オリキャラ×デ×ハンター×ハンター   作:apple12

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「逃げろ…!ブラド…!逃げてくれ…!」

 

 それは、これから婚姻する者同士の幸せな生活を祝福するかのような、強く日差しの刺さる晴天の日のことだった。

 

 突如、冗談を述べながらも面白おかしく誓いの言葉を述べていた神父の首が飛び、その血が天使が神に供物を捧げる様子が描かれたステンドグラスにべったりと血糊のように付き、その様子を目の当たりにした皆が恐怖に怯え逃げ惑っている中、大きく肉を裂かれた傷口を押さえながら息も絶え絶えの声でウィルが叫ぶ。

 

「は…やく…」

 

 ウィルは神父を殺した男が自分の親友目掛けてナイフを向けながら襲い掛かったのを見て、咄嗟に親友を突き飛ばし、親友の身を庇った。

 

「君はさ…吸血鬼を赦せるかい?僕にはそんなこと出来ないんだよ…」

 

 ウィルの体からナイフを抜きながら、ウィルの眼前で濃い血の混じったような、どす黒く赤い瞳をした男が満面の笑みでウィルに語りかけ始める。

 

「見てよ…この呪い…」 

 

 そう言うと、男は先ほどウィルの肉を裂いたナイフで自分の腕を切り落としてみせた。すると周りのウィルの裂かれた腹から湧き出た血がその男の腕に纏わりつき始めた。

 

「これは皆不幸にするんだ…僕自身も…周りの人間も!」

 

 ウィルには切り落とされた男の腕に纏わり付いた血がその腕を形成していくかのように見えた。瞬間、男の腕は切り落とされる前の元の状態へと戻っていた。

 

「…なんなんだ…なんなんだよ!お前は!」

 

 ウィルにはこの男が何を言っているのか、何をしているのか全く分からなかった。

 

「君ならこの呪いがなんなのか分かるよね。君たちが作ったんだ。この呪いを!この連鎖を!」

 

 そう叫ぶと男はウィルと共に写真に写っていた男の方を向く。

 

「僕さぁ幸せに生きたかったなぁ…君みたいに!普通に暮らしたかったよ…今日はさ、結婚式かな…いいなぁ…僕もしたいなぁ結婚って…」

 

 男の顔が濃い怒りの感情で歪んでいくのがウィルには分かった。

 

「ブラド……!早くそいつから離れろ………!」

 

 ウィルが全てを振り絞った声でブラドに叫び続ける。

 

「なぁ早く殺っちまおうぜエイブラ!」

 

 この様子を後ろから見ていた金髪で、白く細くか弱そうな見た目の少年が真っ赤な瞳を大きく開きながら騒ぎ立て始めた。

 

「この血見てると…なんだかムラムラしっちまって…我慢出来なくなるんだよ!」

 

 そういうとその少年のような男は自分の体を裂き自分の内臓を取り出しそれを床にぶちまけ始めた。

 

「こ…これっやばぁ…ウヒヒッこれだよ!これ!」

 

 そう言うとその少年が先ほど殺したのであろう女の体の血を使い、エイブラと同じように自分の臓器を再生させ始めた。

 

「女の血ってさ…なんか馴染むんだよね…しかも凄い興奮する。ウヒッエへへへ。も、もっとやろう…」

 

 少年が再生した自分の体を裂き、また自分の臓器を取り出したと思えば、自分の裂いた箇所に殺した女から切り取った腕をいれ、それを使ってぐちゃぐちゃと自分の中をかき回し始めた。その悍ましい光景を見ていたウィルは恐怖と酷い悪寒に襲われ、身を震わすことしか出来なかった。

 

「僕の弟だよ…弟は昔はあんなのじゃなかった!これも!これも!おまえらのせいで!弟は…呪いの影響が強すぎるんだ…それで好きだった子も亡くしてさ…狂っちゃって…!なのに吸血鬼が好きな人と結婚だって!殺す!ズタズタにしてやる!」

 

 エイブラがブラド目掛けて駆け出したの見てもウィルにはそれを止めるれるだけの意識も余力も無くなっていた。朦朧とした意識の中で、真っ赤な血の霧の中、ウィルは親友の名を叫び続ける

 

 ブラド…ブラド…!ブラド…!

 

「ウィル!」

 

 本当に薄れていきそうな意識の中、その聞き覚えのある声がウィルの魂を引き戻かのように響く。その声につられてウィルは目を覚ました。

 

「ようやく目が覚めましたか。全く。いい大人ならしっかりしてくださいよ。あと、ブラドって誰ですか?僕はパーシアですよ。」

 

 パーシアがやれやれと言った様子で今だにどこか彷徨っている亡霊のようなウィルに語り掛ける。

 

「パーシア…?…俺は………そうだ!急に空中にほっぽり出されて!」

 

 ウィルが先ほどまでのことを思い出す。ハンター会場までのこと、一次試験のこと、そしてこれから始まるであろう二次試験のことを。

 

「良かった!僕が見つけなければ貴方死んでましたよ!」

 

「はいはい、ありがとうな」

 

「で、なんの夢を見てたんですか」

 

「え…あぁ…まぁ…いいんだよ…昔の…ことだ…」

 

 パーシアはウィルが思いつめたような表情で拳を強く握りしめたのをみて、何か気の利いた言葉を聞かせようか悩んだがそれ以上何も言わなかった。

 

 森が静かに迎えた満月の光がウィルの顔にかかった影をより濃く落としていた。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

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