デバフの解けたかわいい最強   作:玄武 水滉

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人気だったら続きます。


彼女が話せるようになった日

 

 

 

 伝説。

 

 彼女の前では距離、作戦、コンディションなど関係ない。

 彼女がレースに出ない事。それが唯一勝利できる方法であった。

『覇者』と呼ばれ、トレセン学園最強と言われたウマ娘がいた。

 

 名をヒカリエという。輝くプラチナブロンドに黒目が特徴的な彼女。

 だが、そんな彼女にも欠点があった。

 

 それは、声が出せない事。

 最強の代償とでも言わんばかりに声を奪われた彼女。感謝の言葉も述べる事が出来ない彼女。

 

 そんな彼女の世話を、面倒見の良いマックイーンはしていた。

 いつも通り彼女を起こす為に、ヒカリエの一人部屋に入った。

 

「あら? おはようございます、ヒカリエ」

 

 いつもならば布団の中で寝ている彼女を起こす所から始めるのだが、今日は何故かカーテンを開け、そしてベッドの上で女の子座りをしていた。ボーッと眺める窓の先には何があるというのか。

 声をかけると、くるりとマックイーンの方を向き、そして──

 

「まっくいーん!」

 

「ヒカリエ!? 声が──

 

 ぴょんとベッドを跳ねて、マックイーンに抱きつくヒカリエ。

 余談ではあるが、マックイーンよりもヒカリエの方がずっと大きい。

 

「きゃっ!」

 

 そのまま押し倒し、頬擦りをするヒカリエ。喋れなかったので、オーバーリアクションをする事でコミュニケーションを取っていた彼女。喋れるようになった今も、それは残っていた。

 

「まっくいーん! まっくいーん!」

 

「んぅもう……朝から元気ですわね」

 

 話せるようになったが、舌足らずなヒカリエ。

 彼女の初めて聞く可愛らしい声に、マックイーンの母性が急上昇する。

 そのまま愛でるように「よしよーし」と言いながら頭を撫でた。

 

「では、とりあえずまずトレーナーさんに報告に行きましょうか」

 

「うん!」

 

 笑顔で頷いたヒカリエ。

 変態だと言われなければ、ベッドの中で抱きしめて一緒に寝たいぐらいだった。

 落ち着け、マックイーン。

 

 

 

 ー

 

 

 

 

 

「はぁ!!? ヒカリエがしゃべれるようになったぁああ!????」

 

 トレーナーの絶叫が、他のスピカのメンバーの声と重なる。

 あの学園のトリックスターゴルシちゃんですら声をあげて驚いていた。

 大声に驚いたのか、ぺたんと耳を閉じぷるぷるするヒカリエ。マックイーンの目がぎらりと光った。

 

「うるさいですわトレーナーさん」

 

「すまんすまん……ヒカリエ、本当に話せるようになったのか?」

 

「うん! とれーなー!」

 

「まだ慣れてない感はあるが、それでも本当みたいだな……よし! 今日は休みにしてお祝いパーティーでもするか!!」

 

 ノリがいいのが唯一の取り柄であるトレーナー。

 真面目なマックイーンも今日は祝福するべきだと思い、その提案に乗る。

 

「なぁなぁヒカリエ。俺の名前呼んでくれよ!」

 

「うおっか!」

 

「アタシもアタシも!」

 

「すかーれっと!!」

 

 後ろを向いてダラダラと鼻血を垂らす二人。マックイーンの目がぎらりと光った。

 なんとか垂れる血を抑え、ヒカリエの方を見る二人に──

 

「だいじょうぶ?」

 

「すまんスカーレット……先逝くぜ……」

 

「アタシもついていくわ……」

 

「何やってるんですの」

 

 漫才している二人は放っておこう。

 とりあえず今はパーティーの準備だ。今日は元々オフの予定だったし、全員買い出しに行けるだろう。

 

「私の名前も──

 

「スペシャルウィークさん?」

 

「あはは、なんでもないです……」

 

 呼ばせようとしていたスペシャルウィークを戒め、マックイーンは予定を立てることにする。

 とりあえずウオッカとスカーレットには飾り付けの準備を。スペシャルウィークとスズカには食事の準備。マックイーンとテイオーは喋れるようになった事を会長に報告しに行くことになった。

 

「それじゃあ各自準備の方をお願いしますわ」

 

「おーい、ゴルシちゃんはどうすればいいんだぜ?」

 

「ゴールドシップはトレーナーさんについて行ってください」

 

「え、俺?」

 

 行くぜトレーナー! と言いながら、ゴールドシップはトレーナーを抱えてどこかに行ってしまった。

 よしと頷くマックイーンがいつになく本気に見えたテイオー。きっと何が何でも邪魔させたくないらしい。

 マックイーンが態々世話をしているヒカリエ。勿論面倒見の良さは出たが、それ以上にヒカリエの事を慕っているからであった。

 

 ヒカリエの走りにはこれ以上ないほどの知識が詰まっていると言われている。しかもトレーナーの施しを受けず、独学でだ。そんな走りを見せるヒカリエを尊敬していたマックイーン。慕わない理由がない。

 知識の宝庫であるヒカリエは、はっきり言って学園の宝だ。これから会長に報告しに行くのも、情報規制を敷く為でもある。

 

 ヒカリエを奪えば、ヒカリエから知識を授かればどれだけ早く、そして安全に走れるようになるか分からないほど。

 他のトレーナーもいつ引き抜くか考えているほどだ。そんな周りのトレーナーを払う為にトレーナーとゴールドシップを行かせたのだ。賢いゴールドシップの事だ。きっと分かっているはずとマックイーンは信じていた。

 

「それじゃあいきましょうか」

 

 マックイーンが手を握ると、ヒカリエは嬉しそうに笑い、手を握り返した。

 そしてテイオーの方へと手を伸ばす。最初は何のことか分からなかったテイオーだったが、すぐさまその意図に気が付いた。

 

「ボクも繋ぐの?」

 

「うん! ていおー!」

 

「全くしょうがないなぁ〜」

 

「ニヤニヤしてますわよテイオー」

 

 右手にマックイーン。左手にテイオー。

 マックイーン達は、他のメンバーに見送られながら、トレセン学園の生徒会室へと向かった。

 

「ねぇ、スペちゃん」

 

「何ですかスズカさん?」

 

「良いわね……ヒカリエちゃん」

 

「すっ、スズカさん!? 鼻血が!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 





誰か舌足らずでプラチナブロンドのかわいいヒカリエちゃん書いて。

フォローお待ちしております。

https://twitter.com/kurotakemikou
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