僕と君と償う過去と   作:近衛龍一

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Aクラス戦に向けて

「さて、俺たちは何とかBクラスに勝利した。これはお前たちの頑張りのお陰だ。感謝している」

 

教壇でFクラス代表こと、坂本雄二が皆に向かって演説を行っていた。

Eクラス戦後、D、C、Bクラスと、着実に戦争に勝利していったFクラスはC、Bクラスとの設備交換を行い、現在元Bクラスの設備になっている。

Dクラス戦以降の戦争はほとんど姫路の活躍によって得たもの同然。

Bクラス戦で根本が姫路を脅迫しようとしたが、明久がそれに事前に気がつき食い止めた。

流石の明久も、クラスメイトが脅されているのを助けないわけにはいかなかったのだ。

 

「やっとここまで来たわけだが……皆俺たちの最終目標は何だ?」

「「「Aクラスのリクライニングシートだっ!!」」」

「そうだ。無論、ここまで来てその考えを覆すつもりはない」

「でもさ、どうやってAクラスに勝つんだ?」

「だよな。代表の霧島はウチのエースの姫路よりも点数高いし……」

「姫路並のやつがたくさんいるんだろ?」

 

皆の口から次々に出る疑問。

雄二は簡単に打倒Aクラスをスローガンに挙げたが、ここにきてクラスの皆はその大変さに気がついたのだ。

いや、何も別にBクラス以下今までに倒してきたクラスを倒すのが楽と言っているわけではない。

ただ、一つ下のBクラスと比べてもAクラスは格が違うのだ。

Aクラスの下位から中堅辺りまではほとんどBクラスと変わりない。

少ないながらもここに来るまでに戦った実践を武器にすればFクラスの生徒でも倒せないこともない。

ましてや姫路ならば楽に倒せるだろう。

問題は上位のメンバーだ。

前述の通り、姫路の点数ならばAクラスの連中でも倒せる。

しかしAクラスの上位数名はその姫路と同等、もしくはそれ以上の

学力を持っている。

そしてそれはエース姫路が抑えられるということであると同時に、自分たちでは到底敵わないというこなのだ。

 

「安心しろ。俺が必ず勝たせてみせる」

「何か特別な勝負でもするのか?」

「おおっ! それだ! 姫路さんとAクラスの一人が差しで勝負すればいいんだ!」

「お前頭いいな!」

 

一人の発言からクラスメイトは勝機を見出す。

だが当の坂本は首を横に振って否定を示した。

 

「違う。俺たちがするのは通常の試召戦争だ」

「な、なんだと!?」

「それで勝てるのか!?」

 

再び慌てるクラスメイトを見て、雄二は妖しく笑った。

 

「当たり前だ。この『悪鬼羅刹』に任せておけ」

 

その言葉に明久と秀吉はゾクッと背中に悪寒が走った。

こいつは何を企んでいるんだ……と。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう思う秀吉……?」

「不明じゃ…。よもや通常の試召戦争で挑むとは……」

 

明久と秀吉は放課後、またも雄二の件で話し合っていた。

二人もてっきりAクラスには一騎打ちを挑むと考えていたのだ。

 

「確かに姫路だと霧島さんに負ける可能性があるけど……」

「その点はムッツリーニの保健体育で挑めば勝てるというのにのぅ……」

 

そのことについては昔ながらも神童とまであの雄二ならとっくの昔に気づいていることだろう。

しかし雄二はそんな確実な勝利ではなく一見無謀にも見える策戦でいこうとしているのだ。

 

「一騎討ちに持ち込むための策が思いつかなかったとか……?」

「ないじゃろう。仮にそうじゃとしてもどう考えてもAクラスに普通の試召戦争で勝つ方法を編み出す方が難しいじゃろう」

「だよね……」

 

雄二の誘いを断ったあの日から、雄二は何を考えてここまできたのだろうか。

明久は必死にその頭をフルに回転させる。

 

「おいお前ら、一体何をしてるんだ?」

 

残っているのは二人だけのはずの教室に突如響いた声。

その声に二人はビクッと体を震わせた。

 

「な、なんだ雄二か……」

「お、驚かすでない…」

 

そこにいたのは2人の話題の種である雄二。

雄二は教室の扉に体を預け、両腕を組んで立っていた。

 

「一体2人で何を話している?」

「な、何でもないよ。ちょっと秀吉に勉強を教えてもらっててさ…」

「秀吉に? 秀吉が教えられる教科なんてあるのか?」

「む、お主失礼じゃぞ? ワシとて明久くらいのバカにじゃったら勉強の一つや二つ教えられるのじゃ」

 

即席で何とか話を合わせた二人。

雄二は鼻でふっと笑った。

 

「そうか。だが早く帰れよ。お前らが戦争に参加しようとするまいと、学校には早めに来てもらわんといかんからな」

「う、うん。分かったよ。帰ろっか秀吉」

「そ、そうじゃな」

 

雄二に指摘され、半分気が動転していた2人は慌てて帰宅の準備を整え、教室を出ていった。

 

「明久……、お前に教えてやるよ。この俺に不可能はない、とな」

 

 

 

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