ノー『  』・ノーライフ   作:偽帝

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ステフはまったく解りません。

「お兄様の言うとおり私はイカサマされてましたのね・・・、しかも森精種の力を使われて・・・」

 

 

陽が当たって丁度良い感じに温められたベンチに二人で座っていると、ステフはしゅんと俯いていた

 

 

「間違いない。あの娘とエルフの娘からは同じものを感じたから」

 

 

さっきよりも元気がないステフの手をシェイナはぎゅっと握る。

 

 

するとステフはゆっくりと顔を上げてシェイナを見つめた。

 

 

「感じたってことは・・・もしかしてお兄様は魔法が使えるのですか?」

 

 

ステフのその眼差は嬉しい様な取り残されるような寂しい様な複雑な心境を表していた。

 

 

「さあ・・・」

 

 

シェイナのあいまいな返事を聞いたステフはシェイナの手を握り返して、気持ちを抑える様に笑顔を作った。

 

 

「・・・やっぱりお兄様は凄いです。私みたいな出来損ないと違って・・・」

 

 

ステフはそう言うと、再び俯いて口元だけを緩ませながら顔を俯かせた。

 

 

シェイナにはステフがバレないように泣いて見えた。

 

 

 

「・・・お前は出来損ないじゃいぜ。」

 

 

シェイナは今にも零れそうな涙を浮かべたステフの顔を両手で上げて、頬にしっかりと手を当てて彼女と視線を合わせる。

 

 

久しぶりにまじまじと見たステフの青水晶の様な瞳と目を合わせていると、シェイナは思わず見とれてしまった。

  

 

 

「俺の妹だからな」

 

 

シェイナのその言葉を聞いた瞬間、ステフの両目から涙が零れ落ちた。

 

 

ポツっ、と小さな音を立てて涙がベンチに落ちる。

 

 

「お兄、様・・・」

 

 

溢れ出る涙を両手で押さえながら、ステフはゆっくりとシェイナに寄り掛かった。

 

 

 

 

 

「そうだ、ひとつ質問」

 

 

すっかり涙も止まったステフにシェイナが言った。

 

 

「もしこのままクラミーちゃんが王になったらエルキアは将来どうなると思う?」

 

 

「そ、それは・・・」

 

 

ステフは首をかしげて考えるが、なかなか思い浮かばない。

 

 

「ブー!時間切れー」

 

 

「うう・・・」

 

 

兄の期待に答えられなかったと、再び意気消沈しているステフは甘えるように小さくシェイナに頬擦りをした。

 

 

「もしクラミーちゃんが王になったら同時に、エルキアは森精種の傀儡国家か領土の一部になる。だから他種族はこう考えるかもしれない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「奴等も他種族の力を使ってるに違いないわ。でもこれくらい想定の範囲内よ」

 

 

王宮近くのとある場所。

 

 

岩壁の近くでクラミーと森精種のフィール・ニルヴァレンはエルキアの町並みを何気なく見ていた。

 

 

「クラミー」

 

 

フィールはそっぽを向いているクラミーの両肩にそっと手を置く。

 

 

顔を覗くが、外見だけではフィールには感情がわからなかった。

 

 

「私がいなくても、大丈夫なのですか?」

 

 

その問いにクラミーは少し不安な表情を作ったが、それを感じさせない口調で言った。

 

 

「ええ。問題ないわ・・・」

 

 

クラミーのその言葉にはどこか自身があるようだった。

 

 

 

 

 

「つまりクラミーは私達の後ろに多種族がいると思い込んでいる・・・!」

 

 

ベンチから立ったステフはシェイナに体を近づけて、歓喜の声を上げた。

 

 

「ああ。彼女は相当頭がキレそうだから、壮大な国家戦とか考えてるんだろうな」

 

 

「ということは、クラミーは今までの選定戦の様に魔法を使うことが出来ない!、つまり正々堂々お兄様とイカサマ無しの勝負に持ち込めるということですのね!」

 

 

ステフは自信満々にシェイナに言ったが、待ち受けていたのは違う言葉だった。

 

 

「・・・は?」

 

 

「え・・・?」

 

 

「やっぱり・・・こういうことに関しては硬いな、ステフ」

 

 

シェイナのその言葉にステフの体は一瞬で岩のように硬直する。

 

 

ステフはまだシェイナが自分には遠い存在だと改めて感じた。

 

 

 

「クラミーちゃんにとっては他国の介入なんかは想定の範囲内なんだよ。だから今度はバレないレベルの高度な魔法とか使ってくるだろうな」

 

 

「それって、余計事態悪化してるんじゃ・・・?」

 

 

シェイナも立ち上がり、ステフの隣まで歩くと靴をトントン、と直しながら言った。

 

 

 

「だから、クラミーちゃんが用意するのは表面上は誰から見ても対等だ、と見えるゲームのはず。身体に直接影響する魔法は使ってこないだろう」

 

 

「それって、どんなゲームですの?」

 

 

「ん~」

 

 

シェイナはステフの肩に手を置くと、指輪を付けたもう片方の手を太陽にかざした。

 

 

ステフの瞳と同じような青いサファイアが太陽に反射して眩しく光る。

 

 

「わからん」

 

 

「ほえ?」

 

 

(花!?)

 

 

ステフが全く理解できてないとわかっていたシェイナは、返事をした瞬間彼女の頭から花が出たと錯覚した。

 

 

「んっ・・・お兄様?」

 

 

「気のせいか・・・」

 

 

ステフの頭を回すように撫でるが、案の定そこには花など伸びていなかった。

 

 

「・・・?」

 

 

(見えたんだけどなあ・・・)

 

 

シェイナは気になって、ステフの頭を凝視していると、廊下からコツ、コツと足音が聞こえてきた。

 

 

 

「待たせたわね、行きましょ」

 

 

「ああ」

 

 

迎えに来たクラミーはそう呟くと、来た道をゆっくりと歩いていく。

 

 

シェイナは返事をするとステフの手を握ってクラミーに続いた。

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