「
「そ・・・そんな・・・・・」
クラミーは動揺を隠せなかった。
それは表情を判りにくくしている衣装の上からでさえわかった。
「人間が・・・人間が魔法に勝てる筈がない!!」
「そう思うのは勝手、人それぞれだからね。ま、それが君の限界って事だ」
クラミーに反論のタイミングを与えずに言うと、シェイナは目の前まで距離を詰めて彼女の顔半分を覆っていたそれをゆっくりと取った。
「・・・君はこんなものをつけてちゃ駄目だよ」
ヒラヒラとそれが舞いながら床に落ちていく所をクラミーは横目で見ながら、シェイナに何をされるのかと少し怯えていた。
シェイナはクラミーの目の前にゆっくりと手を出した。
後ろにいるステフも不思議なことをしているシェイナの様子を見守る。
すると、見えるか見えないか位の薄い水色の魔方陣がシェイナの手の上に現れてゆっくりとその形を変えていく。
どうやらクラミーはシェイナの魔法に気づいていないようで、じっとシェイナの手を見ていた。
形を変えていく魔法陣が少しずつ花の形になっていく。
それを確認したシェイナはもう片方の手でそれを隠した。
クラミーは変わらず、息を殺しながら手を見ていた。
2、3秒の沈黙の後にゆっくりと手を離すと、手の上には小さなピンク色の花があった。
花びらが幾つも合わさっておりドーム上になっているそれをクラミーは、驚きの目で見つめる。
「これはここら辺では見ないんだけど、サクラっていう木の花なんだ・・・・っと」
シェイナの手が自分の頭の方に来て、クラミーはぎゅっと目を閉じた。
そしてシェイナの手の感触がなくなったのを確認するとゆっくりと目を開けて、シェイナを睨んだ。
「あ、貴方・・・一体何したのよ」
シェイナはさっき喋っていた時とは全く違う、穏やかな顔だった。
「そっちの方が似合ってるよ、明るい感じだし」
クラミーはゆっくりと自分の手でさっきシェイナが触っていた所を確認する。
すると、そこには先程のサクラの花の感触があった。
「・・・!」
「俺はあんまり詳しくないけど、サクラの花言葉は優れた美人、純潔っていう意味がある」
「・・・・・」
クラミーは顔を逸らして片手で壊れないようにそっとサクラの花を抑えていると、シェイナがクラミーの顎を軽くもって一気に距離を縮めた。
シェイナの整った顔が目の前まできて、クラミーは少しだけ頬を赤く染める。
クラミーの心臓の鼓動が大きくなっていく。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
クラミーは心音が聞こえていないか気にしながら目を逸らしていると、シェイナが口を開いた。
「人類ナメちゃ、駄目だよ?」
シェイナが子供のように口元を緩めて言った言葉が、クラミーには深く突き刺さった。