「千春〜! 一緒に帰ろうよ!」
「あ、明君! いいよ。優子ちゃん達も一緒だけどいいよね?」
「勿論だよ」
弥生中学3年教室。
その日の授業が終わった明久は、隣のクラスにいる千春を迎えにいっていた。
教室では優子や秀吉と共に談笑する千春の姿。
明久が迎えにきたことを知った優子と秀吉は顔を見合わせて言った。
「あたし達はいいわよ。2人で帰りなさい」
「えっ? なんで?」
「だって、あんた達付き合ってるんでしょ?」
「カップルらしく2人でよろしく帰ればいいのじゃ」
ニヤニヤしながら2人を見比べる優子と秀吉。
その言葉に2人の顔は一瞬にして赤くなった。
「ななな、何で優子ちゃん達が知ってるの!?///」
「何でって……今日の2人見てたら誰だって分かるわよ」
「明久もやるのぅ。千春のような可愛い女子と付き合うとは」
肘で脇腹を突かれながらからかわれる明久達。
でも、2人は顔を真っ赤にしながら見つめあって幸せそうにしていた。
「さ、秀吉。あたし達みたいな邪魔者はさっさと帰りましょ」
「そうじゃな」
荷物を持って、教室を出ていこうとする優子と秀吉だったが、その時教室に先生が顔を出した。
「おぉ、ここに居たのか吉井。悪いが、少し手伝って欲しいことがあるんだ」
「えぇ〜? 僕ですか?」
「すまん。出来るだけすぐに終わらせるから」
「ううっ……分かりましたよ…。千春、先に帰ってていいよ……」
大きくため息を吐いて落胆する明久を見て、千春は『あはは……』と乾いた笑いを漏らす。
優子と秀吉も運のない明久を見て苦笑い。
三人は嘆いてトボトボと先生についていく明久を見送った。
「残念だったわね千春」
「仕方ないよ。明君は先生に頼られてるしね。じゃあ帰ろっか」
まとめた荷物を鞄に入れる。
すると、教室に新たな人が入ってきた。
「あ、神楽君。どうしたの? 忘れ物?」
入ってきたのはクラスメイトの神楽。
ただ、鞄を持っていないため、千春の言った忘れ物ではなさそうだ。
「いや、成宮に話があるんだ」
「わ、私…? この間のことだったらもう返事したはずだけど……」
さて、補足だが千春はモテる。
本人曰く、『自覚はあるけど……』と濁り口調の返事。
ただ、幼馴染である明久の事が好きなため、OKしたことは一度もない。
そしてここにいる神楽も、この間千春に告白して撃沈した男の中の一人なのだ。
「今日は違う。今日はーー」
神楽の言葉と共に入ってくる大勢の男達。
「お前を犯しにきただけだ」
「……え…………?」
「ちょっと! あんたそれどういう意味よ!」
「外野は黙ってろ」
「ウッ!?」
「ガハッ!?」
「ゆ、優子!? 秀吉君!?」
爆弾発言をする神楽に食ってかかった優子であったが、後ろに回っていた男に手刀を。
隣の秀吉も、腹を殴られダウンした。
「お前、吉井と付き合ってるらしいな」
ギロっと千春を睨む神楽は、倒れた優子の髪を引っ張り持ち上げる。
「全く。俺を振って吉井なんかと付き合うとはいい度胸じゃねぇか」
そのまま優子の顎をクイッと持ち上げ、千春の方を見た。
「先にこっちをヤってもいいんだが……どうする……?」
その言葉の真意。
千春はガタガタと震えながらも、言葉の意味を理解し、言った。
「……………私だけ、相手になります…」
「よし。移動させろ」
☆★☆★☆★
「本当に早く終わったよ。これだと千春に少しくらい待っててもらえば良かったなぁ……」
先生からの頼まれ事をこなした明久は、もしかすると待っててくれてるかも、などと淡い期待をよせながら先程の教室に戻っていた。
「ん〜、やっぱり誰もいない……って優子!? 秀吉!? どうしたの!?」
そこに居たのは倒れた優子と秀吉の姿。
明久はすぐに駆けつけ、優子の肩を揺すった。
「優子! 大丈夫!?」
「……はっ!? ち、千春は!?」
「千春……? 一体何があったの!?」
「千春が……神楽君に……!」
「神楽君!? どこ!?」
「分からない…。気絶させられて気がついたら、今で…!」
「分かった。優子は秀吉を起こして先生を! 僕は千春を探すから!」
「わ、分かったわ!」
明久は地面を大きく蹴って走り出した。