木の持ち手を強く掴んだシェイナは大きく息を吸った。
そして大きな声で叫んだーーーー。
「おい白い駒達ーーー!!!」
突然の叫び声にクラミー、ステフ、そして味方の白の駒までもが驚いてシェイナの方を見た。
「この
「・・・!」
クラミーは何も言えないのか、ただタイミングを失っているだけなのか口をポカンと開けている。
「家族や愛する人の為、我等は戦うのだ!!!」
オオオオオ!!
白の駒達は自分の腕や持っている武器を高く上げて、勢い良く咆哮する。
指示を出せないでいたナイトも抜刀し前進する。
ある場所では白と黒、互いの駒が睨みあっている所もある。
「な、何でですの・・・!!」
チェスの状況が少しずつ変わっていくのを見ながら、ステフは驚きの声で言った。
「お前のおかげでこれはチェスじゃないってわかった。ありがとな、ステフ」
シェイナはそう言うと、自分の右手をステフに少し強引に握らせた。
「もし俺が熱くなって我を忘れそうになったら、ぎゅっと強く握ってくれ。頼むな、ステフ」
「はい!お兄様!!」
とびっきりの笑顔のステフにシェイナも笑顔で返すと、前に向き直って堂々と言った。
「そこのポーン小隊!前から敵が来てるぞ、攻撃しろ!」
シェイナの命令を聞いた六体のポーンの内真ん中にいた一体が、風のように前進して目の前にいる駒を撃破する。
「そ、そんなバカな!?」
クラミーは驚きの表情を浮かべながら、持ち手をがっしりと掴んで今起こっている「ありえない」状態を理解しようとしている。
「ナイト達も歩兵の努力を無駄にするな!あとキングとクイーン!高官だからって高みの見物するな!前線行って自分の眼で見て来い!!!」
少し強めの口調のシェイナの言葉を聞いた駒達は、忠実に言われたとおりに動いている。
「な・・・ッ!?ちょ、ちょっと待って!私の出番でしょ!!」
完全に独走状態のシェイナに、今の彼の勢いを止めるようにクラミーが言った。
「リアルの戦争で敵が攻撃するまで待つ奴はいないだろ!?」
シェイナは驚きを隠せないクラミーの方など全く見ずに言うと、首をキョロキョロ動かして次の作戦をひたすら考えていた。
「くッ・・・!ポーン隊、前進しなさい!!クイーンとキングを守る防壁を作るのよ!!」
クラミーの怒鳴るような命令を聞いた黒のポーン隊は、キングとクイーンを囲む半円型の壁を作った。
「あーあ・・・」
(ああいう
声では残念な雰囲気を出しながらも、心の中では少し余裕の気持ちを持ちながら大きな声で言った。
「いいか?この戦いは単なるチェスじゃない!
「なッ・・・」
突然言われたことにクラミーは驚いて、すかさず反論しようとするがそのタイミングも与えずにシェイナは言った。
「一方で俺達が勝ったら、この妹は我が王妃となる。先王が亡くなった後も必死にこのエルキアを支えてきながらも、国王選定戦では裏で
シェイナはステフを抱き寄せて、もう一度強く言った。
「お前等裏切れんのかあああああああああああ!!!!!!!!」
A.裏切れません。