闘病生活で日を増すごとに命の灯火が減ってゆくテンポイントを日本全土から集まった名医が知と努力を尽くしていることはわかっていても尽きる日が近いことは言わないだけで。
初めはさっさと帰ってきて落とし前つけさせろなどと明るかったクライムカイザーも口を閉ざす。
マルゼンスキーもやはりテンポイントについてはそれ以上は話題にしない見舞いに行くのもほぼ面会謝絶で一部しか会うことも叶わないテンポイントの病室へ行ったのだろう。
足早にグリーングラスは学園を去る、行き先は決まっている無論走っていった方が早いのだが公道を全力で走ることは条例で禁止されているので電車でだがとても時間がもどかしかった。
何度か訪れているしトレセンの学生証を見せるとすぐに看護師は許可を出したので病室のドアをゆっくりと開ける。
少しでも回復していて欲しい願望と現実を受け止める理性がせめぎ合う
話すのも辛いだろうに管に繋がれたテンポイントは笑って迎えてくれた。
「来てくれてありがとう」
「ごめんね、遅くに」
「気にしないで、トレセンにいたら、忙しいから。カイザー、トウショウは?」
「元気にやってる、テンちゃんとまた戦いたいって」
「そうか」
そう言ってテンポイントは遠い目をして微笑む。
「テンちゃん?」
「あの時の菊花賞のグリさん、かっこよかったよ」
「どうしたの急に?」
「入院してからずっとね、出たレースのこと全部思い出してるん「えへへ、流星の貴公子に褒められた」
「本当に思ったことなんだよ」
「有馬のトウショウと皐月賞でグリさんに負けたの、悔しかったな」
「でも、ずっと私よりたくさんトロフィー貰ってたじゃない。テンちゃんたら」
「トレセンでカイザーと走ったり、ふざけたりするのも楽しかったよ
負けて悔しかったこと
一緒に走れて楽しかったこと
何より共にいた瞬間全てが愛しいとテンポイントは笑みを絶やさなかった、対照的にグリーングラスは一緒に走れて楽しかったと本人から伝えられて涙が堪えきれずに堰をきって溢れ出す
「私ね、ずっとテンちゃんとトウショウと走るのが嬉しかった追い抜けなくても影も踏めなくてもいいから3人で走ることが幸せだったの」
泣きながらでもテンポイントに伝えなければならないと突き動かされる。
「うん私も幸せさ、みんなといた一瞬一瞬が大好きだ」
面会時間を過ぎ看護師に呼ばれるまでみんなとの思い出を語り合った。
グリーングラスはテンポイントの命の灯火を悟りながらもグリーングラスは寮に戻った。
そして3月5日、車椅子に乗って桜が見たいと外に出て桜をみるとテンポイントそこで息を引き取ったと視聴覚室と講堂のテレビが報じており。
朝のトレセンは憔悴する生徒と泣いている生徒であふれていた。
「俺は落とし前つける日を楽しみにしてたんだぞ…なんで死んじまったんだよテンポイント!!!」
グリーングラスもトウショウボーイも泣くに、泣けなかった。
寝たきりになったテンポイントをみて理性では長くないとわかっているのに感情はテンポイントはきっと良くなると思って疑わなかった。
3/7に埋葬は執り行われた。
トウショウボーイ、グリーングラス、クライムカイザーは無論トレセン全生徒で葬儀に参列した。その日がレースだった生徒も棄権して参列していた
カイザーはわんわんと子供のように泣いている、いっさい弱さも涙も見せなかったトウショウすら人目も憚らず泣いている
「…みんなと過ごした日々が嬉しかったて。テンちゃんは行ってたよ」
棺の前でグリーングラスは手を合わせる。
「…私は、うぅ、テンポイントを苦しめてしまった…ごめんねテンポイント」
テンポイントのトレーナーが棺に収まった姿を見て号泣する。棺に収まった闘病で痩せ細ったあまりにもか細い遺体
テンポイントがみんなに愛されていたことを実感する。
グリーングラスは決心した世代の終焉を見届けようと。
TTG世代のウマ娘が出てきてくれたらいいなと日々思っています