敵(ヴィラン)個性でもヒーローになってやる   作:マーボーDon

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どうもです!
UA50000、お気に入り1000人を突破していて驚いています!
今回も楽しんでいただければ幸いです!


第16話

「全力でかかってこい!」

 

二回戦第一試合、緑谷と轟の試合。序盤轟の氷結攻撃に対しデコピンの要領で弾くことで発生する爆風を使い応戦。轟はそれも読んだうえで背後に氷を作り壁として耐える。一発一発で氷が砕かれ宙を舞う。距離があるはずなのに寒くて震えちまう。

 

緑谷は既に使用した指を使うという危険な行為で轟の攻撃を受けきっている。身体の傷でいえば緑谷のほうがボロボロなのに轟が押されている。そんないびつな状態だった。

 

一回の爆風で指をべきべきにする緑谷に対して轟はいくらでも氷を作れるので不利、と思ったが轟にも弱点はあった。氷を発生させるたびに身体に霜が降りて動きが鈍くなるようだ。

 

エンデヴァーの息子、何かがあったんだろう。それを緑谷は知っていて何かが琴線に触れた。確かに緑谷は轟の攻撃を受けてはいない。だがそこまでして、何があいつにそうさせる?

 

距離を詰めて攻めようとする轟に隙をついて腹部にいっぱつ個性有の一撃を入れる。無傷だった轟に攻撃できたということで驚きはあるが、あの戦法じゃ…

 

さらに攻め立てる轟の攻撃をよけ、さらには攻勢に転じる姿は予想を裏切る結果になっている。

 

「君のっ! 力じゃないか!!!」

 

緑谷の叫びが会場に響き渡る。その言葉は確実に轟に対しての言葉だったんだろう。でも俺には俺に呼び掛けているような気がした。他の誰でもない、俺自身の力。そう言われた気がしてならなかった。

 

瞬間、轟の左側が赤く燃ゆる。戦闘で左を使わない。そう宣言していた男に左を使わせた。すげぇよ緑谷。だが、現実を見ればそれは轟の弱点がなくなったということだ。動けないところを炎を使い身体の熱を上げることで回復する。恐らく逆も同じだろう。熱を使えば身体に熱がこもる。それを氷結を使うことで冷ませると。両方が強く、それでいて理にかなっている。

 

炎をつかったエンデヴァーは喜びながら観客席端までやってきた。そういうこと、なのかね。エンデヴァーが望んだ形、それが轟焦凍という男なのか。胸糞わりぃな。

 

その後文字通りの両者の本気が激突、ミッドナイト先生やセメントス先生の妨害があっても止まることはなかった。冷やされた空気が熱せられ膨張し会場を襲う。その勢いに負けて緑谷は場外へ吹き飛ばされ轟はなんとかフィールド内へ。轟の三回戦進出が決まった。

 

 

 

緑谷と轟の試合のせいでフィールドがガタガタになったため補修時間を挟む。その間に飯田や麗日、峰田、蛙吹は緑谷の元へと向かった。

 

「俺も行くか」

 

「どこに行かれるのですか?」

 

四人が行った後に俺も席を立つ。それをみて八百万が聞いてくる。

 

「次の試合まで時間があるとはいえ控室にはいかねぇと。それと轟のとこにな」

 

そういうと何も返さず、何か言いたげな雰囲気だったが八百万は言葉を紡がなかった。俺はそのまま轟の所へ向かう。

 

「よう、戦線布告した相手に勝った気分ってのはどんなもんなんだ?」

 

選手控室近くにいた轟に声をかける。振り向いたそいつは数時間前とは違ってなにか憑き物が落ちたような表情をしていた。

 

「あぁ、一瞬頭の中が真っ白になってそれで、あいつを忘れた」

 

「エンデヴァーか」

 

「あぁ」

 

そうしてぽつりぽつりと轟は語りだした。エンデヴァーが轟やその母親に何をしたのか。その結果自身に降りかかった不幸。そして、そのことを恨み、憎悪でここまでやってきたこと。そのために左を使わなかったこと。

 

「そんなことがねぇ」

 

「でも、緑谷と戦ってわからくなっちまった。今の気持ちに整理をつけるためにも向き合わなきゃと思ってる」

 

なにか目指す先を見つけた。そんな顔をしている。だからこその、緑谷の言葉だったわけだ。

 

「俺もさ、似た感じかな」

 

「お前が?」

 

「おう。俺の個性はお前と違って遺伝したものじゃなく突発的なもの、所謂突然変異型ってやつでな。普通個性は4,5歳から発現するもの。でも俺はどういうわけか生まれた瞬間から発現してたらしい。その姿を見て俺の実の親は恐怖し、そのまま俺を捨てた」

 

「!?」

 

聞かされると思っていなかった身の上話だろう。まぁ境遇的にはどっこいどっこい。いや、俺のほうが100マシか。

 

「でも俺を拾ってくれた人がいた。その人が俺をこうしてくれた。もちろん、捨てた親に全く恨みがないかっていえば噓だけどよ。その人たちを咎めようどうこうは考えてねぇよ」

 

「シャーティー、だったか、元№5の」

 

「そうそう、って聞いてたのかよ。興味ないと思ってたよ」

 

『そろそろ修繕が終了するぜ! 次の順番はじめなぁ!!』

 

そんな話をしていればプレゼント・マイク先生のアナウンスが聞こえてきた。そろそろか。

 

「まぁ、お前がどうするかはお前が決めろよ。この後の試合で左を使う使わないはさ。でも、やるなら真剣勝負だぜ」

 

「…すまねぇ」

 

そう伝えるだけして控室をでる。直前に轟の声が聞こえるもその言葉には何も返さずにアリーナへ向かう。次は飯田。気は抜けねぇしな。

 

 

****

 

 

『修繕も終わってやっと始めるぜ二回戦第二試合!

一回戦ではあれだったが今回はどうだ!? 飯田! バーサスっ! さっきの試合で圧倒的速さを見せつけた虚影! 速さの二人が激突だぁ!!!』

 

「よろしくな飯田」

 

「負けないぞ虚影君!」

 

『早くもバチバチな二人だぁ! イレイザー、この試合どう見る?』

 

『飯田と虚影の速さ対決だと思うが、そううまくいくかどうかだな』

 

そりゃ響転(ソニード)みせたらそういう反応にもなるか。でも今回は違う感じでいくぜ!

 

「試合開始!!」

 

「Graaaaaaa!!!!」

 

『なんと虚影、いきなり騎馬戦で見せた大音量!!』

 

飯田の厄介なのはレシプロ、あれはただただ推進力を上げるだけじゃなく、その間にあいつの足技を強くする。なら打たれる前に動く! 開始直後は自分の動きを優先する、その隙を

狂哮(ルヒル)でつぶす!

 

咆えながらまっすぐに飯田に向かって走る。飯田は耳を塞いで止まってるいまだ! 右拳を振るい顔面を殴ろうとしたとき、

 

「レシプロバーストォ!」

 

くそっ、逃げられた。でも使わせた!

 

『虚影の拳を飯田なんとか避ける! こいつはわからなくなってきた!』

 

『いや、飯田はあの技を切らされた。不利な状況に変わりはない』

 

そろそろ喉もいたくなってきたため狂哮(ルヒル)を止める。レシプロバーストの行動制限時間は恐らく30秒以内のはず。その間に勝負が決まる。俺なら目で追えるスピードではある、反応しろ!

 

速度の上がった飯田が直線的に突進、右足を振り上げて蹴りに入る。気合い!!

 

『飯田の蹴りが炸裂ゥゥ!! だが虚影もこれを耐えてやがる! 切島や鉄哲と同じ個性かぁ!?』

 

『そうじゃないのはわかってんだろ。恐らく強化することで皮膚も硬くなんだろ』

 

何とか受け止めたが痺れんな、これが無理やり上げた火力かよ!? でも動く!そのまま足を掴みフィールド中央に放り投げる。しかし受け身をとり再び突っ込んでくる。

 

「どうした飯田! 焦ってんのか!」

 

「まだまだ!」

 

再度の蹴り技。これに俺も蹴りで応戦。脚がぶつかるがそもそもの出力として今の状態でエンジンに勝てるわけもなく少し飛ばされる。その隙をみて飯田は襟首をつかみ場外へもっていこうとする。

 

でもなっ!

 

『飯田が攻勢! そのまま場外へってなんだ!? 虚影の足先! フィールドに埋まってんぞ!』

 

『持っていかれる瞬間に足先を地面に埋めたな。そうして持っていかれるのに耐えてる。強化は腕だけでなく全身に可能だからな』

 

「戦闘訓練のとき、俺の強化した手でコンクリの壁を貫いたの覚えてないか?」

 

「しまっ!?」

 

襟首をつかんだ腕を引いて、背負い投げでコンクリに叩きつける。脚を見ればエンジンから煙を吹いていた。もしかして思っている以上に制限時間が短いか?

そんなことも考えているが気にせずに腕を伸ばして首元に足をあてる。

 

『こりゃ、腕挫十字固!? 寝技まで使えんのかよ!!』

 

『完全に極まってる。さらに言えば足を固定しているから飯田も簡単には動けないだろう』

 

「どーする飯田? レシプロの制限時間、そろそろ超えただろ」

 

「くそっ、俺の負けだ」

 

「飯田君降参! 三回戦進出、虚影君!!」

 

そうして何とか三回戦進出を決めることが出来た。立ち上がり飯田に手を伸ばす。飯田も俺の手を取りそのまま引っ張り上げる。悔しそうな顔をしているが俺も負ける気なかったんでな。

 

「虚影君、君ならもっと早く勝負を決めれたんじゃないか? 俺のレシプロにも対応していたし」

 

「あー、確かに速さは武器だろうよ。でもそれだけと思われたくなかったからな、色々できるんだぞってとこを見せたかったんだ」

 

それに、

 

「飯田と真っ向勝負、してみたかったしな」

 

「完敗だよ、だが負けっぱなしのつもりはないぞ!」

 

「こっちも次やるときも負けねぇよ」

 

握っていた手を握手に変えて、お互い再戦を誓う。残り二年もあるしこれが終わりってわけでもない。まだまだ競える部分はあるだろう。そのまま俺たちは観客席へ向かう。その間は二人だけで反省会だ。あの時の動きをどうだとか、こうする方が戦略が、なんて話をして戻っていった。

 

試合時間にすれば凡そ数十秒しかなかっただろうが、それでも得られるものの多い試合になった。

 

「お疲れ二人とも」

 

「飯田惜しかったな!」

 

席に戻れば皆が俺たちを迎えてくれる。こういうのいいよなやっぱ。

 

「次は常闇か」

 

「三奈ちゃん、大丈夫かしら?」

 

二回戦第三試合、芦戸VS常闇の試合。ここでも常闇は無類の力を見せていた。芦戸の投げる酸を避け黒影(ダークシャドウ)が連続で芦戸を攻撃。結果としては八百万の試合と同じような結果になっていた。

 

「つえーな常闇。死角なしかよ」

 

「常闇の個性って弱点ないの?」

 

「聞いたことねぇ」

 

身体から影を操る、一見無敵にも思えるがなんかないのかな。例えば出せる距離に限度があるとか。ってそれじゃこの大会じゃ関係ないか。

 

早々に終わった第三試合の後は第四試合、才能マン爆豪と漢切島の戦い。序盤の立ち回りは切島が速攻を仕掛け、それに爆豪が耐える展開に。爆豪の爆破を受けて耐えきれるって勝てねぇな切島。地味強な個性じゃん。

 

「決めろ切島! ガンガン攻めろ!!」

 

お隣B組の鉄哲が熱く応援している。昨日の敵は今日の友か。あんな感じで友好的になってくれよB組~

 

「切島の個性なら爆豪に勝てんじゃね!?」

 

「どうかなバ上鳴」

 

「んだと!?」

 

上鳴をそう呼ぶと耳郎と瀬呂が吹きだす。ツボなのね。

 

「どう思うよ、幼馴染緑谷せんせ」

 

「えぇ、僕!?」

 

戻ってきていた緑谷に声をかけて聞いてみる。だってお前一番個性の把握してるじゃん。ノートにまとめたりとかよ。

 

「このままなら、かっちゃんの厳しいと思う。でも切島君の硬化できる範囲と限度がずっと続くかわからないからなんとも言えないよ。でも切島君が短期決戦を仕掛けてる辺り時間は長くないんはないかな」

 

「確かにな。ずっと硬く出るなら止まっていた方が効率がいい。その方が相手の体力も削れる」

 

「解説サンキュ。そういうことだバ上鳴」

 

「バカバカ言わないでほしいなぁ!」

 

そう言っていれば緑谷の解説通りの結果になっていた。速攻を仕掛けた切島だが、全身を固めきれていないことに気が付いた爆豪がそこを突いて攻めに転じ、そのままフィニッシュ。爆豪が三回戦進出となった。

 

「ベスト4が出そろったな」

「今年は粒ぞろいだな」

「争奪戦になるぞ」

 

会場が盛り上がりを見せ始める。あと二回勝てば暫定だが一年トップか。目指していくしかないか。

 

「次は轟か」

 

「策はあるのかい、虚影君」

 

俺のほうを見て心配してくる飯田、策に興味があるようなクラスメイトにとりあえずは伝える。

 

「轟次第かな。氷も炎も両方使ってくるなら厳しいが、個々なら対策もありはする。でもそれは戦いの中で見せるさ」

 

要は秘密だと伝えるとブーブーと教えろコールが上鳴や瀬呂、芦戸あたりから出るが気にせず控え室へ。

 

 

「いたいた、虚影白夜君だね」

 

ってなんでここにいんだよ№2ヒーロー。暇か。

 

「君の個性も緑谷君と同じでパワフルだ。君もまた焦凍のテスト相手にちょうどいい」

 

あぁ、そういうこと。緑谷の名前を出すあたり同じように接触してそうだよな。

 

「エンデヴァーさん、なんで轟、息子さん勝つ前提の話してるんです?」

 

「なに?」

 

「あんたが何を思ってあいつに接してるかはさわりだけでも聞きましたよ。とりあえず、俺が言いたいのはただ一つ」

 

№2を目の前に、というか睨み付け言葉を発する。たかが子供だと思って何を甘く見ていたのか、何か癇に障ったのかエンデヴァーの眼光は先ほどよりも鋭くなる。はっ、そんな目線義父(とう)さんの本気の殺気にくらべりゃましまし。

 

「子供はお前のおもちゃでも、所有物でもねぇんだよ。あいつはあいつの道歩んでんだ、邪魔すんじゃねぇよ」

 

そう吐き捨てて俺はエンデヴァーの隣を歩いていく。周囲の温度が上がったような気もしたが気にしない。

 

言いたいこと言ってスッキリもしたし、次の試合頑張っか!

 

 

 

 




読了ありがとうございます!

夏休み、映画の話をいれるか否か

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