ホロライブラバーズ トロフィー「生きる伝説」獲得ルート   作:かかむりょう

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(この作品で小説形式で投稿するのは初めてなので)初投稿です。

今回はホロメンから新キャラが登場します。


Sub mission1 夕暮れの掃除屋

「悪いけど、これも仕事なんだ……死んでもらうね?」

 

目の前の黒いフードの少女はそう言って、一気に俺との距離を詰めてきた。彼女が手に持つナイフは、一寸の狂いもなく俺の喉を切り裂かんと迫ってくる。

 

(ヤバい!?)

 

俺はとっさに姿勢を低くすることでそれを躱し、返しに勢いを乗せた拳を彼女に向かって放つ。

 

「そこっ!」

「甘いよ」

 

しかし彼女はそれを姿勢を横にずらして躱す。さっきは彼女の動きに合わせてカウンターの一撃を喰らわせたのだが、この一瞬の間にもう動きを読み切ったらしい。

 

「ふっ!」

 

彼女は続けて、躱した勢いを利用した回し蹴りを繰り出してきた。俺は拳を突き出している状態のため、懐ががら空きの隙だらけだった。今から躱そうとしても間に合わない。

 

「くっ……!?」

 

俺はとっさに腕を絡ませて防御しようとするが間に合わず、その一撃をもろに喰らってしまう。

 

「がぁぁぁ!」

 

回し蹴りを喰らった俺は、受け身を取ることも出来ずそのまま近くにあったコンクリートの壁に叩きつけられる。

 

(痛ってぇ……)

 

まともに受け身を取れなかったため、全身に痛みが走る。しかしそんな痛みを気にしている余裕はなかった。

 

「……っ!」

 

再び前から迫りくる殺気に、俺は急いで起き上がって横に躱す。するとさっきまで俺がいたところには、彼女の蹴りによってひび割れたコンクリートの壁があった。あと数秒躱すのが遅れていたらひとたまりもなかった。

 

「まだ動けるんだ。意外としぶといね、君」

「あいにくと、黙って殺されてやるほどお人好しじゃないんでね」

「そう?それは残念。君結構カッコイイんだけどなぁ」

「ならそれに免じて見逃してくれないか?」

「それは無理だよ……言ったでしょ、仕事だって!」

 

そう言って小女は、再びナイフを構えて俺に向かってくる。今度は姿勢を低くして、下から這い出るようにナイフを突き立ててきた。

 

「やべっ!」

 

俺は咄嗟に空中に飛んで躱す。しかしそれはナイフを持った相手に対してもっともやってはいけないことだった。

 

「馬鹿だね。それじゃ刺してくださいって言ってるようなものだよ」

 

そう、空中では身動きが取れず、相手の攻撃を躱せない。ましてや相手はナイフの扱いに長けた凄腕の殺し屋。どう考えても悪手だ。このままいけば俺は、ナイフを持って待ち構えている彼女に一刺しにされてしまうだろう。さしずめ、今の俺は捕食者の口の中に放り込まれようとしている哀れな餌だ。

 

「それじゃ、さよなら」

 

そう言って小女は落ちてくる俺に向かってナイフを突き出した。そして俺はそのままナイフに刺され……ることはなかった。

 

「ああ……お前がな!」

「…………っ!?」

 

そう、俺はあえて空中に逃げることで、得意技である鬼神拳を振るう隙を伺っていたのだ。彼女は慌てて逃げようとするが、もう遅い。

 

「鬼神双衝撃!」

 

俺は拳で練り上げた覇気の弾を、できる限り威力を抑えて放つ。覇気の弾は寸分も狂うことなく眼下の彼女に向かっていく。

 

「きゃああ!」

 

彼女は躱そうとするも間に合わず、その一撃をもろに喰らう。

 

「ぐ、うぅぅ」

 

威力はかなり抑えた方なので大したダメージにはなっていないが、それでもかなりの体力を消耗させた。俺は少女のすぐ近くに降り立つと、そのまま様子をうかがう。

 

「……ねぇ、もしかしてだけど、君さっきから手加減してる?」

「そりゃ、住宅街だしな。それに、あんたから聞かなきゃいけない話もあるし」

「………随分舐められたもんだね。そうやって掃除屋相手に手加減したこと、後悔させてやるから!」

 

彼女は手加減されていたことに怒りの表情を浮かべながら、突然姿を消した。

 

「………っ!」

 

一瞬逃げたのかとも思ったが、俺の直感がそうじゃないと告げる。彼女は俺の視界から完全に消えることで、俺を不意打ちにするつもりだと。

 

(落ち着け……目で追えないなら、それ以外の方法で探るんだ)

 

俺は目を閉じて、五感を目以外のすべてに集中させる。すると俺の鼻が、すぐ近くから形容しがたい匂いをとらえた。

 

(臭っ!?……なんだこの脂と血が混じったようなヤバい匂いは!?)

 

俺が内心匂いに悶絶していると、すぐ後ろに彼女の気配を感じると同時に、首筋に冷たいナイフの感触を感じた。……終わった。嗅覚を遮断してれば彼女を倒せたかもしれないのに。

 

「どう?手加減して後悔した?」

「…………ああ、後悔してるよ」

「いまさら後悔しても遅いから。でも散々手こずらせてくれたお礼に言い残すことがあれば聞いてあげるよ」

 

どうやらご丁寧にも、この掃除屋は遺言を聞いてくれるらしい。遺言なんて聞かずにさっさと殺せばいいのに、変なところで健気な奴だと思った。そんな健気な奴にはしっかりと応えなければならない。

 

「そうか……なら聞いてくれ」

「何かな?」

 

俺はすぐ後ろから抱き着くような姿勢でナイフを当ててくる彼女に、よく聞こえるように言ってやった。

 

 

 

「お前……さっきからめちゃくちゃ臭いんだよ!

 

 

 

「なっ!?」

 

それを言うと同時に、俺は彼女の足を思いっきり踏みつける。

 

「ぐぅぅ!?」

 

少女は俺の突然の言葉に動揺したのか反応が遅れていた。そんな彼女に俺は追い打ちをかけるように覇気を纏わせた拳を、彼女の腹に向かって放つ。拳の一撃はまっすぐに彼女の腹をとらえた。

 

「ごふっ!!」

 

少女は拳の一撃をもろに受け、その場にうずくまる。

 

「げぇぇぇ……うぅぅ……」

 

かなり苦しそうな様子だったが、俺はそんな彼女を無理やり立たせて抱き寄せる。

 

「しばらく寝てろ」

「あ……」

 

俺は彼女の首筋に手刀を当てると、そのまま彼女は気を失った。

 

(……さて)

 

俺は殺し屋の正体を知るために倒れている彼女に近づいてフードを取る。するとフードの下から、アイマスクをつけた銀髪の少女の顔が出てきた。見た目的には白銀さんに近いかもしれない。

 

「……」

 

このままここに放置していこうか迷ったが、掃除屋を野放しにするのは普通に考えてまずい。それにこいつが俺を襲いに来た理由も気になる。少なくとも、俺はそこまで恨みを買うような真似はした覚えはない。バトロワでの恨みというならまだわからなくもないが、だからといって掃除屋を雇ってまで殺したいと思うほど憎むものなのだろうか?

 

いずれにせよ、詳しいことはこいつから直接聞かなければならない。

 

「ひとまず、家に連れて帰るか」

 

丁度家に帰る途中だったこともあり、そこでじっくり話をしようと思った俺は、彼女を肩に抱えて再び帰路に着いた。

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

「ん……」

「お、起きたか」

 

あの後、俺は家に帰ってからすぐに少女を物置部屋まで運び、使わなくなった椅子に縛り付けた。仮にも掃除屋である彼女のことだ。万が一ということもあるので武器の類は全て没収してある。

 

そして俺は自分の部屋に荷物を置きに行き、戻ってきたらちょうど彼女が起きるところだった。

 

「ここは……」

「俺ん家だよ。あんたに聞きたいことがあるから連れてきた」

 

自分で言っててあれだけど、冷静に考えて自分を殺そうとしていた奴を家にあげるってヤバいな。戌神さんが前言ってたように、俺はどこかおかしいかもしれない。

 

「……仮にも自分を殺そうとしてた女を自分の家にあげる普通?ましてや殺しを生業としてる私を」

「言わないでくれ。今まさに自分でヤバいって思ってたところなんだ」

 

内心俺は、いつ拘束から抜け出して殺しに来るかわからない目の前の少女にひやひやしている。それでもそんなリスクを追ってまで彼女をここまで連れてきたのは、こいつが誰に頼まれて俺を襲ったのかを知るためだ。

 

「それでどうするの?私の事拷問でもする?それとも強姦でもするのかな?言っとくけど、私は何もしゃべらないよ」

「ああ、そのことか。色々言いたいことあるけど、その前に……これ取ろうか」

 

そう言って俺は、彼女が着けていたアイマスクを掴んで乱暴に剥ぎ取る。

 

「わぁ!返して!沙花叉のアイマスク返してよぉ!」

 

アイマスクを取った少女の顔は、掃除屋とはおよそ想像できない、銀髪と赤い瞳をした可愛らしいものだった。というかアイマスクを取った途端に、こいつの雰囲気が変わったような気がする。

 

「案外可愛いじゃん、あんた」

「かわ……!?い、いきなり何言ってんの?」

 

素直な感想を告げると、目の前の少女はまるで茹でダコになったように顔を赤くして睨みつけてきた。正直あまり怖いとは思わない。

 

「さて、それじゃ早速だけど尋問を始めようか」

「尋問……まさか、本気で沙花叉に何かする気?あんなことやこんなことを――」

「とりあえず一回黙れ」

 

俺はドゥリンダナを沙花又と名乗る少女に剣先を突き立てると、彼女は怯えたような表情をする。

 

「ひぃぃ……お願い、殺さないでぇ……」

「そりゃあんたの返答次第だ。死にたくないなら俺の質問に嘘偽りなく答えろ。答えなかったら……わかるな?」

 

俺がそう言って再び剣先を向けると、彼女は首をブンブンと縦に振る。

 

「よし、それじゃまずはお前の名前から教えろ」

「は、はい。私の名前は、沙花叉クロヱっていいます」

「沙花叉クロヱか……。ここら辺に住んでる人か?」

「ううん。沙花叉は別に家に住んでるわけじゃないよ。いろんな場所を回ってるんだ。掃除屋っていう仕事柄もあるし……」

「なるほどな」

 

確かに掃除屋は、一つの拠点に住み着いていたら仕事なんて回らないだろう。ましてや足が着く可能性も考えると余計に。

 

「よし、それじゃ沙花叉。ここからが本題だ。……誰に依頼された?あるいは誰に命令されたんだ?」

「え……えっと、それは……」

「死にたいか?」

 

沙花叉の首に剣先を突き立てる。ギリギリ届かないところまで。

 

「ひぃ!い、言う!言いますからぁ!」

「さっさと答えろ」

「………千葉タカシって人に、こいつを殺してくれって依頼されました……」

 

その名前を聞いた瞬間、俺の頭の中にある人物の顔が浮かび上がる。

 

(……あの先輩か!)

 

先日行われたバトロワで俺に因縁つけてきた、いかにもチンピラなあの先輩。奴が沙花叉に依頼して俺を襲わせたのか。

 

(そういえばあの先輩、ココにも因縁ある感じだったな)

 

ココの時といい、今回のこといい、俺は相当あの先輩に恨まれているらしい。だが元はと言えば、向こうが一方的に因縁つけてきたってだけの話だ。バトロワでボコられたことがそんなに悔しかったのだろうか。だとしても掃除屋雇うか普通?そんなに悔しいならバトロワで俺をボコボコにするために行動すべきだろ。

 

(どっちにしても、今後あの先輩には要注意だな)

 

俺が心の中で千葉先輩に対して警戒していると、沙花叉が横から口をはさんできた。

 

「あの、それで……沙花叉はいつ解放してくれるの?」

「ん?ああ、もういいぞ。聞きたいことは大体聞けたし」

「そ、そっかぁ。よかったぁ……」

 

沙花叉はそう言って安堵の表情を浮かべている。しかしこの女、少しばかり見通しが甘くはないだろうか?

 

「何がいいんだ?これからどうするつもりだよお前」

「どうするって?そりゃ今回の仕事は失敗しちゃったし、また別の仕事を見つけて……」

「今回の依頼って殺しの依頼だろ?だったらそれが失敗したとわかったら、証拠隠滅のために消されるんじゃないか?」

「へ……?」

 

俺の言葉を聞いた沙花叉が間抜けな顔をしながら首をかしげる。

 

「俺もあまりそう言った事情には詳しくないから偉そうなこと言えないけどよ、もしお前が依頼する側の人間だったとして、依頼した殺し屋が失敗した時にそのままにしておくか?もしかしたら自分のことをしゃべって、自分が依頼をしたってのがバレてしまうかもしれない。それで足がついたら最終的に逮捕されたり復讐される可能性がある。だからそうなる前に依頼した殺し屋を処分するだろう。自分たちがやったってバレないように」

「…………」

「今回のことだってそうだ。お前は俺に誰が依頼したのかをゲロッた。それで俺は犯人を知ったわけだ。もしお前がこのまま逃げて、依頼を失敗したことが……情報を吐いたことがバレたらどうなると思う?」

 

俺の言葉に段々と顔を青くしていく沙花叉。ここにきてようやく、沙花叉は自分が今置かれている現状に気が付き始めたらしい。

 

「今回依頼した千葉先輩がどんな人かはよく知らないけど、もし何かお偉いところの息子とかだったりしたら、多分全力でお前を追いかけると思うぞ?それこそ、お前が死ぬまでずっと」

「…………そ、それじゃあ沙花叉は」

「俺に情報を吐いた時点で詰んだってわけ。もっと言えば、俺を殺せなかったのがあんたの運の尽きだ」

「…………」

 

沙花叉は泣きそうな顔で俺を見てくる。だが可哀想だけど、俺には何もしてやれない。

 

「というわけだ。後はなんとか自分で頑張れ。俺には何もできないけど、無事に生きれるよう陰ながら祈っているよ」

 

俺は沙花叉を縛っていた縄をほどいて拘束から解放する。しかし沙花叉は一向にその場を動こうとしない。

 

「どうした沙花叉?早く行けよ」

「………ねぇ」

 

沙花叉は俺に近づいて上目遣いで俺の顔を見てくる。それを見て俺は、なんだか無性に嫌な予感を感じてとっさに沙花叉から離れようとする。しかし一歩遅く、沙花叉が俺に抱き着くと同時にこう告げてきた。

 

「沙花叉をここに置いてくれない?」

「絶対に嫌だ!」

 

嫌な予感が的中した。こいつ俺を隠れ蓑にしようとしてやがる。冗談じゃない。仮にも俺を殺そうとした奴をなぜ家に泊めなければならないのか。ただでさえ今すぐ家からほっぽり出したいのに、そのうえ俺の家を隠れ家にしようとするなんて。

 

「お願い!沙花叉を助けて!沙花叉まだ死にたくない!」

「知るか!自業自得だろ!恨むんなら掃除屋という仕事を選んだ自分自身を恨むこった!」

「やだやだやだやだぁ!沙花叉君の家に住む!何でもするから!夜のお世話だってするから!沙花叉にいくらでも好きなことしていいからぁ!」

「そんなもんいらん!とにかく今すぐ出ていけ!」

 

俺がどれだけ拒否反応を示しても、沙花叉は一向に放そうとしない。無理やり離そうとしても、万力のような力で思いっきり抱きしめられて離すことができなかった。くそ!こういう時に限ってバカみたいな力出しやがって!

 

しばらくそうして互いに譲らぬ攻防を繰り広げていると、沙花叉がしびれを切らしたのか、ある言葉を発した。

 

「……もし君が沙花叉を置いてくれないなら」

「……だったらどうするつもりだ?」

 

俺の質問に沙花叉は一瞬顔を俯かせる。そして次の瞬間、とんでもないことを口にした。

 

「君の家の玄関前で全裸になって大声出してやるから」

「やめろ!そんなことしたら俺が社会的に死んでしまう!」

 

勘弁してくれ。そんなことされてしまったら、俺は社会的な死を迎えて精神が全ロスしてしまうじゃないか!

 

「それにさっきの話、君にも関係あると思うよ」

「は?」

「だってそうでしょ?沙花叉に依頼してきた人が君に恨みを持ってるんだったら、どんな手段を使ってでも君を消そうとする。君はそんな生活耐えられる?」

 

……言われてみれば確かにそうだった。そもそも今回沙花叉が俺を襲ってきたのは、俺に恨みを持つ千葉先輩が沙花叉に依頼したからだ。今回だけじゃなく、あの先輩はこれからもいろんな手を使ってくるに違いない。大変残念なことに、今抱き着いている沙花叉と俺の境遇は同じだった。

 

「なぁ沙花叉」

「何?」

「本当に何でもするんだな?なんでもいうこと聞くんだな?」

「う、うん!何でもする!君が沙花叉を守ってくれるなら、沙花叉も君を守るから!」

 

沙花叉の強さは先ほどの戦いでよくわかった。少なくともそこら辺にいるチンピラにはまず負けないだろう。

 

「………わかった。じゃあ契約といこうじゃないか。俺がお前に隠れ家を提供する代わりに、お前は俺に奉仕する。それでいいな?」

「いいよ!こういう時はお互い様だしね!」

「さっきまで俺を殺そうとしていた奴がなにほざいてんだ」

 

どうやら俺が思っていた以上に、今の俺は危ういところにいるらしい。案外沙花叉がいることは心強いかもしれない。

 

「それじゃあ改めて自己紹介!沙花叉クロヱ!これからよろしくね!」

「………桐山海司だ。まぁよろしく頼む」

「よろしくね桐山君!」

 

……不安要素しかないが、沙花叉が言っていることも事実のため、なんとかやっていくしかない。しかしその前に沙花叉にどうしても言わなければならないことがある。

 

「それじゃ沙花叉。早速だがお前に命令するぞ」

「う、うん!沙花叉になんでも言って!」

 

いい返事だ。沙花叉ならきっと喜んでこの命令を遂行してくれるだろう。そう確信し、俺は沙花叉に命令した。

 

 

 

「沙花叉……お前風呂入れ




読んでいただきありがとうございます。

今回は六期生の『沙花叉クロヱ』が新キャラとして登場しました。これからどんな活躍をしていくのか楽しみにしていただければと思います。

次回は実況形式です。

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