ノー『  』・ノーライフ   作:偽帝

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ストーリー
ステフは五年ぶりに兄に会いました。


エルキア王国内、とある道。

 

 

「・・・ううう、あんな完璧に負けてしまうなんて・・・」

 

 

赤い髪と青い眼、外見は可愛いく品があるがそれとは反対でボロボロの服を着ている女の子ーーーー、ステファニー・ドーラ(以下ステフ)は途方に暮れて歩いていた。

 

 

祖父(おじ)である先王・・・前エルキア国王が亡くなり、何の問題も無く孫娘である自分が次期国王になるかと思いきや、「次の国王はギャンブル、ゲームに強い人」との遺言により、国王になるためには国王選定戦を勝ち抜かなければならなかった。

 

 

しかしーーー。

 

 

負けてしまった。

 

 

相手は自分と同じくらい年齢のクラミー・ツェルという子だった。

 

 

彼女が今まで負けがないという噂を聞いても、負けじと必死に戦ったが・・・。

 

 

「はあ・・・」

 

 

さっきからため息しか出てこない自分にまたため息が出てしまう。

 

 

この負の言葉の悪循環から抜け出すため、ステフはぽつりと呟いた。

 

 

「お兄様・・・」

 

 

ステフが祖父と同等に愛し、尊敬している兄、シェイナ・ドーラ。

 

 

だが彼は五年前から行方不明で、祖父(おじ)が亡くなったステフは今一人ぼっちだ。

 

 

胸の辺りを両手でぎゅっと握り締めながら、ステフは俯いた。

 

 

また、チャンスを逃してしまった・・・。

 

 

次期国王選出戦でも負けるし、負けたせいで身包みはがされるし、おまけに王族にも関わらずまともに生活するのも危なくなる始末ーーーー。

 

 

「うっ・・・」

 

 

ステフはいつの間にか涙を流していた。

 

 

自分のやる事が全部違う方向に行って、悔しくて悔しくてたまらないと思うとまた涙が流れてくる。

 

 

「やっぱり私は、駄目・・・ですわ・・・」

 

 

溢れ出る涙を手で押さえながらよろよろと道を歩く。

 

 

なるべくはしたないところを見られないように顔を下げながら。 

 

 

(こんな時に、お兄様が帰ってきてくれれば・・・)

 

 

クラミーに負けた昨日の夜、窓から見えた流れ星に『兄が帰ってきますように』とお願いしたことを思い出す。

 

 

だが、それも叶わぬと思いまた顔を下げながらゆっくり歩いていると、人にぶつかってしまった。

 

 

「あ・・・、すいません」

 

 

ステフは慌てて謝りながら、相手の顔を見た。

 

 

ゆっくりと見上げた先には、ステフの顔に見覚えがあるのか、少し驚いた表情をした青年の顔があった。

 

 

「ステフ・・・?」

 

 

顔立ちが少し大人っぽくなっているが、声と雰囲気でステフは瞬時に兄だと感じた。

 

 

「お兄・・・様?」

 

 

「やっぱりステフか!久しぶりだなあ!!」

 

 

笑顔で両手を広げたシェイナにステフは抱きついた。

 

 

シェイナは自分の胸で少し小さくなっているステフをぎゅっと抱きしめる。

 

 

「お兄様っ、お兄様っ!!」

 

 

ステフはシェイナか離れないように抱きしめる自分の腕に少し力を込めた。

 

 

するとシェイナは抱きしめていた片腕を解いて、ステファニーの頭をゆっくりと撫でる。

 

 

(この撫で方・・・、やっぱりお兄様ですわ!)

 

 

自分の赤毛をじっくりと愛撫してくれる兄を抱きしめながらシェイナの胸板に頬擦りしていると、ステフはまた涙を零した。

 

 

「ステフ、何で泣いてんだ?」

 

 

「うう、だってえ。御爺様が亡くなって、お兄様もいなくて・・・私ずっと寂しかったんですわよ!」

 

 

五年ぶりに兄と会えたことに対しての嬉しさでステファニーはそれ以上は言葉にできなかった。

 

 

だがそれとは反対でシェイナはステフを抱きしめていた腕を放し、放心したように立ち尽くしていた。

 

 

「お兄様・・・?」

 

 

「・・・・・爺さん、亡くなったのか・・・」

 

 

シェイナの力の無い言葉を聞いてステフも抱きしめていた腕を放す。

 

 

お互いに向かい合う状態になる。

 

 

ステフはあまりにがっかりしている兄を見て必死に慰める。

 

 

「き、きっと・・・御爺様もお兄様が帰ってきたことに喜んでいますよ!」

 

 

「・・・・・。あとで帰ってきたこと報告しなくちゃな」

 

 

「私も付き合いますので・・・」

 

 

「ありがとな・・・。どっか端っこで話すか、ここは人に迷惑だ」

 

 

兄への慰めの気持ちでステフはそっけなく手を伸ばした。

 

 

それに気づいたシェイナは無言でこくん、と頷きステフの手を軽く握ってゆっくりと歩き出した。

 

 

 

「五年ぶり、だよな?ってことは・・・」

 

 

「十八歳になりました。お兄様は二十歳ですよね?」

 

 

店と店の間の人気のない道でステフとシェイナ、二人の兄妹は向かい合って話をしている。

 

 

人二人が横になってギリギリ歩けるくらいの道。

 

 

この通路だけは隣の店の店主が綺麗好きな為、他の通路よりも少し綺麗だ。

 

 

歩いている時に五年前と店主が変わってないことに気づいたシェイナは迷いなくこの通路を選んだのだ。

 

 

「ああ。ごめんな、五年間も一人にさせて・・・」

 

 

「あの・・・なんでお兄様は五年も行方を眩ませていたのですか?」

 

 

「言ってなかったな・・・。昔俺に差出人不明の手紙が着たの覚えてるか?」

 

 

兄からの問いにステファニーは目を開いて興味津々にシェイナを見つめて言った。

 

 

シェイナが言っている手紙、というのは五年前のとある日に届いた白い手紙のことである。

 

 

「はい、覚えてますわ。ですがあの手紙にどういう関係があるのですか?」

 

 

シェイナはいつの間にか自分の目の前まで接近していたステファニーの頭を撫でて距離をとろうとしたが、もっと近づいても良いと判断したステファニーはそのまま座っている兄の体にまたがって座った。

 

 

(完全にこれ十八禁(だきじぞう)じゃん!・・・おっといけない俺たちは血の繋がっている兄妹だ!十八禁(きんしんそうかん)展開は絶対に駄目!!)

 

 

「お兄様っ!」

 

 

間近で見ているだけじゃ耐えられなくなったステフはさっきと同じようにシェイナを抱きしめる。

 

 

ステフの大きな胸が顔にモロに当たってシェイナは少し息苦しくなる。

 

 

「あれれ、ステフさん手紙の内容を聞きたいんじゃ・・・」

 

 

(ステフ、胸大っきくなったなあ・・・)

 

 

自制しようとしている自分ともっとステフの胸に挟まれていたいと思う自分がいてシェイナは少し罪悪感を持った。

 

 

ステフは抱きしめたシェイナの頭をすりすりと頬擦りしている。

 

 

「じゃあこのまま話して下さい!私はもっとお兄様の温もりを感じたていたいのですわ!」

 

 

(卑猥な発言だなあ、微塵も思っていないんだろうけど)

 

 

顔で胸の感触を楽しみながら、シェイナは話し始めた。

 

 

 

「実はさあ、あの手紙差出人書いてあったのよ」

 

 

「本当ですか!?それで、誰ですの?」

 

 

重大な発言であろうことをさらっと言うシェイナに突っ込みを入れようとステフは思ったが、それよりも言葉の先が気になったので口には出さなかった。

 

 

 

 

 

「・・・テト」

 

 

「え?」

 

 

シェイナの答えにステフは一瞬きょとんとした。

 

 

ステフには信じられなかったのだ。

 

 

五年前に兄を呼び出した人物がこの「世界」の神、唯一神・テトだったなんて。

 

 

「テトって、唯一神のテトですの?」

 

 

「おお、他に誰がいるの?」

 

 

「ええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

 

ステフは今までに聞いたことのないくらい大きな声で叫んだ。

 

 

驚きのあまり、顔を上に向けながら指を変に動かしている。

 

 

これがエルキアの愚王の孫娘と言われたら確実に信頼を失うだろう。

 

 

 

「ってことは、お兄様は唯一神様によって神様になったんですの!?」

 

 

ステフは突然顔を元に戻して、期待(?)の笑顔を作ってシェイナに言い寄る。

 

 

 

「何でそうなるんだあ~」

 

 

シェイナはわざとのんびりとした返事をしてステフの胸の感触を楽しむ。

 

 

(ホントやわらけえな、マシュマロみたいとはこの事か)

 

 

また自制が効かなくなりそうになって押し倒しそうという気持ちがシェイナに芽生えたが何とかこらえるために軽く頭を振る。

 

 

「なんか十の盟約を破ってゲームをしている奴等がいるからさ、それを取り締まる?的なことをやれって。俺を含め計十六人」

 

 

「十六人ってことは全種族一人ずつですの?」

 

 

「そ。っていっても俺らはフードを被ってたから誰がどの種族なのかはわからない。テトが言ってたんだよ「十六種族から一人ずつ選抜した」って」

 

 

「そんなのに呼ばれるなんて・・・。す、凄いですわ、お兄様‼︎」

 

 

同時にステフはシェイナを抱きしめる腕を強める。

 

 

「・・・‼︎」

 

 

ステフがさっきよりも強く抱きしめたせいで完全に顔が胸で埋もれ、会話する方法が無くなったシェイナはこの状況を打開するため、空いている両手でステフをよけようと動かすが、胸を揉んでしまう。

 

 

「んっ、お兄様ぁっ!」

 

 

唐突にシェイナに胸を揉まれたステフは急に色っぽい声を上げた。

 

 

その声を聞いた時点でもう話すことがどうでもよくなったシェイナはひたすらステフの胸を揉み続けた。

 

 

(触ると止まらないな。ステフ、ナイスおっぱい!)

 

 

「お兄様っ、そこはぁっ!」

 

 

シェイナは色っぽいステフの声を聞きながら胸を揉んでいると、手が突起に当たったことに気づく。

 

 

念のための確認でシェイナは一度胸から手を離して、突起らしき部分だけをいじり続ける。

 

 

(これは・・・やっぱりステフのちくb・・・)

 

 

「ダメっ、お兄様ぁっ!」

 

 

「あっ!ごっごめんステフ!」

 

 

完全にアウトなステフの声を聞いて、我を取り戻したシェイナは慌ててステフの胸の突起部分から手を離そうとする。

 

 

だがその時ステフの着ている服の繊維のせいで手が再び突起の上を滑っていったーーー。

 

 

「んああっ‼︎」

 

 

瞬間ステフの体が仰け反り、二、三回体を震わせる。

 

 

その目には少し涙を浮かべているようにシェイナからは見えた。

 

 

ステフは涙ぐんだ目をゆっくりと閉じると、ドサッとシェイナに寄り掛かる。

 

 

(五年ぶりにあった妹を俺は、イカ・・・せた?)

 

 

今シェイナには相当なやっちまった感が漂っていた。

 

 

調子に乗りすぎたと思い、意気消沈しているとイッた(?)ステフがゆっくりと起き上がった。

 

 

「お兄様のバカぁ・・・でも・・・・・」

 

 

涙目のステフは起き上がるともう一度シェイナの首に腕を回して抱きしめた。

 

 

「大好きですよ、お兄様」

 

 

その笑顔はシェイナが今まで見た中で一番可愛いステフの笑顔だった。

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