敵(ヴィラン)個性でもヒーローになってやる   作:マーボーDon

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どうも!
第7話です。
GWどこにも行けないので書くしかない!

誤字報告、作品評価ありがとうございます!


第7話

敵との初戦闘を終えて気を失っているこいつらを一塊にし動けないようにしておく。

 

「このままならまずはエントランスに戻るか」

 

なんにせよこの場からの移動が必須。他のクラスメイトがどうしてるかも気になるし。そうして足を出口に向けたその時だった。

 

『バリバリバリィィィ!!!』

 

デカい音に合わせて稲光が視界に入る。この光、電気。つまり上鳴か!

そちらに走り出す。

 

「あそこかっ…てヤバげかよ」

 

電気が流れた方へ走ってみれば上鳴が敵に拘束され人質となっている。

近くには耳郎と八百万の姿、両手を上げている。周りにはしびれいたが起き上がってきた(ヴィラン)たち。人数にして十五人程度か。

 

岩陰から様子をうかがいながらどうするかを考える。って掴んでる奴の手に見えるのは電気。ってことは!

 

「てめぇら寝てろっ!」

 

岩陰から姿をあらわし起き上がってくる敵の意識を刈り取る。

 

「虚影まって!」

 

「上鳴さんが!」

 

「ガキィ!! これが見えねぇのか!」

 

何人かを行動不能にしたところで耳郎と八百万、そして上鳴を人質にする男の声が聞こえる。とりあえず立ち止まりそちらを見る。

 

「ん、で?」

 

「なっ、こいつがどうなってもいいのか!?」

 

「全員無傷なんて甘い考え持っちゃいない。それにそいつもヒーロー志望だ。

てめぇらみたいなのとやり合ってる時点で覚悟は決まってんだろ」

 

俺の言葉に啞然とする三人。え、ってことは上鳴の個性の詳細を耳郎達は知らないの…?

…あとで何言われてもいいか。

 

「やりたきゃやれよ。そんな覚悟もねぇくせに」

 

「やめてよ虚影!」

「虚影さん!」

 

「いいぜやってやるよ!!」

 

電気の走る掌をそのまま上鳴に押し当てる男。その瞬間に目を覆い隠す二人。

 

「バ上鳴! 女子に心配かけてねぇで自分で何とかしろや!!」

 

周りにスパークが走るが俺は構うことなくこちらに殴りかかってくる奴らの相手をする。

お、模造刀あんじゃん。足元に転がるそれを手に取り構える。相手もバットや刃物を持っているため手加減はしない。

 

「てめぇのせいでお仲間が死んだぞガキ!」

「…んなや」

 

「あ?」

 

「勝手に殺してんじゃねぇよ!」

 

「おごっ!!」

 

「「上鳴!」さん!!」

 

俺に後悔をさせるためか言葉をかけてくる男だったが腕の中で復活した上鳴にアッパーで顎を振りぬかれのけぞる。その隙に上鳴は二人の元へ。俺もそちらに向かう。

 

「上鳴さん、大丈夫ですか!?」

 

「ヘーキヘーキ、なんてったって」

 

「その話はあとだバ上鳴」

 

「んだと虚影! つーかバ上鳴ってなんだ!」

 

「いいから! で、こっからどうすんの?」

 

八百万は上鳴を心配するが、上鳴が自慢げなのを自重させる。

こちらに食って掛かる上鳴を耳郎が押さえながらこの後の話を始める。

 

「ここらは恐らくあとこの人数だ」

 

「ならもっかい俺の電撃で…」

 

「必要ねぇよ。むしろまたあの状態になられたらカバーにかかる時間のほうがロスだ」

 

「だね」「ですわね」

 

上鳴がもう一度広範囲の電撃攻撃を仕掛けようとするのを俺が止める。それに賛同する女子二人。不貞腐れるこいつはほっといて、

 

「俺が前衛をする。耳郎はフォロー。八百万は個性で俺らが落としたやつの拘束頼む。上鳴は八百万の護衛と気を失ってない奴の対応頼む」

 

俺の立てた作戦を伝える。三人とも異論はないらしく頷くか返事を返してくれた。

 

「敵に聞こえる作戦とは悠長だなぁ!」

 

「聞かれて問題ないからな!!」

 

しびれを切らせたのか突っ込んでくる一人の足元を模造刀で一撃、その後痛みで怯む隙に他に向かう。

その男は耳郎がキッチリ個性で沈めている。刺すだけでいいって便利だよな。

 

「あっちのガキと女を狙え!」

 

「させねぇっての」

 

当然敵は俺ではなく後方の上鳴、八百万を狙う。それをさせないのも俺の役割だ。進行方向に模造刀を放り地面に突き立てる。その後近い順に蹴りをいれて倒れさせる。

だが範囲が広く間に合わない。

 

「耳郎! 俺に構わず範囲音響!」

 

「でも」

 

「やれ!!!」

 

あぁもう、と納得しないようだが指示通りに音響での攻撃をする耳郎。

うぉぉぉ、きっついなこりゃ。でも動ける。

 

一瞬足を止めるがすぐに動き模造刀で動きの止まるやつから攻める。

横腹、首筋、胸部など。攻撃を入れて倒していく。耳から手が離れれば耳郎の音で頭をやられて気を失うだろう。

 

「ラストぉ!」

 

最後の一人には横から顔面パンチを決めて終了。山岳ゾーンでの敵制圧を終えたのだった。

 

 

 

「で、なんでこいつ無事だったの?」

 

気を失ったやつ、動けないやつを拘束し一息ついているときに耳郎が俺に聞いてきた。

 

「そうですわ。あの場であのように動くなど!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてくれ。

あれは確実に何とかなると思ったからああいうことしたんだよ」

 

上鳴の個性は『帯電』 文字通り電気を奪う(・・)個性だ。電気を溜め込み放電する。それは奪った電気を使った副産物に過ぎない。

つまり相手が電撃や雷なんかを使う場合においてこいつは無類の強さを発揮する。

本人はその使い方に気づいてなかったぽいけど。

 

「なんで知らないんだよあんた!」

 

「だって電撃だせりゃ関係ないかと思ったんだよ!」

 

「話続けるぞ。で、相手は上鳴を人質にして電気で脅してた。

知ってる奴からすりゃまったく意味のない脅しなんだよ。だから関係なく動いたってわけ」

 

俺の話を聞いて女子たちは納得の様子だった。

 

「まぁ、知っててもあの状況じゃ言えねぇだろうな。頭ショートさせて完全に意思疎通厳しかっただろうし」

 

上限超えると馬鹿になるなら上限手前でつかやいいのに。

 

「で、これからどうする?」

 

「皆さんと合流するべきでしょう。心配ですし」

 

この後か。他を見ながら探すにしてもどこにいるかも変わらないし、この建物をよく知ってるわけじゃない。むやみに動いても危険だよな。

 

「とりあえずエントランスに向かおう。ここからならそんなに離れてない」

 

「えー、でもこっからじゃ正面突っ切るじゃんかよ!?」

 

そう、移動し先生たちと合流するにしても結局はあの中央を通る必要が出てくる。

 

「でも行くしかないよね、それ以外ないだろうし」

 

「危険ではありますが、ここで動かないよりはましかと思いますわ」

 

耳郎、八百万は俺と同意見のようだ。先に前を歩いていくと上鳴も渋っていたが腹をくくったのか走って追いかけてきた。追いついたのを見て少しだが走りだす。

 

 

****

 

 

「うそ…」

 

「相澤、せんせぇ…!?」

 

山岳ゾーンから広場に向かい、物陰から様子をうかがうとそこには信じたくない光景が繰り広げられていた。

 

身体中手だらけの男と一対一をしていた相澤先生が劣勢、体制を立て直そうとしたときに図体のでかい黒い敵に殴り飛ばされた状況だった。

遠くて見えないがあそこにいるのは、緑谷、蛙吹、峰田か!?

 

「どうすんだよおい!」

 

「どうするったって…」

 

「何か…、何かしなくては」

 

三人は目の前の状況、敵の力に恐れをなしてしまった。このままここにいるだけでもこいつらには苦痛だろう。まぁそんな俺もビビってる。

特にあの黒いやつ、人をかるく吹き飛ばす力は強力だ。あんなの相手にしなきゃいけないなんて考えたくもない。

それでも、

 

「俺が気を引くからその間に一気に向え。出来ればあそこにいる奴らを引き連れて」

 

「はぁ!? なにいってんだよ!」

 

「そうだよ! 死ぬ気なの!?」

 

「無謀ですわ!」

 

非難囂々、そりゃそうだよな。でも、

 

「俺一人ならまだ何とかなる。お前らがいたら足手まといだ」

 

非常な言葉をかける。このままここにいても事態が好転しなきゃどうしようもない。むしろ見つかる可能性のほうが早い。それなら一人が囮になって上に向かわせる方がまだましだ。

 

「この中で囮をできんのは俺だけだ。それにお前らはさっきの疲労があるだろ。

初めての実戦で動けてるだけいい方なんだ、頼む。可能性の高い行動をしてくれ」

 

ここにいるのはヒーロー志望、誰かを助けたいと思って雄英に来ている奴らだ。

そのこいつらに見捨てろってのは酷な話かもしれない。

 

「大丈夫だっての。ただの時間稼ぎ、何とかなったらすぐに逃げっからよ」

 

気休めにしかならない言葉をかける。

 

「...死ぬんじゃねぇぞ虚影」

 

「俺は八十まで生きて死ぬつもりだ。こんなとこでくたばるかよ」

 

上鳴にそう伝えてから俺一人で飛び出す。足を虚化させ響転(ソニード)で移動する。

俺の出てきた場所からあいつらに目がいかないように、目の前にいきなり現れた、その状況を作るために!

 

「寝てろハンドマン!」

 

正面から右への蹴り。いい気になってるところに一気にぶち当てる。手加減はしたから少し痛い程度のはず。

 

「離せでくの坊!」

 

今度は片腕のみを虚化させ黒いやつの横腹に正拳突きをお見舞いしてやる。

こちらは本気も本気。殺す気でぶちかますが、それでも少し移動させる程度だった。

なんだこれ? 手に残るのは人体を殴った衝撃ではなくサンドバックを殴ったかのような変な感じだった。

 

「なに、出てきてやがる...」

 

「合理的判断ってやつですよ。ここにいるこいつらを逃がすためのね」

 

後ろにいる三人に、後ろから来た三人と一緒逃げるように指示を出す。

 

「どっから出てきた、お前」

 

「さぁね? 自分で考えろよ」

 

「うざいんだよ、やれ脳無(のうむ)

 

そういった手だらけの男の声に反応するように黒い奴、脳無が俺に襲い掛かってきた。

少しあった距離を一気に詰めて筋肉の隆起した腕を振るってくる。両腕でガードするも受けきれずそのまま吹き飛ばされ地面に打ち付けられる。

 

「ぐぁっ!?」

 

「なんだよ、カッコよく登場した割にはあっけないな」

 

倒れる俺に男は興味をなくしたようにつぶやく。

嫌なんだよこのパワー、普通に義父さん超えてるって! 腕は…折れてない。ただヒビは入ってるか。俺がまだまだとはいえ鋼皮(イエロ)越しに骨にヒビって。

パワーだけならオールマイトってか?

 

「うっせぇよ、ヒーローはこっからだろ…」

 

「今ので腕折れないのかよ、頑丈だな。でももう何回かやればボロボロになんだろ」

 

「やめろ虚影! 早く逃げろ!」

 

相澤先生が怒鳴ってくるが逃げはしない。まだあいつらが移動中だ、こいつの視線をこっちに向けないと。

間髪入れずにこちらに来る脳無とかいうやつ。確かに早いし力も強い。普通に受ければジリ貧。

 

「でも当たらなきゃどうってことねぇんだよ!!」

 

こっからは常時足を虚化して響転(ソニード)で攪乱しかない! 高速移動を繰り返しながら反応できない隙に蹴りを叩き込む。ヒット&アウェイ戦法で時間を稼ぐ1

 

俺の速度についてこれていないのか脳無は俺をとらえられない。

あらぬ方向へ拳を振りぬき、その隙に俺が蹴りを入れる。

 

「なんだよお前! こんなの聞いてないぞ!!」

 

手だらけの男は怒りからか地団駄を踏む。カッとなりやすいのか、思い通りにならないことに腹を立てているようだった。

 

でも、いける! このままならっ

 

「何をしているんですか?」

 

しまっ、この声! さっきの黒モヤ!?

 

そう思った瞬間俺は脳無の目の前にいた。畜生、あの一瞬で俺をここにワープさせたってのか!? くそ、着地が間に合わねぇ、せめて片腕全力で!!

 

右腕に虚化を集中させ防御に集中する。しかし脳無の一撃は腕を伝いそのまま腹に入り俺は宙を舞った。

 

「すみません、生徒一人に逃げられました」

 

「お前がワープじゃなきゃ殺してるぞ。まぁいい、あのガキをぶちのめせたから許してやる」

 

「おい、虚影!」

 

「虚影君!!」

 

視界がくらむ、口の中は血の味。なんとか立ち上がろうとするが衝撃のせいか足に力が入らない。

つか緑谷、なんでそこにいるんだよ。はやく逃げろっての…。

右腕は確実に折れてる。あの脳無とかいうやつがやばいのはわかった。恐らく対オールマイトってのはあれのことなんだろう。

生きた左腕で体を支える。そんなことをしている間に脳無が近づいてきて俺の頭を握る。

 

「無様だよな、ヒーロー気取って前に出てくるからそうなんだよ」

 

嬉しそうにわかってやがる。手に隠れてるがよーくわかる。多分このまま俺を殺すのが目的だろう。他人を壊して喜ぶんだろう。

 

 

だが、思い通りにさせるかよ。かすれる視界で見渡す。直線状は...、黒モヤの奴だ。先生たちは右側で当たることはなさそうか。後ろも建物はなくゾーンも気にしなくていい。

それなら思いっきりやれる。立ち上がる瞬間から生きてる左腕を虚化、エネルギーを少しずつためてある。

 

この技は基本使うつもりはなかった。周りへの被害が大きくなるし何より加減ができない。

体育館でぶっ放したら壁に穴開けちまったし。

でもだからこそ、こいつらには効くだろう。思い通りになってるところをひっくり返す。

 

「はっ...、なに、勝った気でいるんだよ」

 

「わからねぇのか? 今からお前は死ぬんだよ。脳無に握りつぶされてなぁ!」

 

「どー…かな」

 

力なく左腕を上げる。それすらも気を抜けば無にきす。まだもて、まだ!

 

「あ?」

 

「ぶっ飛べ、クソ野郎…」

 

「駄目だ!死柄木弔!!」

 

瞬間俺の指先に赤黒いエネルギーが収束、そのまま一直線に放たれた。

それは脳無の体を包み込み、その余波は周囲を吹き飛ばした。

 

虚閃(セロ)

 

エネルギーを集中させ放出する俺唯一の遠距離攻撃。

今の俺の最大火力。

 

「ざ…まぁ、みろ…」

 

俺を掴んでいた脳無の腕は繋がりをなくし宙に放り出されている、つまりどうなるか。

脚にも力入んねぇ。文字通りすべてを込めた一発だった。

地面に着地できずに俺はそのまま倒れこむ。

 

それと同時に入り口の扉が吹き飛び声が聞こえる。

 

『私が来た!!!』

 

あぁ、オールマイトだ。これでみんな、たすか、る…

 

 

そのまま俺は意識を失った。

 

 

 

 




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