前回の超次元ライダーディケイドは
「私、ノワールのところ行って女神の心得を聞きに行ってくるよ!」
「…私…お姉ちゃんにどう思われてるのかな…」
「諦めるな、俺がいる限り誰も死なせない」
「私たち、友達だよ!」
「あなたの任務っていうのは何なの?任務じゃないのに私を助けたのはなんで?」
「……なぜ助けたんだ俺は…だが」
▪️
「……はぁ」
ルウィーの守護女神であるブランは、部屋で一人ため息をついていた。その理由は今回採用しようとしている執事_正確には執事に世話を任せる自身の妹【ロム】と【ラム】のことで悩んでいた。彼女の妹たちは少し、いやかなりないたずらっ子で、辞職する執事が後を絶たないのだ
「今回はせめて、1週間もってくれれば……」
その時、扉がノックされる
「来たわね……入って大丈夫よ」
ノックした人物に入室を許可すると、扉が開かれる
「失礼します。本日は面接の機会を頂きまして誠にありがとうございます」
その人物は黒いコートを着ており、ブランより背が高く中性的な顔立ちをしていた
「貴女どこかで……」
ブランはその人物に見覚えがあった。以前の友好条約を結ぶ式典にて見たことがあった
「ええ、以前ありました友好条約にて怪人を倒すため参上しました」
「あの時の……確かネプテューヌが名前も言ってたわね」
「改めて自己紹介を、私の名前は神崎ナツヤと申します。よろしくお願いいたします」
「ええよろしく頼むわ、今回面談とかは抜きで早速で悪いのだけど妹たちの世話を頼みたいの」
そんな話をしていると、件の妹たちが扉を開けてやってくる
「ねぇねぇお姉ちゃん!その人誰?」
「誰誰?(そわそわ)」
どうやら今日くる人物を楽しみに待っていたらしく、目がキラキラとしている
「こんにちわ、今日から新しく執事になります神崎ナツヤです。」
ナツヤはロムとラムに目線を合わせるように屈む
「へー!新しい執事さんなんだー!」
「ねぇねぇ執事さん、私たちと遊ぼ?」
ロムとラムのお願いにナツヤは笑顔を作り答える
「いいですね、何で遊びます?」
「鬼ごっこ!執事さんが鬼!」
「分かりました、では数えますね?」
「わぁーい!行こロムちゃん!」
「うん!(わくわく)」
2人は元気よく走り出し、ナツヤはそんな2人をみて微笑ましくなる
「元気な妹たちですね」
「ええ……けれど2人はイタズラ好きで」
そう説明をする前に、ナツヤが止める
「みなまで言わなくても分かります。イタズラ好きの2人に耐えきれなくなってやめていく人が多いんですよね?人手不足もあり今回面談無しで僕のことを採用した……違います?」
そこまで言い当てると、ブランは驚いた表情を見せる
「貴方……そこまで分かってて今回応募してきたの?」
「ええまぁ、少しでも貴女のお役に立てたらと思った次第です」
そうナツヤは言うが、半分嘘である。というのも自身の目的を遂行するために調査が必要であると判断したナツヤが都合の良いと思ったから今回執事に応募したのだった
「では私はそろそろ、ブラン様もあまり無理をなさらないよう」
そう言うとナツヤは、ロムとラムの遊びに向かう。そんなナツヤを見つめながらブランはひとり呟く
「やっぱり彼を採用して正解ね、彼なら安心して任せれるわ」
そう言いブランは作業に戻るのだった
▪️
ナツヤがルウィーに就職して数週間が過ぎた頃、リーンボックスの守護女神であるベールがルウィーを訪れており紅茶を出していた
「どうぞベールさん」
ベールは出された紅茶を頂く、その味はとてもよくベールはにこやかに微笑む
「とても良い味ですわね……私のところにも来ません?」
ベールはナツヤをリーンボックスに勧誘する。しかし同じく紅茶を飲んでいたブランが止める
「悪いけれどベール、彼は私の執事よ」
「あらあら、残念ですわね」
そんな話をしていると、ロムとラムが本を抱えて来た
「お姉ちゃーん!」
「これみて!」
抱えてた本を見ると、それはブランが大切にしていたもので、それがラクガキの被害にあっていたからだ
「___」
次第にブランの顔は怒りでいっぱいになり、ロムとラムは笑いながら逃げ去っていきブランもその後を追う
「あ……行ってしまいましたね」
その場にはナツヤとベールのみが残される、ベールは最後の一口を飲みナツヤを見る
「ナツヤさん、ブランはああ見えて…自分で全てを背負い込んでいるんですわ」
それは友人を心配してのことだろう、ベールは言葉を続ける
「貴方に別の目的があったとしても、ブランが助けられてるのは紛れもない事実ですわ、ですからこれからもどうかブランの傍にいてあげてくださいませんか?」
別の目的がある_それを看破されたナツヤは驚いた表情を見せるが直ぐに冷静を取り戻し答える
「それは難しいかと、自分は旅人なものなので」
「……そうですの、私も無理強いは出来ませんし…分かりましたわ」
ベールは納得した様子で話は終わる。そうするとブランが戻ってくる
「ナツヤ、悪いけれど紅茶を6人分用意してちょうだい、お客が来たわ」
ブランの視線の先を見ると、ネプテューヌたちがいた。ネプテューヌも気づいてか駆け寄る
「あれ、ナッちゃん!なんでこんなところに?」
「ナツヤは私のところで執事として働きに来たのよ」
そうブランが補足を入れると、ネプテューヌは羨ましがる
「私もナッちゃん執事欲しいなぁ~、そしたら仕事しなくて済むし!」
「ネプテューヌあんたねぇ、少しは真面目に取り組むってことを」
ネプテューヌの怠惰な態度にノワールはお小言を言い始る。ナツヤはそれを横目で見つつ紅茶を人数分用意し、皆を席に案内するのだった
▪️
紅茶を出した後、ナツヤは買い物のため数刻離れていた。その際にロムとラムが攫われるという事件が発生していた。無論それは戻ってきたナツヤの耳にも入った
「ごめんなさいナツヤ、私たちがついていながら……」
ノワールが謝罪するが、ナツヤは皆のせいではないと宥める
「ブランは……部屋か?」
「ええ、私たちはどうにかして2人を探すわ、貴方はブランの傍にいてあげて」
そうノワールに頼まれ、ナツヤはブランの部屋の前へとたどり着くが、中からは何やら話し声が聞こえていた。どうやら何処からか嗅ぎつけた記者がブランは女神に相応しくないだの、幼女に国を収めるのは無理だのと言っていた
「っ……!」
気付いたらナツヤは、部屋に入りブランの前に立っていた
「な、何よアナタ!」
「ナツヤ……?」
「君が、何も知らない君が彼女を悪く言うな、彼女は全てを抱えて国を良くしようと努力しているんだ。そんな彼女の頑張りを無視して、ただ一方的に悪い部分だけを叩くのは記者として……いや、人として最低な事だ」
ナツヤは目の前の記者に思いの丈をぶつける。分が悪いと判断したのか、唸り声をあげるとカメラマンと一緒に退散していった。そうしてナツヤはブランの方を振り向く
「ブラン、ロムとラムは俺が助けに行く、君は体調を治すことを考えてくれ」
「っ、知っていたの…?」
ここ数日、無理のし過ぎで体調が悪くなってしまっていたブランは、周囲に悟られないよう振舞っていたつもりでいた。がしかしナツヤにはお見通しだったようだ。ナツヤは微笑みながら言う
「人の不調を見抜くのが得意でね、だからここは俺に任せてくれ」
そう言って部屋を出ようとするナツヤを、ブランは引き止める
「待って、どうして貴方はそこまでしてくれるの?ただ執事だから、ってわけではないでしょ?」
ナツヤは即答する
「目の前で困ってる人を見捨てるほど、俺は冷たくも非情でもない。それにブランたちには笑っていて欲しいからな」
そう言ってナツヤは部屋を出たのだった
▪️
とある廃工場にて、ロムとラムは怯えていた。目の前にはベロが長く、お腹が出た怪人がいた。名は【トリック・ザ・ハード】と言い生粋のロリコン変態である
「グヘヘヘヘ、幼女たんが私の両手にぃ~、これぞまさに両手に花!」
「やめてくださいよトリック様、なんか私まで変態だと思われるじゃないですか」
「BAKAMON☆!私は変態ではなく幼女たんをこよなく愛する紳士だ!」
世間一般では変態なのではないだろうか、そう思ったが口には出さず下っ端はため息をつき、入口の警備へと向かった
「グヘヘ、さぁて幼女たぁん」
トリックはロムとラムの方に向き直る。ロムはガタガタと怯えており、ラムも怯えているがロムを守るようにトリックを睨みつけている
「ロ、ロムちゃんに触らないで!あっち行って!」
「ラムちゃん…(うるうる)」
「くぅぅぅ!幼いながらも守ろうとするその姿!これはこれで……!」
その時、天井が抜け落ち1人の男が落ちてくる。その人物を見てロムとラムは喜びの表情を浮かべる
「「ナツヤお兄ちゃん!」」
「な、なにぃ?幼女たんにお兄ちゃん呼びされるとは、貴様何者!」
ナツヤは静かに、怒りを隠しながらもトリックを睨みつける
「2人を返せ、そうすれば見逃してやる」
そう冷たく告げるナツヤに、トリックは笑いながら答える
「私が幼女たんをみすみす逃すわけないだろ!」
そう言いラムの手を無理やり握る、その行動が余計にナツヤの怒りの油に火をつけた
「分かりやすく言ってやる、その汚い手を離せよロリコン野郎!」
ベルトからカードを取り出す
【カメンライド キバ】
ナツヤは人とファンガイアのハーフ【仮面ライダーキバ】に変身する
「ハァッ!」
「げぼっ!?」
素早く懐に踏み込み強烈な右ストレートをトリックはモロに受けてしまう。その時ナツヤが着けているベルトを見て何かを思い出す
「そ、そうか貴様……マジェコンヌ様の協力者が言っていた…!」
その一言に、ナツヤは動きを止める
「どういうことだ、お前は何を_」
トリックに知っていることを吐かせようと考えてしまったナツヤ、その一瞬の隙を見逃さずトリックは自慢の長いベロでロムとラムを抱え外へと逃走する
「しまっ!くそっ!」
ナツヤは自分の未熟さを悔いながら、後を追うのだった
▪️
「くっ、まさかあいつが言われていた危険人物だったとは……だが幼女たんさえいればやつも無闇に……あれ?幼女たん?」
いつの間にやらベロから抜け出したロムとラムは、柵を越えて逃げようとしていた
「おおそんなところに!幼女たん今_」
その時、廃工場の壁をぶち破り1人の人物が姿を表す。その人物はロムとラムの姉であり、ルウィーの守護女神でもあるブランだ
「私の可愛い妹に手を出してんじゃねぇよロリコン野郎」
しかし、守護女神の登場だというのにトリックは焦るどころか罵られ悦びの表情を見せる
「ぐふふ、幼女たんに罵られるなんてまさにご褒美!」
「それなら、褒め殺しにしてやるぜ」
「ブラン、体調は大丈夫か」
ナツヤも追いつき、合流する
「ナツヤか、妹たちのピンチに寝てられるかよ」
「まぁそうだろうね、だから手伝わせてもらうよ」
「ああ、行くぜナツヤ!」
「ああ!」
【フォームライド エンペラー】
ブランは白の守護女神ホワイトハートへ、ナツヤは黄金の鎧を身にまとった戦士【仮面ライダーキバ エンペラーフォーム】へそれぞれ変身した
「こ、のぉぉお!!」
トリックはベロを自由自在に操りホワイトハートを絡め取ろうとする、がしかし
「ハァァァ!!」
それを専用武器である【ザンバットソード】で迎撃、さらにホワイトハートが自慢の武器を振り回しベロへ大ダメージを与える
「ぎゃぁぁぁあああ!?痛い!痛いよぉぉおお!!」
「ナツヤトドメだ!」
「ああ!」
【ファイナルアタックライド】
【キキキキバ!】
ホワイトハートが斧でトリックをかち上げ、それをナツヤが両足に赤いキバの紋章を模したエネルギーを纏ったキックで打ち上げる
「ぐはぁぁあああああ!!幼女たんに栄光あれーーー!!」
キラリと星になったトリック、それを見届けた2人は変身を解除しロムとラムに駆け寄る
「ロム!ラム!」
「お姉ちゃん!お姉ちゃーん!」
「うわぁぁぁん!怖かったよー!」
「良かった……2人とも……だが、なぜネプテューヌたちと離れたんだ?」
ナツヤが疑問に感じたことを聞く、ロムとラムはポケットからポシェモンのメダルが出てきた。どうやらネプテューヌらの分は直ぐ集まったが、来れなかったブランとナツヤの分も集めようとした2人はネプテューヌらとはぐれてしまったようで、そこをトリックに攫われてしまったようだった
「お姉ちゃんとお兄ちゃんに、あげる」
「ロム、ラム…ありがとう」
無事に会えた喜びを噛み締めながら、4人は帰路へつくのだった
▪️
ロムラム誘拐事件から数日が経過した頃
「本当に辞めちゃうのね」
「ああ、元々任務のために君のところに居たから……利用してしまって申し訳ない」
ナツヤが申し訳無さそうにすると、ブランは首を横に振る
「たとえ貴方がどんな形でも、私やロムとラムを助けてくれたことには変わりないわ、本当にありがとう」
笑顔になるブランを見て、自然とナツヤも笑顔になる。そんな2人の元にトタトタとロムとラムが走ってくる
「ナツヤお兄ちゃん!」
「これ!」
2人が手渡した紙には、笑顔で手を繋ぐブラン、ロム、ラム、ナツヤの絵が描かれていた
「私たちとの思い出!」
「大切にしてね!」
「ああ、ありがとう2人とも、元気でね」
お別れの挨拶を済ませ、小屋へと戻ったナツヤは絵を見ながら考えていた
「この世界なら、俺は……」
以前よりも表に出てきたナツヤの感情、それを嗤う人などこの世界には存在しなかった。彼はようやく前に進めそうだと、そう思いながら絵を大切に飾るのだった
▪️
次回の超次元ライダーディケイドは
「僕、人前で歌えないよ…」
「皆の希望はお前なんだ」
「皆の希望なら、前を向け」
「俺が、お前の希望だ」
『歌姫と希望』
全てを破壊し全てを繋げ