「何か御用でしょうか…って明久に坂本君じゃない。秀吉もいるのね」
「わしかおまけかの……」
「おう木下姉。注文したいんだが」
「何を頼むの?」
「デミグラスチーズハンバーグセットとシフォンケーキを二つだ」
「分かったわ。愛子、これ伝票」
「りょうか〜い!」
伝票帳から一枚取り、近くを通った工藤に渡す優子。
「そんな態度してていいのか? さっき久保が客に敬語使わないと怒られるって言ってたんだが」
「あぁ、代表ね。問題ないわ。アタシはこの注文取り終えたら休憩に入って偵察を兼ねてFクラスに行くつもりだったから」
「偵察?」
「えぇ。まぁ偵察というよりは視察と言った方が正しいわね」
「俺達の店が何かしたのか?」
「いいえ。ただ、どうやらうちにきたお客さんのうちほとんどがFクラスに行ってたみたいだから」
「なるほど。その仕組みを調べに、か」
「そういうことね」
男性がメイド喫茶に、女性が執事喫茶に行くのは納得だが両方に行くというのはいささか不思議なものである。
Aクラスに女性客が流れるのは千春のおかげであろう。
となるとFクラスにも男性客が流れる理由が存在するはずだ。
その理由を詳しく調べればAクラスの客足を増やす役に立つかもしれない。
そう踏んだ優子はFクラスに偵察に行こうとしていたというわけだ。
「でももういいわ。原因が分かったし」
「だろうな」
「んむ? 何故じゃ? 今の会話だけではわしはまったく分からんのじゃが……」
「あら、じゃあ鏡でも見てくれば?」
「何のことじゃ……?」
優子の目が秀吉に行き、それに同意する雄二。
つまりそういうことなのだ。
だが当の秀吉はどこ吹く風で全く分かっていない。
優子の皮肉にも気がつかず首を傾げる始末だ。
「まったく……。あんたはそんなのだから一向に男に見られないのよ」
「何故その話になるのじゃ!? 全くもって理解できんのじゃが!?」
「知らなくて結構だ。知られたらウチの売り上げが減るかもしれん」
「安心して。あたしが無理矢理働かせるから」
会話の意味を秀吉が理解すれば秀吉が拗ねて仕事を降りるかもしれないと考えた雄二だが、その心配は必要ないらしい。
「それよりちゃんと稼いでる? 秀吉から話は聞いてるわよね?」
「それがじゃのぅ姉上。こやつら、試験召喚大会で優勝するから稼ぎを気にする必要はないなどとほざくのじゃ」
「やけに自信があるわね……。今回の大会は激戦なのよ?」
「分かってるよ。なぁ明久」
「当然! 優勝を逃すことなんてないよ!」
「本当に大丈夫なのかしら……?」
「まぁ見てろ。もう少しすれば予選が始まる。そこで俺達の実力を見せてやるよ」
「そんなに上手くいくかしら……?」
秀吉同様、2人の様子に不安を抱く優子。
どうにも信用ならない二人らしい。