「お、覚えてろぉっ!!い、いつか必ず見返してやるからなあぁ!!」
太った男が丸裸で片手で股間を押さえながら部屋を出て行く。
男が出て行き扉が開いたままの部屋のテーブルには、白を上に乗せたシェイナとステフが座っていた。
「ばいば~い」
シェイナが軽く手を振ると、白もそれを真似して小さく手を振る。
ステフは二人を見ながら、ため息交じりの小さな声で言った。
「お兄様、あんな言い方しなくても・・・・」
「言葉に騙される方が悪いのさ」
軽く答えたシェイナは両手を白の頭に置いて、話を続ける。
「お前がやってた時は反論する連中なんか出なかっただろうに・・・なんかごめんな、俺のせいで」
残念そうな口調でシェイナが言うと、それを必死にカバーするようにステフが言った。
「私もお兄様がいない間、出来るだけ静かに収めてきましたのよ?・・・・でも、お兄様なら良いですわ」
そう言うとステフは振り返って下を見下ろせる手摺に掴まった。
「お前、水面下で色々頑張っていたんだな・・・」
「はい!結構大変でしてよ?」
「いや、俺はあまりやる気無い・・・・・」
この会話の間、白は一言も喋らずただ二人の話を聞いていた。
しかし突然、白の目がキラン!と輝きだす。
「どした・・・?」
それに気づいたシェイナは視線を白に向ける。
「そういえ、ば・・・、まださっきのゲームの約束やって、ない・・・・」
「あー、そうだな・・・」
シェイナと白は同時にステフを見る。
視線に気づいたステフとバッチリ目が合って、ステフは直ぐに何のことか思い出して顔が引きつる。
「ふふふ・・・」
白の悪戯な小さな声が、シェイナにはハッキリと聞こえた。
「ひ、人多い、よぉ・・・」
今にも泣き出しそうな白はぎゅっと強くシェイナの服を掴みながら、エルキアの町をちょびちょび進む。
「これで駄目って、相当やばいぞ?」
シェイナが言うと白は小さく「うぅ」と呟いて完全にシェイナの後ろに隠れた。
そして掴んだ服を離さないようにしながらゆっくりと後ろへバックする。
ニ、三歩後ろにバックしたところで白の頭に大きな胸が当たる。
その反動で胸がたゆん、と大きく揺れた。
大きな胸の主・・・ステフは完全にビビリ状態の白を見て、少し呆れた表情をした。
「もう・・・頑張って下さい、白!こんなんじゃお兄様の行きたいところに付く頃には日が暮れてしまいますわ!」
すると白は突然、元に戻り片手に持っている紐をクン!と引っ張った。
今度は堂々としていたステフがオロオロしだして、ステフの体が白に近くなる。
「し、視線が気になりますわっ・・・!」
ステフの言葉の通り、町を歩いている人々はこの三人を怪しい目で見ている。
「仕方ないだろ、お前が望んだことなんだから」
シェイナはステフの近くに行って頭に生えている犬の耳をわしゃわしゃ撫でる。
「~~ッ!」
ステフは目を瞑りながら必死に嬉しいのを堪えているが、尻尾はぶんぶん動いていた。
「ステフ・・・お手」
そう言って白が片手を出すとステフは「あんっ!」と犬のような声を出して、素直に手を置く。
しかし直ぐに気づき手を戻そうとするが、なかなか動かすことが出来ない。
「逆らえないなんてっ・・・悔しいですわっ!」
(意外と犬ステフも悪くないかもな・・・・・)
少し痛いものを見る周りの視線の中で、シェイナはステフの耳をひたすらいじっていた。