「お、来たか」
三人が案内された部屋に着くと、そこにはどっしりと構えている船長の姿があった。
「よし、まぁ適当にそこに三人並べや」
言われた通り、左から先ほど指を指された順番に三人が並んだ。
「じゃあ、いまから面接を行う。左から順に適当に自己紹介してくれや。」
「…ひとつ良いか?」
「なんだ」
「これは、既に試験が始まっていると捉えて良いのか。」
眼鏡をかけた男が船長に問いかける。
「…あぁ、始まっているというのには少し語弊があるが、そう捉えて貰って構わない。まぁ、正確にはハンター試験会場に辿りつけるかどうか、という試験だがな。分かったらとっとと自己紹介してけ。その方が身の為だぞ。」
「俺の名前はユミヒデ。ユミヒデ=ツダ。だ。歳は32だ。」
左の胸毛男が自己紹介を始めた。
「私はパーシア。パーシア=ホワイトナイトだ。歳は21だ。」
眼鏡男が続いた。
「俺はウィルター。ウィルター=カルタシスだ。歳は29。」
「おぉ、随分歳食った受験生共だなこりゃあ。」
「歳を取っているということを愚弄してはいけない。その分、知識も経験もより多く得られているということだから。」
パーシアがボソっと呟いた。
「なんだそりゃ、ママからでも教わったか。経験のすくねぇガキみてぇな大人の方がこの世は多いんだよ。まぁ、俺様を愚弄しちゃいけねぇってのはホントのことだがな。さて、じゃあ次の質問いくぞ。お前らは何でハンターの資格を取ろうと思った。ユミヒデ、お前から答えろ。」
船長がユミヒデの方を向いた。
「俺は、ある刀を探す為にハンターになりたいんだ。」
「刀?」
「あぁ、俺はとあるちっこい島国の産まれなんだが、そこに、昔、サムライと呼ばれる男達がいてな。その男達が島国の覇権争いの為に日々戦いに身を置いていた時代があった。その戦いに武器として使用されたのが刀っていう、まぁ実物見せた方が早いよな。」
こう言うとユミヒデは腰にぶら下げていた鞘を取り出し、中から刀を抜いて見せた。
「まぁこういう刃物のことを刀っていうのさ。」
そう言うと、また刀を鞘に納め腰にぶら下げ直した。
「で、俺が求めているのはある刀師が造った伝説の一本。その名をマサムネという。言い伝えによれば、その刀を一回振るだけで天が裂け、地が砕けると言われている。その強さゆえにその刀はどこかに封印されたらしい。それを探しだしたいんだ。」
「…で、お前さんはその刀で何をするつもりだ」
「まぁ、何をするってワケでもないよ。ただ、一回拝んでみたいのさ。侍の末裔なら誰もがそう思うと思うがね。」
「まぁ、長くなりそうだから、それくらいで良いだろう。次。」
「私は…とある薬草を探している。どうしても…助けたい人がいて…どうやらそれを治療するには…それしかなくて…それはとある場所でしか採れない…ハンターでないと行けない場所にしか…」
ウィルはパーシアの瞳から一滴の雫が垂れ落ちるのを見て、この男の良さを感じ取っていた。
「そうか、そいつぁ…助かると良いな。次」
この一言を聞いてウィルは船長のことも存外良い奴だと認めた。
「俺か、俺は、まぁなんというか、まぁ、復讐みたいなもんさ。」
ウィルが顎に生えた無精髭をいじりながら答え始めた。
「こりゃあまた、驚いたな。お前みたいな飄々としてそうな奴から復讐なんて言葉が出るとは。」
「いや、別に良いだろ。まぁ復讐のためにとある集団を追ってる。」
「幻影旅団かなんかか?」
「ゲンエイリョダン?なんだそりゃ。俺が追ってんのは血の六血衆っていう奴等だよ。」
このとき、パーシアの瞳が激しい憎悪のようなもので濁ったのをウィルは見逃さな かった。
「初耳だな。」
「あー、えーと、鮮血の~だったかな。」
「いや、どっちにしろ知らんし。」
「あ、っそうか。ならいいや。そいつに俺の親友が殺された。そいつの結婚式中に。そう、俺が惚れてた女との結婚式にな…。そして、その女は誰とも口を聞かなくなり、その後、自宅で自殺しちまった…。良い女だったのにな…。確かに、俺は復讐するなんてタイプには見えないだろうが…何となく悔しかったんだ…親友を奪って、その女まで奪って…だから、俺は…なんというか…そいつ等の顔面を一発殴りてぇって…そう思ったんだよ…」
ウィルはそのまま思いに耽るように黙ってしまった。
「あ、わりぃ。別に雰囲気暗くするつもりはなかったんだがな。この話になるとどうしてもなって、おい、まさか、船長泣いてる?」
「ば、ばっきゃろう、お前、俺がそんなんで泣くワケねぇだろ!」
船長が腕の裾で顔を覆いながら下を向く。
「歳取ると涙腺もおかしくなるもんな」
「馬鹿、おめぇ、泣いてねぇよ!…だが安心しろ、お前らは俺が責任もって港まで連れてってやるよ!!馬鹿野郎!このやろう!だから、とっととここから出てきやがれ!」
船長は三人を背にして声を大にして言い放った。最後、ウィルが部屋から出ていこうとしたとき、船長が呼び止め、次のようなことを言い残した。
「良いか、港に着いたら、大きな一本杉を目指せ。お前が、もしあの二人を気に入ってるならあいつらにも教えてやれ。ただし、他の奴には教えるな。あの二人だけだ。まぁ、他の奴に言っても、全員不合格とハンター協会側には言ってあるから意味は無いがな。またいつか受ける奴にはちっと意味があるかもしれないが。」
「サンキュー」と一言だけ言い残し、ウィルは部屋を後にした
船員「船長!嵐イベントで人が吹き飛ばされる恒例のあれやんなくていいんすか!」
船長「…行かせてやれ…あいつ等なら大丈夫さ…目をみりゃ分かる」