ぶっ飛んだヤンデレウマ娘たちが見たくて書き起こした物体   作:妖魔夜行@

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 お気に入り2000と総合評価3000ありがとうございます。なんでこんな評価貰ってるの???
 誤字報告も助かってますありがとうございます。あとオグリキャップはこんなこと言いません(いつもの)

 今回ぶっ飛び具合が抑え目なのでタイトル詐欺になるかも知れませんね……先に謝罪しときます。めーんご♡(メスガキ)


オグリキャップの場合

 トレセン学園の食堂の料理はとても美味しい。生徒、教師両方から絶賛される程だ。勿論、味だけでなく栄養バランスもしっかりと考えられている。

 何故トレセン学園がそこまで『食』に拘るかと言うと、それは彼女らウマ娘のためである。アスリートにとって身体は基本であり資本であり、唯一無二の武器である。その身体を創る素となっているのが料理だ。

 美味しく身体を作り上げる。それがトレセン学園食堂部のポリシーであり、モットーである。

 

「だからって食いすぎだろオグリキャップテメェ。また太り気味になるじゃねぇか」

「もぐもぐもぐもぐ……ごくんっ。大丈夫だトレーナー。私は食べてもすぐ痩せる体質なんだ。トレーナーへの愛は太り続けるがな」

「最後の一言いる?」

 

 山のように盛られたコロッケを貪りながら鳥恵の胃に重たい愛を伝えるオグリキャップ。勿論その間も食べる手は止めない。

 

「いい加減その手を止めろ。妊娠8ヶ月目みたいな腹になってんじゃねーか」

「……トレーナー、まだ私とトレーナーの間に子供はいないぞ。全く、トレーナーは気が早いな」

「早いんじゃなくて短いんだよ。キレるぞ」

「切れる……賞味期限か?」

「人を30過ぎても売れ残ってる独身女みたいな表現で呼ばないでもらえます?」

「トレーナーは売れ残ったりしない、何故なら私が買い占めるからな」

「こちら非売品の一点物となっております」

「買った!」

「困った、話が通じない」

 

 その言葉にシュンと耳と尻尾を下げるオグリキャップ。心做しか食べるスピードも落ちているような気がする。実際にコロッケを食べる速さが5秒に1個から10秒に1個に変わっただけなので、本当に『気がする』だけだったりする。

 皿の上にあるコロッケを食い尽くしたというのにまだお代わりに行こうとするオグリキャップの首根っこを掴み、鳥恵とオグリキャップは食堂を後にした。

 

「まだ食べ足りないのに……」

「マイラーに有るまじき腹してんのにまだ言うか」

「マヨネーズは人並みに好きだぞ?」

「マヨラーじゃねーよアホ。脳みそにマヨ詰まってんのか*1

 

 美食家でも目指してるのかと言いたくなるほど何を話しても食べ物関連に繋げてしまうオグリキャップの脳内思考にゲンナリする鳥恵。オグリキャップは他の担当ウマ娘とは違ったベクトルで疲れる相手だ。彼女を引きずるのもこれが2回目3回目などではなく、とっくの昔に両手の指の数を超えている。

 

「今日の午後の授業はダンスレッスンとボイストレーニングなんだろ。その腹でやる気か?」

「トレーナー……いくら私のことが好きでたまらないからって監視なんてしなくてもいいんだぞ? そんなことをしなくても私はトレーナーの元へ帰るのだから」

「誰もお前をつけ回すために監視しているわけじゃないんだよ。お前んとこの担任から『ダンスレッスンがあるので食べすぎないよう見張っててください』って頼まれてたんだよ。無駄だったけどな。あと帰ってくんなあれは俺の家だ」

 

 最近鳥恵はボーナスで部屋のセキュリティを強化した。まず扉のロックを指紋認証に変え、次に専門の業者を呼び部屋の至る所にしかけられていた盗聴器と監視カメラを除去してもらった。あまりの数の多さに業者の人からドン引きされたがそれでプライバシーを守れるなら安いものだ。

 ちなみに翌日、担当しているウマ娘全員の瞳からハイライトが消えていた。そしてその日の夜、セキュリティを突破された。鳥恵は泣いた。

 

「なんで俺は担当ウマ娘相手に自分の部屋のセキュリティをガチガチに固めなきゃ行けないんだよ。しかもその固めたセキュリティを一晩で無効化してくるしさ、お前らホントなんなの? 高かったんだぞアレ」

「だから何度も言っているだろうトレーナー。いい加減、私と一緒に暮らそう

「もしかしてもうボイストレーニングしてきた? そんな綺麗な声で言われても頷かんぞ」

「頷けば了承してくれるのか!」

「物理的に頷かせようとしないで?」

 

 腕づくで鳥恵の頭に手を伸ばすオグリキャップの額を小突く。どうして自分が担当するウマ娘は揚げ足を腕力で取ろうとしてくるのか、本気で頭を抱えたくなった。まあ、つい先程まで抱える頭を掴まれそうになっていたのだが。

 メキメキと鳥恵の頭から嫌な音が聞こえてきたところでオグリキャップが手を離した。

 

「すまない……興奮して少し*2力を入れすぎてしまった。責任を取らせてくれ」

「ちゃんと謝れるだけまだマシだな。さっさと授業に出てくれ」

「ああ。責任を取ってトレーナーと保健体育の実技授業を行う」

「思春期の中学生男子か」

「トレーナーにも責任を取って貰うぞ。鳥恵オグリキャップ……ふふっ、悪くないな」

「悪い要素しかねぇよアホ。しれっと責任転嫁するな。保健室に連れていこうとするなバ鹿」

 

 ズルズルとオグリキャップに引きずられている鳥恵。最初とは立場が逆になってしまった。保健室でイチャコラするなどと言った発言が他の担当ウマ娘に聞かれていたら彼女達の怒りのコンロが点火する所だったのだが、幸運なことに今廊下に人通りはない。と言っても現在進行形でドナドナされている鳥恵にとっては不幸なことだろうが。

 自分のスーツが埃まみれになっていくのを感じながら、ふと先日スーパーでばったり出会したタマモクロスとの会話を思い出した。

 

「そう言えばオグリキャップ、タマモから聞いたが、最近夜食を食わなくなったらしいな。どうした? 心の病気か? 俺に相談しずらかったら仲良い友人とかに話せよ」

「一食抜いただけで病気を疑われるのか私は……」

 

 引きずるのをやめて立ち止まったのでよっこらせと立ち上がる。スーツの埃を叩いて落とし、何やら頬を紅潮させモジモジしているオグリキャップに声をかける。

 

「おい、どうした」

「…………トレーナーは分からないのか?」

「お前が夜食を抜くようになった理由か?」

 

 こくりと頷く。顎に手を当てて考えるポーズを取ってみる。鳥恵の経験上、オグリキャップが飯を食わなくなるのはレースでボロ負けした時と高熱を出した時だけだ。だが現在彼女が熱を出しているようには見えないし、レースでも調子よく高順位を取り続けている。考えた結果、分からないことが分かったので潔く首を横に振ることにした。

 

「……悪いな、何も分からない」

「まあ、トレーナーは鈍感だからな。仕方がない、教えよう…………私だって女の子なんだぞ。……好きな人のために痩せようと努力するのもおかしな事じゃないだろう……

「ああー……あー、成程な」

 

 ボソボソとしりすぼみになっていくオグリキャップにスっと視線を横に逸らす鳥恵。

 普段の彼を知る者ならさぞかし驚くことだろう。あの鳥恵が気まずそうに、そして照れくさそうに頬をポリポリと掻いている。

 何せ鳥恵が担当するウマ娘は狂愛を押し付けてくる者しかいない。勿論オグリキャップだってその一人なのだが、こうも恋する乙女の可愛らしい一面を見せられては、流石の鳥恵の鉄仮面もギャップの一撃を受けてぐらついてしまう。

 

「トレーナー、顔が赤いぞ。風邪か?」

「……なんでもねーよ」

「ふむ……成程。熱は熱でも私にお熱なんだな!」

「どつき回すぞ」

「何故だ……というかトレーナー、最近私の扱いが雑になってきてると思うのだが……」

「そうか? 豆苗の世話くらいには丁寧に扱ってるつもりだぞ」

「泣く程じゃないけどそれなりに雑だ……」

「すまんやっぱり豆苗の方が大事だわ」

「食べれる葉っぱに負けるのか私は!?」

 

 普段感情の起伏が乏しいオグリキャップも鳥恵のこの言い草には流石に目を向いた。鳥恵は鳥恵で『今週分の豆苗収穫するの忘れてたな』と呑気にそんなことを考えていた。

 その思考の端で、少しでもドキドキした自分がアホだったと鳥恵はため息をついた。オグリキャップは理不尽に怒られて耳と尻尾を下げしょんぼりしている。

 

 オグリキャップの様子を見て少し言い過ぎたかもしれない、そう思った鳥恵はポンと手のひらを彼女の頭に乗せて軽く撫でた。ふにゃりと破顔した彼女を見て釣られて鳥恵も口角を上げた。

 

 数秒後、理性が決壊したオグリキャップが飛びかかって来たのだが、たまたま通りがかったタマモクロスのおかげでその場は何とかなった。

 

 恋する乙女は確かに可愛いが、自分が担当するウマ娘は乙女である前に猛獣であることを再認識した鳥恵だった。

*1
シンデレラグレイネタ。未読勢に配慮しないファンの屑

*2
リンゴを握り潰す程度




 ※タマモクロスは担当ウマ娘ではありません。

 これ書き終わったら純愛書いてみたいなーと思ってみたり。でも私の書く恋愛ものってギャグとシリアスどっちかに振り切っちゃうんだよね……。ハーフアンドハーフが出来たらいいんですけど。
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