ぐーやんでござるよ   作:ヤングコーン

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してやられた。


4話 デュクシwwデュクシww風邪を引いたでござるwwwwww

「待たせたかな」

 

「今さっき来たばかり」

 

私はにとりと合流して喫茶店に向かった。

おしゃれな場所だ。場の雰囲気、香り。

 

まさかこんな穴場があるとは。

 

窓の見える席に座ると、にとりは近くのウォーターサーバーから水を汲んで持って来た。

 

「店員が来るのはもう少し時間かかると思う。だからそれまで待ってて」

 

「うん?そう、わかった。それで今日の話なんだけど…」

 

私達が来る頃には既にこの店は開いていた。

開店してる以上は店側の準備は万全なはずなのだが、来るのに時間がかかるとは?

 

まぁいいか。ここで目的の話さえできれば。

 

私は手短に本題に切り出した。射命丸から渡されたゲームのアプリの話をする。

もしかしてテストプレイに渡されたこのゲームがにとりが販売する予定のゲームなんじゃないかと言う話だ。

 

見せられたものを見て彼女は頭を掻く。

 

「あー、んー…っとねぇ…。うん。まぁ…そうなんだが…」

 

「射命丸の話だとデジタルゲームに慣れてもらうために販売したゲームの発売からそれなりに経つみたいだけど進捗はどうなの?」

 

「んー……。はあ、そうなんだ。実際予定より遅れてるんだ」

 

しばらく頭を掻いていたが、やがて諦めたように言った。

 

彼女の話だとゲームの販売はにとりが行うが開発は烏天狗が請け負ってるらしい。

それで幾度となく連絡を取り合ってるものの、進んでる様子がないと。

 

私のアプリを見せてようやく現状を把握できたぐらいらしい。

 

「やっぱり烏天狗を頼るべきじゃなかったか…」

 

にとりはため息をつく。

 

私はとりあえずこの間やった横スクロールゲームを起動してにとりにさせる。

難しい顔をしていたが、時折頷いていた。

 

1回コンテニューで今開発されてる所まではクリアした。

 

「まだまだ煮込みが足りないがおよそのベースはできてるじゃないか。何でさっさと完成させない…」

 

「この調子のゲームが後複数同時に開発されてるみたい」

 

複数のアプリを見せる。彼女は親指の爪を噛んだ。

 

そうしていると店のドアが開いた。誰か客が来たようだ。

現れたのは夜雀…最近パンクロックだかなんだかやってるミスティアとか言う奴だ。

 

私達の姿を確認するとあたふたしながら店内に入って行った。

 

「何で厨房に?」

 

「ああ、この喫茶店をやってるのは彼女だよ。この間の台風で彼女の屋台が壊れちゃって…。店をたたむつもりでいた老夫婦がこの店を貸すって言ったんだ」

 

心温まる話だな。前に誰からだったか八目鰻の屋台をやってる夜雀がいるという話は聞いていたが…。

その老夫婦も客だったのだろうか。

 

私はお冷を空にした。

 

「それにしても不用心だな。本当に店員が不在なら店は閉じておくべきなのに」

 

「戸締りは必要ないんだよ。鳥獣伎楽ってバンドやってる事もあって有名だろ?泥棒が出ないか近所の人々が皆見てる。まぁ私からもそれなりのセキリュティは施させてもらったけどね」

 

優しい世界もあったもんだ。

 

しばらくすると注文を伺いにやって来た。私はアイスコーヒーを、にとりはホットコーヒーを頼んだ。

エプロン姿が似合っている。

 

ビジネスの話はとにかく開発部の烏天狗をどうにかしないと進みそうにないという事だった。

場所は射命丸が話さないらしく直接聞き出すのは困難との事。

 

私にできるのはさっさとゲームをプレイしてそのフィードバックを送り制作方針を固めてもらう事ぐらいだろうか。今は焦っても仕方がない。

 

それから仕事の話を終えると雑談に耽った。

 

日が傾き始めた頃、私は永遠亭に戻る事にした。にとりとミスティアに別れの挨拶をしてから帰る。

また来たいなこの喫茶店。次は知り合いを連れて来るのもいいかもしれない。

 

ただ一つ頂けないのは、この喫茶店の名前だろうか。

喫茶・鳥々発嘴(ちょうちょうはっし)…。丁々発止とかけているのだろうが、喫茶店にこの名前はいかがなものか。

 

そんな事を気にしながら家路を急いだ。

 

 

 

 

久しぶりに色々話したり動いたりしたので疲れた。

食事や風呂を済ませ自室に戻る。

 

部屋には妹紅が布団を敷いて寝ていた。

 

「まだいたのか…」

 

確かにゆっくり安静にしていろとか言ったつもりだったが、あのまま私の部屋にいるとは思わなんだ。

彼女は静かに寝息を立てている。月明かりに照らされ彼女の横顔がはっきり見える。

 

音を立てないようにベッドまで移動するつもりだったが、パチリと目を開くと彼女は起きた。

 

「ん…帰ったのか。お前の帰りが遅いものでいつまでこうしていればいいやら分からなくてな」

 

「寝台なんて沢山あるんだし、まさか私の部屋で寝てるとは思わなかったよ」

 

「他が忙しそうにドタバタしてたから、一番落ち着いて寝られるのがお前の部屋だけだたったんだ。気を悪くしたか?」

 

「別に」

 

何だかもう眠くて仕方がない。私はベッドに潜った。

彼女は大きな欠伸をしてからこっちを向いた。

 

「慧音が来た。お見舞いだとか。お前に会ったとも言っていたぞ」

 

「お前の事を心配してたからな。あまり心配かけてやるな」

 

私は彼女に背中を向けて寝る。

 

後ろの方で布団をたたむ音が聞こえる。

 

「1日ぐらい泊まって行けばいいのに。また風邪をぶり返すよ」

 

「今日はずっと寝ていたからな。じっとしてられないんだ」

 

落ち着きのない奴。私に別れを告げると、さっさと飛び去って行った。

 

私は今後についてぼんやり考えながら眠りについた。

後日、たたまれた布団の中から私に宛てたお礼の言葉を綴った手紙が置いてあった。

 

 

 

 

「デュクシwwデュクシww風邪を引いたでござるwwwwww」

 

私はくしゃみをしながら起きた。妖怪赤もんぺに風邪をうつされた。

くそ、丁寧に置手紙と置き土産していきやがって。

 

あぁ…頭痛い。

 

長引きそうな予感がするな。これはしんどい。

私は卓上ベルを鳴らして永琳を呼んだ。

 

「何?」

 

「赤もんぺに風邪を移された。長引きそうだから自殺する。拳銃貸して」

 

「輝夜が藤原みたいな事言いだした…」

 

「やっぱり寝て治す」

 

永琳はため息をついた。それから診察してくれた。

ちょっと厄介な風邪にかかってしまってるらしい。

 

それこそデスベホマした方が早い気がするが、妹紅と同じってのは納得が行かない。

 

卓上ベルで呼べば近くの人が世話してくれるらしい。

今の所そんなにきつくないし…過保護な気もするが。

 

感染する事を踏まえるとスペース・タクティカルをプレイするためにゲーム部屋には行けない。

この部屋でできる事と言えばテストプレイに付き合う事ぐらいか。

 

私は早速とゲームアプリを起動する。

今度はターン制コマンドRPGゲームだ。絵柄が時代を先取りし過ぎている事に関しては更新されてない。まあいいか。時代が追い付けばいいと考えているのかもしれない。

 

ゲームバランスはシビアだ。戦略を組まねば容易に勝てない。

 

「ふむ……」

 

思う所はないでもないがフィードバックを送るのはまだ後にしよう。

グラフィックもBGMも悪くない。だが…。

 

ピコーン!

 

射命丸から連絡が来た。何だろう。

 

『今、月の民の間で流行してるアプリのDLリンクを見つけました。送るのでテストプレイの参考にしてくれませんか?』

 

「ちょっと待って、どこから情報を仕入れたの」

 

『すみません、守秘義務があるのでお答えできません』

 

…開発部の事、にとりも聞き出せないと言っていたな。

下手に聞いても煙に巻かれるだけだろう。

 

私は送られてきたリンク先からアプリをダウンロードする。

向こうの流行りねぇ…。

 

開くと画面には当たり障りのないフリー素材で作られた様な絵が映る。

ゲームに映し出された色気のないUI。オプションもなくゲームスタートと終了しかない。

 

なんだこれは…。

 

タイトルはダストシュートだった。清掃員になった主人公が町のゴミを集めるゲームだ。

制限時間以内に一定のスコアを出さないとゲームオーバーになるもの。

 

コツをつかまないと、タイムオーバーになったり通行人とぶつかって叱られたりと難易度はそれなりに高い。

 

ゲームオーバーになってもリトライが早く何度もプレイしてしまいそうなリピート性がある。

ちょっとダサいが熱くなれる8bit音楽も中毒性がある。

 

初めは乗り気じゃなかったが、かれこれ3時間は遊んだ。

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