ノー『  』・ノーライフ   作:偽帝

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面倒なことは予めやっておくのだ

「それにしても皆拍手長すぎだわ~。鬱陶しくは無かったけど」

 

 

 

戴冠式を終えたシェイナはステフの部屋のソファによしかかってくつろいでいると、先程とは違う格好をしたステフがゆっくりと歩いてきた。

 

 

一瞬普通のメイド服かと見えるが、大胆にお腹を露出している。

 

 

ステフは頬を赤らめて下を向きながら、両手でスカートをぎゅっと掴んでいる。

 

 

「お兄様・・・何で下は履いちゃ駄目なんですの・・・?」

 

 

「え、なんとなく。決して俺は変態じゃないからね」

 

 

シェイナは特に感情込めずに言ったつもりだがステフはドキっとしたように顔を赤くした。

 

 

「どした、ステフ。露出狂に目覚めたか?」

 

 

「違いますわ!その・・・ムズムズするというか、何というか・・・・・」

 

 

ステフは前と後、両方からスカートを抑えながら足を擦るように動かしている。

 

 

(エロいな・・・)

 

 

シェイナは真面目なこと(?)を考えていたら、いつの間にか視線がスカートの方に行ってしまい慌ててステフの顔に視線を戻す。

 

 

(危ね・・・・・)

 

 

「それよりもお兄様、仕事して下さい!」

 

 

「仕事?・・・政治の事か?」

 

 

「はいっ」

 

 

ステフはスカートがめくれないようにしながら、床に置いていた5、6冊の本を持って、シェイナの近くのテーブルに置く。

 

 

「王がいなかった期間が長かったのでっ、エルキアは問題山積みですっ、お兄様!」

 

 

「そっかー・・・」

 

 

シェイナはステフが置いた本に触れずに立ち上がって、ドアの方へと歩く。

 

 

「何とか大臣みたいな人いるんでしょ?その人達集めといて。あ、ステフその格好のままな」

 

 

シェイナはそう言うと一人、別の部屋へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

「資料のグラフを見ていただけると判ると思いますが、わが国は深刻な食糧難です。このままだと十年以内にエルキア全国民をまかないきれず餓死させてしまう可能性が・・・」

 

 

一人の男が深刻な顔でテーブルに座っているシェイナに言った。

 

 

テーブルの隣にはステフがいて、そわそわしながらも男が持ってきた資料をくまなく見ている。

 

 

「そりゃ大変だ。えーと・・・・はいこれ」

 

 

シェイナは何枚も重ねておいてある紙から目印のついた紙を取り出して、男に渡す。

 

 

「これは・・・?」

 

 

「それは昔、『エルキアの食料はいつ無くなるのか?』ってふと思った時にまとめたやつ。今のところおおよその人口と食料が一致してるからそれの通りにすれば良いよ」

 

 

「はっ!ありがとうがざいます、早速取り掛かります!」

 

 

男の顔が瞬時に明るくなると、紙を持って部屋を飛び出して行った。

 

 

「がんば~」

 

 

「す、凄いですねお兄様」

 

 

隣にいたステフが口をぽかんと開けながらシェイナを見ていた。

 

 

「前に暇だったから色々まとめたんだよ、自由研究に役立ったし。まさか、こんな形で役に立つとは」

 

 

「流石ですね、お兄様・・・あ、次の方が来ましたよ」

 

 

大きな問題だったエルキアの運営が予想上に速やかに進んでいるので、ステフは両手を合わせてニコっとしている。機嫌が良いのだろう。

 

 

 

「え~とお金関係ね、ん~と、これ」

 

 

「こ、こんなにあるのですか?」

 

 

軽く30枚くらいある紙を見て、30代半ば位の男は少し顔が引きつっている。

 

 

「見た目枚数多いけどさ、それ説明が面倒なだけだから。大事な所はマーク付けてるからさそこをやればうまくいくよ」

 

 

「ぎょ、御意!」

 

 

「いやそんな硬い返事じゃなくて良いよ」

 

 

「は、はい!」

 

 

男は紙を大事そうに抱えて、出て行った。

 

 

「ふぁいとお~」

 

 

シェイナは男の姿が見えなくなるまで手を振ると次に入ってくるであろう人の担当している事業の紙を上に置いた。

 

 

「・・・ステフ?」

 

 

あまりにうまく進んでいるのでステフは一瞬夢なのかと錯覚していた。

 

 

「す、すいません!お兄様!!」

 

 

「眠いの?」

 

 

「いえ・・・まさかこんなにうまくいくとは思っていなかったので・・・」

 

 

「凄いだろ?」

 

 

シェイナはそう言うとステフの前に手を出した。

 

 

「・・・?」

 

 

ステフはシェイナが何を求めているか判らなかったが、とりあえず手を当てた。

 

 

すると軽くシェイナが手を組んで、握った。

 

 

「もう少しだ、頑張ろうぜ」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで合ってんの?」

 

 

内政の仕事を終えた二人は長い廊下をゆっくりと歩く。

 

 

この先にある場所でシェイナは国王宣言を行うことになっている。

 

 

(何言おうかな・・・特に無いんだけど・・・・・)

 

 

何か無いかと考えていると、ステフが王冠を手に持ちながら尋ねてきた。

 

 

「お兄様、いよいよですわね・・・」

 

 

「そだな・・・」

 

 

ステフの声が若干緊張していたので、軽く長そうにも流せなかったシェイナは重い声で返事をしてしまった。

 

 

(そういえばステフは表向き俺の后設定だったな・・・ほんと失言・・・・・)

 

 

少しずつ見えてくる光が近づくにつれてステフはシェイナの隣に近づき、片方の手でシェイナの手を握った。

 

 

「大丈夫だ俺も緊張してるから・・・」

 

 

「・・・」

 

 

目の前は眩しい光と国民の歓声しか聞こえない。

 

 

(ここから一歩進めば、俺は正式にエルキア国王として認知されるのか・・・)

 

 

 

シェイナは覚悟を決めると一瞬だけステフの頭を撫でて、一緒に光の外へと歩き出した。

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