「・・・・・・・・・・」
ステフがいなくなって、それからずっと沈黙したままの三人。
シェイナは取り合えず、という感じに山盛りのドーナツに手を伸ばすと一口、口に入れた。
久しぶりの甘い味に、思わず口が緩む。
「・・・アイツはホント、料理上手だな」
商品のようにしっかりと整った形をしているドーナツを見ながら、シェイナは呟いた。
食べた跡が付いたドーナツに視線を移したシェイナに、白が歩み寄る。
「う、ん・・・。おい、しい・・・!」
手に持っていたドーナツを小さな口でパクっと食べると、白はにっと笑った。
ステフの作る料理は魔法がかかっているようだった。
どんな気持ちのときでも、一口食べれば笑顔になれるから。
エルキアで採れるあらゆる物を調べつくして、料理に独自のアレンジを加える。
それが昔っからのステフのやり方だ。
『不味い』と言った人を見たことが無い。
「・・・・・!」
白に視線を送られてシェイナは小さく「はぁ」と息を吐いた。
それを合図にジブリールはシェイナの隣に来て跪く。
「・・・・・」
シェイナの靴の音を聞いたジブリールはゆっくりと立ち上がり、白と共に歩いていくシェイナに続いた。
王の部屋、所謂お
灯りも付けずにステフは奥にあるベッドに仰向けになる。
目から零れる涙を手で拭くことも無く、ゆっくりと髪に付けている髪飾りを取る。
表から見れば綺麗な花の髪飾りだ。
ステフはそれを両手で裏返す。
すると花の部分の真ん中に光るものが入っている。
「・・・・・」
ステフは両手でそこからゆっくりと中の物を出す。
それは、金色の鍵だった。
「おじいさまぁ、これ何の鍵ですのぉ?」
夕日を眺めている先王に小さい頃のステフは問い詰めた。
「ん?これはのぉ、祖父ちゃんのとっても大事な物が入っている部屋の鍵じゃ」
するとステフはもっと目を輝かせて先王に言った。
「わたし!それ知ってますわ!!エルキアの殿方は'人に見せられない'本を集めてるって!!」
純粋に言ったステフに、軽く突っ込むようなテンションで先王が訂正する。
「い、いやいやいや、違うぞステフ、それはこの鍵ではなく他の・・・・・じゃなくて」
鍵を吊るす様に持つと、ステフは食いつくようにそれを見つめた。
「この鍵はな・・・・'希望'の鍵じゃ」
「きぼう・・・?の、かぎ・・・・・?」
ステフにはまだ「希望」の意味がわからないのか首を傾げている。
「そうじゃ。この、'希望'の鍵をステファニーにあげよう」
するとステフは顔を上げてにっこりと笑顔を作った。
「!!!、ほんとうですの!!」
「ああ。いつか、ステファニーが心からエルキアを、全
先王が亡くなる時、その胸の上で泣いていたステフには他の重鎮たちには聞こえなかった続きが聞き取れた。
「お前の兄、シェイナに・・・・・」