「シェイナ・・・・・、誰のこと、ですの?」
イマイチ白が何を言っているのかわからないステフは首を傾げた。
しかし首を傾げただけでは答えが出るわけではなく、ステフの頭に?が浮かぶ。
「シェイ・・・!」
白は深く俯きながら小さく言う。
「シェイ・・・!!」
さらに強く。
「シェイ!!!」
聞いたことのないくらい大きな声で白は言うと、目を大きく見開いた。
「ああアアアアアあああアアアアアアアアアアアあアああああアぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
頭を両手で押さえながら白は顔を上げ、壊れたように叫んだ。
自分の記憶から、少しずつ、シェイナが消えていく。
そんな気がした。
顔も、声も知っているのに、思い出せなかった。
叫び終えた白は、力なく顔を下げると同時に両手をベッドに落とした。
その様子を見て、普通じゃないと判断したステフは白に歩み寄る。
「どうしたんですの、白?」
「・・・・・・・・・・」
心配そうな声でステフが問うが、白からの返事はない。
「きっと怖い夢でも見たんですわね、今、温かい飲み物を・・・」
「そうじゃないッ!!!」
ステフの声を掻き消す勢いで白は怒鳴る。
小さな両腕をブルブル震わせながら、言った。
「違うの・・・一緒に・・・一緒にいたのに・・・!」
白は顔を上げ、少し虚ろな目で前を向いた。
しかし視界にはステフしかいない。
「・・・・・・・・・・」
「・・・白?」
ステフが問いかける、白は数秒固まって状況を理解しようとするが、何も飲み込むことが出来ない。
「・・・・・・ッ!」
白はベッドから降りると、裸足のまま走り出した。
「白ッ!!」
「ハァッ!ハアッ!ハアッ!」
全速力で、王城内を駆ける。
ただ一つの目的のために。
バアン!
図書室の扉を開けると、白は本棚をただただ見渡す。
隙間や、テーブルの下、人が入れそうな所をくまなく探す。
「マスター、ここにいらしたのですか」
開いたままの扉からジブリールが入って来て、探している白の後ろでとまる。
「ドラちゃんが突然どこかへ走っていったと言っていたので心配してたんですよ」
ジブリールはいつも通りのテンションで話す。
「ジブリール・・・」
白はいつの間にか手に持っていた本を床に落とした。
ジブリールはそれを無視して、じっと白の言葉を持っている。
「なんでしょうか、マスター♪」
「ジブリールのマスター、だれ・・・?」
力ない白の言葉とその質問の内容ににジブリールはポカンと小さく口を開ける。
「なぜ、今そのような質問を「答えてッ!!」」
ジブリールが言い切る前に、白が怒鳴るように言った。
「・・・・」
ジブリールは不思議そうに白を見つめる。
そして開き直ったように、口元を緩めると、膝を床に付けて頭を白に向けて下げた。
「勿論、白様。で、ございます」