トレセン学園の近くにとある小さな八百屋は草壁ミドリというおばちゃん一人で商いをしている。
珍しい南国の果物やひと玉で3000マニーという高級なリンゴ果ては田七人参まで奇怪な品揃えの隠れた名店だ。
基本は暇なので冷やかしにも嫌な顔一つしない店主のミドリが笑って対応してくれるのでトレセンの学生の一部に悩みを相談する目的で来店することも少なくない。
ある時、ハルウララはすごい八百屋さんがあると同級生に教えてもらい行ってみたシンプルに田七人参をみてみたかったのが最もな理由だが。
「あら、いらっしゃいお使い?」
「違うのウララ、でんしち人参?が気になってどんなのかみにきたの」
「あら、田七人参なら売れちゃったのよ」
「ええー?!でんしち…」
「とっても体に良い人参だからみんな買っていくのよ」
「そんなにすごい人参見てみたかったなぁ」
「見た目は凄くないけど大体の怪我とかに効くからねぇ」
「へえー!すっごいニンジンなんだね!次来る時はおこづかい貯めてトレーナーさんにプレゼントするの!」
「不定期入荷だからこまめにおいで」
「うん!」
ハルウララは何かを思い出すようにミドリの顔をみつめる
「何か欲しいもの見つかった?」
「おばちゃんってグリーングラスなの?」
「へ?」
「昨日ね昔の菊花賞の映像におばちゃんにそっくりなウマ娘が走っててすごく強かったんだ〜!トレーナーさんに名前を聞いたらグリーングラスって名前のウマ娘だったから」
「あら、不思議なこともあるわね。私ただの八百屋のおばちゃん草壁ミドリよ」
「ねーねー!ミドリおばちゃんはグリーングラスなんでしょ?!」
「さあ、ミドリおばちゃんは八百屋のおばちゃんだからわからない」
ミドリは笑ってみせる、ウララは納得していないようだが。
「世の中自分と似てるひとが3人いるっていうじゃない、きっと3人のうちの誰かよ」
「うーん、そうなのかなあ?」
「グリーングラスがいた時代に友達だったみんなは幸せだよね!強くて優しいんだよ!」
「あら、ウララちゃんはそう思うのね。おばちゃんはね一緒に過ごせて幸せだって思ってくれる人たちがいてくれてこんなに時間が経った後もウララちゃんみたいな子たちにそこにいて幸せだったって言ってもらえるグリーングラスが一番幸せに思ってるかもしれないわ」
「みんな幸せなんだね!」
「おばちゃんの親友のウマ娘も喜んでるよ」
グリーングラスは草壁ミドリであり草壁ミドリではない、あの過酷な時代を生きた少女はあの時にしかいない。