前に聞かれて書いた方が良いかと悩んだのですよね、これ。
これは何時の話だろうか。
ある日突然、自分の半身が無くなった。
名前はイットーショー、公式では無敗なのに行動がおかしく1番人気を得ることが無かった馬。
「オークスの目玉はなんと言ってもヴィクトーリア
あのメジロの血統で快勝を記録、今回の仕上がりも良く距離は有っている
単の頭で買うのが良いだろう」
自室でパソコンを使い文章を書いているのは、かつてイットーショーに乗っていた男。
彼は死後すぐに引退を決意した。
あの後、何頭か乗り確りと勝ち星を挙げるも「違う」とだけ言い残しその少し後に引退したのだ。
そんな彼は今…
「ウマ娘? ん~随分と変なのが出たな」
仕事の都合でスマホゲームのレビューを書かされていた。
ウマ娘
史実の名馬達を使い、それを汚すこと無く歩んでいるゲーム。
それに付け加えるとスペシャルウィーク対ゴールドシップなんてあり得ない競争を楽しめる1つのシュミレーターだ。
もしアグネスタキオンとイットーショーが戦ったらどっちが勝つのか。
もしスペシャルウィークと戦ったらどうなるのか、一瞬ではあるが相棒の事を思いだし下らないと笑う二階堂。
イットーショーは名前こそ一等賞だが一度も一等賞にはなれなかった。
人気とは無情で、落ち着かなく奇行が目立つ馬を買うわけがない。
イットーショーと自分は1度たりとも1番人気の栄誉を受けたことが無いのだ。
それを思い出してしまい「クスリ」と笑ってしまう。
「随分と長いな」
インストール後のダウンロード画面を見て呟く二階堂。
仕方ないと暇潰しに今日のダービーを見ていた。
流石だ、此処で駆け抜けるなんて一流だ。
どれもこれもが輝いて見えるが、もしイットーショーならなんて考えてしまいついに吹き出してしまった。
馬に惚れに惚れたせいか、半身を失い辞めてしまった馬鹿野郎なんて居ないだろ。
その笑いは自笑が色濃く見える。
スマホの画面が代わりダウンロードが終了したと知らせると、逃げるように其方を見てしまう。
辛い、あの華やかな舞台にもしかしたら自分が居たかも知れないと考えると逃げたいのだ。
「へぇ、最初はガチャ沢山回せるんだ
それに最近のは動きが凄いな」
ガチャの説明は省く。
二階堂の最後のゲームはPlayStati○n2辺りで止まっており、此処まで動くのは初めての体験だ。
彼は軽く操作しガチャページを開くと10連を押してみる。
どうせ最近のゲームは最高なんて出さないだろ、商業的にはおかしくない。
冷めた目で画面を眺める。
アグネスタキオン、ウイニングチケット、スーパークリーク、ダイワスカーレット、サクラバクシンオー
どれもこれも名馬じゃないか
ハルウララ?
こんな馬まで居るのか!?
二階堂は思わずクスリとしてしまう。
ハルウララは残念だが名馬と言うよりは迷馬の方が近い馬、まさかそんなのが居るとは思わなかった。
そして最後、二階堂は運命を感じてしまった。
『特別に最高で最悪の悪夢をあげるわ』
最高レアのキャラ。
それだけなら嬉しいだけなのだが、そのキャラが問題だ。
馴染みの栗色の髪に勝ち気な目付き、ただ人をおちょくり悪夢を届ける彼奴だ。
「イットーショー……」
解らない。
嬉しいのか悲しいのか、それとも来てくれて…いや再会出来たのが喜ばしいのか涙を流していた。
『好きな物?
楽しい勝負よ』
「だよな…お前にゃライバルなんて居なかったしな」
画面に擬人化されたイットーショーを配置するとすぐに台詞を聞く二階堂。
それを聞きついつい相槌をしてしまう。
最強の馬
もし誰かと聞かれたら皆は何と答える?
オルフェーヴル?ゴールドシップ?シンボリルドルフ?スーパークリーク?スペシャルウィーク?ディープインパクト?サンバンナガシマ?ヨンバンマツイ?
私の答えを言おう。
全て正解だ、比べられないからそれが強いのだ。
とある掲示板ではルドルフとディープとイットーショーのどっちが強いかで荒れてしまう。
ルドルフは強いが敗けがある、イットーショーは無敗だが同期に名馬が居なかった。
ディープは問題が有った。
世の中にはYES、NOで決められない事も有るのだ。
閑話休題
話を戻そう
二階堂は思わずスマホを握り締め、壁を殴ってしまった。
最高最強の相棒が今、目の前に甦ったのだ。
『名鑑のレベルが上がったのね
よかったわね』
「イットーショー…」
パソコンで調べてみた。
無敗最強のイットーショーを無敗最強で育てたいからだ。
だが、そこに書いてあったのは辛辣な言葉だ。
『イットー無理』『周り強すぎクリア不可能だろ』『これ実装とか頭おかしい』『馬鹿だろ馬だけに』
こう書くのも何だが、イットーショーの目標は全てレース一着。
重課金者でも無い限りクリアは困難なのだ。
「流石だな、そりゃお前は特別だよ」
つい苦笑いを1つ。
コイツは化け物だ、記者を始めて色々な馬を見てきたがどれだけ凄いのか思い知らされる。
お前が最強なんだ。
二階堂はすぐに銀行に行くと貯金を下ろし、コンビニで課金用のカードを購入するとサポートのガチャを回し出した。
全て無敗で最強の相棒の為に、そして再会出来た相棒が誰よりも強く有ってほしいが為にだ。
結果を言うなら、次の号の雑誌の評判は誰よりもプレイヤーの心を掴んだものになった。
二階堂英
イットーショー死後、周りの期待に答えれるかのプレッシャーにより引退を決意。
だが、その後は馬を捨てきれずに雑誌の記者に転向した。
もっと暴れますか?
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やれよ男だろ!
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止めておけ
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これが暴れてるって温いだろ
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やるならとことん貫けよもっと行けよ!
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キタちゃん大丈夫?
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座布団全部持って行きなさい