ぐーやんでござるよ   作:ヤングコーン

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あててるんだよなぁ(てるよ)


10話 君は実に初だな

「最近、にとり雑貨店に入り込んでるんだって?」

 

「ちょっとした面倒ごとに巻き込まれてね」

 

私はレミリアを紅魔館に連れていくついでに世間話をしていた。

本人は1人で大丈夫だとは言うが…放ってはおけない。

 

「あの子、モノ作りは長けてるけど経営者には向いてない。今は時に利があるだけで、今に自転車操業になる」

 

今は勢いある企業になっているが、確かに長続きする様には思えない。

私も今回の事で金を返してもらったら関わり合いになるのは避けるべきじゃないかと考えている。

 

しかし、レミリアもにとりに出資をしていると聞いた事があるが…。

この際だ。気になるから直接聞いてみる。

 

「ええ、まあ少額ね」

 

「会社の成長性、将来性を期待して支出してるんじゃないの?」

 

「ふふふふふ。それは違うね。私はあの会社が潰れると分かってるからそんな事をしてるの」

 

??????

 

彼女の言う事の意味が分からない。

どうして潰れると思う会社にそうした出資をする必要があるのだろう。

 

「にとりは今、無理な事業拡大を行ってる。立地条件に恵まれる土地で、良い設備を整えようとしてる。いよいよ運営が立ち行かなくなったら規模縮小するしかなくなるでしょうね。多額の金が必要になる…」

 

「物件を設備ごと買い取るって事?」

 

「そう言う事。私は出資者として彼女に顔が利く。にとりが窮地に陥った時にはした金で便宜を図ってもらうなど造作もない」

 

ああ…レミリアが悪人面してる。でも、経済界というのは弱肉強食の世界なんだろう。

 

義理も人情も、お互いの保身のための安全保障条約でしかないのだ。

 

「それにしても、どうしてそんな話を私に?」

 

そんな腹心を誰かに話せば警戒されかねないし、本人に言い振らされたりしたら困るだろうに。彼女もお調子者な所はあるようだが、私に話してしまったのは本当にただの油断からだろうか。

 

「私はあなたといいビジネスパートナーになりたいと思ってる。ビジネスパートナーは程よく信頼できて、程よく疑える人が一番いい」

 

それなら、私なんかと仲良くするより永琳と仲良くした方がいいと思うけどな…。

 

気が付くと紅魔館の前までやって来ていた。彼女はにっこりと笑う。

 

「気を遣ってくれてありがとう。おかげで無事に帰れた。また機会があれば会ってゆっくり話したいな」

 

辺りに紅の霧が漂い出した。私達はお互いに握手する。

 

「ええ。また近いうちに」

 

太陽光を遮るほどの濃霧になると、彼女は傘を折りたたみ中へ消えていった。

すると風と共に紅の霧も消えてなくなる。

 

私はしばらく紅魔館を眺めた後、この場を立ち去った。

 

 

 

 

「つまり、妹紅には想い人がいるんだな…」

 

「ああ…。そう、なんだが…」

 

「いいんだ。私は引き際と言う物を知っているからな」

 

妹紅と上白沢さんが話をしていた。何やら修羅場っているようだ。

 

「慧音、聞きたい事が…」

 

「思わせぶりな言葉で私を惑わすのはよせ。君とはこれきりにしたい。さようなら」

 

妹紅はバツが悪そうに頭を掻いた。慧音は彼女の元を立ち去る。

それにしても上白沢さんに聞きたい事って何だろう。返事も歯切れが悪かったし。

 

上白沢さんは私に気が付いた。襲って来るかと思いきや、私の肩に手を置いて囁いた。

 

「素直じゃないが悪い奴じゃない。どうか幸せにしてやって欲しい」

 

……まだ恋人じゃないんだけれども。

 

妹紅が私に気が付いたようだ。私は彼女の元へ向かう。

 

「ごめん、少し遅れたかな」

 

「ああ…、別にそんな事はない」

 

妹紅に案内されて近くのカフェ店に入った。気前良い事に奢ってくれるらしい。

おススメだと言うので、あんみつと抹茶を注文した。

 

何やら揉めていたようだが、と聞くと彼女は気まずそうにする。

 

「すまん。実は今日のデートのプラン、考えつかなくてな。デートの場所にどこがいいか聞いていたんだ」

 

「何ナチュラル屑ムーヴかましてるんだ。上白沢さんのお前に対する気持ちぐらい知らんでもないだろう」

 

「………???慧音は私の友であり、家族であり、母の様な存在だ」

 

国際希少野生動物級の朴念仁だ。幻想郷に政府があるなら保護してもらうべきなんだろう。

 

まぁ彼女が私とのデートの場所で悩んでいたのは確かだ。その点については私も汲むべきだろう。とはいえ私もすっかりリードされるつもりでいたから何をしていいか分からない。

 

彼女はマドラーでカルピスをくるくるかき混ぜる。

 

「こうしてると…なんだ。まるで既に付き合ってるみたいだな」

 

「私は友達といる感覚だけどね」

 

「どうやって輝夜に私を意識してもらうか…だな。頑張ってみる」

 

取り敢えずお互いに世間話をする。妹紅はここ最近竹林で会った人の話や、妖怪の山を通った話をしてくれた。私は最近携わってる職務上あまり話せる事がないので、永遠亭での話やレミリアと会った話とかをする。

 

しかし、話してもあまり話が膨らまない。話題力がないから…?

 

「くそ…、輝夜と盛り上がれる話題が見つからない…。色んな人と話して話術スキルを磨いたつもりだった。それでも猶及ばないというのか…」

 

「私はいるだけで気を引こうとする人が沢山いた。こうして君といるとアプローチって意外と難しいんだと実感するよ」

 

変な事に感心していたが、話す事もなくなったので店を出た。

 

どこへ向かうともなく外を歩く。デートスポット探し…リードする側はあれこれ考える事が多くて大変だ。

 

私が誰かに恋する事があったなら、こういう事で悩んだりしたんだろうか。

 

妹紅は私の歩くペースに合わせてくれる。

何気ない事だが、そういう所は少し嬉しい。

 

しばらく歩いてから彼女はハッとした顔でこちらを向いた。

 

「輝夜、手をつないで歩こう」

 

「うん」

 

私が妹紅の手をギュっと握ってやると、彼女は驚いて私の手を振り払った。

 

「や、やっぱナシ!」

 

「なんでさ!」

 

妹紅は耳まで顔を真っ赤にして俯く。

全く、大胆何だかシャイなんだか…。

 

しかし、日頃はがさつで荒っぽい彼女がこんなにしおらしいのは珍しい。

ちょっと加虐心が刺激される。

 

私は妹紅の腕に抱き着いた。

 

「わ、馬鹿馬鹿当たってるって!」

 

「どこに?」

 

妹紅は答えられずにしどろもどろになる。

あはは、可愛い。

 

そう思っていると妹紅は体勢を崩して倒れてしまった。

 

私は何とか受け止めてその場に寝かせる。どうやら気絶してしまったらしい。

 

「君は実に初だなぁ…」

 

仕方がないので近くの茶屋に事情を話して寝かせてもらった。

しばらくは寝ている彼女の隣でお茶と団子を楽しんだ。

 

この様子じゃ、私を落とすのには永い時間がかかりそうだ。

 

夕方になると、私は彼女と一緒に永遠亭に帰り別れた。

今日の初デートで自信を喪失したらしく落ち込んでいた。

 

励ましの言葉を何度もかけたが…。

 

あれで諦めるのか、まだ私に挑むつもりなのか…それは分からない。

 

家に帰りつくと、私はぐったりして居間で横になった。

 

「いくら自宅だからと言って、そんなだらしのない姿を見せないの」

 

永琳が呆れながらやって来た。

 

「慣れない事をして疲れてるんだよ、放っておいて」

 

「そういう投げやりな態度は許しませんよ」

 

んもー…。

 

仕方がないので妹紅との関係について永琳に話した。

私の事が好きなのに、アプローチが下手な事とか。

 

「好きでもないのに付き合ってるの!?あなたって人は…」

 

永琳は呆れた声色で言った。

 

「しょうがないでしょ、妹紅が私を好きって言うんだから!チャンスは誰にでも平等にあるべき、そうでしょ???」

 

「あなたはいつもそうやって他人の心を弄んで…。まあいいわ。あなた達の惚れた腫れたに口出しするつもりはないし」

 

「話聞いてた?私は困ってるの、ちょっとぐらいアドバイスちょうだいよ」

 

「やりかけた事は自分で始末をつけなさい!全くもう…」

 

腕を組んでため息をつく彼女。ため息をつきたいのはこっちだ。

言ってる事とやってる事が違うんだからもう…。

 

彼女は仕事に戻った。こんなに困ってる私を捨て置くのだから本当に薄情だ。

 

大体、いつ私が人の心を弄んだというのか。

妹紅の気持ちを汲んでいるからこそ、こうして私が彼女を好きになる機会を与えているというのに。

 

しかし今この状況を自分でどうにかできそうにないのは確かだ。

誰かにアドバイスをもらう必要がある。恋愛相談…誰にすべきか…。

 

「はぁ。思えば酷だったかな。恋愛経験の乏しそうな永琳に恋愛相談なんて」

 

「何か言った?」

 

わざわざ戻って来た。

 

「すみません、何でもないです」




会話文が多すぎて読みづらひ
お兄さんゆるして
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