少女は、この世界に生まれた。
人類種の中では割と裕福な家庭で、生活も収入も安定していた。
少女は、一歳にならないうちに親がくれるおもちゃに飽きた。
やる事がなくなった少女は、ついに言葉を話した。
両親は、いろいろな所に頼んだ。
精神、知能、障害・・・、あるゆるもしものことを考えて、沢山の場所に頼んだらしい。
そして、機械のように毎日を過ごした。
来る日も来る日も、テストをやらされた。
同じ人だったり、違う人だったり、応用問題だったり、まったくやったこともない問題だったり。
少女は、何も言わずに毎日取り組んだ。
何秒も何分も何時間も何日も何週間も何ヶ月も何年も。
それすらも飽きた少女は、小さい時以上に飽き、を感じた。
明日どの人がくるか、次はどの問題、どんなテストをやらされるか、大体見当がつくくらいやらされた。
それでも、少女は文句を言わない。
その内、相手の方が徐々に追い込まれていった。
突然、キレられたえい、手を上げられたことも何度かあった。
しかし、少女は何も言わなかった。
そして、両親が話をつけてきた人達が次々に辞めていった。
一人、また一人、といなくなっていった。
夕食を食べ終わった後、母が突然床に倒れて泣きじゃくった。
父はそれを必死に慰めていた。
少女にはなぜ、母が泣いているのかわからなかった。
その日の夜。
たまたま目が覚めた少女はまだ居間に灯りがついていることに気づいた。
喉も渇いていたので、水を飲もうと、居間のドアにてを触れようとした時、こんな声が聞こえた。
「あの娘はもう、殺すしかないわ」
瞬間、少女は体から血の気が引いて、その場にペタンと座り込んだ。
体は震えて、まったく動かない。
なんとかして体を動かそうと、脳に命令を送る。
コツン・・・・・。
反射的に動いた手が壁に当たり、全体に響いた。
その音を聞いた両親は居間を見渡したあと、廊下を見ようとした。
ゆっくりと、足音が近くに来る。
殺されるーーー!!!
そう悟った少女は、無我夢中で走り出した。
自分の足音が進むごとに響くが、そんなの関係ない。
少女は素早く靴を履き、一目散に玄関から逃げた。
自分でもどこに向かってるのかわからないまま、ただただ全力で走った。
後ろからは、追いかける足音は無かったーーーーー。
何時間歩いただろう。
もう太陽が昇り始めていた。
少女は、ふらふらになりながらもゆっくりと顔を上げた。
そこにはエルキアの王城があった。
もう、ここしかない。
まともに考えることの出来ない頭で、そう思い少女は王城の中に足を踏み入れた。
恐らく、一般人など絶対に進めないよう工夫されていたが、少女にはその程度の工夫は簡単だった。
徘徊しているメイドに気づかれないよう、入った部屋は少女に安心の気持ちをもたらした。
ゆっくりと奥にあるベッドに寝っ転がると、少女はすぐに目を閉じ眠りについた。
「お兄様・・・一体誰ですの?」
そんな声が聞こえて、少女は目を覚ました。
そこには兄妹らしき二人が不思議そうにこちらを見ていた。
しかし少女は不思議と、殺されるとは思わなかった。
それよりも、もっとやさしいイメージを持った。
「知らない・・・。どうやってここに入ったんだ?」
そう言った黒髪の兄らしき青年にはもっと違う気持ちがあった。
この人となら、違う日々を送れるかもしれない・・・・・。
そう思い・・・・確信した少女はいつぶりか自分の口で自分の素直な言葉を言った。