快晴の空の下、此処東京競バ場には16人のウマ娘が待機している。
ジャパンカップ、日本最高峰のレースの1つが今日開催される。
そこにはキタサンブラックの姿が。
あれから1ヶ月近く。
中山による拷問と思えるトレーニングと、2人の協力によりこの地へと降り立つ。
参加する馬の中には有名なチームのメンバーが居た。
テイエムオペラオー
ミホノブルボン
先行と差しを得意とする怪物テイエムオペラオー。
そして逃げで走り去るミホノブルボン。
この2人はまさにサジタリウスの2人と似た脚をしている。
2人を越えるための仮想敵としてピッタリだ。
キタサンブラックは1つ邪な考えを持ってしまった。
2人と訓練していく内に、この2人を倒して1番になりたいとだ。
「青々とした空の下、ジャパンカップの日が訪れました
1番人気は8番ミホノブルボン」
「落ち着いて出走を待ってますよ」
「2番人気、9番テイエムオペラオー
素晴らしい仕上がりです」
「その通りですね
これは荒れそうです」
「4番ホワイトキャンディ
3番人気です」
「彼女の仕上がりも良いですね、これは1着を狙えますよ」
実況からすれば背伸びをした出走と思われているからか、それとも違う理由か。
キタサンブラックの人気は奮いはしなかった。
今回は出ているウマ娘が軒並み有名なので仕方無いのだが、これはあんまりだ。
「さて、2人はどう思う?」
「上位には食い込むわね」
「だな」
「……何でだ?」
観客席で眺めている3人はそんな会話をしている。
キタサンブラックが勝つか負けるか、間近で見ていた2人はより詳しく解る。
「場慣れよ」
「場馴れだな」
「そっか…」
その場の空気に飲まれてしまえば負けだ。
特に誰よりも速く前にでなければいけない逃げウマは一瞬の遅れが命取りだ。
2人と戦ってたからとんでもない遅れはしないだろうが、流石に相手が相手だし「勝てる」と簡単には言ってくれない。
紹介が終わりゲートインしていくウマ娘達。
ファンファーレが鳴り、より集中力が高まっていく。
そして開くゲート、一斉に駆け出すウマ娘達。
「スタートです
各ウマ娘揃って綺麗なスタート
先頭に出てきたのはミホノブルボン
続いてサイドカー、キンイロモミジ
2馬身後ろにはキタサンブラック、エアフォース、コードレス
その後ろにはテイエムオペラオー、グリーンワンダー、カップリングヒールと続いている」
出だしが不味かった、僅かに遅れたせいで先頭を獲られてしまった。
これは危険だと思い中山は何かを言おうとするが、それを止められてしまう。
「ブラックなら出来るわ」
「あぁ、それに見てみろよ…囲まれてないし抜け出しやすい位置だ
悪くないぜ」
「そりゃ…そうだけど相手はブルボンだぞ
普通の戦略で勝てるかどうか…」
「そうだけど、ブラックの相手は普通だったかしら?
彼女だって2人の実力を知ってる上で彼処を選んだのよ、最終コーナーが分かれ目よ」
恐らく今回選んだ戦法は先行だろうか。
先行とは前の方で脚を貯めつつ最後で爆発させる戦法だ。
今の主流ではあるが、やはりこれにも弱点は有る。
考えてほしい、2000mを常に前の方に居て最後の最後で更に加速して追い抜くのだ。
スタミナと筋力が確りと有り、更にスピードを維持できるかが分かれ目なのだ。
極端に振り切っている2人からしたら選ぶことの出来ない戦法。
だが、敢えてそれを選んだキタサンブラック。
何とか順位を維持しては居るが、徐々に詰められていく差。
気付けばテイエムオペラオーがすぐそばに来ていた。
「不味いぞあれは!?」
「まだ大丈夫よ」
「おう、まだ平気だな」
相手がそばに来ればその分プレッシャーも掛かる。
それを避けたいと思っていた中山は今の状況が非常に危険だと思い慌てるのだが、2人は平然と眺めていた。
確かにテイエムオペラオーのプレッシャーは凄いが、事プレッシャーを掛ける事に定評の有る面子が鍛えたのだ。
取り乱さずに丁寧に己の走りを続けるキタサンブラック。
「ほらな」
「あんなに鍛えたのだから平気よ」
「心臓に悪いな」
そこからは徐々に順位を上げていくテイエムオペラオーと、兎に角離そうと走るミホノブルボンの世界だった。
飲まれていく他のウマ娘達。
そして最終コーナーをカーブした時だった。
「最終コーナーをカーブ
先頭は変わらずミホノブルボン
おっと、テイエムオペラオーが距離を詰めてきた!
抜けるのかテイエムオペラオー!
っ!?
速い速いぞキタサンブラック!」
「なに!?」
先程までテイエムオペラオーの3馬身後ろに居たはずのキタサンブラックが横に並んでいた。
気付けば3人が並び先頭争いを始めている。
後のウマ娘達はあまりの差に勝つのを諦めている空気が漂っている。
これは仕方無い、7馬身も離されればそうなってしまう。
「ぐ!」
「負けません」
「私だって負けられない!」
脚をどんどんと早めていく3人。
気付けばゴールしていた。
最後の最後までもつれ込んでしまった勝負、そして電光掲示板に映された順位…
「…嘘だろ」
「あら」
「あっちゃー…」
1着2番
2着8番
3着9番
全てがハナ差と言うギリギリの勝負だった。
「勝ったのはキタサンブラック!
ギリギリの勝負を制しました!」
「っしゃー!!!」
「ふふ…」
「俺達が鍛えて負けるかよ」
確かに勝利した、だがキタサンブラックの課題は勝利する事では無いのを覚えているだろうか。
それを思い出して時計を確認するキタサンブラックと中山。
タイムは2.22.5
記録の更新は出来なかった。
「さて」
「これは」
「「お仕置きだ」」
「ちょっ!?お前等本気か!?」
笑顔で立ち上がる2人を見て慌てる中山。
2人の手には何故か巨大なケーキと「ビックリするほどユートピア」と書かれたシャツが握られている。
素晴らしい勝利なのに遊ぼうとする2人を止めたいが出来なかった中山。
次の日の新聞には大きくこう書かれていた。
「奇跡の勝利キタサンブラック!
突如として巨大ケーキを持ち込んだイットーショーとダサいTシャツを着せるホクオウガンバル
仲間からの手厚い歓迎を受けるのだった!」
レースを書くのは難しいですね。
もっと暴れますか?
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やれよ男だろ!
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止めておけ
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これが暴れてるって温いだろ
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やるならとことん貫けよもっと行けよ!
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キタちゃん大丈夫?
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座布団全部持って行きなさい