ぶっ飛んだヤンデレウマ娘たちが見たくて書き起こした物体   作:妖魔夜行@

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 ウオッカはこんなこと言いませーん!(ノルマ)
 オグリに続いてぶっ飛び要素低いけど許してクレメンス。
 これ書き終わったらpixivの方にも投稿しようと思ってるんですよね。あ、感想100件いきました。好きねぇ貴方たちも。おかげで執筆の意欲が湧くんですけどね!


ウオッカの場合

「よおトレーナー! 奇遇だな! オレと同じ墓に入ってくれねーか?」

「ついで感覚でプロポーズしないでくれます? 開幕からアクセル全開かよ。しかも古風だし」

「もうちょい工夫した方がよかったか?」

「そもそも挨拶同然に求婚してこないで欲しいんだが」

 

 休日ということで久々に映画館に出向いていた鳥恵だったのだが、途中でウオッカとばったり会ってしまった。これが偶然なのか必然なのかは分からないし知りたくもないのだが、家に出る前に金属探知機で調べた時には何も反応がなかったので恐らく偶然だろう。

 気さくに片手を上げて求婚してきた*1ウオッカに無駄だと諦めつつも一応注意してみる。大して効いてない様子のウオッカを見てため息をついた。

 

「ため息をつくと幸せが逃げるって言うぜ」

「じゃあつかせないで貰えますか?」

「オレを嫁がせてくれたらため息なんてつかなくなると思うぜ」

「結婚への執念が強すぎないか? 今度は何に影響された」

「月9ドラマ。教師と生徒の禁断の愛ってやつ」

「お前その手の耐性ないんだから見るのやめろよ。あと個人的に見て欲しくないジャンルだからやめてくれよ」

「いやそういう系のドラマ、スカーレットが好きで見てるんだけどよく付き合わされるんだよ。んで見てくうちにハマってったってワケだ」

 

 言われてみれば確かに彼女が好きそうな内容のドラマだな、と納得する。だがキスシーンで鼻血を出してしまう目の前の少女がその手のドラマをまともに見れるのか甚だ疑問であった。

 

「てことはそういうシーンの耐性ついたのか?」

「まあ、未来のための勉強だと思えば興奮することも少なくなったから、耐性ついたって言えるんじゃねーかな」

「そうか。未来のお前の相手は幸せ者だな」

「おう! トレーナーは幸せ者だな!」

「うーん幸せが逃げていく」

 

 もしも自分の幸せという概念がウマ娘だったのなら、きっと脚質は逃げなんだろうなぁ、と思わず遠い目をしてしまった鳥恵にウオッカが近づき、するりと自身の腕を鳥恵の腕に絡ませた。視線で何をしているのか問いかけるとウオッカは満面の笑みで返した。何が言いたいのか汲み取り、鳥恵は盛大にため息をついた。

 

「一応聞くけど、なんのつもりだ」

「映画行くんだろ? オレも着いてく!」

「んー、止めても無駄だから抵抗はしないがもうひとつ聞かせろ。なんで俺が映画見に行くこと知ってるんだ」

「そりゃあトレーナーのスマホに仕込んだ盗聴アプリで聞いたからだよ」

「バーボンみたいなことしてんじゃねーよ」

「オレはウォッカだ!」

「いやそうじゃなくてだな……ちょっと待て、お前ウォッカでもないだろウオッカだろ」

「おう、ウオッカだ!」

「お前そんな頭悪かったっけ?」

 

 盗聴器ではなくまさかの盗聴アプリだったとは、盲点だった。金属探知機に引っかからないわけである。

 鳥恵がそういったものに対する対策を取ってからやけに担当ウマ娘達からスマホを弄られることが多くなったとは思っていたが、いつのまにこんなことが出来るスキルを身につけたのか。

 

「明らかに努力の方向性を間違えているだろ。そのやる気をトレーニングに向けろよ」

「だってトレーナーの行動は逐一監視しないとダメだろ?」

「堂々とストーカー宣言しないで? 優先順位おかしいだろ看守か」

「看守……トレーナーのことを檻に閉じこめるのは確かにいいかもな……」

「やっべ、とんでもない起爆剤踏んじゃったよ」

 

 近いうち監禁されるかもしれない未来に肩を震わせる鳥恵。そんな鳥恵を見て、ウオッカは普段の活発な様子からは考えられないほど粘着質な笑みを浮かべている。現在正面を向いている鳥恵は気づいていない。

 話しながら歩いているといつの間にか映画館があるモールに到着していた。中に入るとひんやりとした冷房の空気が日に当たり火照った肌を撫でる。ただでさえ雲ひとつない晴天だというのにウオッカがひっついているのだから尚更暑く感じていた鳥恵には丁度いい涼しさだ。

 

 流石に人目が増えてきたのでどうにかウオッカの腕を解き、シネマエリアに向かう。チケット売り場に到着したところでウオッカが口を開いた。

 

「そう言えばトレーナー、どんなジャンルの映画観るんだ?」

「ん? ああ。それはな」

 

 スッ、と鳥恵が指を向ける。その先に視線を向けたウオッカの動きが固まった。

 最近公開した映画らしく、ポスターが張り出されていた。そのポスターはおどろおどろしいフォントで『呪い』 と書かれ、その文字の後ろで白装束の女が睨んでいる。まあ、つまるところーーー

 

「ホラーだ」

「邪魔したな! 帰るぜ!」

待てよ(折角なんだ)日頃の鬱憤晴らさせろよ(最後まで付き合えよ)

「本音があけすけじゃねーか! って、力強っ!?」

「お前らのせいで無駄に鍛えられてるんだよ」

 

 普段振り回されっぱなしでそこそこのストレスを抱えている鳥恵が担当ウマ娘に対して攻勢に出れる数少ないチャンスを逃すわけもなく、ウオッカの首根っこを掴みズルズルと引きずりながら受付へ向かった。

 

 二時間後、モール内カフェにて鳥恵とウオッカ両者ともぐったりとしていた。ウオッカは机に顔を押し付けており、鳥恵はだらんと背もたれに体重をかけている。

 

「二度と見ねえ……」

「まさかウオッカがあそこまでホラー嫌いだったとはな。殆どCGだぞアレ」

「こえーもんは怖えよ! そりゃ少しはトレーナーに抱きつける口実が出来たっていう打算もあったけどよぉ。マジでびびっちまったせいでそんな考え吹き飛んじまった」

「あんまり抵抗しないなと思ったらそんなこと考えてたのかお前。お前の方がよっぽど役者だよ」

 

 やはり担当ウマ娘たち(こいつら)は油断も隙もないなと鳥恵は考えを改めた。ふと空腹を感じたので腕時計に目をやると短針は12と1の間を指していた。時間も腹のすき具合も丁度いいのでテーブルに備え付けてあるメニューを2部手に取り、1つを未だグロッキーなウオッカに渡した。

 

「んあ? なんだよ」

「無理やり付き合わせて悪かったな。好きなもん頼め。詫びとして奢る」

「いいのか? サンキュ、トレーナー」

 

 途端にパアァ、と顔を輝かせるウオッカ。その笑顔を見て鳥恵は軽く息を吐いた。普段のため息とは違い、安堵の意味が大きい。

 半ば自業自得とは言え、自分のストレス解消に付き合わせてしまったので、そのお詫びのつもりだ。ウオッカもウマ娘なのでそれなりに食べるが、スペシャルウィークやオグリキャップに比べれば可愛い方なので問題は無い。鳥恵の財布に眠っている5人の諭吉さんで十分賄えるはずだ。

 

 普段こういったカフェに入らないのか、物珍しそうにメニューを凝視するウオッカを他所に、鳥恵もパラパラとメニューを捲る。そんなにガッツリと食べる気分でもないので、目に止まった軽めのトーストセットとコーヒーを頼むことに決めた。

 

「ウオッカ、決まったか?」

「そうだなぁ〜。メニューから落丁しているけど、オレには分かる。トレーナー、アンタを頼むぜ」

「この店は人身売買なんかしてないぞ」

「そんな物騒なものじゃねーよ。そう、頼むのは……トレーナーの心だ」

「心臓移植をしたいなら病院に行け」

「おいおい気がはえーって。懐妊はまだだぞ」

「頭の中検査してもらえよ、マジで。いやほんとマジで」

 

 割と本気で切実な声だった。何故自分の担当するウマ娘はありもしない事実を捏造したがるのか、仮にこれが恋慕の情だとしたら酷く濁りきった感情だと思う。

 未だに妄言を吐き続けているウオッカを無視して店員を呼んだ。ウオッカの注文を聞きながら、何気にこいつも食べるんだなぁと呑気に思っていた鳥恵だったが、会計時に諭吉さんが2人お亡くなりになることをこの時はまだ知らない。

 

 料理が届くまでの間、手持ち無沙汰に今後のトレーニングメニューを考えているとウオッカが声をかけてきた。

 

「トレーナーってよ、トレーナーを辞めたいって思ったことねーの?」

「お前らに襲われる度に思っているが?」

「愛ゆえの行動だから許してくれよ」

「目を逸らしながら言われても説得力ねーよ」

「……じゃあ何でトレーナー辞めないんだよ」

「なんだ、やめて欲しいのか?」

「んなわけねーだろ! トレーナーが辞めたらオレら実家に押しかけるからな!」

「謝るから許して。お前らが言うと割と本気で洒落にならない。……まあなんだ、お前らは面白いくらいに才能があるからな。トレーナーなら石に齧りついても離したくない逸材ばかりだからってのがひとつ」

 

 それと、と、メニューを組んでいたタブレットを仕舞いウオッカと目を合わせて続けた。

 

「先輩から引き継いだチームだ。愛着も湧くし、義理もある。そう簡単に捨てられねーさ」

「愛なんて……そんな、オレも愛してるぞトレーナー」

「お前単体に愛を吐いたわけじゃないのよ。今俺めちゃくちゃいい事言いそうな雰囲気だったじゃん?」

「まさか、プロポーズ……?」

「さっきから何でも愛に結び付けるな。ゼクシィの編集かよ」

「セクシー? おいおい照れるな」

はんっ

「鼻で笑われた!?」

 

 頼んだメニューを店員が運んできたのを見て会話を切り上げる。テーブルに所狭しと並べられる料理に鳥恵の顔が若干引き攣る。店員が下がったと思ったらすぐに次の店員がやってきた、勿論手には料理を持っている。奢ると言った手前口には出せないが、どれだけ頼んだんだこいつ、と思うくらいは三女神様も許してくれるだろう。

 

「まさか第二波が来るとは思わなかった。お前も結構食うんだな」

「そりゃあウマ娘だしな。スペ先輩やオグリ先輩並ではねーけどそれなりに食うさ。奢りだしな!」

「それくらい清々しい方が俺も奢りがいがあるってもんだ。残すなよ」

「おう!」

 

 いい返事と気持ちのいい食いっぷりに鳥恵の口角も上がる。ウオッカに感化されたのか鳥恵の腹が空腹を主張をしてきたので、鳥恵も自分のトーストに手をつけた。

 

 

 

 

 

「そうだトレーナー、トレーナーの部屋の冷蔵庫にある煮物って誰が作ったんだ? まさか……恋人じゃねーよな?」

「だからなんで知ってるんだよ。あ、いいから、ドヤ顔で鍵を見せるな鍵を」

 

 鍵穴変えたの今月3回目なんだがなぁ……鳥恵は深く、それはもう深くため息をついた。

*1
パワーワード




 スピカメンバー全員書こうと思ったらいつの間にかアンケートのメンバーのほとんどを書いてしまった作者はどこのどいつだーい、私だよ!(謝罪)
 いやですね、マックイーン書いた後に気づきましてね?どうせならウオッカも書きたいですし、それならオグリとグラスも書いちゃえって……ま、まあ誰を1番に書くかというアンケートだったってことで……(震え声)
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