敵(ヴィラン)個性でもヒーローになってやる   作:マーボーDon

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第15話

「感情的になったな、珍しくよ」

 

「うるせぇよ」

 

俺は心操が向かった休憩所に来ていた。ただの疲労だから特に問題ないらしいが念のためだ。恐らく相澤先生のメニューの疲れが抜けきってなかったんだろうな。

 

「ヒーロー科、いけるかな…」

 

「そりゃ、先生方が決めることだろ。お前はできることやったんだし」

 

アリーナから歓声が聞こえる。恐らく轟の試合が終了したのだろう。俺は立ち上がりアリーナに向かう。

 

「ただよ」

 

「ん…」

 

「お前が隣に立ちたいって思ってくれるやつが、すげぇんだって。親友はかっこいいんだって、お前が言えるくらいには頑張ってくるさ」

 

そう笑ってやる。それが俺の親友にできる唯一のことだから。

 

 

****

 

 

轟と瀬呂の対決は何とも瀬呂がかわいそうになる結果だった。あの一撃よけれねぇのはようがないわな。ドンマイだ。

 

『轟の氷結の処理も済んだしいくぜ第三試合!

綺麗なあれには棘がある、ヒーロー科塩崎茨ぁ!! バーサスっ、 今だ謎の多い個性だが実力は本物、ヒーロー科虚影白夜!!』

 

「よろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく」

 

「それでは、第三試合始めっ!!」

 

「そして、終わりです」

 

『おぉっと先手必勝! 塩崎の個性で虚影万事休すかぁ!?』

 

髪の毛を使った範囲攻撃。俺の移動先をなくそうって魂胆だろうけど、今の俺はちょっと負けるわけにはいかないんでな!

そのまま茨が俺のいた場所を襲う。

 

『塩崎の攻撃が直撃ィ!! またさっきの試合と同じで瞬殺か!?』

 

『どこ見てるマイク、まだ終わっちゃいねぇよ』

 

『あぁ? って虚影! いつの間にか塩崎の右側にいやがる! どゆこと!?』

 

「いつのまに!?」

 

「女子に手を上げるのはそんなに趣味じゃねぇが、勘弁してくれ!」

 

そのまま距離を詰めようとするがそれを髪の毛で防御しようとする。だがな、

 

「そんなんじゃ止まんねぇよ!」

 

『虚影の拳が塩崎の髪に激突! 勢いそのままに塩崎が後退したぞ! やっべぇな!』

 

『壁にもなるだろうあの量のツルを殴り、そのまま塩崎まで飛ばすとはな。増強系の個性だとは知っていたが訓練時よりも強さが増しているな、予想以上だ』

 

『イレイザーがそういうなら間違いねぇ! 今回の注目株かぁ!?』

 

今のは掌だけを虚化させた拳だった。これで飛ばしきれないってことはもう少し強めにってことか。

 

「なんという力、禍々しい…!」

 

「へぇ、わかんのか? この力の本質が」

 

「ですが、これで!」

 

『塩崎、今度はさらに範囲が広い…つか全体囲んでんぞ!? あれじゃ逃げ場ねぇだろ! 反則じゃねぇ!?』

 

『合理的判断だ。さっきのをもう一度喰らうくらいなら逃げ場をなくそうってことなんだろ。ただ』

 

今度のはさっきよりも強いからなっ!! 腕全体を虚化させ今度は前ではなく下に振り下ろす。狙うのは風圧によるこのツルの包囲網の無効化と、足場を崩すことにとって塩崎の注意をそらすこと!

 

『うおぉぉ! なんだこの風圧は!?』

 

『腕を振って風でツルを無力化する。考えてもそうできることじゃない』

 

『しかもセメントスの作ったフィールドが砕けたぁ!! なんつーパワー! その隙に距離を詰める虚影! だが塩崎もまだ諦めてねぇぞ!』

 

後ろからツルが襲ってきているのだろう。何か気配は感じる。俺が前しか見ていないから塩崎の顔は勝ちを確信した顔だ。

でも、

 

「さっきなんで俺が避けれたと思う?」

 

「いつの間に!?」

 

『って今度は背後ぉ!? なんだありゃ瞬間移動か!? 飯田より早いんじゃねぇのか!』

 

『高速移動の類だとは思うが、目視できないと何とも言えんな。あとでスーパースローさせるぞ』

 

『おうよ!』

 

スーパースローなら見えるかも。まぁそんなことは置いておき背後に回ったのでそのまま腕で首元を叩いて気絶させる。結構高難度だがコツをつかむと簡単だ。

 

「塩崎さん、気絶により戦闘不能! 虚影君二回戦進出!」

 

「うっし」

 

『何が起こったかわからねぇ内に勝負がついちまったが、コングラチュレーション虚影!! さぁ、スーパースローで確認してみるぞ!! 刮目しろよオーディエンス!!!』

 

塩崎をそのままにするわけにもいかず抱きかかえる。(所謂お姫様抱っこ)

なんかミッドナイト先生が悶えてるけど気にせずに、そのままB組の観客席まで運んでおく。

 

『スーパースローで見てみた結果はこうだ!』

 

『単純な移動だな。吹き飛ばしたツルの間を避けるように移動して背後に回った。最初の攻撃時も同じ要領だ。足場を崩し意識を逸らせたうえで突っ込むことで相手の油断を誘い、一瞬の隙に背後に回った。動きに無駄が少ないな』

 

『でもスーパースローじゃなきゃ見れねぇってどうだよおい! 反則級じゃねぇか!!』

 

『個性ありならこういうこともある。轟の大氷結もなしとは言えないだろ』

 

『んー、確かに! 何はともあれこれがあることを考えとけよおめぇら!!』

 

「拳藤~」

 

「虚影、ありがと」

 

なんとかB組席まで連れていき拳藤に塩崎を預けることが出来た。

 

「って結構がっつり解説されてんな」

 

「あんた、予選全然本気じゃなかったんだね…」

 

「まぁそこはな」

 

お、ちょうどいいし弄っていこう。

 

「どっかで様子見した上で勝ちをもぎ取ろうとするやつがいるだろうなと思ってよ。そういうやつにまで奥の手みせるわけねぇじゃんか。ま、そいつは爆豪キレさせて負けたみたいだけど」

 

B組の物間に聞こえるように言ってやった。本人は悔しそうな顔してるけど事実だからか言い返してこない。

 

「とまぁ、冗談はそこそこに。一緒にヒーロー目指す仲間なんだしよ、競い合うのもいいけど助け合いもしようぜ。目の敵にされていい思いはしねぇから」

 

今度は申し訳なさそうな顔でB組全体に頭を下げておく。少しはわだかまりを解消したいしな。

 

「目の敵にしてるのは物間だけなんだけどね。塩崎は預かったよ。はやく戻んなよ」

 

「おう、じゃあな」

 

そのままB組を後にしてA組に、といっても隣なんだけどな。

 

「虚影死ねぇ!」

 

「いきなりだな峰田!?」

 

なんかそんな気はしてたけど。どうせあれなんだろうなぁ。

 

「女子お姫様抱っこして帰ってくるとかどこの主人公だよこのやろぉ!!」

 

「峰田ちゃん、ひどい顔よ」

 

「なにはともあれお疲れ! 圧勝じゃん!」

「B組に勝ったじゃんか!!」

「才能マンかよ!?」

 

皆からよくやったと言ってもらい嬉しくなれた。あ、そうだ。

 

「瀬呂、ドンマイ」

 

「うっせぇな! 選手宣誓のときの意趣返しか!?」

 

「うん」

 

この機会を逃すわけないだろうが。弄れるときは弄っとかないとな。

 

そうして俺の試合が終わり次は第四試合。飯田VS発目。なんだが発目のプロパガンダに飯田されていたが発目本人が棄権したため飯田の勝利。

 

次の俺の相手は飯田か。問題はどうやってレシプロバースト? を攻略するか。響転(ソニード)ばっかでも面白くないよな。なら、今度は耐久度見せていくか。体育祭で色々応用力見せれる方が今後にも得だろうし。

 

続く第五試合。芦戸VS青山のA組対決。観客席では女子は芦戸、男子は青山応援となったが決着は早々についた。元々二人は対人訓練の際のチーム同士、手の内はある程度わかってるんだろう。青山の個性は弱点として使用後に腹痛になるという。いや、腹痛って…

その一瞬の隙をついてベルトを溶かして隙を作り、芦戸がアッパー決めて試合終了。芦戸が勝者となり二回戦に進出。

 

と試合終了後に飯田が戻ってきた。皆が発目の玩具にされていたことを弄りまくっているが仕方ないだろう。

堅物飯田がああいうことするんだもん。

 

「飯田お疲れ~」

 

「あぁ、まったく発目君には困ったものだよ」

 

「災難だったな。次の試合、よろしく」

 

「あぁ、君の速度がどんなものだろうと、俺は俺の出せるフルスロットルで君を倒す!」

 

「俺も全力出すさ、よろしくな」

 

お互い恨みっこなし、真剣勝負をしようや。あと、

 

「緑谷ブツブツ言うの程ほどにな~」

 

「あっ、ごめん!」

 

その後第六試合。常闇VS八百万の試合。八百万の創造でどこまで常闇の黒影(ダークシャドウ)を牽制、もしくは制圧できるかが焦点だな。逆に常闇はそれをどうかいくぐるか。

 

と、思っていたが予想とは大きく反し常闇が猛攻、八百万は防戦一方となってしまった。恐らくさっきの騎馬戦で常闇の黒影(ダークシャドウ)の攻撃力はわかったはず、だがあれを受け止めたのは騎馬3人と騎手1人の体重があったからこそ。とどのつまり、攻撃を防げてもそのエネルギーすべてを受けきることはできなかった。さらに攻撃に転じようとしてもその隙を潰されてしまい、そのまま場外へ弾き出されてしまった。常闇が二回戦進出となった。

 

まさか八百万が負けるとはな。もっとなにかできたんじゃないかと思ってしまうな。八百万は少しの間立ち尽くしていた。歩いて戻ってくる姿は悔しさをにじませていた。

 

「悔しいだろうな」

 

「だろうな、常闇は終始余裕っぽかったからな」

 

尾白とそんな話をしながらも続く第七試合。個性だだ被り対決の切島VS鉄哲。完全な殴り合いとなったこの試合は個性と個性、意地と意地のぶつかり合いとなった。会場には硬いものがぶつかり合う音が響き見ている周りも大盛り上がり。ここまで熱い殴り合いは久々に見たよ。

 

結果二人ともに同時に倒れてノックアウト、引き分けとなった。引き分けの場合は後程別の対決方法で勝者を決めるらしい。別ってなんだろ、じゃんけんとか?

 

「いよいよか」

 

「大丈夫かな麗日…」

 

そして次は第八試合、麗日VS爆豪だ。周りは麗日を心配する雰囲気となっているがどう戦うかは見ものだな。

 

「少なくとも予選、本戦を勝ち抜いてあの場にいるんだ。心配するのもいいけど信じてやろうぜ、仲間が勝つところをさ」

 

「そういう虚影はどっちが勝つと?」

 

「7:3で爆豪」

 

「おい!」

 

格好いいこといっても勝負は勝負。実力差を考えれば爆豪だろうなぁ、麗日も負け確じゃないし勝機もある。

 

「でも、今の爆豪に隙があるかどうか」

 

「どういうこと?」

 

クラスの大体が俺のほうを見てくるので説明する。

 

「入学当初とか、訓練前の爆豪なら付け入る隙はあったと思う。格下を馬鹿にする感じが見受けられたから。でもあいつは対人戦闘訓練で緑谷に負けた。一番格下だと思ってたやつにだ。プライドの高い男がそれを何度も許すと思うか?

格下だろうと加減せず、侮ることなく対峙するだろう。アイツの言う№1になるために」

 

そこまで説明すると周りは唾をのむ。今のあいつに死角があるかどうか。それを見つけて攻めれるか、麗日の戦略も気になるとこだな。

 

そして始まる第八試合。低い姿勢で爆豪に突進する麗日を爆破を使って迎撃する爆豪。何度も突っ込み爆破し、それを繰り返す。一度囮を使い隙をついたが失敗。そのまま同じことの繰り返しで時間は過ぎる。

既にボロボロになった麗日をみて場内からヤジが飛ぶ。爆豪に対する批判だった。それを飛ばすのはヒーローか?

 

「ウチ見てらんない」

 

「ひでぇな」

 

同じ席からもどうようの声が聞こえる。でも、

 

「目を逸らすな。麗日は諦めてねぇだろ。なら、辛くてもちゃんと見てやれ。あんだけボロボロになっても先をみてるあいつを」

 

耳郎をはじめとした、見ないようにしていた周りにそう声をかける。ここで見ないのは麗日への侮辱になる。

更にヤジを飛ばしていたヒーローを相澤先生が貶す。

 

『爆豪はここまで上がってきた実力認めてるから警戒してんだろ!本気だからこそ手加減も油断もせずやり合ってるんだろうが!』

 

その言葉にブーイングは止まる。そう、こいつらはガチだからこそ加減もなくやり合ってるんだ。それに、麗日の策は尽きちゃいない。

 

『流星群!?』

 

『気づけよ』

 

爆豪が破壊したコンクリの破片を浮かせてとどめる。塵も積もればでさらに落下の勢いも合わさり、その破壊力は普通ではないだろう。ただ、爆豪でなければの話だが。

麗日の策も片手の爆破で一掃、さらに爆風で麗日も飛ばすという離れ業をやってのけ形勢逆転。一気に麗日が不利になる。

 

「まだまだぁ!!」

 

それでも尚挑み続ける麗日だったが、連続で爆豪の爆破を受け止めたのは体に負担だったのだろう。そのまま倒れて戦闘不能に。

勝者爆豪で、第八試合は幕を閉じた。

 

戻ってきた爆豪は何かイラついたようだった。

 

「どこがか弱いんだよ」

 

「確かにな」

 

麗日のことを言った上鳴の言葉にそう返した爆豪に同意する。ヒーロー目指してる奴がか弱い女の子なわけねぇだろ。

 

そして回復した切島と鉄哲の第七試合延長戦、腕相撲対決は疲労が残った分で鉄哲の敗北。切島が二回戦進出を決めた。

 

結果、二回戦は全員A組による対決となった。

 

 

 

 




読了ありがとうございます。
次は明日です!

夏休み、映画の話をいれるか否か

  • 入れる
  • 入れない(すぐに林間合宿)
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