敵(ヴィラン)個性でもヒーローになってやる 作:マーボーDon
体育祭も終盤ですね!
楽しんでいってください!
『きたぜ三回戦! ベスト4が並ぶ中で決勝に進むのはどちらか!? ガチンコで決めてもらおうぜ!
一回戦、二回戦ともにド派手に勝ち抜いたクールボーイ、轟焦凍!! バーサス! こちらも一回戦、二回戦を危なげなく突破したパワフルボーイ、虚影白夜!
一瞬も見逃せねぇ戦いになるって期待してんぜお二人さん!!』
『事実、虚影の移動は目を離したら一瞬だ。二回戦ではそれを温存して飯田に勝利している。今回は速攻を仕掛けてもおかしくない』
『マジレスかよ。さぁて両雄並び立つ! しかし決勝に進めるのはどちらか一人! 白黒つけてくれよ!!』
解説・実況の二人が場を盛り上げ会場の空気が一層熱く、歓声は多くなる。注目度も高いのかねぇ。
「さっき、お前の親父さんにあったぞ」
「!?」
まさか息子の対戦相手に声かけるなんて思ってなかったんだろう。驚いた顔してるわ。
「お前のテスト相手がどうのこうのうるさいから、言いたいこと言って来てやった」
「そうか、迷惑かけちまったな」
「気にしてねぇよ。お前の家庭事情も聞いてた以上に面倒そうだし」
息子のこと指摘しただけであんなに血走った眼をして睨み付けてこれるんだからな。恐らくその分よほどの事があったんだろうが...
ま、それを押し付けてる辺りだよな。
「それに、負ける気はねぇからな。お前も思うところはあるにせよ、今は集中してくれや」
「…わかった。すまねぇな」
轟は足を前に出すスタイルに、俺は腕を前に出すファイティングポーズをとる。
「三回戦第一試合、始め!」
ミッドナイト先生の掛け声とともに轟の氷結、と思っていたが正面ではなく俺の右側に壁にする形で氷を張った。俺が動かないところを見てさらに左側に氷を。
『おっと轟、今までの速攻ではなく虚影の周りを取り囲むように氷を張った!』
『恐らくあの高速移動対策だろ。横を遮ることで移動範囲を制限し、さらに自分の前だけを開けることで攻める場所を限定させる。虚影の攻略としちゃ正攻法だ』
なるほど
「動きを封じりゃあとは!」
「正面からってか!」
逃げ道を塞いだ後は氷による正面からの一撃。右足を引き右のくるぶしまでを虚化、さらに身体を引いて勢いをつけ右拳を正面に振るう。右拳は肘先までを虚化させてある、ある程度はぶっ壊れんだろ!
『虚影がまた爆風を飛ばす! 轟の氷を砕いて相殺だ!! でもさっきも見たぞこの展開!』
『緑谷と違うところは回数制限がないってところと威力の差だな。緑谷の場合は威力重視、だから轟もその際は後ろに氷を張って対策してたが今回はしてない。それだけ威力が低いってことだろ。
だがその分何度も発動できるからこのまま続けりゃ千日手、どっかで打開策が欲しい』
『緑谷の時みたいに突っ込んでも、虚影は近接戦つえぇからな!! どうするお二人さん!』
「速攻しかけてくると思ったのに正面から受けるのかよ」
「お前こそ、こんな氷いくつ出してもだよ」
そう、俺が速攻決めそうよとすれば終わりにも見えるこの戦い。でもそれじゃ俺のやりたいことができねぇんだよな。轟に、右も左も使わないといけないってことをもっと自覚させねぇと。
多分、左を使うきっかけは緑谷が掴ませてる。だから次は右だけで超えれないこともあるって叩き込まなきゃいけねぇ。そんな必要、ないのかもしれないけど。
「こんなちゃちいのじゃなくて、お前が鍛えてきた右の、本気で来いよ。お前の誇れる、おふくろさんの力のよ」
「死ぬ気か?」
「んなつもりねぇよ。ただ、自分の力を確かめるだけさ」
『おっと虚影、轟を挑発! つか全力って』
『恐らく一回戦のあれだろうな。瀬呂が一瞬で動けなくなったあれを超えるすべがあるってのか?』
腕を前に構えクロスさせる。両腕を虚化させ、
「ふぅ、いいんだな?」
左を使い、今までの霜を溶かし身体を万全にする轟。乗ってくれてありがとうよ、感謝すんぜ。
「いつでも来いよ」
腕の隙間から轟を見る。氷結させる瞬間、脚の周りに冷気が上がる。その瞬間を見極めろ、少しでも遅れたら負ける、そう思え! …今だ!!
数秒後、轟の氷結が俺の身体を包み、俺の視界は白く染まった。
****
『轟、虚影の挑発にのって大氷結!!! 何回見てもこいつぁやべぇー!
虚影がここで敗退かぁ!?』
轟の放った大氷結は、虚影の全身を包み込みながら会場を震撼させた。本日二度目、だというのになぜかその威力は上がったようにも見える。
轟の半身はほぼ霜に覆われていた。半分の力、その出せる全力を出したのだ。当然、身体機能は低下、動きづらくはあるが問題はない。勝ったのだから。
『虚影はどこだ!? こっちからじゃ姿が見えねぇぞォ!?』
『立っていた位置から考えればある程度予想はつく。逃げようしたそぶりもない、本気で受けやがった』
スーパースローで確認がとられるが、その場から動く素振りはなかった。ただ正面からあの規模の氷結を受け止めた。自殺行為に近い対応。
「過信したな」
「まだ学生か」
「これで折れるだろ、その自信も」
「最初から速攻しかけていれば勝てただろうに」
観客席のヒーローたちはそう判断する。勝ち進み驕り高ぶった結果、自滅した。そんな風にとらえていた。しかし、
(少なくともお前は自分の限界を知ってる奴だ。まだだろ、虚影)
相澤はまだ終わっていないと思っている。今まで見てきた虚影白夜という生徒はできないことをできるとは言わない。そんな風にあの人が育てるとも思っていない。だからこそ、
『判断は審判のミッドナイトが下す。茶々は後にしろ』
静かにそう制するだけだ。
「白夜!!」
C組心操は声を上げる。凍り付いてしまった親友に向けて声を張り上げる。
「お前はこんなとこで終わんねぇだろ! 早く出て来いよ!!!」
周りの普通科生徒がなだめるが、静止を振り払い声を出す。その瞳には少しの涙が見える。
「ミッドナイト、終わったろ。早くコールしてくれ」
そう言ったのは轟だった。凍結させ時間もたってきた、そろそろ氷を溶かして助けないといけない。話ができる友達を失いたくないと思いそう切り出した。
ミッドナイトもこのままでは彼の身が危ないと判断した。少しだけ触れた彼は自意識過剰ではないと思っていた。自信満々な顔から恐らくできるのだろうと。しかし、審判としてそして教師として、生徒を守らなければならない。だから、
「虚影君行動不能、よって勝者」
ビシッ…!
轟君、と試合終了を告げようとしたその時、ひび割れる音が聞こえた。小さい、だが確実な音だった。それを聞いた轟は驚き目の前の氷の塊を凝視する。すると虚影がいた辺りにうっすらと、ひび割れが見始める。
轟の個性では氷は作れても壊せはしない。そんなことが出来るならとっくにやっている。つまり氷はなんらかの外的影響がなければ壊れはしないのだ。では何か。
『ミッドナイト、コール待った』
『なんだなんだ!? 確かになんか割れる音聞こえたよな!!』
「嘘だろ…」
決まっている。この場で、観客を除いて氷を砕けるものは一人だけ。
「ふんがぁ!!!」
虚影白夜、ただ一人である。
『虚影、氷の中からふっっっかぁぁぁぁつ!!!! どうやったかはわからんがともかく轟の大氷結をたえ、ぬい、たーーーー!!! アンビリバボー!!!』
『こいつは驚いたな』
瞬間、歓声が沸き上がる。会場中のほぼ全員が虚影の負けを確信し、轟の勝利が間違いないと思っていた。大どんでん返しだ。
「うぅー、寒寒っ。あ、ミッドナイト先生、コールに間に合いました?」
特に問題なさそうな顔で寒がりながら、自分の周りについた氷を砕いて動けるようにする虚影。試合終了のコールが聞こえていたようで、主審に確認をとる。俺はまだ動ける、試合は本当に終了なのかと。
「いいわよ虚影君! 先程のコールを撤回、虚影君行動可能のため試合続行よ!!」
『コール直前の大復活!! 喜べマスメディアども、今日の一年ステージは見どころ満載だぜぇ!』
ミッドナイトのコールでさらに盛り上がりを見せる。今日最高のボルテージとなり試合続行となる。しかし、
『決着は早いだろうな』
『あ? どゆことだミイラマン。俺まだこの試合見てたいんだけど』
『轟は右の氷結の最大規模をぶつけたんだ。それを虚影は破った。つまりだ』
『虚影に基本氷は効かないってことが証明されたわけだ!』
『そういうことだ』
「バケモンかよ」
「当たらずとも遠からずって感じかな。さて、動けんのか?」
虚影は轟を見ながら言う。右半身のほとんどに霜が降り、動きずらそうにしている。
「左を全力で使えば多分動けそうだけど。左、使うか?」
「…」
黙っちまった。まぁさっき控え室で話を聞いた感じ結構悩んでるみたいだからな。
「さ、続きやるか。このままじゃ終われねぇだろ?」
「いや…、ありがとう虚影」
轟は少し清々しい顔をして、棄権を宣言した。
****
はぁ、何とかなった。無茶苦茶寒かったし。轟に少し炎に当てさせてもらいつつ、俺はリカバリーガールの出張治療所を訪れていた。俺は問題ないと言ったのだが念のためとミッドナイト先生に言われ仕方なくだ。
「ちゅーーっ。とりあえず、軽く疲労は回復させたよ。まさかあの氷の中にいて凍傷一つないとはね」
「だから大丈夫だって言ったのに」
「ふつうは大丈夫じゃねぇんだよ。瀬呂も少しは怪我してた」
同じものを喰らってる瀬呂がそうなら普通はそうなんだろうなぁ。俺の個性が普通じゃないってことだ。
「でも、ありがとな虚影。お前と、緑谷のお陰でなりたいものが見えた気がする」
やっぱ、いい顔になったじゃん。なにかスッキリとしたようで、何よりだよ。
「じゃあ、戻るか」
「あ、先行っといてくれ。ちょっと寄るとこあんだ」
そう言って一度轟と別れる。そして周りに人がいないこと確認し、電話をかける。
「もしもし、俺だよ。うん、ありがと。あぁ、多分次の試合は使わないといけないと思う。だから、お願い。うん、うん、ありがと
とりあえず、お願いは終わったから大丈夫かな。さて、戻るか。席に戻りつつ、A組の前にC組の席の近くに向かう。さっきでかい声で呼びかけてきた親友の元へ。
「人使」
「っ! 白夜か、生きてたかよ」
「何言ってんだでかい声出して」
聞こえていたのかと顔を赤く染める人使。周りの普通科生徒に聞くと中々熱くなっていたようだった。冷静な奴が珍しいなおい。
「今日はホント感情的だな」
「うっせぇよ。…勝てよ、決勝」
「おう」
それだけ伝えて席に戻る。さて、今度はどんな感じかな。
「お、戻ってきた」
「お疲れ~」
「来たぜ才能マン」
「かっこよかったわ、虚影ちゃん」
出迎えたクラスメイトはそこまで盛り上がってはいなかった。むしろやべぇこいつみたいな目だ。
「なんだよその目―」
「いやあの氷から出てくるのはおかしい」
「しかも完全に受けきってるのに何で動けんだよ!?」
まぁそこはからくりあるし。
「絶賛やべぇやつ認定かよ。ま、優勝して黙らせる」
「さらっと優勝宣言ですよ」
「すごいなぁ」
さて、次の俺の試合相手は。
『おぉっと常闇、爆豪の猛攻を止めることが出来ねぇ!!』
「常闇君降参、勝者爆豪君」
話をしているうちに決まったようだった。常闇は爆豪との戦闘で本来の力を発揮できないでいた。光が弱点だったのか。
『これで決勝進出者が決まったぁ!!! さてこのあとすぐ』
『ちょっと待った。少し休憩挟もう』
相澤先生からの急な提案。ミッドナイト先生たちも驚いている様子を見ると、
『んだ?…OK、時間もあるし小休憩だ! その後決勝いくぜぇ!』
さてと、戻ったばっかりだけど行きますか。
「緑谷、さっきのに近い質問だ。俺と爆豪、どっちが勝つ?」
「…わからない。虚影君の個性、まだはっきりとわかってないし。でも、かっちゃんは強いよ」
わからない、か。それなら俺にもまだやりようはあるか。
「あんがとよ。あと個性のことはこの後解説入るから、皆ちゃんと聞いとけよ?」
「それってどういう!?」
緑谷からの質問に答えることなく、そのまま控え室に向かう。
決勝戦、恐らく俺のこれまでの人生をかけるだろう試合。相手はセンスの塊爆豪、相手にとって不足なしだ。
「いっちょやりますか」
読了ありがとうございました!
夏休み、映画の話をいれるか否か
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入れない(すぐに林間合宿)