「冒険・・・?」
「そう・・・き、のう、
(何でそれを知ってるんだ・・・)
まさか昨日の独り言がこの娘に聞こえていたなんて・・・。
シェイナは何か不味い事を言っていなかったか思い出した後、今にも最初の一手を打ちたそうに手を動かしている白を見た。
「昨日からここにいたの・・・?」
「ひみ、つ・・・」
「そっか・・・」
シェイナはこれ以上質問しないで、早く勝負を終わらせようと思い片手を上げた。
「約束はさっきのとおりでオッケーな?」
「う・・・ん。じゃあ・・・」
白もゆっくりと手を上げてお互いに視線を合わせる。
「「
ステフ「ゲームは省略しますわ!」
「・・・・・・」
「ぶ、い・・・」
完全にフリーズしているシェイナに白はVサインをすると、椅子から降りてシェイナの方に向かった。
(一回勝ったからって調子乗ってチェスやったのが失敗だった・・・)
シェイナはひたすら一点を見つめながら、自分の様子を伺っているステフと白を完全にスルーして心の中で語り始めた。
(正直、ここに入ってくるから普通の娘じゃないとは思っていたけれども!!!ドンだけ強いのよ!!勝てねえじゃん、絶対勝てねえじゃん!!だって俺ほぼ初心者だぜ!?この娘手加減無いし、まともに駒を動かせないまま負けちゃったよ!!あ~どうしようもう全部この娘に任せば
シェイナは、半分くらいが絶望に支配されたくらいで白に突っつかれて我に返る。
「シェイ・・・だい、じょうぶ?」
いつの間にか名前で呼ばれていることにはつっこまず、シェイナはステフの作ったクッキーを食べた。
「お兄様・・・」
心配そうに見つめてくるステフに大丈夫、と合図するとシェイナは白をゆっくりと抱きかかえると自分の膝の上に座らせた。
白はジッ、と数秒間シェイナと目を合わせるとゆっくりと胸によしかかった。
「シェイ・・・頭、撫で・・・て?」
「ん・・・、ああ」
シェイナが真っ白な髪をやさしく撫でると白はくすぐったいのか身をよじろがせながらも離れないようにギュっと服を掴んでいた。
「お、お兄様!!」
唐突にステフがシェイナに言い寄る。
「どした?」
「その・・・私、も撫でてくれませんか・・・?」
シェイナの撫でる手が止まってムスッとした表情になった白は、顔を上げてステフの顔を見た。
「ステフ・・・後。いま、は・・・白がさ、き・・・」
「なぁーんで呼び捨てなんですのぉっ!!」
「うる・・・さい、ステフ。そこで立って、て・・・」
「こうなったら、勝負ですわっ!!」
ステフは白を指差した。
完全に脇役の立場にいるシェイナは、小さく口を開けながらくだらなそうに現状を見ていた。
(何でそうなるんだよ・・・)
「うけて・・・た、つ」
白はシェイナの膝から降りると、先程座っていた椅子に戻った。
避けた方がいいのかなと判断したシェイナはゆっくりと椅子から立ち上がると2、3枚のクッキーを取って端に行った。
ステフは直ぐにシェイナの座っていた椅子に座り、白を睨みつける。
「私が勝ったら、白には私の言うこと全部聞いてもらいますわ!」
「ん・・・。白が勝った、ら・・・白の言うことステフが全部聞く・・・」
「どんとこいですわ!降参するなら今のうちですのよ?」
自身げに言ったステフに間髪いれずシェイナが付け出す。
「やめとけ。絶対下僕になるぞ」
「大丈夫ですわ、お兄様!私、こう見えてもチェスは得意ですのよ!」
(絶対嘘だろ・・・)
シェイナはこれ以上ムキになったステフに何を言っても意味はないと思って、クッキーを食べることに専念した。
「降参なん、て・・・、しな、い・・・。ステフ・・・多分、ぜったい・・負け、る」
「ありえませんわね!では、始めましょう!!」
「白、負け・・・ない・・・!」
二人の間にはバチバチと火花が散っていた。
「「
(本当に火花って散るんだな・・・。怖っ)
「ステフ、お手・・・」
「わんっ!・・・ってしませんわっ!!」
ゲームに負けて、耳と尻尾の生えたステフは完全に白のペット的存在になった。
「負けるって言ったのに・・・。ステフ、お座り」
「わんわんッ!・・・しませんッ!!」
一瞬床に座って尻尾をふりふり振っていたステフだが直ぐに立って、ペットにならないよう踏ん張る。
「もう・・・最悪ですわっ!!」