死の支配者と猫妖精   作:スクゥーマ

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トブの大森林でキャンプする話。
二人共丁寧語で会話するとわかりにくいというご指摘がありましたので、ヌコネコの口調がルプスレギナっぽい感じになっています。
素のヌコネコは、友人の前や親しい人の前だと基本的にこんな感じ。





第3話 キャンプ

 二人が、キャンプ地に最適な開けた場所をみつけたのは、ゴブリンたちを倒して1時間ほど歩いた後だった。開けた木々の間から空が見え、優しく月の光が差し込んでいる。

 

「「すっげぇ・・・」」

 

 開けた場所から空を見上げた二人は、感嘆の声を上げた。

 

「ははは!すげぇ!すげぇーーーー!」

「凄い・・・凄すぎますよ!プループラネットさんに見せてあげたいですね」

 

 森の中から見えるだけの空から降り注ぐ光だけで、お互いの姿が特殊技術に頼らずとも確認できる。大気だけでなく、土壌も水も汚染されていないであろうこの世界を見たら、自然を愛した男、ブルー・プラネットはどんな感想を言っただろう。熱く、熱すぎるほどに語ってくれただろう。

 

「第六階層の夜空の作り込みも凄かったけど・・・本物はもっと凄えや」

 

 ため息まじりにそう言ったヌコネコに同意すると首を縦にふるモモンガ。

 

「キラキラと輝いてまるで宝石箱みたいだ・・・」

「モモンガさん、ブルー・プラネットさんみたいなこと言うんすね。もしかして、実は結構ロマンチストだったり?」

「ははは。でも、この景色はそうとしか例えられないじゃないですか」

「確かに。宝石場かぁ。俺たちで独占しちゃいます?」

「なら、世界征服するしかないですね」

「ブルー・プラネットさんの次は、ウルベルトさんっすか?」

「ふっ・・・」

「「あははははははは」」

 

 いつしか、異常事態に巻き込まれた緊張感も消え失せ、軽口を言い合いながら笑いあう二人。ヌコネコの口調も、緊張から開放されたこともあってか、社会人同士の少し硬いものから、砕けたものに変わってきていた。

 

「ここをとりあえずの拠点にしましょうか」

「周囲に敵の気配もないし、いいっすね!」

「拠点作成のアイテムは持ってたはずですけど、どうやって・・・」

 

 モモンガがアイテムを取り出そうと意識を向けると何もない空間にすっと手が入り込む。そのまま窓を開ける時のように横に大きくスライドさせる。空間に窓のようなものが開き、そこには無数の自身が所持していたアイテムが並んでいる。目当てのものを意識すると手に何かを掴む感触があり、そのまま空間から手を抜きだす。

 

 とりだしたアイテムは、森の隠れ小家(グリーン・シークレット・ハウス)。拠点作成系アイテムである程度の耐久力と大きさをもつ。小さな手のひらに収まる模型のようなものを地面に落とすとドォンと言う音とともに見事なコテージに変化する。

 

「うわ、どうやってインベントリからアイテムを?」

「こう、アイテム取ろうって思って手を伸ばしたらこう入っていっちゃって」

 

 モモンガの言う通りにすると空間にすっと手が入る。

 

「うわ、なんだこれ。はー・・・なるほどなぁ」

 

 適当にアイテムを引っこ抜き、同じ要領で再度空間に手を突っ込みアイテムを手放すとインベントリにアイテムが収納される。

 

「便利すぎでは?」

「ユグドラシルの時よりも便利ですね。ショートカットキーも要らないし、いちいちスクロールして探す必要もないですし」

「なんか色々仕様が変わってるんですかねぇ?後で調べましょう。とりあえず、小家に入りません?」

「そうしましょうか。使い慣れたアイテムですけど、雰囲気が変わると何かワクワクしませんか?」

「それな!よし、入りましょうモモンガさん」

 

 中に入ると、ユグドラシル同様、かなり大きな広間、同じ間取りの部屋が6つある。これはパーティー単位での使用を前提にされているためである。広間にはキッチンが据え付けられており、調理道具一式もある。しかし、二人は調理スキルを取得していない。だが、それ以上に問題なのは、キッチンが「かまど」であること。ゲームでは調理スキルのあるものが使用すると勝手に火が着き、調理が始まったはずだ。確認のために据え付けられていたフライパンを置いてみたが、うんともすんとも言わない。

 

「やっぱり動かないっすね。調理スキル無いからかなぁ?」

「私達が所持してない特殊技術に関連するものだったら、検証のしようが無いですからね。ところで、食事はどうするんですか?」

「やっべ、星空に感動して空腹忘れてた。モモンガさんは、食事・・・とれるんですかね?」

 

 ヌコネコは、モモンガの骨しかない体をじっと見つめる。

 

「いやぁ・・・この体だとどう考えても無理・・・だと思うんですけど。それに、食欲もなんかわかないというか無いんですよね」

「骨しかないのに声でてますし、なんかこう、ワンチャン口から入れたら消えるみたいなことあるかもしれませんよ?一口いってみましょうよ」

 

 ヌコネコとモモンガは広間の椅子に腰を下ろす。ヌコネコがインベントリから、ヌコネコの顔の半分はあろうかという巨大おにぎりを取り出す。これは、『満腹おにぎり』というもので、ユグドラシルでは、特別なバフ効果は無いものの、重量が最低値かつ、空腹度を一気に満タンまで回復可能なアイテムだった。ゲームの中では、ナザリックの料理長に話しかけることでこういった食事系アイテムを生産してもらうことができた。製造すると、ナザリックの食料庫に保管されている食材が自動消費される。もちろん、直接素材を渡すことで調理もしてもらえる。

 

「はい、モモンガさん」

 

 半分に割った『満腹おにぎり』をモモンガに渡すと、いただきますと言いながら頬張る。その時、ヌコネコに電流が走る。

 

「う、ううぅぅ・・・」

「ど、どうしました!?」

 

 おにぎりを一口食べた瞬間、プルプルと震えだしたヌコネコを心配するモモンガ。

 

「ウメェェェェェェェェェl!うわ、これめちゃくちゃ美味い!これが本物の米ッ!合成でんぷんで作った偽物じゃない本物の味?これ、凄いですよ!」

 

 元いた世界では、米は超希少品であり、アーコロジーに住むものであっても、おいそれと食べられるものではなかった。品質の差異こそあれ、日本に住む多くの人々は、合成デンプンを粒上に加工した米状の加工食品を食べていた。

あっという間に、おにぎりの半分を食べ尽くし、指先についた米粒も舐め尽くす。

 

「そんなに美味しいんですか?」

 

 モモンガは、ヌコネコが美味しそうに食べていた、おにぎりを見るが、食べたいという食欲が刺激されない。だが、美味しいと言われるとどんなものだろうと気にはなる。好奇心は刺激されているよuだ。

 

「それじゃぁ・・・」

 

 ガブリとおにぎりを歯先で噛んでみるが、そのまま下顎を貫通して机の上に、おにぎりのかけらが落下する。残念ながら、不思議な感じで胃に収まるなどということはなく、予想通りの結果になった。

 

「あ~・・・その・・・ごめんなさい」

「ヌコネコさん、気にしなくていいですよ。なんというか予想通りの結果ですし。それに、アンデッドだからか食欲って無いんですよね」

 

 そう言って、ヌコネコにおにぎりの残りを返す。ヌコネコは、それを受け取ると残りをゆっくりと食べ終え、床に落ちたものは外へ投げ捨てる。

 ヌコネコが食事を終えると、二人は広間のテーブルにつきこれからのことの相談を始める。

 

「それにしてもどうしたものですかねぇ?」

「そうですね。現実・・・といっていいのかわかりませんけど、私達の体がどうなっているのか・・・」

「うーん・・・考えても頭痛くなるだけの問題ですね」

「元の世界に帰還できるんでしょうか?」

 

 元の世界への帰還。モモンガは、そう言ったものの帰還したいとは思っていない。帰還できたところで、待つ家族も友人もいない。待っているのはブラック企業での厳しい労働とユグドラシルのない空虚な毎日だけだ。それに、星の光も月すらも見えない汚染された世界。そんな世界に戻る価値はあるのだろうかと。

 

 だが、ヌコネコは違う。彼は、アーコロジーという恵まれた環境に住むものだ。確か、病気だと言っていたが父親だっていたはずだ。性格だって、社交的で聞き上手だった。自分とは違い、待つ者がいる。帰るべき場所のある人間だ。彼が帰りたいと願うなら全力で帰還方法を探そうと思っている。

 

「モモンガさん、あの世界に未練ってありますか?」

「えっ?どういうことですか?」

 

 ヌコネコが言っている意味がわからず聞き返してしまう。

 

「俺、ぶっちゃけ帰れないなら帰れないでいいと思っているんですよ」

「ど、どうしてですか?」

 

 どうして、と問われたヌコネコが、宙を見ながら言う。

 

「半年前、親父が死んだんですよ。俺には、もう待っている家族もいない。それに、俺の仕事、結構見下されてるんですよ。誰かがやらなきゃいけないのにね」

 

「ヌコネコさん・・・」

 

 モモンガは、ヌコネコのリアルでの仕事を思い出す。アーコロジーの中に外で作った資材や食料などを運び込むゲートの管理・警備。欧州アーコロジー紛争では、アーコロジー外部のものが警備にあたっていたが、テロリストたちに狙われ都市が1つ機能不全に陥った事件があった。そのため、アーコロジー内部の人間がゲートの警備を行うようになっている。軍人ではないがそれと同水準かそれ以上の訓練を受け、最新の装備に身を包みアーコロジーに住む人々のために働いている。

 

 日本では、いや世界的に見てもアーコロジーを狙うような輩はそうはない。だが、汚れた外の世界と接し、肉体を酷使する仕事。場合によっては、アーコロジーに群がる群衆を武力で追い払うこともする。アーコロジーの中で不自由なく暮らすものたちにとって、そんな万が一の危険があるキツイ仕事をするものはいない。するものは、学歴が低く、能力の劣るものたちと思われている。だからこそ、アーコロジーの住民にとっては、不人気かつ地位の低い仕事なのだ。

 

「俺だって最初は、みんなのためにがんばるんだって思ってたんですよ。感謝なんかされない。それは我慢できましたよ。でも・・・」

 

 ヌコネコが言葉に詰まる。その先は知っている。その仕事が原因で、彼女との結婚を彼女の両親に反対され別れることになったのだ。一ヶ月近くログインせず、きたらきたで、仲の良かったモモンガやたっち・みー、ペロロンチーノや弐式炎雷の前で男泣きしていたのをよく覚えている。

 

「あ、すいません。なんか暗い話なんかしちゃって。だから、帰る理由なんて無いって話です。まぁ、頼りない部下たちが気になるっちゃ気になりますけど、向こうの世界のことは・・・ね。でもモモンガさんが、帰りたいっていうなら俺は協力しますよ!」

 

 モモンガは一瞬言葉に詰まった。彼のあの話を聞くまでは、アーコロジーに生きるものたちは幸せで、自分たちのような苦労や差別なんてないと思っていた。あの理想だと思えた世界にも同じ苦しみがあると知って、アーコロジーに住む人々への見方が少し変わったと思っている。

 

「私も同じです。帰る理由なんてないですよ」

 

 二人は無言でお互いの顔を見る。骸骨と猫。お互い、相手の感情がどうかは表情からはさっぱりわからないが、それでも、これからここで生きていくという覚悟が伝わった気がした。

 

「では、帰還の方法に関しては探す必要はないということでいいですか?」

「異議なーし!この世界、全力で生き抜くしかないっすね」

 

 ヌコネコが、少し重くなった空気を吹き飛ばすように努めて明るい声で返事をする。モモンガもそれに合わせて明るく声を出す。

 

「でも、まさかこんなことになるなんて夢にも思いませんでしたよ」

「ねー。こんなとき、こういう状況に強そうなペロロンチーノさんとか、タブラ・スマラグディナさんとかいればなぁ」

「あー、たしかにあの二人は、こういう状況に強そうですよね」

「逆にたっちさんとか、意外と弱そうじゃないですか?」

「あー・・・それなら他にも・・・」

 

 かつてのギルドメンバーがこの状況下にいればというIFの話に始まり、そこから今後、どういう方針で行動するかという話に熱が入る。やがて、窓の外にうっすらと光が差し込んでくる。

 

「朝ですかね?」

「もうそんな時間?なんか、急に眠気が・・・」

 

 大きなあくびをするヌコネコ。

 

「ヌコネコさんは、飲食睡眠の必要な種族ですし、とりあえず寝たほうがいいんじゃないですか?」

「すいません。さっさと維持の指輪(リング・オブ・サステナンス)つけたら良かった」

「それでも、変な状態で維持の指輪(リング・オブ・サステナンス)使うよりは食事して睡眠をとってからの方がいいでしょう?」

 

 維持の指輪(リング・オブ・サステナンス)は、飲食睡眠が不要になるアイテムだ。登山など空腹感や睡眠感の消費が加速する環境下では飲食睡眠が必要な種族にとって必須のアイテムだ。だが、装備した時点での数値が維持されるため、装備前にそれらの数値を満タンにしておく必要がある。

 

「それじゃ、おやすみなさいモモンガさん。なんかあったら、起こしてくださいね」

 

 そういって、ヌコネコは適当に目についた部屋に入ると頭巾を外してベッドに潜り込む。フカフカとはいかないまでも、かなりいいベッドだ。

 潜り込んだ瞬間、どっと疲れが押し寄せ意識が深い闇へと沈んでいく。

 

 

 

 

 

 目を開けると、いつもの見慣れた部屋の天井ではなかった。軽く深呼吸をしてから、ゆっくりと体を起こす。

 

「くぁ・・・んんん~~~」

 

 上体を伸ばし、ベッドから降りようとするが、足の裏が地面につかない。かろうじてつま先が触れる程度だ。

 

「寝て起きたらリアルすぎる夢だったとかそういうオチはないか・・・」

 

 ヌコネコは、ベッドから降りると扉を開け、外にでる。部屋を出ると大きな広間のテーブルの前でモモンガが、片目を手で塞いで何かをしている。

 

「モモンガさん、おはよー」

「おはようございますヌコネコさん。よく眠れましたか?」

「夢すら見ないくらいぐっすりでしたね」

 

 ヌコネコがふと窓の外に目を向けるとかなり明るいのがわかる。

 

「俺、どれくらい寝てました?」

「そうですね・・・」

 

 モモンガが腕にはめた銀色のバンドに目を落とす。これは、ギルドメンバーで、人気声優だったぶくぶく茶釜が、メンバーに配った特別な腕時計で、彼女の声で時間を知らせてくれる。彼女の悪ノリでメンバーそれぞれに時間ごとに特殊な音声でアラームがなる仕様だ。彼女のファンなら垂涎のものだが、正直その特殊音声だけは知らない人の前で鳴ってほしくはない。

 

「大体、8時間くらいですかね?これを装備したときが午前4時半くらいでしたので」

「え?じゃぁ、もうお昼!?」

「この時計の時刻とこっちの世界の時間が同じだったらそうなりますね」

 

 いつもならどれだけ遅く寝ても7時には目が覚めるはずだ。想像以上に精神的に疲労していたということだろうか?

 インベントリから満腹おにぎりと無限の水差し、コップを取り出すとささっと遅い朝食を取り、維持の指輪を装備する。

 

「ところで、モモンガさん、片目塞いで何してるんですか?」

「あぁ、実は下位アンデット作成で作った骨のハゲワシ(ボーン・ヴァルチャー)不死の奴隷・視力(アンデススレイブ・サイト)を使って空からあたりを探ってるんですよ」

 

 モモンガが、自分が寝ている間も情報を集めてくれていたことに深く感謝すると共に少し申し訳ない気持ちになる。

 

「そういう探索は俺の仕事なのに、すいません」

「いえ、こんな状況ですしお互い最善をつくしましょう。あぁ、そうだ。この近くにいくつか村を見つけたんですよ」

「ゴブリンの言ってたやつですね」

 

 人のいる集落を複数見つけたというのは吉報だ。どれか1つで交渉などが失敗したとしても他の村で巻き返すことも可能だろう。

 

「村の場所も大体の位置もわかったことですし、準備を入念にしてから出発しましょう」

 

 二人は、森の隠れ小家(グリーン・シークレット・ハウス)から出て準備・・・お互いの能力の確認と検証を始める。

 

「じゃあ、お互いの能力の再確認と検証をしましょうか。ゴブリンたちのおかげでゲーム通り私達の能力が機能するっていうのはわかりましたけど」

「それ以外ってなると、あ、俺の装備とか、モモンガさんも使えるじゃね?」

 

 ヌコネコがインベントリから手裏剣を取り出しモモンガに手渡す。手裏剣は、忍者系統のクラスを収めていない限り扱うことができない。手裏剣には二種類あり、投擲のみに使う小型のものと大型の武器として装備するものがある。モモンガに手渡したものは、前者の投擲のみに使えるものだ。

 

「一番弱い手裏剣ですし、木に刺さる程度で済むと思いますよ」

「ふむ・・・よっ」

 

 近くの木に向かって投げようとした瞬間、モンガの手の中から抜け落ちたかのように手裏剣が地面に落ちる。

 

「これは・・・?」

 

 手が滑ったのかと思い、再度投擲を試みるが先ほどと同じ結果に終わる。

 

「投げられない?」

「そんなゲームみたいな」

「ヌコネコさん、ちょっとその忍者刀貸してもらえますか?」

 

 今度は、忍者刀を一振り借り受け、軽く振るうがやはり手裏剣と同じ結果に終わる。

 

「なんだこれは・・・ヌコネコさんも少し試してもらっていいですか?」

 

 モモンガは、インベントリから殴打用の杖を取り出しヌコネコに手渡す。ヌコネコがブンと振り回すと杖がポトリと落ちる。

 

「なにこれ?」

 

 二人は、この世界が現実だと理解はしつつあるが、この縛りのような現象がゲームのように思えて混乱してしまう。

 

上位道具創造(クリエイト・グレーター・アイテム)

 

モモンガが魔法を唱えると手には魔法で生み出した手裏剣が握られている。それを投げるとガッと壁に突き刺さる。

 

「魔法で作ったものは使えるか・・・ますますゲームそのものみたいですね」

「だったら完璧なる戦士(パーフェクト・ウォリアー)とか使えば、他の装備も使えるんじゃないっすか?」

 

 モモンガは、完璧なる戦士(パーフェクト・ウォリアー)を発動するとヌコネコが差し出した忍者刀を受け取る。シュッという風切り音と共に、武器は落ちることなく振り回すことが出来る。

 二人は頭を抱える。わけがわからない。これがこの世界特有の現象なのだろうか?この世界の人間もそうなのか? と考えれば考えるほど疑問しかでてこない。

 

「パスしましょう。多分、これは考えても分からない類ですよね・・・」

「賛成」

 

 その後、二人はお互いの能力の確認と検証を進めていく。その過程で無視できないものを発見する。それが、フレンドリィファイアの解禁である。ゲームではならば範囲魔法の射程内かどうかは気にせずに戦っていたが、今後は範囲を理解した上での立ち回りを求められることになる。

 二人は魔法や特殊技術(スキル)の範囲を確認し新たな立ち回りについて話し合う。

 数時間後、ようやくその作業が終わる。

 

「まぁ、これくらいですかね?」

 

 二人が細かな検証を終えた時、星が空に瞬き始めていた。

 

「存外に時間がかかるもんすねぇ」

「特殊技術の範囲や有効時間なんかを見る必要があったりしましたからね」

「遅くなったけど、村にいきますか?」

 

 モモンガが時間を確認すると午後8時前。元いた世界では、まだ人が出歩いている時間帯でもある。だが、モモンガが上空から確認した範囲では、中世ヨーロッパのような暮らしぶりであったように思う。人工の灯りの無い大昔の村や街では、日の出とともに起き、日が沈むと同時に寝るという生活様式だったとギルドメンバーの誰かが言っていた。ならば、この時間帯に訪問するのは非常識ということにならないだろうか?

 

 骨のハゲワシ(ボーン・ヴァルチャー)を飛ばし、確認をするが、明かりはなく人も出歩いている様子はない。

 

「村は、中世のような雰囲気でしたし、もしかしたら、日の出とともに起き、日が落ちると寝るみたいな生活だと思うんですよ。今日はもう諦めて、村に行くのは明日にしませんか?」

「了解です。俺もそれで良いと思います」

 

 明日の方針を決めると二人は、森の隠れ小家から椅子を2脚持ち出すと外でゆっくりと夜空を眺める。ただの夜空だが、何度見ても素晴らしい。

 

「あ、そうだ。モモンガさん。せっかくだし、キャンプファイヤーしません?」

「キャンプファイヤー・・・いいですね!やりましょう!」

 

 ブルー・プラネットが言っていた、ずっと昔、まだ自然が残っていた時代は、キャンプと言う屋外で寝起きするレジャーがあったらしい。それは、個人で、家族で、そして気の合う仲間や現地で出会った人々と楽しむもの。そして、焚き火を囲み人と人とが集って交流活動をするのがキャンプファイヤーというものの意義らしい。

 ヌコネコがあたりに生えている木を忍者刀で適当に切り倒し、小さくカットしていく。それをモモンガが一箇所に集め、積み上げる。

 

火矢(ファイア・アロー)

 

 モモンガが積み上げた木に向かって第1位階魔法・火矢(ファイア・アロー)を放つ。かなり手加減したつもりだが、木が少し吹き飛び、ゴオッと勢いよく燃えあがる。

 

「ちょっと火力強すぎましたかね?」

「いいじゃないですか。これから何回も出来るんですし、上達していきましょうよ!」

 

 二人は、キャンプファイヤーを楽しみながら明日から始まる本格的な冒険に心を躍らせるのであった。

 




ところで、オバマスの花嫁イビルアイとナーベラル可愛いの極みかよ・・・
ただ、いままでアタッカーだったナーベラルが突然のゴリゴリタンクになって困惑してる。
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