「オンハゾロドバンハヤソワカ…オンハゾロ…」
第一試験を突破した受験者達はウィルと同様に空中に放り出され、二次試験の会場となるであろう薄暗い森の中へと各々着地していった。
「オンハゾロドバンハ…」
その森の最も深い場所でウィル達が目を付けていた謎の包帯を巻いた人物が何か呪文のようなものを怪しく唱えていた。
「よぉ…」
呪文を唱えているその人物の後ろの草木を掻き分けながらユミヒデが現れ、その人物に話しかけた。
「…………ユミヒデか」
暫くの無言の後、謎の人物がユミヒデに話しかける。
「全くよ…昔からホントに不愛想だよな…久しぶりだなぁ!!メイセイよぉ!!」
そう言うとユミヒデは腰に掛けてあった鞘から刀を抜き、そのままメイセイの方を目掛け刀を振り下ろした。
「………オンハンドモドバンハヤソワカ」
そう唱えながらメイセイが手を組み八葉蓮花の印を結んだ。途端、空中に白い風が渦巻き、その中心から金で彩られた無数の刀や槍がユミヒデ目掛け雨のように降り注いだ。
「たっく変わんねぇなお前は!」
声を喜喜として荒げながらユミヒデは無数に降り注ぐ武器をたった一本の刀で全て切り落とし振り払っていった。
「…一緒にいた二人組は何だ…」
メイセイがユミヒデに問いかける。
「あぁ、ここに来る途中で知り合ったんだ。何だって俺らに恨みがあるみてぇでな!」
「ほぅ…我々に…か…」
「あぁ、あのがたいの良いウィルって奴は親友を殺されたんだと!眼鏡を掛けてるパーシアってガキは直接口には出してねぇが、あの様子だとあいつも何らかの恨みがあるみたいだぜ!」
「……ほぅ…殺せるのか…そ奴らに…我々を……」
「ん、まぁ無理だろうな!今のところは。な」
「………見込みがあるのか」
「さぁな。俺の念をチラっと見せただけであのパーシアってガキは相当ビビッちまってたが、ウィルって奴は俺の念を前にしてもある程度堂々とは出来てた。まぁ内心ではチビッてただろうがな!!」
「念の存在すら知らぬ者がお前程の念使いを前に堂々と……か」
「だが、そんなんじゃ意味がねぇんだよ。あいつ等が本当に俺らと対峙するってんならな!」
そう言うとユミヒデは念を込めた刀を力強く振り下ろした。周りの空気と風を強く纏ったような衝撃波がメイセイの上空に渦巻いていた白い風ごと吹き飛ばした。
「……そうだな…本気で我々を殺したいのなら…」
「強くなって貰うしかねぇんだからよ」
ユミヒデは刀を地面に突き刺し鋭く強い目をしてメイセイの方を向いた。
「……死ぬためにも………この業を断ち切り魂の平穏を得る為にも……それより…例の件は…」
「…あぁ、やっぱりハンター協会が一枚噛んでるみたいでな…まぁ、その為にもやはりハンターライセンスが必要になるみてぇだ…。」
「……なぜ…奴は…まぁ良い…とにかく…ライセンスとやらが必要だ…」
メイセイがどこか悲しそうに俯く。
「…そうだな。…さて、俺はそろそろ行くわ。それと、万が一お前がこの試験落ちても大丈夫だぜ。どうせ俺は受かるんだからよ。ま、お前なら大丈夫だと思うけどよ。じゃーな。」
こう言うとユミヒデは手を後ろに組み、そのままそこから姿を消していった。
「……さて……私も瞑想に耽るとしよう……オンハゾロドバンハヤソワカ…オンハゾロドバンハヤソワカ……」
森の最も深い場所で深い哀しみを帯びたかのような掠れたメイセイの声が静かに響き続けた。
船員「更新…した…だと…?」
船長「バ、馬鹿な…ありえぬ…」
船員「およそ4…4か月ぶり…だと…??」
船長「一体何が…」