ジブリールは玉に手を当てる。
「ルーオオシ蛾」
同時に玉から手のひらサイズの蝶がヒラヒラと周りを舞う。
サファイア色の鱗粉が光の反射でなんともいえない美しさを見せるが、シェイナにはそんなことなどどうでもよかった。
(ルーオオシ蛾!?は!?てっきり歴史人物書に載ってるルー大○かと思ったわ!!)
シェイナは目を見開いて、何か言うように口をパクパクしている。
しかしジブリールは何も言い返すことなく静かに待っている。
(・・・言い間違いじゃないのか。くっそ~、何か言って欲しかったなぁ)
シェイナは小さくため息を吐くと、何事も無かったような表情に戻った。
ジブリールは一瞬「?」を浮かべたが、気にせず次の言葉を待った。
「お腹減ったからな~。じゃ、『学食』で」
丸い玉から現れた、いわゆる学食は、兄妹に見覚えのある物だった。
「お、これアカデミーの学食だな!懐かしい!!あ、また休憩させて?20秒ちょいじゃ流石に食べれないからさ」
「わかりました。ごゆっくり召し上がりください♪」
ジブリールから了承を得たシェイナは直ぐに学食を口に運ぶ。
見た目は所謂富裕層が食べそうな上品さがある上、味はしっかり保障されていてアカデミーにいる人しか食べることが出来ない。
「うまっ!!」
夢中でシェイナが食べていると後ろからステフが耳打ちする。
「今はそのメニューないんですよ」
それを聴いた瞬間シェイナはものすごい勢いで首を後ろに向ける。
「まじ!?」
「はい。何でも食材が足りなくなったとかで・・・」
「そっか・・・」
シェイナは食べる手を止めて数秒俯く。
すると手に持っているプレートからとある「モノ」だけがヒュンヒュンと風音と共に段々無くなっていく。
「!」
「・・・・・!」
異変に気付いたシェイナとひたすら一つのものを食べていた白と目が合い、互いに硬直する。
「「・・・・・」」
白はわざと目を潤ませて一個残った虹色ジェリービーンズを掴み口に入れようとする。
「あうっ!」
シェイナは白の額を軽く突付いた。
白が一瞬怯んで手の力が緩んだのを見逃さなかったシェイナは直ぐにジェリービーンズを取り、口に入れる。
「・・・ケ、チ」
「良いだろ。もう5、6年食べてないからさ」
「そんな、に・・・。なら、いい・・・」
「ありがとな」
意外と素直に譲ってくれた白の頭をシェイナは撫でる。
「ふふ・・・」
白は目を瞑って気持ちよさそうに口元を緩めている。
「あ、次良いよ」
じっと見つめるようにこちらを見ていたジブリールにシェイナは言った。
「ん~と・・・『空腹』で」
ジブリールが言ってから2、3秒してシェイナは突然お腹を押さえ始めた。
「今食べたばっかりなのにっ・・・!腹減ったっ!!」
今までに味わったことの無いレベルの空腹にシェイナは手を当てて必死に耐える。
『空腹』を言った本人のジブリールは悪意のある笑顔を作っていた。
「すいません、さっきまで目の前で貴方が食べていたのを思い出したので♪」
(コイツ・・・腹黒いな・・・・・!!)
しりとりはまだまだ終わりそうに無い。