アズールレーン ━深海の瞳━   作:空白部屋

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モリソンのクマちゃんがベアッガイに見えたのは私だけではないはず……ッ!


後半は視点変わります。


第四話 彼女達は何者か

 

 暖かな風が頬を撫でる。

 目の前にいるのはある意味セイレーンよりも強敵であり、厄介だったコードGと呼ばれる正体不明の生命体。300年前、上層部でも彼女の事は問題視され、ボクもその事は会議や作戦などでちょくちょく聞いていた。KAN-SENなのか、それともセイレーンなのかすらわからず、ろくに情報がないためまともな対抗手段が取れずに敗北を重ねていた過去が思い起こされる。

 季節は春だというのに背中に一筋の冷や汗が流れた。警戒を最大限にし、いつでも戦闘できるように体勢を出来る限りバレないように整えているが、そう長くはもたない。

 何故こんなところにいるのか、何が目的なのかなど色々と知りたいことは山ほどあるが、とにかく今は相手がどう出るか注意深く見て対応しなければならない。もしもの時はこの荷物を盾にしてでも逃走を計るべきだろう。

 

 

(明石さんには悪いけど……命には代えられない)

 

 

 戦闘体勢に移行し覚悟を決めるまで僅か二秒。その時間の間、お互いが無言で見つめたまま立ち尽くしている。そして更に数秒経過した頃、ボクは違和感を覚えた。

 

 

(?……あれ、殺気が感じない…?)

 

 

 いや、殺気どころかむしろ敵意すら感じない。出来るだけ相手の事を読み取ろうと彼女の目を注視してみるが、そこには敵意が宿っていなかった。あるのは困惑、戸惑いといった類いのものだ。

 

 

「あの……何か、ボクに用でしょうか?」

 

 

 困ったような表情を意識しつつ、出来るだけ不自然にならないように返事をする。

 するとコードGは安堵したように少しだけ口元を緩めた。

 

 

「ああ、いや。貴方は……運搬業者の方とは思うが、何か困った事でもあったのかと気になったんだ」

 

 

 どうやらキョロキョロしていたのが駄目だったようだ。単に困っている人を助けようとしているだけならいいが、もしかしたら怪しまれているのかもしれない。

 

 

「あぁ、なるほど。すみませんが、実はボク……会社から支給された図を紛失してしまいまして。ユニオン寮に住むロング=アイランド様へのお荷物を届けに来たのですが、なにぶん入社したばかりの新入社員でして……慣れない場所なので少し迷子に……」

 

 

 申し訳なさと気恥ずかしさが半々くらいの苦笑を浮かべながら、少しだけ目線を下げて顔を(うつむ)かせる。言外に案内して欲しいと頼んでみるが果たして受けてくれるのだろうか。

 ボクを見たコードGは顎に手を当てて考える仕草をした後、何かに納得したのか心配そうに言った。

 

 

「……そうか。そういう事なら、私がロング=アイランドの部屋まで案内しよう」

「ありがとうございます…!」

 

 

 上手くいったことの嬉しさを感じながらボクはコードGに頭を下げてお礼を言った。

 この人が本当にコードGなら300年の間に何があったのかと問い詰めたくなる気持ちになるけど、多分、この人はコードGじゃないと予想する。コードGと似ているだけで、別人という可能性が非常に高い。だってこの人から感じる気配や雰囲気がコードGとはまるで違うし。

 

 

「あっ、そういえば自己紹介がまだでしたね。ボクはアスカと言います。見ての通り業者の仕事をしてます……あの、貴女の名前を聞いても宜しいでしょうか?」

 

 

 早口にならないように気を付けながら、相手にちゃんと聞き取れるようにハッキリと声を出して自己紹介する。

 

 

「私の名はエンタープライズだ。一応、ユニオンの代表をしている。だから寮の案内は任せてくれ」

 

 

 堂々とした態度で自己紹介をするコードG……もとい、エンタープライズさん。その彼女の姿を見つつ、ボクは頭の中で別のことを考えていた。

 

 

(エンタープライズ……偶然? いや、それにしては……)

 

 

 目覚めてからこれまで聞いた名前はどれも聞き覚えがある。

 エンタープライズ、ロング=アイランド、明石……どれも艦船にある名前だ。最初は少し変わった名前だなぁ、くらいに思っていたけど時間が経過するたびに偶然の可能性が低くなっている気がする。

 

 

「…………………」

 

 

 一瞬、嫌な予想が脳裏をよぎったが、ボクは頭を軽く左右に振ってその考えを追い出した。あまり考えたくはないけどもしそうなら本気で自分の過去を隠さなければいけない。

 先頭を歩く彼女の後ろについていきながら、ボクは今後の事に不安を抱かずにはいられなかった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「着いたぞ。ここがロング=アイランドの部屋だ」

 

 

 そう言ってエンタープライズさんが視線を送った先には『ロング=アイランドの部屋』と書かれた掛札(かけふだ)がある木製のドアがあった。ここまで来る道中、他の部屋のドアにも、その部屋に住む住人の名前が書かれた掛札を見かけたので随分と分かりやすかった。まぁ、そのせいで嫌な予感も見事に的中してしまったのだが。

 

 

「案内ありがとうございます、エンタープライズさん」

「これくらいは当然だ。別に気にすることはないさ」

 

 

 彼女にお礼を言った後、コンコンコン、とドアを軽く三回ノックする。

 

 

『は~い』

 

 

 ドアの向こうから間延びした声が聞こえた。多分、この声の主がロング=アイランドと呼ばれる人物のものだろう。

 中から何かの物音と足音がするのを聞きながら待っていると、ガチャリとドアが内側から開かれる。

 

 

「えーっと、どちら様なのー?」

 

 

 そーっとこちらを(うかが)うように顔を覗かせたのは、ヘッドホンを頭に着けた長い黒髪の少女。ぶかぶかの上着を身に着けており、余った袖がダランと垂れている。上着が大きいので太股くらいまで隠せているが、その代わりなのか何故かスカートを履いていなかった。

 ……正直に言って非常に目のやり場に困る格好なので、相手に気付かれないよう視線をズラして相手の顎や首の辺りに目を向ける。

 

 

「すみません、運送会社の者ですがロング=アイランド様でお間違いありませんか?」

 

 

 一旦、持っていた荷物を全て降ろし、ロング=アイランドさん宛の荷物だけを再び持って彼女に見せながら問い掛ける。

 

 

「そうなのー。この荷物はわたしので合ってるのー」

「では、こちらにサインをお願いします」

「は~い」

 

 

 作業服の胸ポケットに入っていたボールペンを渡し、それを受け取ったロング=アイランドさんはサラサラと綺麗な字でサインを書いた。

 

 

「どうぞなのー」

「ありがとうございます」

 

 

 サインされた部分を剥がし、彼女に荷物を渡そうとしたところで、念のために聞いておく。

 

 

「このお荷物はかなり重いので良かったら室内まで運びましょうか?」

 

 

 突然の提案にロング=アイランドさんは目を丸くする。

 単なる気遣い……というのもあるが、もちろんそれ以外にも思惑がある。明石さんが突出して力持ち……であればいいのだけど、もし他の人も同じならそれはもう確定と見ていいだろう。

 そんなボクの思惑も露知らず、ロング=アイランドさんは少しの間考えたあと、申し訳なさそうに言った。

 

 

「んー、部屋は今少しだけ散らかってるから自分で運ぶのー。せっかくの気遣いを無駄にしてごめんねー?」

「いえ、こちらこそ余計なお節介でしたね。今のはお忘れ下さい」

 

 

 軽く頭を下げてからロング=アイランドさんが荷物を落とさないようにゆっくりと渡した。受け取った彼女はどこか嬉しさを滲ませながら段ボール箱に書かれた英文字を見ていた。察するにやっと注文した物が届いたことへの嬉しさだろうか。ちなみに荷物を受け取る時はそのままだと危ないので袖をまくっていた。

 

 

「それでは、これにて失礼します」

 

 

 最後にそれだけ伝えてボクは床に置いていた荷物を持ってその場を離れた。

 

 

「その荷物は……?」

 

 

 ちゃっかり着いてきてたエンタープライズさんが、ボクが持っている荷物に視線を向けながら問い掛けてきた。

 

 

「鉄血寮のアドミラル=ヒッパー様のお荷物です。エンタープライズさんは鉄血寮の場所をご存知ですか?」

 

 

 もし、知っているなら部屋まで案内して欲しいと思いながら聞いてみるが、彼女は少しだけ眉を寄せた。

 

 

「すまない……鉄血寮の場所は知っているが、アドミラル=ヒッパーの部屋の場所までは知らないんだ」

 

 

 申し訳なさそうに答えるエンタープライズさんに、少しだけ罪悪感を覚えた。なんだかボクの浅ましい考えが見透かされていたような気分だ。いや、実際に見透かされていたのかもしれない。

 

 

「せめて鉄血寮の場所までは案内しよう」

「ありがとうございます」

 

 

 エンタープライズさんに礼を述べ、先頭を歩き始めた彼女について行きながらボクは先程の……ロング=アイランドさんの部屋の前であった事を思い返す。

 最後に荷物を渡した時、彼女は平然と荷物を持っていた。機械類が入っていると思われる段ボール箱は、確実に30㎏以上あると断言できる。平均的な筋力を持った成人女性の全身の筋肉量はだいたい14.0㎏、片腕の筋肉量は0.9㎏とされており、ロング=アイランドさんは14~17歳の間だと思われるのでそれよりも数値は下だろう。更に付け加えるなら彼女の体格や筋肉のつき方を見た限り全く鍛えていないことがわかった。むしろ普段の日常生活でも一般的な人より筋肉を使っていないのだろう。

 ……もう一度、ロング=アイランドさんに荷物を渡した時のことを鮮明に思い返す。

 先程述べたことから彼女は明らかに力が弱い部類に入ることがわかる。しかし、そうであるにも関わらず、彼女は特に表情を変えることもなく涼しい顔で荷物を持っていた。

 明らかに異常だ。女性でも持てないことはないが、30㎏は重いと感じるはず。それも平均よりも下だと思われる数値の少女なら尚更。だというのに何かしらの反応を一切見せない上に、無理をしていないことが雰囲気などから伝わってきた。脳のリミッターを外していれば、女性でも120㎏以上のものを持てるので不思議ではないが、特に命の危険もないあの状況では脳のリミッターが外れることはないのでこの仮説は破棄。

 ……さて。ここまで考えれば自ずと答えは見えてくる。艦船と同じ名前というだけでもある程度察することはできるかもしれないが、あの異常な力を見て確信した。

 

 

(ここはきっと……博士の言っていたKAN-SENという存在が住まう母港だろうね……)

 

 

 KAN-SEN。正式名称は動力学的人工海上作戦機構・自立行動型伝承接続端子《Kinetic Artifactual Navy S

elf-regulative En-lore Node》━━━略してKAN-SENだ。

 KAN-SENは見た目こそ人間(またはそれに近しい姿)だが、中身は人間とは異なり、特に身体能力においては鍛えた人間であろうと太刀打ちできない。いや、もっと正確に言うのであれば勝負にすらならない。

 脳のリミッターが外され、更に改造を(ほどこ)されたボクでも勝てるかわからない。博士から「もし出会っても絶対に敵対するな」と口酸っぱく言われていたので相当強いのだろう。想像しただけで寒気がした。

 

 

「ん? どうかしたのか? 少し顔色が悪いようだが……」

 

 

 ボクの様子がおかしかったのか、エンタープライズさんが心配そうにこちらの顔色を窺ってくる。

 

 

「いえ、特に問題ないです。ご心配をおかけしてすみません」

 

 

 苦笑しながらそう言うと彼女は「そうか……」と呟いてそれ以上は何も言ってくることはなかった。

 ……察知能力がかなり高い。ポーカーフェイスには自信があるけど、今のようにすぐ察知されては持っていた自信が粉々に砕け散ってしまいそうになる。

 

 

(これは、間違いなく観察されてる……)

 

 

 もしかしたら監視と言っても過言ではないかも。時々見られている感覚はするので多分そうなんだろうなと予想はしていた。もともと明石さんの頼みを安請け合いして更にこの母港を観察しようと企んでいたボクの自業自得なんだけどね。

 他者から観察されるという少しだけ居心地の悪い空気の中、ボクは人知れずため息をついた。

 

 

 

 


 

 

 

 

 ヨークタウン級航空母艦の二番艦、エンタープライズはお気に入りであるいつもの軍服を身に着け、ユニオン寮の付近で見事に咲き誇る桜を眺めていた。

 

 

(綺麗なものだ……)

 

 

 緩やかに吹く春の暖かい風によって舞い散る桜色の花弁が景色を彩り、地面に桜の絨毯(じゅうたん)を作り上げていた。いつ見てもこの景色は美しく、エンタープライズも気に入っている。

 周囲にはちらほらとお花見を楽しむ者や桜の木の根元で静かに本を読んでいる者がおり、皆もこの季節の風景を楽しみにしていたのだと一目で理解した。

 

 

(こんな日には桜の木の下で昼寝をするのもいいかもしれないな……)

 

 

 今日から三日間の休暇が与えられたエンタープライズは、どうやって過ごそうかと思考に耽りながら桜の絨毯の上を歩く。

 最近は書類作業に演習と忙しく、なかなか休日を取れなかった。それは他の陣営の代表メンバーも同じで、それに気遣った指揮官が書類作業を粗方終わらせて各陣営の代表達に三日間の休暇を取らせたのだ。

 それに、もうすぐ各母港による演習大会が開催される予定なのですぐに忙しくなるだろう。また暫く休暇がないかもしれないのでこの三日間は存分に羽を伸ばそうとエンタープライズは心に決めた。

 さて、先程言ったようにまずは昼寝でもしようかと思い、エンタープライズはシートを敷いて寝るか、それともハンモックでも作って寝るかどちらにしようかと悩みながら昼寝に最適な場所を探していると、ユニオン寮の玄関付近でキョロキョロと周囲を見渡しながら首を傾げている作業服の男性を見かけた。珍しいと思いつつしばらく様子を窺っていると何やら困っていると判明したが、今はもう昼寝したい気分にシフトしていた。

 しかしエンタープライズは一度、自身の欲求と困っている男性を天秤に掛け━━━男性のもとに足を運んだ。

 

 

「少しいいだろうか?」

「……ッ! …………ッ!?」

 

 

 相手をびっくりさせないよう気配を隠さずに近づいて声を掛けると、作業服を着た男性はこちらを見て大きく目を見開き驚愕していた。驚きから何かを呟いていたようだが、声が小さすぎてよく聞こえなかった。

 エンタープライズは自分の顔に何かついているのだろうかと疑問に思いつつ、目の前の男性を観察する。

 彼の着ている作業服は母港がよく利用している大手運送会社のもので、作業服の左胸辺りに英文字で会社名が刺繍(ししゅう)されている。どこからどう見てもただの業者にしか見えないが、それにしては不可解な点があった。

 帽子を深く被っているためあまり顔は見えないが、手や首などの瑞々しい肌を見る限りこの男性……いや、少年はかなり若い。先程こちらを見た時はちゃんと少年の顔を見れたので確信できる。そして背丈から考えて恐らく12~15歳。生まれつき背が低いと言われれば何も言い返せなくなるが、それでもエンタープライズは違和感を覚えた。

 更に付け加えるといつも作業服を着ている業者は若くても20歳以上の()()だ。運送会社がいきなりこんな若者を……しかも男性をこの母港に派遣するとは考えづらい。

 

 

(あの会社に何かあった……? いや、それなら朝礼の時に指揮官から連絡があるはず……)

 

 

 昨日はいつも通り忙しいだけの日だった。指揮官の様子もいつもと変わらなかったので何もないとは思うが。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 その後、彼から事情を聞いてみるとどうやら彼は会社から支給された案内図を紛失してしまい、迷子になっていたようだ。話した限り彼には見た目とは裏腹に賢さを感じていたので、恥ずかしそうに言う少年にエンタープライズはこういうミスもするのだな、と微笑ましく思った。

 ユニオン寮に住むロング=アイランドに荷物を渡すようなのでエンタープライズは案内役を申し出た。

 もちろん善意100%で申し出た訳ではなく、この少年をもう少し観察してみようと思ったからである。普段のエンタープライズならただの業者など気にも止めないが、所々から感じる違和感が彼女そうさせた。

 

 

「あっ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。ボクはアスカと言います。見ての通り業者をしています……あの、貴女の名前を聞いても宜しいでしょうか?」

「私の名はエンタープライズだ。一応、ユニオンの代表をしている。だから寮の案内は任せてくれ」

 

 

 自分が自己紹介をした時、少年……もとい、アスカの眉が一瞬だけピクリと反応したような気がした。エンタープライズは何かおかしなことでも言っただろうかと頭に疑問符を浮かべるが、特に気にすることはしなかった。

 それからたまに会話を挟みながらエンタープライズはアスカをロング=アイランドの部屋の前まで案内する。

 その後、部屋のドアから顔を覗かせた彼女はいつものように対応し、特に問題もなく受け取りは進んだ。

 

 

「このお荷物はかなり重いので良かったら室内まで運びましょうか?」

 

 

 唐突な提案にロング=アイランドは動揺し、僅かにエンタープライズの方に視線だけ向けてどうするのかと指示を求めた。

 彼女は壁に背を預けながらロング=アイランドに向かって首を左右に振った。それを見たロング=アイランドは即座に彼女の意図を理解し、申し訳なさそうにしながらその提案を断った。

 アスカにはまだ疑惑があるためKAN-SENの室内に入れるのはやめてもらった。彼は特に何も言うことはなく、ロング=アイランドのことを気遣いながら荷物を落とさないよう丁寧に渡した。

 

 

「それでは、これにて失礼します」

 

 

 アスカは受け取り主のロング=アイランドに軽く頭を下げて一礼した。

 これで受け渡しが完了した。床に置いていた他の荷物を持ち、その場から離れていく姿を見てエンタープライズは眉を寄せて目を細めた。

 

 

(あの荷物……重くはなかったのだろうか?)

 

 

 ロング=アイランドはゲーム機などの機械類を頼むことが多い。最近は長年使っていた自室のパソコンが壊れたとかで最新型のパソコンを注文していたと記憶している。

 多分、それらが入った段ボール箱はそれなりの重量があり、普通なら台車を使うと思うのだが……。

 

 

(いや、あまり疑いすぎるのも彼に失礼か……)

 

 

 長年セイレーンによる侵攻がなかった平和な時代だ。何百年も前にあったセイレーンとの戦争が苛烈を極めていた時代と違い、今ではそうそう問題が起こることもないだろう。それにアスカは人間だ。人間よりも遥かに強いKAN-SENに危害を加えるとはとても思えなかった。

 

 

(もう少しだけ、様子見するべきだな……)

 

 

 アスカの背を目で追いながらエンタープライズは預けていた背中を壁から離すと後に着いていった。

 

 

 

 

 




《艦船通信》


【KAN-SEN@イラストリアス】
もぬけの殻でしたわ……


【KAN-SEN@ユニコーン】
ほ、ほんとだ……誰もいない


【KAN-SEN@ウォースパイト】
しかも布団やシーツも綺麗にされてるわね……


【KAN-SEN@クイーン・エリザベス】
そんな事言ってないで誰か探しに行きなさいよ!


【KAN-SEN@ウォースパイト】
陛下、すでにベルファストさん率いるロイヤルメイド隊が彼を探していますよ


【KAN-SEN@アークロイヤル】
彼女達がいれば取り敢えずは大丈夫だろう


【KAN-SEN@クイーン・エリザベス】
アークロイヤル、まさかとは思うけど貴女の仕業じゃないでしょうね?


【KAN-SEN@アークロイヤル】
待って欲しい陛下。確かに私の普段の行いから疑われても仕方ないかもしれないがさすがに弁えているさ。


【KAN-SEN@エディンバラ】
相手が少年ではなく幼女だったら?


【KAN-SEN@アークロイヤル】
保護しに行くに決まっているだろう。


【KAN-SEN@クイーン・エリザベス】
アウトよ


【KAN-SEN@ウォースパイト】
アウトね


【KAN-SEN@イラストリアス】
アウトですわ


【KAN-SEN@エディンバラ】
アウト


【KAN-SEN@アークロイヤル】
そんなっ!?


【KAN-SEN@クイーン・エリザベス】
というかエディンバラ。貴女もサボってないで早く探しに行きなさい! じゃないとベルに締めてもらうわよ!?


【KAN-SEN@エディンバラ】
は、はいぃぃっ! ただいま探して参りますー!


【KAN-SEN@イラストリアス】
わたくしも探して来ますわ


【KAN-SEN@ユニコーン】
あっ、イラストリアスお姉ちゃん! ユニコーンも手伝うっ!

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