ぐーやんでござるよ   作:ヤングコーン

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まあ大丈夫でしょ(震え声)


13話 運命の日、ゲーム筐体の稼働

ゲームが完成し、いよいよ稼働が明日からになった。私のフィードバックもどれほど役に立ったか分からないが…今は祈る事ぐらいしかできない。不安もあるが、私もゲームをプレイしたり開発事情に頭を突っ込んだり、何だかんだ楽しんでたと思ってる。

 

後は売上か…。ダメだったら観念して永琳に謝ろう。

 

今日は早く寝ようかと思ったけど、興奮して寝付けない。

 

こんな時に限って妹紅がやって来たりしない。

しばらく横になってぼんやりしていたが…。

 

「妹紅でもからかいに行くか」

 

思い立ったが吉日、私は寝床を抜け出して妹紅を探しに迷いの竹林にでかけた。

 

手には香霖堂で買ったダウジングロッド。これがあれば見つけられるはず。

 

寝ていたら起きるまで隣にいて朝のドッキリを仕掛けるとか、あるいは顔に落書きをしてみたりとか…何をしようか考えながらわくわくしていた。

 

「何やってるんだこんな時間に」

 

声が聞こえた。妹紅だ。

 

「ちぇっ、寝てる所をお邪魔しようと思ったのに」

 

「…こういう時間に迷い込む奴もたまにいるんだ。後半時もすれば寝るつもりでいたんだがな」

 

出直すので今すぐに寝る様にと説得したが、断られた。

愛する者に起こしてもらいたくはないかと尋ねたが、お前はそんなロマンチストじゃないと言い切られてしまった。

 

こんな所で立ち話もなんだし、かといって寝静まった永遠亭で話す訳にもいかず、とりあえず地霊温泉にでも出かけながらお喋りをする事にした。

 

真夜中に空いてる店ってありがたい。

 

「それで、何で私に会いに来たんだ?」

 

「別に用事なんてないよ。寝付けないから構って欲しかっただけ」

 

妹紅が急に噴き出した。何がおかしいのか聞くが謝るだけで答えてくれなかった。

 

私は最近の事を話した。大まかな所は端折って、にとりのためにプレイしてたゲームの筐体が明日から稼働するとかそんな話。そういうデジタルな話に疎いので、説明には少し手間がかかった。

 

それでも私の話を面倒がらずにちゃんと聞いてくれてるのは嬉しかった。

 

妹紅も最近の事を話してくれた。

 

私との関係の事で思い悩んでいると、こいしがいつの間にか隣にいて相談に乗ってくれたとか。その時の奇妙奇天烈なやり取りとか、面白おかしく聞かせてくれた。

 

「あの構ってちゃんも困ったものねえ」

 

「お前も言うほど変わらないだろ」

 

妹紅はそう言って笑う。何だか腹が立ったので腕を叩いた。

 

それにしても、前みたいに会話が途切れる事がなくなった。慣れ親しんだ友達の様に話している。

 

「前みたいにドギマギしてる妹紅も新鮮で良かったんだけどな」

 

「意識が変わったんだよ。お前への気持ちも変わらないし、今でも好きになって欲しいけど…変に取り繕う事もないんだなって思って」

 

やはり自然体が一番だ。

 

話は一度そこで途切れて、お互いに月の光に照らされてわずかに見える風景を眺めて歩く。風がほんのりひんやりしてて気持ちがいい。

 

「なあ妹紅、笑わずに聞いて欲しい。恋って言うのは…どういう状態なんだ?」

 

「どういう…」

 

…いつも誰かが私に好意を向けてくれていた。だから誰かに恋心を抱かれるのには慣れた。

でも、私は?分からない。周りがそれに悩んでも、自分にはその気持ちが分からない。

 

愛と言うのは分かる。私が永遠亭の皆、幻想郷に抱いている気持ちだ。

とても大切な物で、無くすときっと切ない。家族のようなものだ。

 

恋と言うのは?

 

「そうだな。一緒にいると少し緊張するけど幸せって感じるんだ。別れると緊張感はなくなるけど…とても切ない。また会いたくなるんだ」

 

「愛とどう違うのか分からない」

 

「恋は実と成熟して愛になる。果実みたいにね。まだまだ青いけどとても刺激的。愛に代わると刺激がなくなって物足りなくなる事もあるけど、一緒にいると安心感に包まれるんだ」

 

「ふうん…」

 

ちょっと体験してみたい。恋ってどんなだろう。言葉で聞いても分からない事だらけだ。

妹紅みたいに、好きな人を前に言葉がでなくなったり…緊張したり…。

 

それを体験できるって羨ましい。

 

「私には恋と言うのが分からないんだ。誰かがそういう話で盛り上がると少し羨ましいって思う。情報として理解する事は出来ても、感覚に共感したりできないんだ」

 

「本当なら、それをお前に体験させられたら…いいんだろうけどな」

 

妹紅は自虐的に笑った。

 

「…私も努力してみる」

 

「え?」

 

「受動的じゃ駄目だ。能動的に、妹紅の事が好きになれる様に頑張ってみる」

 

妹紅はしばらく困った様な顔で頬を掻いていたが、頷いた。

 

「私達が手を取り合えばきっとできる」

 

そう言って私に手を差し伸べる妹紅。そうだ、もっと恋人しよう。

私は彼女の手を握って地霊温泉に向かう。

 

もっとも、今日の夜は清掃中で解散になってしまったが。

 

それでも帰り道はお互いに笑いあっていた。

 

 

 

 

昨日は夜遅くに寝たのに、朝は早く目が覚めた。

今日は待ちに待ったゲームの筐体の稼働日。

 

人間の里からそれなりに離れているというのに、それでも行列ができるほどに人だかりができていた。

 

案内された別室から見るにゲームの筐体は取り敢えず10台設置されている。

他の店舗に設置している物も後々に稼働する予定らしく合計30台はあるらしい。

 

数の多さから連コインは禁止されている。

 

若人ばかりかと思いきや、割と高齢者の方も来ていた。

中年層はあまり見ない。ふむ…。

 

室内にはゲームの音と両替機の音が騒がしく響き渡っている。

 

にとりはその様子を腕を組んで眺めていた。

予想以上の客入りにもっと喜んでても良さそうなのだが、彼女の表情は渋い。

 

私なんてガッツポーズしたくてうずうずしている。

 

「凄い数だ…。この調子なら製作費もあっという間に…」

 

にとりが言ってくれないので先に私が隣で言った。

 

「しまった…こんな事ならグッズ製作をやっておくんだった…」

 

彼女はそう言いながら親指の爪を噛む。

 

「興味関心をつなぎ留めておくための話題作りが必要ですね。困りました」

 

隣で球磨も頭を掻きむしって頭を悩ませる。

 

勝って兜の緒を締めよ。頼もしい限りだ。

私はこれからの事に期待を膨らませた。

 

 

 

 

…結論から言うと大爆死だった。稼働初月で儲けは製作費の半分以下。

半年しても製作費を取り戻すのさえ困難な見通しだとの事だった。

 

月末はにとりが浮かんだまま川を下っていた様子が撮影され新聞の記事になった。

見出しに『河童の川流れ』と書かれ大変怒っていたが…知名度が上がったのとゲームの売り上げにつながった様で今ではネタにしてる。商魂逞しいな。

 

ゲームそのものの評価は非常に高い。クリア後もプレイしに来るお客さんも多い。

なのに製作費すら回収できなかった。悲しい。

 

何とか作った金を返して回ってるらしいが、私は断った。レミリアも断ったらしい。

 

永琳に土下座して謝罪したが、次から相談する事だけ念を押され許してもらえた。

そもそも永遠亭の総資産的に私の貸した金は大した額ではないと言っていた。

 

しかし、ゲームに関しては悪い事ばかりじゃなかった。

 

その人気からグッズなどの製作に関して有償でライセンス許可を求める声がかかったり、売り上げから他のゲームが出せないという事情から金の贈与の話が上がったり…。

 

にとり雑貨店は厳しい経営状況だが、光明が全く見えないわけでもないようだ。

 

あれからも、にとりが私を訪ねる事がしばしばあって相談をして来る。

永琳の判断でこれ以上の出資はできないが、それでも頼ってくれるのは満更でもなかった。

今回のゲームを機に手を切るつもりでいたが…←

 

遠くないうちに投資家を相手にプレゼンテーションをするらしい。

そのうえで次に出すゲームの方針についての相談が来た。

 

現存のゲームの筐体に別のゲームを入れるらしい。

 

ゲーム筐体を使った売り上げの伸び下がりの参考データが手に入ったので次はこれを参考に用意する台数や予算などをしっかり組み直すらしい。

 

その上で請負人(???)である射命丸に月の民である開発部とのリモート会議の相談をしに行ったりしていた。

 

まだまだこれからも忙しくなりそうだ。




ルロイ・アンダーソンって人が作曲したThe Typewriterって曲いいよね。

経済とか経営とかまるで分からないから、ネットで調べた知識を元に計算したんだけど今書いてる話の幻想郷の通電状況と規模についてもっと考えてからこの話を書くべきだったと思う←

人件費だけで凄い額になった。うん。

時給、開発期間、設置台数、1台当たりの儲け、具体的なデータがないから脳内で無い知能を絞って計算の内容をSNSに投稿し続けたら「君なんの小説書いてるんだっけ」って返信が来た。ごめん、自分にも良く分からなくなって来た。

何でロクな知識もないのにこんな話書いてるんだろうと思ってたけど、よく考えたら前の小説でも地熱発電の話とか、日本大使館の事とか調べてた。路線が迷子になってる。

あたしって、ほんとバカ
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