最愛のあなたが、いない日々   作:おみのSS部屋

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Op.13(終) 壊れた世界

あの日、お兄ちゃんが亡くなった。

そのあと、葬式を済ませて、49日も終わった。

今思えば、私は通夜からずっと泣いていた。

泣きっぱなしだった。

そして、あの日から心を閉ざすようになっていた。

 

「はぁ……」

 

自然とため息がつくことが多かった。

それだけショックだった。

きっと、マネージャーさんも心配してる。

でも、今は少しだけ……そっとしてほしい。

 

わたしは、あの日から数日後、休学届を大学院に出した。

それは、今もずっと、続いている。

でも、わたしはこれからどうしたらいいのか、わからない。

そうしているうちに、心を閉ざしてしまった。

だから、わたしのことはわたしでやるようになってた。

自然と両親とも話す機会が減っていた。

もう、わたしの目の前は真っ暗闇だった。

 

「お兄ちゃん……」

 

わたしは、あの日からずっとお兄ちゃんの写真を大切に保管している。

それは、これから先もお兄ちゃんと過ごした日々を大切にしたいから……

これまではお兄ちゃんがいたことが、すごく嬉しくて、すごく心の支えにもなっていた。

でも、お兄ちゃんがいなくなったら……

何度もわたしのことを助けてくれたお兄ちゃん。そんなお兄ちゃんのことが、わたしはすごく好きだったし、尊敬してた。優しいお兄ちゃんで、いつもそばにいてくれた。

だからなのかもしれない。今こうして、お兄ちゃんがいないというのはすごく寂しい。

こういう時、お兄ちゃんならなんて声をかけるのかな。そんなことばかり考えている。

わたしは今、1人で静かに過ごしている。

親の声にも反応することはほとんどなく、昼夜が逆転している状態になっていた時もあった。

今はそれについては大丈夫だけど、心にできた大きな空洞は、埋まることはなかった。

マネージャーさんも、「今は忙しいから、もしかしたらあまり話せないかも」って言ってた。

マネージャーさんの場合は仕方ないけど……できればいつか来てほしいな……

そんなことを思いながら、カレンダーを見る。

気付けば曜日感覚も狂っていた。

何故ならお兄ちゃんが亡くなってから、何かをすることもなく、時間が過ぎていくから。

無駄って思われるかもしれないけど、そのくらいやる気も、気力もない。

わたし、どうしたらいいの……

そんなことを考えながら、1日が終わる。

そしてまた新しい1日が始まる。

 

チームのみんなにこのことを伝えた方が良かったのかもしれない。でも心配させたくない。

だから、マネージャーさんにも、絢やまほろや莉子にも連絡してない。

わたしは1人でずっと泣いてる。

脱水症状になりそうなくらい。

 

ちらっとカレンダーを見た。

 

「そういえば、もうすぐクリスマス……」

 

今日は12月21日。クリスマスまで1週間切っていた。

去年のクリスマスは、マネージャーさんと過ごした。

今年も一緒に過ごしたいなって思っていた。

でも、今は離れ離れだから、どうしたらいいかわからなくなっていた。

今年のクリスマスはマネージャーさんと一緒に過ごせない。

そんなことを思いながら、わたしは深い眠りについた。

 

 

 

 

ー翌朝ー

 

「んん……」

 

わたしはゆっくりと目を開ける。

すると……

 

どこからか聞こえるピアノの音。

その音は優しくて、柔らかい。

誰が弾いてるのかな?

気になってわたしはリビング向かうと……

 

「……!」

 

ピアノを弾いていたのは、1人の男性だった。

なんだろう。すごく優しくて、柔らかい……。ずっとこの人の演奏を聴いていたい。この人の演奏で……優しい世界に包まれているような気がした。

その男の人が、わたしに気付いた後、わたしにこう言った。

 

「ただいま」

 

その4文字で、わたしは涙が零れ落ちた。

ずっと……聞きたかった……

その低くて、少し優しい、あなたの声を……

気付けばわたしは、その男の人に抱きついていた。

涙を流しながら、その人の温もりを感じていた。

ずっと触れてたい……この温もり……

 

「美晴」

 

優しく、わたしの名前を呼ぶ。

ずっと親しみのある……声……

わたし……もうダメだよ……涙が……止まらないよ……

 

「……ぐすっ……はい」

 

声にならないくらいの、かすかな声だった……

その人には、はっきりと届いているかわからない……

でも、届いてほしかった……

その人は、しっかりと頷いてた。

届いたんだ……わたしの声……

少しだけホッとするわたしがいた。

 

「……会いたかった」

 

ボソッと呟く。

わたしは……この日が来るまで……あなたのことを……待ち続けたのだから……

 

「うん……わたしも……あなたに会いたかった……」

 

もはや声にならないんじゃないかなくらいの声だった。

わたしの壊れた心が、完全に壊れきってしまった。




皆さんこんにちは。おみです。
この度は「最愛のあなたが、いない日々 Op.13」を読んでいただきありがとうございます。
11月2日から49日経った世界線を書きました。間が何もなくて申し訳ないです。会えなくなって、一人ぼっちになってしまった美晴さんの心情も書きたかった気持ちが半分半分くらいです……
さて2021年も残すところ後10日ほどとなりましまが、この小説は続編として続きます。そちらの小説は後日投稿しますのでお楽しみに。
年内に続編は4本投稿するので、そのところもご期待ください。
それでは次回の小説でお会いしましょう。
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