ガンダムビルドダイバーズ IF-Sky-fall   作:白烏

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EP-4 black

とある中学校。部活終わりのチャイムが鳴り響き、多くの生徒たちは帰宅の準備を始める。

そんななか、受験生の自習室として開放されている教室でもひと段落のため息が漏れ、どこかピリピリしていた空気が弛緩し、荷物を片付けた一人の生徒がメガネの同級生へと話しかける。

 

「おーいユキオ、いっしょに帰ろうぜ」

「あー…今日は…」

 

ユッキーと呼ばれなくなって、…受験勉強に集中したいからとGBNから離れて半年。

ふと頭によぎるのは友達と一緒に、ビルドダイバーズとして遊んでいたころの楽しい思い出…でも、そんな日々はもう二度と戻らない。

 

「…ごめん、今日はもう少し勉強してから帰るよ、ちょっと調子いいんだ」

「お?そうか?んじゃ、邪魔しても悪いしさっさと帰るわ、お疲れー」

「うん、お疲れ様…」

 

さっぱりと受け答えをした彼含めメガネの少年以外の生徒は帰っていく。

一人残った少年は大きくため息をついく。

 

「…調子いいなんて嘘なのにね…はぁ…」

 

英語の参考書で隠すようにしていたノートに書かれていたのは英単語でも英文でもない感情任せのメモ書き。

あそこで攻撃を回避できていればサテライトキャノンで援護もできた。

もっと機動力を上げていればチャンプとの戦いにも加勢できた。

もっと火力を上げていれば。

もっと…もっと自分が頑張っていれば結果は変えられたんじゃないか、今もあの楽しかった時間が続いていたんじゃないか。

今更どうしようもないことだというのは理解している、無意味なことだというのも理解している…けれど…

 

「…リッくん…今は何してるんだろう…」

 

あの事件以降疎遠になってしまった友のことを思い窓の外を見上げる。

ちょうどあの日と同じような曇り空が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

‐市街地エリア‐

 

「空が…!?っ!?ボルトアウト!!」

 

マーズフォーガンダムとグレイズ部隊の接敵の直前、町上空の空に亀裂が走る。

空のヒビから異常なエネルギーの反応を検出、コクピット内にけたたましく警告音が鳴り響き、機体からアーマーをパージして慣性を殺し、パージしたアーマーをSFSのマーズアーマーへ再構築、コアガンダムでそれを掴んでグレイズ部隊から離れ…

 

次の瞬間、グレイズ部隊は空から振ってきた巨大な光に飲み込まれて消えた。

 

グレイズ…もといエイハブリアクター搭載MSは完成度で差が出るもののビーム攻撃に対する耐性が極めて高い。

それがビームの一発で消し飛ばされた。

 

「なに…が?」

 

間一髪回避できたコアガンダムだが間近でのビームにレーダー等のセンサー類が狂って反応を拾えなくなる。

唯一正常なカメラからの映像を拾って戦場を視認。

さっきまでなかった巨大なクレーターがグレイズ部隊のいた場所に出現、地面はえぐれ、高熱のせいで赤熱化している。

 

それに気を取られてしまい背後からの敵への反応が遅れてしまう。

頭部を破壊されたグレイズと両腕を破壊されたグレイズが破れかぶれでコアガンダムへととびかかる。

 

「よくもやってくれたなぁ!!」

「仲間の仇!!」

「しまっ…!?」

 

雑な狙いのアックスとやぶれかぶれの蹴りがコアガンダムへと襲い掛かる、ボルトアウトからの無理な挙動のせいで体勢を整える暇もなく迫りくるアックスと足に衝撃を予測し、備える。

 

「っ!?」

 

グレイズ達の攻撃はコアガンダムまで届かなかった、否、届く前に切り払われた。

上空から飛び込んできた黒い影が間に割り込み、背中から引き抜いた剣で2機のグレイズの胴体を一瞬で両断した。

 

「君…は…」

「…助けて…くれた?」

 

ヒロトと後ろで震えていたELダイバーの少女が呆然と呟く。

 

「…………」

 

しかし通信からは何も返答がない、黒い影…もとい黒いMSはよく見えば妙なところが多かった。

まず、先ほどは戦闘中で高速移動している姿しか見えなかったために黒い影と形容したがそれは動きを止めた今でも変わりなく、全身が黒いもやでおおわれたように姿がちゃんと視認できない。

…かろうじて、両肩についている太陽炉のおかげで00の改造機だということがわかるくらいだ。

さらにレーダーにも何の反応もなく目の前にいるのにもかかわらずデータ上ではこの周囲にいる機体は自分ひとりしかいないことになっている。

 

「君は…味方…なのか?」

 

グレイズ部隊を退けてくれたという恩はある、しかしELダイバー狩りする者には時に自分の功績欲しさにほかのELダイバー狩りを排除する者もいることをヒロトは知っている。

目の前の黒い影がそれではないという確証がない以上はその警戒もしつつ問いかけ…

 

「………」

 

黒いMSのパイロットは何も答えず、そのまま踵を返して飛び立っていき、現れた時と同じように空にできた裂け目へと消えていく。

黒いMSが裂け目に消えていくと空の裂け目は自然と消えていき、あたりには静寂が戻った。

 

「……なんだったんだ…あの黒いMS…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やっぱり、あなたも出会ったのね、あの黒い00に」

 

ELダイバーの少女をレジスタンスに預けた際に例の黒いMSの話をするとそんな返答が返ってきた。

 

「やっぱりってことはマギーさんは知ってたんですか」

「知ってた…ってほどじゃないけどね、私も直接見たことはないし…」

 

曰く、ELダイバー狩りの現場に突然現れてはELダイバー狩りをしているMSを攻撃する黒い影を見たとか、その際にはかつてのブレイクデカール事件のように空が裂けてそこから現れるとか、さらにブレイクデカール事件と酷似しているのが…。

 

「記録に残らない…ですか」

 

その言葉を聞いて先ほどの戦闘のログを確認してみるがやはりあの黒いMSの部分はすっぽり抜け落ちている。

 

「止まらないELダイバーの増殖にブレイクデカールの再来…」

「このゲームはこれからどうなっちゃうのかしらね」

「…それでも」

 

一呼吸おいてこぶしを握り締めて決意を新たにする。

 

「それでも、俺は俺にできることをするだけです」

 

その言葉を最後にしてレジスタンスのフォースネストから姿を消した。




続きは未定です
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