短め。マジで短いので、寝る前にでも。
「は、が、の、も、と……これぐらいかしら。他にも接続語っていうのがあるんだけれど、それを使えればきっともっと流暢に喋れる様になるわ……所で言葉の意味は分かってるのかしら?」
「うん!」
偉いわね〜と撫でるスズカ。スペは横で膨れていた。
現在ヒカリエ日本語のお勉強中。手の空いていたスズカが教師役に立候補し、スペはそれを眺めているだけであった。
ヒカリエは勿論様々な言葉を聞いていたので、言葉の意味は分かる。結構難しい言葉も分かる。だが、喋るとなれば別だ。発音の練習から必要なのだから。
口を開けて練習するヒカリエを微笑ましそうに見るスズカ。
「ねぇスペちゃん」
「……なんですか」
「子供が出来たからこんな感じなのかしらね」
思わずにんじんジュースを吹いた。慌てて拭いた。
勿論スズカ的には子供は可愛いわね〜ぐらいで話しているのだが、スペ的にはスズカの言葉の前に「私たちの」という言葉があった。
お花畑過ぎる頭を振り、何とか後処理を済ませたスペは、何とか喋ろうとするヒカリエを見て、そして微笑んだ。
そういえばヒカリエの声について。
舌ったらずで可愛らしく喋るが、あくまでも可愛いのは喋りだけだ。声自体はとてもかっこよく、見た目の麗しさと相まって非常に大人っぽい。勿論今は笑えるのが嬉しいのかずっと笑っている為、大人っぽくは見えないのだが。
表情に関しては、喋れない頃。どうして全く変えなかったのか聞いてみると、ヒカリエは変えられなかったとだけ言った。つまりは言葉だけでなく、表情すらも奪われていたという事になる。だが、そんな事あるかと思うスズカだったが、今喋れる、そして笑えていれば良いかと切り替え、練習を再開した。
マックイーンからライブに出す。そこで歌ってもらうと言われたため、こうして急遽練習していた。勿論日常生活においても話せる方が良い。
「だいじょーぶ!」
「伸ばさないの。大丈夫って」
「だ、大丈夫」
「そうそう! 偉いわね」
なんかすっかり甘やかしてる。なでなですると嬉しそうに微笑むヒカリエ。自然と垂れる鼻血を拭くのがスペの仕事であった。
言葉が喋れる様になるに連れて、彼女のポテンシャルの高さが見えてくる。非常に綺麗な容姿。ウマ娘としての才能。そして声の良さ。女としては悔しいが、そんな娘が慕ってくれるのは良い事だと喜ぶスペであった。
「ちょっと飲み物とってきますね!」
「ありがとうってスペちゃん!!???」
先程吹いたにんじんジュースが床にも溢れていたのか、立ち上がった瞬間に滑るスペ。
視界がぐるりと周り、頭から落ちていく。不味いと思った時には受け身を取る事も出来なかった。
刹那、閃光が割り込んだ。
咄嗟に抱えられ、安定感と共に衝撃に怯えて瞑っていた目を開ける。
するとそこにはヒカリエの顔があった。此方を覗く黒い瞳。垂れ下がる金色の頭髪に、スペは目を奪われていた。
「大丈夫?」
そして声。スペは気が付いたら堕ちていた。
慌てて駆け寄ってくるスズカ。スペはハッとし、慌てて彼女の腕から降りた。表情を見られまいと赤くなった顔を手で隠す。
「スペちゃん!」
「す、スズカさん……」
「ほら! 上手くなってるでしょ!?」
サイレンススズカは親バカであった。
これぐらいの長さならコンスタントに出せるけど、流石に短すぎなんだよなぁ〜