ノー『  』・ノーライフ   作:偽帝

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兄はひたすらステフを撫でました。

エルキア王国、首都エルキア西部区画三番地ステファニー・ドーラ邸ーーーー

 

 

「・・・つまりお前は次期国王選出大会で負けたんだ?」

 

 

「・・・はい」

 

 

ステフ邸のとある一室で二人は向かい合って座っている。

 

 

(これは、お兄様に怒られる・・・ッ!)

 

 

シェイナの声のトーンからステフは俯いて目を瞑り兄から叱られる体制を取っていた。

 

 

小さい頃からシェイナはあまりステフを怒ることはなかったが声のトーンでシェイナがどういう気持ちなのかというのはなんとなくわかった。

 

 

 

「・・・・お前らしいな」

 

 

「・・・へ?」

 

 

予想外のシェイナの答えにステフは拍子抜けしてしまう。

 

 

「お前、小さい時からゲーム駄目だもんな」

 

 

 

シェイナは聞こえないようにクスクスと笑った。

 

 

それを表情でなんとなく察知したステフは怒らないようにシェイナに言い寄った。

 

 

「それは、そうですけど・・・。悔しいんですわ!!御爺様から貰った大切なドレスを取られてしまって!」

 

 

「そのクラミー、って奴にか?」

 

 

「はい・・・」

 

 

「その様子だと完敗か?」

 

 

「・・・はい」

 

 

「やっぱりな」

 

 

シェイナの言葉でクラミーに負けた時のことを思い出してしまい、ステフはしゅん、と俯く。

 

 

それを見たシェイナはとりあえず掛ける言葉がみつからなかったのでステフの頭を軽く撫でた。

 

 

「ん・・・お兄様、もっと・・・」

 

 

(お兄様のなでなで・・・ふふっ)

 

 

小さい頃からよく撫でてもらっていたステフはこの感覚をずっと味わいたいと思い、つい催促してしまう。

 

 

「よしよし」

 

 

シェイナはステフを犬のように頭を撫で続ける。

 

 

煌びやかなステフの髪が撫でるたびに光に反射してきれいな紅色を出す。

 

 

それにシェイナはずっと見とれていた。

 

 

 

(・・・昔から変わってないなあ。やっぱり心理系は弱いんだな)

 

 

よほど気持ち良いのかステフは目を閉じてその感触に浸りながら、シェイナに頬擦りをしていた。

 

 

 

「それでさ、ステフ。そのクラミーって娘はどんな感じ?」

 

 

シェイナは撫でる手を止めてステフに聞いた。

 

 

撫でる手を止められたことにステフは「もっと撫でて?」と上目遣いをするが、軽くでこピンを返され仕方なくあきらめた。

 

 

「えーと・・・ポーカーフェイスというか無表情というか・・・とにかく感情を表情に出さない娘でしたわ」

 

 

(ポーカーフェイスを出来ないのにそれ言っちゃうか・・・)

 

 

小さい時にババ抜きをして、ジョーカーとそれ以外のカードで大げさといっていいほど表情を変えていたステフを思い出しながら、シェイナは過去の余韻に浸る。

 

 

「あの・・・お兄様?」

 

 

「ああ、悪い。表情に出さないんだっけ、クラミーちゃんは」

 

 

「はい・・・」

 

 

また暇ができたらババ抜きをやろうと決意したシェイナは、テーブルに置いてあるオレンジ色のジュースを飲み干すと空のグラスをステフに向けた。

 

 

 

「ステフ、多分バトルしたときにイカサマされたんだよ。クラミーちゃんに」

 

 

 

「へ??」

 

 

ステフは一瞬頭が真っ白になったが、持ち前の頭脳で直ぐに問いかける。

 

 

「お兄様、何でそんなことわかるのですか?」

 

 

隣のソファに座っているシェイナに対してステフは顔を近づけた。

 

 

「外見でわかっちゃうんだよ、こんな感じで」

 

 

シェイナは持っていたグラスを置いて、人差し指をステフの目の前に持っていきぐるぐる回す。

 

 

「お兄様、目が回・・・る」

 

 

ステフはシェイナの指を何の疑問も持たずに目で追いかける。

 

 

やがて体全体が催眠に掛かったのか、ステフはふらふらし始めた。

 

 

(ほんとに純粋だな、普通騙されないだろ。ま、ステフはそこが可愛いんだけどね)

 

 

「あうっ」

 

 

ぺちっ、と額に軽くデコピンをしてふらふらのステフを正気に戻すと、シェイナは立ち上がった。

 

 

「クラミーちゃんには判ったんだよ。ステフが単純だってね。今のだって普通目回さないよ」

 

 

シェイナが言うとステフは頬を少し赤らめながら、ゆっくりと立っているシェイナに視線を合わせてた。

 

 

 

「うう・・・、私は小さいころからお兄様を信じぬくと心に決めたので・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

(嬉しいこと言うね、ステフちゃん~)

 

 

ステフの純情すぎる発言にシェイナは完全に虜になっていた。

 

 

これは何か利用できるなと思ったが、大事な妹を他の男に渡すわけにはいかないと気づいたシェイナは黒い考えを直ぐに捨てた。

 

 

「ありがと、ステフ」

 

 

シェイナはこのまま押し倒したら行けんじゃね?とか思いながらも必死に抑えてステフの頭を撫でるだけで我慢する。

 

 

「お兄様〜♪」

 

 

撫でられるのが嬉しいステフはシェイナにぴとっとくっつく。

 

 

するとシェイナはステフの頬に両手を当てて顔を近づけてきた。

 

 

「えっ?」

 

 

(まさか、お兄様とキス・・・!)

 

 

ステフは淡い期待を抱いた。もしかしたら、愛しの兄とイチャイチャ出来るかもしれないーーーあわよくば結婚も・・・!

 

 

「なんか勘違いしてません?ステフさん」

 

 

シェイナに一瞬で心を読まれたステフはがくり、と肩を落とす。

 

 

でも顔の熱はなかなか冷めず、視線を向ける先が無い。

 

 

 

「うう〜」

 

 

「ずっと撫でてあげるから、許してちょ」

 

 

シェイナのその発言で目に光が戻ったステフは笑顔で言った。

 

 

「はい、お兄様!ずっと撫でて下さいですわ!」

 

 

「おう・・・」

 

 

 

 

※二時間続きました。

 

 

 

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