ぶっ飛んだヤンデレウマ娘たちが見たくて書き起こした物体 作:妖魔夜行@
ネタのキレが落ちているけど気にしないでくれよな!(無茶)
あといつも感想評価ありがとうやで。会話みたいな感想返しが楽しいんじゃ。
「おっはよートレーナー! 今日もいい天気だね! 絶好の結婚日和だと思うんだ!」
「そうだな、いきなり求婚してくるやつとは絶交の決行日和だな」
「ねぇねぇトレーナー、今日はどこに行くの? ボク、遊園地行きたいなー!」
「俺今日休みなんだけど。てか何で当然のように俺の隣で飯食ってるの?」
「……? トレーナーの隣でボクがご飯食べるのがそんなにおかしい?」
「普通ならおかしくないんだがな、ここ俺の部屋なんだよ。なんでいるんだよ、もうやだよ俺このこと聞くの」
朝、目を覚まし食事を取ろうとリビングに向かえばそこには朝食を取るトウカイテイオーの姿があった。デジャヴを感じつつもトウカイテイオーと会話をしていたが耐えきれず指摘してしまった。
毎回毎回気づけば自分の部屋に担当ウマ娘が勝手に上がり込んでいる。その度に毎度同じ質問をするので鳥恵は若干ノイローゼ気味になっていた。
いつものように懐から鍵を取り出す動作を見て鳥恵は肩を落とした。玄関の鍵穴は既に3回も変えているのだが、相手もその度に合鍵を作るのだからため息もつきたくなる。
「変な事言うなートレーナーは。愛鍵で開けたに決まってるじゃん」
「その鍵に愛なんかねーよ。あるのは害だけだ」
買い置きしていた食パンは全てトウカイテイオーの胃の中に収められてしまったので、仕方なく冷蔵庫からゼリー飲料を取り出す。スペシャルウィークと違ってトウカイテイオーは朝食を作ってはいないのだ。
仮に作られていたとしても何が盛られているのか分からない食事など口にしたくはないが。
「ところでさ、トレーナーは今日何する予定だったの? 昨日はボクらの練習メニューを考えたあとシャワー浴びて寝ちゃってたから洗濯機回してなかったよね? あ、半日家事掃除洗濯やって終わり次第買い出しに行くんだね! ボクも着いてこーっと!」
「何で俺の昨日の行動と今日の予定を把握してんのかはもう聞かないけど、そこまで分かりきってるならお前も聞かなくてよかったよな?」
「事実確認って大事じゃん」
「その事実をお前が知っていることが問題なんだけどね?」
会話しながらも鳥恵は家事をこなしていた。雨に濡れたわけでもないのに妙に湿っている服が投げ入れられた洗濯機を回し、自分は使用してないはずの皿や箸などの食器類を洗い、どう見ても自分の長さや色ではない髪の毛が落ちているフローリングの床に掃除機をかけたりと、器用に行っていた。
「トレーナー……なんでボク以外の女の子の髪の毛があるの? ねえ」
「俺が聞きたいよ。あとお前の髪の毛が落ちてるのもおかしいからな?」
「でもナイスネイチャは自分のトレーナーの部屋に入り浸っているって話をよく聞くよ?」
その話は鳥恵も本人から聞いたことがある。彼いわく、最近ナイスネイチャとの距離が近くて困ってる。どうにか出来ないものか、と。鳥恵は関わると面倒事に巻き込まれる気がしたので某リギルトレーナーに相談したらどうだろう、と丸投げした。ナイスネイチャのトレーナーはそれはもう満面の笑みで「確かにあの人ならいいアドバイスくれるかもな! ちょっと聞いてくるわ!」と言っていた。
そんなことを考えながら鳥恵はトウカイテイオーに言葉を返した。
「よそはよそ、うちはうち」
「何それー! トレーナー、ママ見たいなこと言わないでよ〜」
「…………」
「どうしたの? 急に口元抑えたりして、つわり?」
「いや、ちょっとな……まだ体の中に母性が残ってる*1のかと思うと吐き気がして。というか人を勝手に妊娠させるな。俺は男だ」
思い出されるのは1週間ほど前のスーパークリーク襲来事件。鳥恵の自室で起こった惨たらしい事件だった。鳥恵が過ごしてきた27年という人生の中でも最大の苦痛だと言いきれるくらいには苦く悍ましい出来事だ。
茶化したトウカイテイオーに恨み節でもぶつけてやろうかと振り向くと、笑顔なのに目が笑っていないトウカイテイオーがジィっと鳥恵を見つめていた。
「ねぇトレーナー、ボクならトレーナーのことを受け入れられるよ。トレーナーが苦痛に思うことは絶対にしないし、トレーナーが喜ぶなら何でもするよ。だからさ、ボクだけを見て?」
「勝手に自宅に上がり込まれることが苦痛でないとでも?」
「トレーナーとボクはどうせ夫婦になるんだから実質ボクの家みたいなもんでしょ」
「おっと強いぞコイツ。暴論にも程があるだろ。帝王もビックリだよ」
清々しいまでの自分ルールに怒る気力も失せる。めっきり癖になってしまったため息をつき、掃除機を片した鳥恵は中身が寂しいことになっている冷蔵庫のために買い出しに出かける準備を始めた。
それもこれも担当ウマ娘たちが入り浸るせいなのだが、その状況にも慣れてきてしまっている自分がいることに軽く目眩を覚える。
「大丈夫トレーナー? 立ちくらみ? ボクがハグしてあげよっか?」
「ウマ娘の腕力でハグされたら俺の背骨の位置バグっちゃうよ」
「そしたらボクがお世話してあげるね。えへへ、ずっと一緒にいられるね」
「それが事故で起こること前提だったら微笑ましかったんだけどな。お前は自己でやろうとしているから恐ろしさしかないな」
「ボクはちみー飲みたいな〜。ねぇトレーナー買って買って〜!」
「話逸らすの下手かよ」
玄関でお互い靴を履き外に出る。鳥恵が鍵を閉めようとするのをトウカイテイオーは手で制し、空いている片方の手に持っている鍵で施錠した。
「今度から電子ロックにするか。金ならあるし」
「トレーナー知らないの? ウマ娘って力強いんだよ」
「脳筋すぎるだろ」
「女の子はたまに強引なところがあると可愛いってマヤノが読んでた雑誌に書いてあったんだよね〜」
「お前らの場合『たまに』の頻度じゃ済まねーだろ」
むしろたまに強引じゃない時があると言った方がいいだろう。
それにしても、と、鳥恵はトウカイテイオーに目を向ける。サラリと流れるポニーテール、心做しかいつもより艶があるように見えるのは気の所為ではないだろう。服装もいつものカジュアルなTシャツと短パンではなく、どことなく余所行きを思わせる落ち着いた色味のワンピースだ。
「今更だけど、どうしたんだその格好。随分オシャレじゃないか」
「へっへーん。マヤノに見繕って貰ったんだー! 似合ってるでしょー?」
「ああ。似合ってるな」
「でしょー! こうしてトレーナーの隣を歩いてると夫婦みたいに見えるよねっ!」
「ああ、違ってるな。腕離せ歩きづらいんだよ」
腕を振りほどこうと力を入れるがピクリとも動かない。自分の腕のはずのにおかしな話なのだが、実際動かせないのだから仕方がない。関節でもキメられているのかと思うくらいに動かないのに、全く痛みを感じない事に恐怖を覚える。
「離す必要ある? それよりトレーナー、ボク夕ご飯はカレーがいいな〜」
「あるだろ。というかなんで夕食を俺の家で食うつもりでいるの?」
「??? だってボクら夫婦でしょ? 夫婦が一緒の家で食事することの何がおかしいの?」
「俺の知ってる夫婦は人の家の合鍵を勝手に作らないし人の部屋に盗聴器を仕掛けないしストーカーもしない」
腕を振りほどくのを諦めてトウカイテイオーと会話をすることにしたが、どうにも会話の内容がおかしい。歪な妄想と欲望が渦巻いている空気が言葉の端々から見え隠れしている。
トウカイテイオーはニッコリと優しい笑みを浮かべて鳥恵に言葉を返した。
「愛ゆえの行動だよ」
「害しかないんだが」
「もう! トレーナーはさっきからそうやって文句ばっかり! ボクのことどう思ってるのさ!」
そう言われて少し考える。トウカイテイオーというウマ娘として見るなら彼女はずば抜けて優秀なウマ娘だ。3度の骨折を乗り越えた不撓不屈の精神は誰にも真似出来ないだろう。明るく元気で誰に対しても気さくに接する彼女は誰もに好かれる人気者だ。
しかし鳥恵が関わるなら話は変わってくる。
「変態」
「んなぁ!? ひっどぉ〜い! ボクのどこが変態さんだっていうのさぁ!」
「不法侵入、盗聴盗撮、ストーカー……あと何があったっけ?」
「あっ! ねぇねぇ見て見てトレーナー! あの人達ペアルックだよ〜! 可愛いねぇ!」
「話の逸らし方下手なんだから諦めろよ」
「ボクらもペアルックしよーよ。まず手始めに苗字をペアルックにしない?」
「話聞いて? というかペアルックだとしたら斬新すぎるだろ。書面上でしかルックできねーじゃねぇか」
違う、そこじゃない。リギルのミーティングルームから魂の籠ったツッコミが聞こえてきた気がした。
そうこうしているうちにスーパーへ到着してしまった。やはり10以上離れている歳の差で腕を組んでいる光景は中々見ないのだろう、周りの視線を集めまくっている。しかもその人物というのがかの有名なトウカイテイオーとその担当トレーナーというのだから尚更だ。
「なあトウカイテイオー、マジで離してくれよ。何回この問答すればいいんだよ」
「ボク〜ガキだから、難しい話分かんなーい」
「根に持ってやがる……そんな難解な話じゃないだろ面倒だな。ハニードリンク買ってやるから許してくれない?」
「ボクはそんな安いウマ娘じゃないよ。まあ、でも? トレーナーがどおぉしてもって言うなら? 頭を撫でてくれたら許してあげないこともないけどね?」
「頭撫でてやるからさ」
「いいよー!」
「やっす」
ハニードリンク、通称はちみーは大体1000円前後だが、鳥恵が撫でるだけで済むなら無料だ。ただただ視線がきついが、少し我慢して離れてくれるならまだマシだろう。
人目があまりない場所に移動してベンチに座る。ようやく開放された腕でトウカイテイオーの頭を撫でていると彼女はうっとりと気持ちよさそうに目を細めている。
暫くして満足したのか、トウカイテイオーが口を開いた。
「……ねぇトレーナー、そんなにボクがくっついたりするの、嫌? もし嫌ならボク……ボク……おかしくなっちゃうかも……」
「どこからその声出した」
女子中学生が出してはいけない低さの声で話すトウカイテイオーに対してため息をつき、ワシャワシャと頭を撫で回す。いきなり荒っぽくなった手つきに驚いたのか彼女は「ぴぎゃっ!」と悲鳴をあげた。
鳥恵の辛辣なツッコミに対して耐性が着いてきたのか、最近の彼女たちは鳥恵のツッコミを受けても正気に戻らないことが多い。そういう時は少し乱暴に頭を撫でてやると正気に戻るので近頃はこの方法をよく行っている。
そのせいで鳥恵の担当するウマ娘たちが意図的に正気を失うことが多くなった*2のだが、それは蛇足だろう。
「別にくっつくなとは言わないが、せめて時と場所と場合を考えてくれ」
「えー? 考えてるよ?」
「仮にあれで考えてると言うんだったら相当のバ鹿だからな?」
「ボクはちゃんと考えてるもん。計算してやってるから大丈夫だよ」
「確信犯か、なら罪は重いな。精算してこい」
「んー……分かった! その代わりボクが罪を償い終わるまでずっと一緒にいてね」
「そんな提案はお断りだな」
「でもマヤノの読む少女漫画じゃ定番だよ?」
「その少女漫画絶版になっちまえ」
その後、結局引っ付いて離れないトウカイテイオーを抱えて夕食の材料を買うことになった鳥恵だった。翌日その光景を見てしまったチームメンバーがこぞって鳥恵の部屋に押しかけるのだが、それはまた別の話。
ちなみに鳥恵の担当するウマ娘は10人です。ゴールドシップは担当してません。
トウカイテイオーは抜けてそうに見えて普通に頭いいから油断してると外堀から埋められてそう(小並感)
私もトウカイテイオーに力負けして〜な〜(願望)