番外編・焼肉というものをしていたらいつの間にか神も混じっていました
とある日、ドーラ邸の庭
「皆~、今日は楽しんでくれ!」
シェイナがそういうとあちこちから喚起の声が沸きあがる。
「お兄様、大成功ですわね!」
片手に皿を持ちながらステフ言った。皿の上には肉と野菜が載ってある。
「ああ。古い書物に書いてあった「焼肉」ってのを試したんだが、まさかここまでうまくいくとは」
「あ、お兄様!お肉が焼けましたわ!」
「うし、くれ!」
ステフがトングで掴んだ肉をシェイナは皿を出して受け取るとすぐに口に頬張る。
「美味しいな、良い肉だわ」
「ですね!あ、座って食べましょう」
食べる分の肉と野菜を取って、二人で話しながら食べる。
(肉にこんな食べ方があるとは・・・)
たまたま見つけた本にここまでお得な情報が載っていたことに感謝しながら食べる手を進める。
すると、ステフは箸で肉を摘みながらこちらへ向けてきた。
「お兄様、あーん」
「え・・・、あ、あーん・・・」
されるがままに肉を口に入れる。相当上質な肉なのにステフの視線が気になって味に集中できない。
(カップルか?夫婦なのか!?)
普通に噛んでいる筈なのにまったく味がわからない。むしろこの状況から抜け出そうと早く噛んでいる。
「どうですか?お兄様」
「ん、美味しかったよ。ステフ」
「良かった♪」
ステフの頭を撫でて機嫌をとる。猫のように甘えてくる姿を見ていると食べる手を止め、ずっと撫でていたいと思ってしまう。
「わあ、良い匂いがするとおもったら!」
二人の座っている後ろの木々の中から一人の少年が姿を現す。
「誰・・・ですの?」
ステフは少しシェイナに寄りながら少年を凝視する。
小学生、と言っても通用するような格好。白のようなピンクのような、はたまた黄色のような髪。そしてオッドアイ。
「近くに住んでるんだ!それよりさ、僕も食べていい?」
少年は目をキラキラさせながらシェイナに聞いた。
「好きなだけーーーどうぞ」
「本当?ありがとうッ、シェイ君!」
少年はシェイナにそう言うと皿を取って近くのプレートから沢山肉をとって、二人の所へ戻る。
(お兄様の名前を知っている?この子何者ですの・・・?)
心の中ではそう思いながらも口には出さずに、ステフは肉を食べる。
「美味しいね、このお肉!いいやつなんだね!」
「野菜も食べてください。体に悪いですよ」
シェイナの話を聞きながらひたすら少年は肉を食べ続ける。一枚食べるごとに笑顔を作る少年を見ていると段々ステフの心からは疑念の気持ちが消えていった。
(悪い子ではなさそうですわね・・・)
「お兄様、飲み物を取ってきますわ。何が良いですか?」
「水でいいよ」
「僕はコーラで!」
「・・・わかりました。水とコーラですわね、少しお待ちください」
(図図しいですわ!あの子供・・・!)
シェイナに見えないようにムスッとした表情を作りながら、ステフは席を後にした。
「野菜もしっかり食べてください。ホントに」
「この体の時は食べないといけないの?」
「貴方じゃないからそれはわかりませんが、多分」
「仕方ないなあ。人類種になることもあまり無いし、そうするよ」
少年はそう言うとシェイナの皿から少しだけ野菜をとって口に入れる。
「これでいい?シェイ君?」
「いいんじゃないすか」
「じゃあお肉たーべよっと♪」
少年は直ぐにプレートの方向に走り出した。
(どんだけ食べるんだよ・・・)
少年は山盛りに肉をとってきてシェイナの隣でもぐもぐ食べる。
すると丁度ステフが飲み物を持ちながら帰ってきた。
「ただいまですわ」
「おかえり、ステフ」
「おかえり!ごめんね、僕の分まで・・・」
「い、いえ。大丈夫ですわ」
(い、以外と常識のわかる子ですわね・・・)
ステフは目を逸らしながら少年にグラスを渡す。
「ありがとねっ、ステフお姉ちゃん!」
(なっ・・・!)
思いもよらない少年からの返答にステフは紅潮してしまう。
(この子・・・可愛い!!)
ステフはまじまじと少年を見ていると「ん?」という風に首を傾げた笑顔を作ってくれた。それを見てまた可愛いと感じてしまう。
(あの帽子・・・触ってみたい)
肉を食べるのに夢中な少年を見ながらできるだけ気づかれないように帽子に手を伸ばす。
(あと少し・・・)
帽子の真下まで手を伸ばし、あと少しで触れるか触れないかという所まできたその時ーーー
「ステフー、これレモンスカッシュじゃん」
「え!?」
伸ばしていた手を直ぐに戻して、兄の持っているグラスに手を掛ける。
「すいません!!お兄様!!今すぐ変えてきます!!」
「いや、だいじょうーーー」
シェイナの言葉を最後まで聞かずにステフはグラスを持って走っていった。
「シェイ君のこと好きなんだね」
「はは・・・。わかりますか」
「うん。バレバレだよ~」
「マジすか・・・」
お互いに食べ終わり、ぼんやり話していると少年は立ち上がった。
「じゃ、僕はそろそろ行くよ」
「気をつけて」
「シェイ君もね!必ず僕のところまで来てね!約束だよ」
少年はそう言うとシェイナに小指を向けた。
「約束なんかしなくても最初から行くつもりですよ」
その返事に少年は笑顔のなる。
「絶対だからね!じゃね、シェイ君!!」
少年はベンチに皿を置くとシェイナの前で一回転する。同時に少年の周りから光があふれ出る。
「また一緒にゲームしようね、シェイ君!」
少年は体は完全に光になって、空へと消えていった。
焼肉が終わり、ステフの部屋ソファで横になりながら、シェイナはくつろぐ。
「お兄さま、先ほどは申し訳ありませんでした・・・」
「気にしない気にしない。失敗は誰にでもあるからな」
「それと、一つ聞きたいことがあるのですが・・・」
ステフは横になっているシェイナの近くに座る。
「先程の子供と、お兄様はどういう関係なんですか?」
「ああ。言ってなかったな。あれがテトだよ」
「え?」
「お前、子供だと思ってたろ?あれがテトだからな」
シェイナのその言葉を聞いてもイマイチ理解できない。まさかさっきまで一緒にいて、自分が頭を撫でようとした子供がこの世界の唯一神であったという事実が。
(あの子供が、唯一神様・・・!?)
「なっ、なっ・・・」
ステフは両手で頭を抱えて思いっきり叫んだ。
「なんですってええええええええ!!!!!」
この時のステフの声は町の隅々にまで響き、エルキア七不思議になったとかならなかったとか。