有馬見に行った時にスゴイ尻尾フリフリして可愛い馬が居てそれにかなり賭けて周りに笑われたのですが、その子が勝っちゃって「嘘だろ…」なんて言われました
うん、可愛いは正義!そして正義は勝つ!
つまり可愛いは勝つ!
有馬記念も終わり、ビッグレースが少なくなる今日この頃。
問題児であるイットーショーも少しつまらなさそうに授業を受けるなんて奇妙な光景が目につく。
そんな時に響いてくる放送時のあの音。
だが、真面目な生徒+αはあまり興味が無さそうだった。
『中山トレーナー、中山トレーナー
至急理事長室までお越しください
繰り返します──』
(やっぱりね…少し早いけどそうなるわよね)
1人勝手に納得しているイットーショー。
それから視線を外そう。
場所は理事長室、其処には2人の女性が並んでいた。
緑の服と帽子が特徴的な女性【駿川たづな】
もう1人は高校生か中学生くらいの茶色いロングヘアーが特徴的な娘。
彼女こそこのトレセン学園の理事長である【秋川やよい】だ。
「なんでしょうか?」
「歓迎ッ!
よく来てくれた!」
「は、はぁ…」
このテンションに着いていけないからか生返事しか出来ない中山。
それにはたづなも苦笑いしか浮かばない。
「喜悦ッ!
アメリカのトレーナー学校からスカウトが来ている
君はそれを受けるか?」
「はぁ!?
は、話が急すぎて少し理解が追い付かないのですが?」
「失礼ッ!
君の担当したウマ娘3人の成績を見てアメリカのトレーナー学校が君を留学生として迎えたいと言っているのだ」
「あ~…は?
はぁ!?!?!?」
言葉の節々に焦りと喜びと困惑の3色が強く、代わりにたづなが説明をしてくれる。
「実はイットーショーさんの無敗とホクオウガンバルさんの快勝、キタサンブラックさんのジャパンカップと有馬記念の勝利を見て海外の学園が留学しないかと打診してくださったのです」
「そうなると自分は?」
「所属はトレセン学園のままですが…」
その後は口に出来ないたづな。
最悪の結果が待っているからだ。
「…自分はそれを受ける資格はありません」
「疑問
何故だ?君の担当したウマ娘は皆素晴らしいのに」
「それは3人が凄いからです
正直言って、自分は下心だけで此処に来ました
そんな輩が行っては恥にしかなりません」
アメリカのトレーナー学校と言えば世界最高峰の設備が整っている聖地と呼ぶに相応しい場所だ。
3人におんぶにだっこで此処までこれた自分が行くのは日本の恥にしかならない、そう時間を掛けて説明をしていく。
だが、理事長は一向に理解してくれないのだ。
「事実
確かに彼女達は優秀だ、それは私達皆が理解している
だが、もし君以外が担当していてもこの結果は残せたか?」
「はい」
「否定ッ!
君でなければ無かった!
彼女達は君だからこそ信じて走り続けた!
イットーショーの走りは体への負荷が大きい、だから君は彼女のメニューを負荷の掛かりにくい基礎的な物で組んだ
ホクオウガンバルは追い故に見極める目が必要だ、だから君は様々なシチュエーションでの訓練を重要視した
キタサンブラックは最後の最後での粘りが弱かった、だから模擬戦で粘れる気迫を育てた
そんな信頼出来るトレーナー…いや、パートナーだからこそ彼女達は信じてきたのだ!」
ウマ娘にとって…いや馬にとって優秀なトレーナーや優秀なジョッキーよりも安心して背中を預けれる方が何倍も大事だ。
少し史実に触れるとすれば信頼出来るパートナーが乗った馬と違う馬では雲泥の差が出てしまう。
それは3人も一緒だ。
もしイットーショーに二階堂が乗らなかったらあの無敗伝説はあり得なかった、ホクオウガンバルに人見が乗らなければ伝説のレースはあり得なかった。
キタサンブラックに彼が乗らなければこんなにも愛されなかった、全てが自分が惚れ込んだ相棒が居たからこうなれたのだ。
「俯瞰ッ!
君は君の思う以上に評価されている
でなければこうはなっていない」
「だとしても何故自分がなのですか
沖野先輩とか他にも選ぶべき人が居るでしょう!」
「肯定ッ!
しかし彼等には無いものが君は持っている、解るだろう」
答えられなかった、解っては居るのだがそれが最低最悪の物だからだ。
さて質問だ、正規のトレーナーである皆が持ってなくて中山の持っている物とは何だろうか。
どこの組織に属していてもそれは重宝される。
此処まで言えば解るだろう。
「若さですか」
「正解ッ!
その通りだ、すまないが皆は既に三十路を迎えてしまうか越えた者ばかりだ
だが君はどうだ?まだ20代、これから先何人ものウマ娘を育てていく者だ
此処からは個人的な見解なのだが、アメリカのトレーナー学校は君を囲おうとしている
無敗と快勝、その2つだけで最高の逸材と呼べるのに付け加えて育成能力も高い」
「手元に置いて管理したい…ですか」
中山の言い方は悪いがこれは悪い話ではない。
給料だって上がるし現地で最新のトレーニング機器を使い最高のウマ娘を育てられる。
トレーナーとしてこれ程嬉しい誘いは無いが何処か燻る中山。
イットーショーなんて迷惑ばかりで頭を抱えてしまう。
ガンバルはトレーニング中に急にメモして何か訳の解らない事を言ってくる。
ブラックは…奇行は無いが負けず嫌い過ぎて何度も何度も模擬戦をしてくる。
だが全員が最高の逸材だ。
それに、こんなに長く付き合うと愛着は沸いてしまう。
「……」
「中山さん、これからどうするのかは御自分で選んでください」
「……はい」
たづなの言葉に力無く応え理事長室から去っていく。
これからどうするべきか、解らなくなり部屋に帰ると電話をかけていた。
『はい中山です』
「おかんか?源八じゃけど今ええ?」
『なんよ源八かいな、ほな皆居るしフリハンしとくわ』
『お、源ちゃんどないしたの?』
『お兄、ウチも源と話したいから代わり』
「姉ちゃんも居るん!?」
『皆言うたよ
春日も夏見も秋音も冬花も居る』
「一兄とか二兄とかだけやと思っとった」
中山の家族構成はかなり面倒なのだが説明しよう。
先ほど言った一兄こと一弥と二兄こと二郎が実家の農業を継いでおり、他の皆は他県に行っているのだ。
なので最初の母親が言っていた皆が居るはその2人とその嫁である2人と子供6人だけと思っていたが、まさかそれ以外も居るとは思って無かったのだ。
『源八、この間イットー来たぞ』
「ね、姉ちゃん…」
『で、ヤったのか?』
「ヤるかボケ!!!」
思わず激しくツッコミを入れてしまうがそれを笑って流す家族達。
これはもはや挨拶みたいな物だ。
「実はな相談があるんよ」
『…言うてみ』
一つ一つ有ったことを説明していく中山。
全部を説明するといつの間にか自分が泣いている事に気付いた。
別れるのが寂しいのか、はたまた更に上に行けるのが嬉しいのか解らない。
『源八、お前答えが決まってるんだろ』
「そんな訳無いだろ、どうすれば良いか解らないから相談に───」
そんな時、姉であるナカヤマフェスタはため息を大きく吐いた。
こう言うときはだいたいお説教が始まるからか身構えてしまう。
『源、お前は昔から答えが決まってるのに後押しが欲しいからって甘えてくる
そりゃ、皆のせいだけどお前が決めたんならやれ
てか、イットーでもガンバでもブラックにでも告白してフラれて後腐れ無く行けバカ』
「ね、姉ちゃん?」
『姉ちゃん舐めるなよ、お前があの3人に惚れ込んでる位知ってるっての
じゃないと悩まない』
ぐうの音も出ない正論だ。
容姿は省くとして、皆が皆一生懸命の生き方をしている。
それに惚れない人物が居るのか、それは断言出来ない。
「お、俺…」
『何がしたいか、どうしたいか、そろそろ1人で考えてやってみろ
俺等の母ちゃんなめるなよ、犯罪以外だったら笑って流してくれるさ』
大笑いしてそう言うのは父親である中山郷三郎。
頼もしいし嬉しい。
「おとん、ありがとう
気持ちは決まった」
『なら良かった
次帰ってくるときは3人の写真が土産だな』
酔っているのか「ギハハ」なんて安定してない笑いをしているのだが、落ち着いてしまう。
電話を切ろうとした時だ…
『源』『源ちゃん』『源八』
「どうしたの姉ちゃん達?」
『家はウマ娘に惚れてうまぴょいしての家系なんだから、本気ならしてこい!』
「はぁ!?」
早速しでかす皆。
ちなみに中山家の女性は殆どがウマ娘で、末の妹はナカヤマフェスタと言う名前で活躍中。
他の姉も『オータムフリーランス』や『ウィンタートロフィー』とか『スプリングコーン』なんて名前で活動していた。
まぁ、戦績はお察しなのだが。
『アタシ達の旦那は皆トレーナーだったし、ウマ娘とトレーナーが結婚するってのは当たり前っての
んじゃ、頑張って玉砕してこい若者!』
「ちょ!?春姉!」
笑いながら切られてしまう電話。
バカ騒ぎする家族のお陰で決心し、明日の…いや皆の目標を達成したら告げると決心する中山だった。
ナカヤマフェスタ
ギリギリの勝負ってか、ギリギリが大好きなウマ娘
ちなみに感想でバレてましたが中山トレーナーのお姉さんの一人が彼女でした
中山郷三郎
中山家の家長で滅茶苦茶笑う人
嫁の名前は…出てないウマ娘ですので
流石にあれは出せませんね(批判が凄そうなので)
中山家
結婚相手がほぼウマ娘って奇跡の家系
兄も嫁がウマ娘だったなんてと知り源八ビックリ
もっと暴れますか?
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やれよ男だろ!
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止めておけ
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これが暴れてるって温いだろ
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やるならとことん貫けよもっと行けよ!
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キタちゃん大丈夫?
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座布団全部持って行きなさい