結構かかりましたが、やっとこさ仕上げることが出来ました。
それではどうぞ!
日が昇りだした時間。とある家のベットから、ドタンッという音を響かせながら起きてきた物体がいた。その物体はノロノロと起き上がると、布団を落としながら二階の自分の部屋を出て行った。
出てきたのは、少女という分類の人物だった。
漆のように黒い髪の毛をセミロングにまで伸ばし、それを部屋から出るときに取ったシュシュを用いて後ろにまとめていた。今は眠そうな眼のせいで分からないが、幼いながらもかわいいと評価できる顔立ちで、どこか大人びた雰囲気を持っている。ちなみに格好はジャージである。
そのまま彼女は階段を下りると、リビングへと続く扉を開けた。
「おはよう、母さん。」
「おはよー、今日は遅いわねー。」
入るなり挨拶を交わしたのは彼女の姉……に見間違えるほど彼女に似ている人物だった。しかし背の高さはこちらのほうが高いので、別人、つまり母親ということになる。名前は高宮燈子(とうこ)と言い、見た目があまりにも似ているため、近所でも名物となっている。
「まあ、ちょっと。」
「あらあら。珍しいわね、あなたが夜更かしなんて。」
そう微笑みながら話す燈子に、彼女は曖昧な表情をしながら席に付いた。
それを目に収めながら、燈子はふと、手に持っていたお椀を見ていた。そんな母に気づいた彼女も、手のお椀を見ると顔を歪ませていた。その顔は、悲しさに彩られていた。
そんな空気を無理矢理払拭させながらご飯を食べ終えた彼女は、まっすぐに自分の部屋へ行くと制服に着替えた。そして机の上においてあるモノを手に取る。
それは見た目はなんでもないキーホルダーである。刀の形をしているという点で言えば、彼女には不釣合いではあるだろうが、それをとやかく言う人物は周りにはいないため、彼女は別段気にしてはいない。
それを鞄に取り付けて玄関へ向かう。そこには既に準備をしていた燈子がいた。
「行ってらっしゃい。」
「うん、行って来ます。」
いつも通りの挨拶を済ませ、彼女、高宮亜季(あき)は家を出た。
そのまま歩いていくと、バス停乗り場に着いた。そこで待ち合わせの友達とバスが来るのを待ちながら、ふと、今朝見たお椀の記憶が蘇ってきた。
彼女の父親である高宮棗は、所謂考古学者という仕事をしていた。発掘チームを作っては海外のさまざまな土地に向かい、現地の人達と共に頑張っている。だがあくまでそれは不定期で、基本的には大学で非常勤の講師をしていることが多い。そのため家にいたりいなかったりの時間がまちまちなのである。そして現在は、中南米のほうに発掘に行っている為、家にはいない。
しかし彼女たちが見ていたのは、そんな父のお椀ではなく、もう一人の家族、今は家にいない兄のものである。
彼女が小学校に入るぐらいの時期から、既に兄は家にはいなかった。そのため、彼女は親からの愛を目一杯注がれていた。だが別に、兄とは仲が悪いということではなく、ある「友達」のためにその子の家に住んでいるというのがいない理由なのだが、何故そうなったのかについては、亜季に対して誰も話してくれなかった。彼女自身も何となく理由は分かっていたが。
通っている学校は同じのため、時々見かけることはあるが、それでも兄妹とはいえないかかわり方なのが、とても不満であり、不安だった。
そんなことを考えていたせいか、肩をたたかれ瞬間、まるで吃驚させられた猫のように飛び上がり、振り向いた。
そこには、肩の高さに置いていた手を硬直させながら固まっている茶色のツインテールの女の子がいた。
「あ……ごめん、なのは。」
「ふぇ!? あ、ううん、大丈夫だよ亜季ちゃん。ごめんね、いきなり声をかけて。」
そう言いながら謝った女の子は高町なのは。亜季が通う小学校の同級生である。
「でもどうしたの? 近づくまで気づかないって。」
「ん……ちょっと、ボーっとしてた。」
「そっかぁ。あ、バス来たね。」
その目の前にちょうどバスが到着した。それに乗り込んだ二人は、運転手に挨拶をして、最後列に進んでいく。
「おはようアリサちゃん、すずかちゃん。」
「おはよ、なのは。」
「おはよー、なのはちゃん。」
その席には、金髪で強気な性格が表れているアリサと、紫の髪でどこかおっとりとした雰囲気のすずかがいた。彼女たちは一年からの付き合いであり、喧嘩をしていた二人をなのはと亜季が止めたことから友だちとなった。
そんな彼女たちは、バスが発車してから昨日家であったことや今朝見た夢のこと、学校のことについて等さまざまなことを話していた。しかしそんな中、窓際に座っていた亜季は、途中からその会話には加わらず、外の景色に目を向けながら、さっきまで考えていた兄についてのことに思考を落としていった。
はい! という訳で前回の後書き通り、妹編でした。(笑)
まあ、最後は駆け足となりましたが、こんな感じです。
また評価があればお願いします。