罪の女神   作:jamcha

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13 - プリシラ2

絵画世界の一角で行われていたリフォーム会議は佳境を迎えていた。混沌の魔女ベルカ、プリシラと名付けられ、育ちすぎて部屋に入れず外から顔をのぞかせるベルカの娘、英検三級で世界を制した男ギネル、号外売りのティモテ、邪教の鍛冶屋、銀河の守護者ガレンダーク、武器職人エアダイス、黄の王ジェレマイア、ハーコーンの救済者、血に吠える同志、カリムの神父、ベリーロール鑑定士、白ネズミの王、梅干しの種、半魚人ならぬ半鴉人、更衣室を見守る影、そして最初の住人となった白い少女と蒙昧の博学者ペスキス。

 

「ちょっと待って」ベルカが手を挙げた。「知らない人がまざってる」

 

「まったく、今度は何だ?なにか問題でもあるのか」ジェレマイアがうんざりしたように言う。彼には時間がなかった。18:00から楽しみにしているアニメが始まってしまうからだ。

「むしろ問題しかない」ベルカが言い返す。「オリキャラはタグをつけないと怒る人が出てくる」

 

「じゃあ誰がオリキャラなのか言ってみろ」

「外れたら追放な」

「ちょっと待って。どうしてそんなことになるわけ?」

「チュウチュウ (そうだそうだ!)」

「ママ、私の部屋は?」

「待ってプリシラ。それどころじゃない」

「ああ。鉄板焼き屋台を作る話がまだ終わってない」

「始まってもいないっつの!」

「俺達」「あたし達の旅もね!」

「誰!?今ハモった二人は誰!?」

「おそらくそこに落ちているハーモニカとカスタネットだろう」

「絶対違うわ」

「お母さん、好き」

「うん私も大好きだよ。でも今はそれどころじゃないから少し静かにしててくれるかな」

「お嬢様をいじめるやつはこの奴隷騎士が許さん」

「早い!あんたまだこの世界にいないから帰って!」

「ママー、私の部屋ー」

「聞こえてるから大丈夫だから!」

「この一角は車輪骸骨のレースに使えるな」

「そこ勝手に話を進めない」

「ベルカ様と抱いてるお嬢様、お二人見てるとまるで東方の観音様みたいっすね」

「ふむ、なるほど。それを信仰の像にできるな」

「そこも勝手に話を進めない!」

『ガイア通信が、18:00を、お知らせします。ポッ…ポッ…』

「時間だ。あとは勝手にやってくれ」

「待てい」

「私も子供を迎えに行かなきゃ。じゃーね」

「待…誰?」

「ママー」

 

「…もぉー!!」

 

ドォンドォンドォン!

 

ベルカの右手が一瞬光ると、怒りに任せた炎の嵐は集まっていた人々を跳ね飛ばした。

 

「…安心しろ、死にはしない」

 

フゥー、と指の煙を吹き消しながら静かに言う混沌の魔女。少女を抱いたまま仁王立ちする迫力に、それまで勝手気ままにしゃべっていた面々も沈黙する。

 

「前から思ってたがそれ使ってたら大王も倒せたんじゃないか?」上下逆さまになったままジェレマイアが言った。

 

「無理だね。あいつの拳は岩のウロコを砕きHPも43億くらいある」

 

なお符号なし32bitの最大値が約43億である。

 

「誰だよ!」

「お母さん、かっこいい」

「ありがと。でも腰が痛いからそろそろ降りてくれるかな?」

「や」

 

この日も絵画世界リフォーム会議の進捗はゼロだった。

 

「え!?これで終わり!?」

 

ジェレマイアがアニメを観に去ってしまい、絵画修復の責任者がなくては議論が進まない。わらわらと出ていくなか、部屋にはベルカと少女だけが残された。ため息をつくベルカと、しがみついたままベルカの耳たぶを触る白い少女。

 

「そうだ、ママー」外で見ていたプリシラが思い出したように言った。

 

「はいはい、なんですか」

「私、赤ちゃんできたみたい」

 

「はい!?」

 

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