シェイナとクラミーが間近で目を合わせたまま、沈黙が続く。
その時、ぽろっとクラミーが呟いた。
「う・・・」
「・・・?」
シェイナが顔を少しだけしかめた瞬間、クラミーは突然床に膝を付くと滝のように泣き出した。
「うわあああああああああああああああああああん!!!!!!!!」
「え・・・!」
突然、しかもとてつもない量の涙を流しているクラミーを見てシェイナは驚いて数歩下がる。
シェイナは自分が彼女を泣かせるようなことをしたかと一瞬考えたが、自分は花飾りをつけただけで、何でクラミーが泣いているのか判らなかった。
「うわああああん、森精種の力取り付けてぇ、ほ、反故にするのにい、どんな・・・どんなめんどうな契約したとおおおお!!それに、それにぃ!ナメ・・・ナメてないもおおん!!本気でやっていたもおおおおん!!うわあああああん!!!!」
「・・・・・・」
シェイナは口を開けたまま、ぽかんと泣き続けているクラミーを見ていると後ろからステフに耳打ちされた。
「お兄様、女の子を泣かせるってのは・・・」
「え!?俺のせい!?」
「もしかして花飾りが嫌だったんじゃ・・・」
「いや、そんなはずは・・・・」
「ううっ、ひっぐ・・・認めないんだからぁ!うわああああん!!!」
「楽しそうだなぁ、シェイ君♪」
三人の会話(?)を建物の外から、テトは聞いていた。
またまた戴冠式の部屋。
「さてこの者、シェイナ・ドーラが選定の戦いを最後まで勝ち抜いたわけだが、挑む者はもうおらぬか?」
男は観衆に向かって大きな声で言うが、誰もそこで声を上げるの者はいない。
挑む者がいないと判断した男は小さく頷いて話を続けた。
「・・・では、前国王の遺言に従いシェイナ・ドーラをエルキア新国王として戴冠する!!」
同時にどっ、と歓声と拍手が沸きあがり、それを見ながらシェイナは軽く手を振る。
「おめでとうございます、お兄様」
「ありがとっ」
ステフの頭に手を置いて観衆の拍手を聞いていると、男がシェイナを呼んだ。
「王冠を、シェイナ様」
「ん、どうも」
男が高価な布の上に置いてある王冠をゆっくりとシェイナに差し出す。
シェイナは布からゆっくりと王冠を持ち上げると、それをそっと自分の頭に置いた。
さっきよりも大きな歓声が沸き起こり、シェイナは一瞬驚く。
優しい顔で拍手を送ってくれる男に軽く会釈をするとシェイナは王冠をステフの頭に置いた。
「俺は王冠とか似合わねえわ。お前が着けとけ、ステフ」
突然自分の頭に王冠が置かれたステフは王冠が落ちないよう手で押さえながらシェイナを見た。
「ですが・・・」
「五年分のお土産だと思ってさ、着けとけ」
「・・・!、はい!!」
ステフは笑顔を返すと王冠を落とさないようにしながらシェイナと同じように観衆に手を振った。