実に狭まっていた。
「でも、先生はヤーナムのことは何も知らないでしょう。お、襲われる理由は……? いいえ、まったく公平では、ないと……」
「そうでもない。彼は『先生』で『教授』なのだから、ここ百年間に訪れた誰よりも考察を済ませて来ただろう。クィレル先生の手帳もある。魔法の知識もある。そして、幸運に恵まれ、準備する時間は十二分にあった。──ならば死の覚悟もできたはずだ。ヤーナムの情報が少ない理由に『見当もつかない』とは言わせない。まぁ、死体になれば喋れないワケだが」
自分の言ったことが面白かったのか、狩人はクックッと笑った。
冷や冷やしながらクルックスは見守る。走ったところで槌を防ぐには遅すぎるのだ。
スネイプが背後から近づく足音に気付かないことを祈った。
「血を受け入れないのならば、それもよい。コッペリアも言うだろう。人々には血を受け入れない自由もある。だからイギリス魔法界の常識でヤーナムを歩くことも自由だ」
暗殺者の槌が、ゆるゆると持ち上がる。
それに呼応するようにスネイプの足の速さが変わった。
「──覚えておくといい、クルックス。ヤーナムにおける彼らは、聖杯にとっての我々だ。ヤーナムに何も与えない盗人だ。そのくせヤーナムの秘密を暴きたがる。そして、好奇は血によってのみ贖われるのだ。血の遺志だけが彼らの痕跡となるだろう。私はそれに価値を見出す」
果たして槌は振るわれた。
紙一重でスネイプは橋を渡り終えた。
獣の皮を被った暗殺者は、その先まで追うことはできなかったようだ。あるいは深い森のせいで見失ったのかもしれない。
肩の力を抜いたクルックスは、再び父を見上げた。
「では、逆に……ヤーナムが、俺達が彼らに与えるものは何なのでしょう?」
「クルックス、君は時に面白いことを言う。古きはトゥメル。遠くはローランから決まっている。呪いのような祝福だ」
「俺にはまだ、よく分かりません。……でも、心温まるような何かを残せないことだけは分かる。それが、すこしだけ悲しい……ああ、きっと、これは悲しいという感情なのだ。……それを感じる時があります……」
クルックスの視線の先。
もう姿の見えないホグワーツの教授を思い起こす。
彼でさえ、最期はきっと何か心が救われるものを遺していくだろう。
だが、クルックスは自分自身にその救いが見えないのだ。空想すらできないのだから現実はもっと悪い結末になるだろう。
狩人は橋の向こう、黒々とした森と霞む空を見上げていたが、やがて視線を落とし、血に塗れていない左手の甲でクルックスの頬を撫でた。
「呪いや冒涜のなかにも温もりはある。そう悲観することはない。人生とは……まぁなんだ……悪いことばかりではないから」
「お父様がそう言うのならば、俺も、ずっと信じていたいのです」
「だから、お父様は禁止だってば」
「そういえばそうでした。うーん。慣れない。お父様、怒ってます?」
「全然、怒ってないぞ」
「そうですか。よかった」
橋の向こうで獣の皮を被った男の姿が朝霧に溶けて消える。
同じように二人の姿もやがて朝靄に消えた。
■ ■ ■
浅い眠りの時に、手足が震える感覚を覚えている。
あるいは、階段から落ちていく感覚のような、それ。
白い獣皮がぶるりと揺れる。
「おや、お帰りですか。ブラドー氏」
テーブルには、地図が広げられている。
チェスの駒を弄んでいたピグマリオンは空想に耽りながら、彼の言葉を待っていた。
音の鳴らない鐘を鳴らしている長い間、ブラドーの意識はどこかを彷徨ってしまうようだ。
それを守ることをひとまずの仕事としたピグマリオンだったが、忘れられた古工房に敵対者など現れる由もないので、人間性を喪失してしまいかねないほどに暇だった。
しかし、今夜は違った。
赤子の泣き声が収まった頃。
異邦者についての情報を得たブラドーの命令で、ピグマリオンは活き活きとしていた。
市街の暗渠から下水道、細い路地まで歩き尽くした彼にとって、市街の迷い人など目を閉じていても──これはすこし話を盛った──高い確率で見つけられるのだ。
「逃した。あと数秒ほど早ければ殺せたが」
節のある指が傍らの駒を取って地図に乗せた。
ヤーナムの外へと繋がる大橋だ。
「どなたか先達がいたのでしょうね。夜が明けたばかりの今は、素人が歩くには早すぎますもの」
「月の香りの狩人がいたが」
「いたが?」
「遠目から見ているだけであったな」
「それは、ははぁ、なるほど、なるほどね、そうですか、そうですか。……あの狩人、一見は普通の狩人に見えましたが、ふむ、存外に人が悪いようですね」
ピグマリオンは、善良である。
その善良さによって死した後は自らを救おうと思っているため、自他ともに認める善良さを持っていた。しかし、それは他害性の賢しさを持つ事と矛盾しない。
「あの狩人、ひょっとしたら異邦者を貴方に殺してほしかったのではないでしょうか?」
「先ほどは『生け捕りにせよ』と言ったが。さてな」
それが午前三時頃の出来事だ。
そして見送ったのが今、午前六時。
約三時間、彼らには猶予があった。
「──何事か、済ませるには十分だろう」
「そう、十分ですよね。だから彼は手出しをしなかった。しかし、貴方は面白くないのでは?」
「便利に使われるのは今さらのことだ。悪い手ではない。……当分は、という意味だが」
橋の端に佇む駒を二つ並べてみる。
そのうちの一つ、歩兵の駒を王の駒と取り替えながら、ピグマリオンが笑った。
「ええ、ブラドー氏。では、月の香りの狩人さんと仲良くしましょうね。彼が全ての鍵であり、錠なのですから! 我々は、医療教会の秘密のために彼を守らなければならないのでしょう。神の剣にして教会の槌ならば、正しく振るわれなければなりません。正義なので!」
「…………」
ブラドーは、すごく嫌そうな顔をした。
死にかけの小汚い猫を見るような顔だった。
あるいは病に冒されてどうにもならない犬を見るような顔だった。
「ああ、もう。以前は『前向きに検討する』っておっしゃったのに。決心がどんどん後退しているじゃないですか!」
「知らぬ」
「僭越ながらご注意させていただきますが都合の悪いことを都合よく忘れるのは、やめてください。貴方の場合、狂ってしまったのか冗談なのか、私には判断が付かないからです。切実です。お察しください」
「……前向きに検討する」
「言質をいただきました。後ほど結論が出たら伝えてください。……私は貴方の意向に従いますから」
彼は、ふいと明後日の方向を向いた。
やがて大橋から数十分遅れ、捨てられた谷間の古工房にも朝陽が差し込んだ。
■ ■ ■
同じ朝陽は、森深くの学舎にも差し込んでいた。
「朝……?」
「朝だね、ユリエ」
目隠し帽子のせいで気付くのが遅れた。
ユリエが顔を上げて、窓を見る。膝には眠らせていたテルミがいたが、彼女も起きてしまったようだ。
「……ユリエお姉様?」
「おはよう。テルミ、新しい朝よ。……月の香りの狩人が欲しかったもの。どうしても、欲しかったの」
「それは、どうして?」
「『深い夜に沈んだヤーナムなのだから、朝陽は一等眩しくなければならない』とか何とか。あの時は、よく分からなかったのだけど今ならば分かるわ。朝陽は平等に注いでくれる。……探求者は皆、夜に探すばかりで朝を見つめようとしなかった。こんなに温かいものが、すぐそばにあったのにね……」
ユリエが、テルミの頬を撫でた。
柔らかな指先は、すこしだけくすぐったい。
彼女の指に自らの指を絡めた。
ずっと起きていたコッペリアが、勢いよくカーテンを引いた。
「だから、僕らは朝に往くのだ。僕らは最も古きを継いだ、最も新しき学徒なのだから! 辿りつく先は、きっと先人達とは違う。これから先、何百年かかろうと僕らはヤーナムの血の医療の果てを提示してみせる!」
決意を新たにするコッペリアの背中では、ひそひそと女性達が顔を突き合わせていた。
「……でも普段の言動は、典型的なヤーナム医療者なのが残念ですね」
「……たまに狩人君から『頭のイカれた医療者』判定をもらっているのよ」
「黙りたまえよ! 特に僕に夢見るクルックスの前では、くれぐれも黙りたまえよ!?」
コッペリアは、素早く釘を刺した。
ふたりは「はいはい」と口を揃えた。
「僕は本気だ。医療教会の血の医療は頭打ちだ。行き着く先が、ギィギィ鳴く星の子。あるいはブヨブヨの星海からの使者。そんな果てはゴメンだ。……そうじゃあないだろう。初代医療教会教区長が目指した血の医療の行き着く先は、そんなモノじゃあないだろう。もっと素晴らしいモノになることを目指していたハズだ。もっと高きモノと伍することを目指していたハズだ。僕ら学徒が見るものは、人間が見る夢だ。──だから、僕は諦めたくないのさ」
「……お父様から授かった瞳を持っているのに、なんだか人間らしいことを言っているわ。ユリエお姉様」
「……こっちが心配するくらいに思考の次元が低すぎるのよね」
「こそこそ言うな! あと、ロマンチストと言え、ロマンチストと! 狩人君だって『夢を諦めない姿勢は良いと思う』って言ってくれたんだからな! 僕はやるぜ僕はやるぜ!」
「……毎年、こんな調子なの?」
「……そうね。三日くらいはこの調子よ。それで結果がでなくて落ち込むまでがワンセット」
「し、仕方ないだろ、狩人君が初めて作った瞳だから、いつも焦点が合わなくてぼんやりしているんだ! もーっ! クルックス! 早く帰ってきてくれーっ! 僕を慰めてくれるのは君だけだ!」
朝陽に向かい、コッペリアは叫ぶ。
教室にはささやかな談笑がこぼれ、市街ではクルックスがくしゃみをした。
■ ■ ■
セラフィは、足を引きずるように動かして小雪降りしきるカインハーストに戻ってきた。
(あぁ、うまくいかないものだ)
射手の姿はなく、獣の皮を被った男の姿も見当たらない。
完全な空振りだ。
反発損とも言える。
これならば鴉に出動枠を譲ったほうがカインハーストの利になったかもしれない。
うつむいて歩いていたセラフィは、夢へ移動する灯のそばにレオーが立っていることに遅れて気付いた。
「あぁ、レオー様。……ぼんやりしていた」
「お前を待っていたんだ。大丈夫か? 顔色が優れないな」
出迎えとは初めてのことだ。
クルックスが自分の立場ならば素直に「ありがとう」と言うのだろうか。あるいは、マリアならば……? 彼女は何というのだろう。そんなことも分からないのだ。
「どうした?」
「……レオー様は、エヴェリン様のことを深く愛していらっしゃるのですね」
セラフィは、トリコーンを深く被り直した。
しかし、どうしても気になってレオーを見上げた。
レオーがいつも被っているカインの兜はなかった。だからこそ、驚く彼の顔はよく見えた。
「いやいや! エヴェリンは関係ないぞ。同僚が同僚を撃ち殺したらフツー心配するだろ! 心配するんだよ! 怪訝な顔をしないでくれよ! ……あー、ちょっと待てよ」
レオーは、なぜ突然エヴェリンのことを話題に出されたのか思い至ったようだ。
「セラフィはエヴェリンに似ているから大いに心慰められているけどな。だが、とっくの昔に死んでいるんだ。昔と今なら間違いなく今のほうが俺には大切だ。……だからさ、心配させてくれ」
「貴方の慈しみを、僕はちゃんと理解している」
「開口一番、エヴェリンのことツッコんでくるお前の『理解している』を信じるほど単純にはなれない。悪いな。……俺は、エヴェリンのことを抜きにしても本当にお前を愛しているんだ。『後輩だから』ではない。終わりきった俺にとってかけがえのない価値があるんだ。もっと自分を大切にしてくれよ」
「…………」
レオーは、同族を見捨てきれずに損な役割を引き受けてしまうほど優しい男だと知っている。だからこそ、彼が『ただのセラフィ』として自分を見てくれないことが悔しい。そして、彼の真心を疑ってしまう自分を卑しいと感じる。
セラフィは歩み寄り、そっと彼の手を取った。
「レオー様のことを僕も大切に思っている。……先日、長生きに興味がないと言ってみたが気が変わりました。僕は、エヴェリン様より長生きしてみましょう。僕の心は、変わるかもしれない」
「そりゃいい考えだ。いいぜ、いいぜ。前向きにいこう。どうせ時間はたくさんあるんだ。成長を楽しみにさせてくれよ」
レオーは肩を叩き、共に古城までの道を歩いた。
正門で二人を待っていたのは、カインの流血鴉こと鴉だった。
「鴉羽の騎士様、朝なのにお休みになっていないのですね。珍しい」
「なんだ。とっくに寝ているのかと思ったが」
兜を外した騎士は、カインハーストに連なる血筋らしく涼しげで精悍な風貌をしていた。
しかし。
「傷心の女に近づく男の魂胆など見え透いて言葉の裏まで見えるようだ。そもそも男の贔屓など見苦しい。恥を知れ、恥を。ところで騎士として恥ずかしくはないのか?」
彼の言葉は、とある側面では事実だった。
しかし、レオーは「お前が言うな」と瞬間的にキレた。
「その言葉、ぜーんぶそっくりそのまま返してやるよ、このクソ鴉! 慰めの一言でも言ってみろ、セラフィの死亡原因の九割はお前だろうが」
「私はセラフィを鍛えているだけなのだが?」
「『だが?』じゃねえよ! 血族の贔屓目で見ても、癇癪と八つ当たり時があるぞ」
「騎士たるもの常時戦場の心構えでなければ務まらない。この先、教育の問題だ」
「自前の教育論を語る前に、一般的な倫理観を大事にしてほしいぜ、俺は。どっちも語ってほしくないけども!」
鴉は『理解に苦しむ』という目つきでレオーを見た。
レオーは、ただ肩を落とした。
「俺さぁ前々からお前のことを実はヤバイ後輩だと思っているんだが……」
「よく言われる。その度に私は軽蔑しているぞ」
「しかし、ひとつだけ尊敬してやってもいいことがあって、それっぽい理由がペラペラと出てくるところだよ。──血質高すぎると頭までおかしくなるのか? ああ?」
「レオー。我が先達。騎士に厭いたならば言え。朝に夕に、殺してしんぜよう」
「おうおう、抜けよ。抜きなよ。インチキ血質の連装銃がなけりゃお前なんか恐くないぜ」
腰に帯びた千景の鯉口をチャキチャキと鳴らしてレオーは応じた。
だが。
「騎士たるもの、常に予備を携えておくべきなのだ」
スッと鴉の懐から出てきた連装銃を見たレオーは真顔になり「お前のそういうとこ嫌い」と言った。
そして、彼は抜きかけた千景を元通り収めようか抜こうか迷っていた。
「お二人とも。私闘は禁じられてる。仲間内での争いはいけない」
セラフィは、それ以上の言葉を言えなくなり口を噤んだ。
二人が争うのは悲しいことだと思ったのだが、それを言えば自分が脆くなってしまいそうだった。
決して笑わない鴉の目がセラフィを射貫いた。
「杞憂だ。我々は、実は、仲が良い」
「それは……うーん……鴉羽の騎士様……」
冗談でも千景を抜きかけた時点で説得力は皆無だ。
実際、レオーは絶句している。
小さく「……どの口で、おま」と言葉が漏れ聞こえた。
けれど、セラフィには鴉なりの気遣いだとも分かるのだ。
「貴方のことも大切です。同胞に向かう、この感情こそが愛だとも思うのです。だから、争いごとは出来るだけ避けていただければ……嬉しい、ような。僕は、お二人の身を何より案じていますから」
「……善処する」
両者の千景は収まった。
視線を逸らし、鴉はカインハーストの外に広がる湖畔を眺め見た。
照れ隠しのようなものだとセラフィは知っていた。
「ありがとうございます」
「さっさと休め」
セラフィは帽子を取り、簡易な礼をした。
その隣でレオーは目頭を押さえた。
「うぅ……いい子だ……。セラフィが嫁ぐまでは、おじさん死ねないな……」
レオーの言葉は、一個人の感想に過ぎない言葉だった。
しかし、それが鴉の逆鱗に触れた。
「は? セラフィは現在・過去・未来において、カインハースト以外のどこにもいかないのだが?」
「架空の将来設計してるっ! この後輩、怖すぎ。怖気。ワーッ! さっそく千景抜くなよ!」
朝が訪れる。
いつもの調子が戻ってきた。
セラフィは、小さな声を上げて笑った。
「あははは……ははは……」
問題は、山積みだ。
また、解決の見通しもない。
長生きをして、何かが変わるのを待つのが最も良い解決策なのかもしれない。
だが、待ちきれない。
これからも好機とみれば躊躇わず、進み続けるだろう。
後悔は、きっとできない。
最も過酷な運命こそが自分には相応しい。
それでも。
「僕は、お二人を愛していますよ。何よりも大切です」
二人が言い争いをやめ、顔を見合わせ、セラフィを見た。
虚を突かれた顔は、隔世があっても不思議と似通っている。
セラフィは、彼らの心中にある思い出には勝てない。
でも、ここにいるのはセラフィだ。それだけを今は唯一の納得とすることにした。
だからこそ。
「心から、お慕いしているのです」
伝えることができた。
ようやくセラフィは晴れ晴れと笑えたのだ。
■ ■ ■
朝陽は街を、谷を、森を、湖を、古城を照らす。
夢を見る上位者の揺籃ヤーナムにて、再び一年が始まった。
ヤーナムが平穏であった時間を繰り返し、細かな繰り替えりを起こしながら時は刻まれていく。
止まり、しかし、滞りなく。
東の朝焼け(下)
ヤーナム珍事、終了:
生きているので、ヨシ!
終わり際にちょっとトラブったけど生きているので、ヨシ!
投稿について:
本話で『2年生まで』章のヤーナム編が終了します。
次話より『2年生』章のホグワーツ編を開始します。
感想では、多くの方がピグマリオンについてコメントしてくださったのが、筆者的には意外であり、驚いたところです。ヤーナム編の聞き手役であり、救われぬ病み人のピグマリオンを今後もよろしくお願いします。可愛いですね。いえ、30越えそうな青年ではあるのですが。可愛いですね。
1Pイラスト:ピグマリオン
【挿絵表示】
お知らせ:
本日より数日間、いただいたご感想・質問等に対する返信が遅れる予定です。
小説は投稿予約済みなので順次投稿されます。お楽しみいただければ幸いです。
ご感想お待ちしていますのでお気軽に伝えていただけたら嬉しいです(ジェスチャー 交信)
匿名希望の方は、マシュマロ(https://marshmallow-qa.com/nonogiginights?utm_medium=url_text&utm_source=promotion)も開設しておりますのでポンポン投げてください。筆者は喜びます。
最後に:
どこに置くか迷った本編とはまったく関係のない1P漫画を置いておきます。ネフが啓蒙高い冗談を言う話です。
タイトル「連盟員は(根も葉もない噂に)めげない(違法なリークを見てしまっても)しょげない」
【挿絵表示】