俺は夜峰仁。夜峰美晴の兄だ。
あの日、癌であったことが発覚して、病院に行った。
その時に……
「余命6ヶ月ですね」
と言われた。
その時に僕は、せめて美晴のために何か残してあげたい。そう思っていた。
美晴は今、博多に帰ってきている。
どんな顔をしているのか、すごく不安だった。
そして病棟に……
「お兄ちゃん!」
美晴がやってきた。
「美晴……ごめん……」
「お兄ちゃん……だから無理しないでって……」
美晴は泣いていた。
涙がポロポロと流れていた。
美晴は昔からずっとよく泣いていた。特に俺の前では。
だから、こうしている時間さえも懐かしく感じてしまう。
「あ……」
そうだ。美晴はマネージャーと結婚するんだった。その話をしなきゃとふと思いついた。
「美晴、結婚おめでとう。これは僕からのささやかな祝い」
そう言って俺は美晴に封筒を手渡した。
「お兄ちゃん……ありがとう……」
美晴の涙が自然と止まった。
「5年後って約束したみたいだね。本当に聞いた瞬間すごく嬉しかった」
「でも……今式を挙げたいくらいだよ……」
「俺は、思いが2人に届いてたら何もいらない。だから……」
おっとこれ以上は言わないでおこう。
「だから……?」
「だから……5年後に式をやって。今やる必要はないと思う。美晴も大学院生だし、相手も大学生なんでしょ?だったら本業を優先させないとね」
「うん……わかった……」
美晴の前で決して「幸せ」というワードは使わないようにしていた。
それは、「幸せ」という言葉が嫌いとかそういうわけではない。言うタイミングは今ではないと思ったからだ。
「お兄ちゃん……わたし……今がすごく幸せだった……」
「ごめん……こんなことになって…‥だから、今を大切にしてほしい……」
「お兄ちゃんはずっと……優しいお兄ちゃんだよ……」
「当たり前だ」
その意思に変わりはない。
美晴のお兄ちゃんは僕。
マネージャーではない。それは美晴もわかってるし、多分、マネージャーもわかってる。
美晴も、そう思ってくれている。
それが、何より嬉しかったし、心強い。
少しだけ、美晴に元気をもらえたかな……
「じゃあ、お兄ちゃん、わたし……家に帰るね……」
「うん……また来てね」
「必ず行くから……待ってて……」
気付けば、もう夕暮れの時間になってた。
美晴は1人家に戻って行く。
その帰り道が心配になる。
最後に、美晴が部屋を出る前に、一つあることを聞いた。
「あ、美晴」
「なぁに?お兄ちゃん?」
「マネージャーのLINE、教えてくれないか?」
最後に、マネージャーと……やりたいことがある……
美晴を……幸せにするために。
皆さんこんにちは。おみです。
この度は「最愛のあなたがいない日々 Op.2」を読んでいただき、ありがとうございます。
このストーリーのメインとなる美晴さんのお兄ちゃん、仁さんをメインで書きましたがいかがでしたか?
初めてのことだったので不慣れなところもあったりしましたが、上手くかけていたら嬉しいです!
小説では、今後、僕、美晴さん、仁さんの各回が登場してくるので、お楽しみに!
それでは次話もお楽しみに!