「これで本当に間違っていたらどうするんですか?もう何時間も歩いている気がするんですけど。それと、あなた方きちんと髭くらい剃ったらどうです?同じ大人として恥ずかしいです。それと何ですかその着崩れしたスーツ。本人はカッコいいとか思ってるんでしょうけど、まぁそういう認識のまま周りから寒い目で見られてるということにも気づけず一生を終えるんでしょうね。それとユミヒデ、あなた毎日お風呂入ってます?酷い野生児のような異臭がしますよ?」
一本杉を目指していた三人はその途中にあるスラム街に身を寄せていた。このスラム街に着く間、ユミヒデとウィルの後ろでは先ほどの話に未だ納得出来ていないパーシアがそのイラつきを露わにしていた。
「…お前なぁ…さっきから大人しく聞いてりゃ愚痴愚痴と…大体、お前自分で年上は愚弄してはいけないとか云々抜かしといてなんだその態度はよぉ。ったくこれだから育ちが良すぎる坊ちゃんみてぇな奴は好きになれねぇんだよな。ちったぁ空気読んで仲良くしようぜ。まったくよぉ。」
ウィルがげんなりとした口調でこれに応える。
「…あの船長が言っていた意味がようやく分かりましたよ。大人になりきれてない大人とは貴方方のような人を指すということが。大体あなた方は…」
「おい、お前らその辺にしとけ…誰かいるぞ…」
ユミヒデが何者かの気配を感じ取り歩みを止めた。
「さっきから俺らの後ろをコソコソ付いてきてる奴だろ。」
三人はずっと後ろから付けてきている男の気配をすでに感じ取っていた。
「いや、違うな…」
「…!!おい!そこの物陰でコソコソしてる奴出てこい!」
ウィルがユミヒデと同じ気配を感じ取り、大声で叫ぶ。
「…出てこないならこっちから行くぜ!」
ウィルが物陰に入ると、そこには杖をついた老婆の姿があった。
「ウィル!」
パーシアの方に向かうと白い布に身を隠した人の群れがウィル達の前を塞ぐようにしてどこからか現れていた。
「ドキドキ…」
老婆が物陰から出てくると静かに「ドキドキ…」と囁き始め、それに合わせるかのように周りの集団も「ドキドキ…」と囁いた。
「…ドキドキ?」
ウィルがごくりと唾を飲む。
「ドキドキ…ドキドキ!二択クイズ!」
周りの集団が楽器のようなものを取り出し軽いファンファーレを鳴らした。
「はぁ?」
「お前たち…あの一本杉を目指しているのだろう。あそこに辿りつくにはこの街を抜け出す他無い…これから、クイズを一問だけ出題する。」
「おいおい、婆さん、上手く状況が飲み込めねぇんだがよ。」
「考える時間は5秒間。間違えたら即失格。今年のハンター試験は諦めることだね。」
老婆がウィルを遮るようにして話続けた。
「見ろ!パーシア!やっぱり俺が正しかったじゃねぇか。次からはもう俺らの後ろでグチグチ垂れるんじゃねぇぞ。」
ウィルが意気揚々とした様子でパーシアに言い放った。
「グチグチとはなんですか!そもそもですね、あれは貴方方がきちんとした身なりをしていればそれで済むことだったでしょう!」
「そうじゃなくて、信用するかしないかって話だ!」
「ハァ…婆さん、こいつらはいいから続けてくれ。」
ユミヒデがうんざりした様子で老婆に話を戻すよう促した。
「答えは1か2で答えよ。それ以外の曖昧な答えは全て間違いとみなす。」
「婆さん、ちょっと良いか?その質問は三人で一つか?」
「三人で一つでも、一人一つでもどちらでも良い。好きな方を選べ。」
「だってよ、どうするよ。」
ウィルがユミヒデとパーシアの方を向いた。
「三人の方が良いんじゃないか。誰か一人でも答えを知っていればそれに越したことは無いと思うが。」
「あぁ、それなら俺もその方が良いな。あんまり頭を使うってのは好きじゃ無いんでね。こういうのはパーシア、お前に任せてぇしな。」
「よっし。決まりだな。婆さん。俺らは三人で……。」
「おいおい、早くしてくんねぇかな。後ろが詰まってんだよな。なんなら俺が先に受けてやってもいーぜ。」
ウィルが婆さんに向かってクイズを受けると言いかけた時、後ろから一人のヘラヘラした様子の男が現れた。
「俺らが一本杉を目指し始めてから誰かの気配すんなとは思っていたが…お前かよ」
「わりぃなおっさん。港であんたらの話を偶然聞いちまってよぉ。」
男が意地悪げな笑みを浮かべながらウィルの方を見た。
「どうするかね」
「まぁ、良いんじゃないですかね。先に受けて貰って私たちは問題の傾向でも探りましょうか。」
「確かに。その方が良いな。よし、じゃあ、あんた先に受けてくれ。」
ウィルが男にその場を譲った。
「じゃあ、お先失礼するぜ。さぁ、どんな問題でもこいよ」
自信たっぷりに男が老婆に質問をするよう促す。
「よし、それでは問題。お前の母と友人が悪党に捕まり、どちらか一方しか助けられない。1、母親。2。友人。お前はどちらを助ける。」
男の後ろで質問を聞いていた三人組は全員その場に固まってしまった。
「答えは1だな。何故なら、母親は替えが効かないが親友はまたつくり直せば良いだろ。」
二秒程考えると男は得意げな表情でこう答えた。この答えを聞いた瞬間、ウィルはこの男のことをどうしても殴りたくなった。あの写真に写っていた男のことを思いながら。
「…通りな。」
老婆がそう言うと、白い布を羽織った集団が道を開けた。男は先に行って罠を仕掛けてやろうなどと思いながらその道を通っていった。
「婆さん…俺らは答えるしか無いんだよな。この質問に…そうしないとハンター会場には辿り着けないんだよな。」
憎しみにも近い感情のこもった眼で老婆を見つめ、ウィルは拳を握りしめながら震えるような声でこう問いかけた。
「あぁ、そうだ。」
「…俺にはさっきの答えはどうしても出ない。…正解が無いというのが正解でも無い限り…な…」
正解が無い。パーシアにはこの言葉がどうしても引っかかっていた。確かにこの問題に答えは簡単に出せない。もし、本当にそんな場面に遭遇してしまった場合、自分は一体どうするか等と。
「そうか…」
老婆はパーシアが質問の意図に気づいたのを感じ、薄らと笑みをこぼした。
「ウィル、ユミヒデ、このクイズ、私に任せてくれ」
「…パーシア、もし…お前が今の質問と似た質問をされ…どちらかを選んだ場合…例え正解だったとしても俺はお前をぶん殴る…それでもいいな……」
「あぁ、任せてくれ。」
「準備は良いんだな。それではいくぞ。お前の妹と弟が悪党に捕まり、どちらか一方しか助けれない。1、妹。2、弟。さぁ、5秒以内に選びな。1…」
老婆がカウントダウンを行っている最中、ウィルはその場に立ちすくんでいた。俺にはどうしても答えは出せない。さっきの男のような、あんな薄情な奴がハンターになるというのなら、俺はそんなものにはなりたくない。あんな奴と一緒になるくらいなら…
「3…」
パーシアは沈黙を続けていた。その様子を見てウィルはやっぱりこいつは良い奴だと思った。この質問に答えるくらいならここで黙りこくってハンターになるのを諦める。それが人として正解なのだろうと。
「5…ブー!終了!」
「…ウィル…ユミヒデ…」
「何も言うな。パーシア。俺にとってはそれが一番の正解だよ。お前は正しい。」
ウィルは夕焼けを背にゆっくりと来た道を引き返していた。
「あぁ、俺もウィルと同じ気持ちだぜ。」
ユミヒデもまたゆっくりとウィルの後を追うようにして歩き始めた。
「二人共何を言っている?私達は正解したのだよ。」
「へ?」
ウィルは驚いた表情でパーシアの方を振り向いた。
「そう、この質問には答えが無いのだ。つまり、まぁ恐らくだが答えるか沈黙か。そういった二択だったのだよ。」
「だけど、さっきの奴は…」
「まぁ、通れとしか言われて無いところを見る限り正解ってワケでも無さそうだが。」
「だけどよぉ」
ウィルは非常に混乱していた。自分でもワケがわからないくらいに。
「いや、ウィル、恐らくパーシアの言ってることは本当だぜ。さっきよぉ男の行った方角から叫び声らしきもんが聞こえたぜ。どうやらあの道は本当の道じゃねかったらしいな。そうだろ、婆さん。」
ユミヒデが老婆の方を向くと老婆は表情を和ませ、ゆっくりとその場から動き出した。
「…あぁ…その通り。本当の道はこっちだ。」
白い布を被った二人組が横にあった建物の大きな扉を開けると、先に光の見える道が現れた。
「一本道だ。二時間も歩けば頂上に着く。」
「あ、っそう」
ウィルがポカンとした表情で道の方を向いた。
「一本杉の下の山小屋に住む夫婦は試験会場までのナビゲーターをやっている。彼らの眼鏡にかなえば試験会場まで案内してくれるだろう。」
「全く気が抜けちまったぜ…パーシア!…サンキューな。」
「…っ!!べ、別に大したことじゃない。さ、先に急ごう!…そ、それとさっきはその、すまなかったな…その…疑って悪かった…非礼を詫びよう。」
ウィルが肩を抱いたのをパーシアが照れくさそうにほどいた。
「おっ!なんだぁ、照れやがって。まぁ、良いってことさ!先急ごうぜ!」
「別に照れてなどいない!」
「おい!おめぇら!早くしないと置いてくぜ!」
ユミヒデが道を少し進んだところから二人を呼んだ。
「ユミヒデ!先に行きすぎだぞ!まったく…おいウィル行くぞ!」
「はいはい…じゃあな、婆さん。」
「お主ら、頑張って良いハンターになりなよ。」
老婆が優しさのこもった笑みをウィルに見せた。
「…あぁ頑張るさ。」
そう言うとウィルは後ろに手を振り、パーシアと共にその場を去った。
「…ウィル…ユミヒデ…もし、本当にどちらか一方を助け出さないといけない…そんな状況になったら…貴方方ならどうしますか…」
一本道を通る途中、パーシアが急に歩みを止めて下を向きながら二人に質問を問いかけた。
「…足搔くさ。どっちも助かるまで。絶対に足搔いて、絶対にどっちも助ける。ただそれだけだ。」
ウィルが夜の星空を眺めながら答えた。
「俺もウィルに賛成だな。」
この二人の答えを聞いたパーシアは安心したように前を向き、「えぇ、そうですよね」と一言呟き、二人の背中を追うかのようにその後を付いていった。
船員「船長!なんかこの話ってハンター×ハンターである必要あるんですか!」
船長「ハンター×ハンターって沢山のハンターがいるってんでこういうタイトルになったって話きいたことあるか?じゃあ、こういうハンターがいても良いんじゃないかなぁっていう二次小説は別にそれはそれで良いんじゃねぇのか」
船員「強気で草」
船長「念には浪漫あるしよぉ」
船員「船長使えなさそうで草」
船長「それとよぉ今回の話は書いてる時糞難しくてよぉ。ほんとはもっと早く投稿しようと思ったんだけどよぉ。まじでうんこですいませんでした。」
船員「富樫先生の気持ちわかりましたよね!」
船長「でもよぉせめてあっちは売り出しにしてるもんだからよぉ、世間からも仕事として評価されてるわけでよぉ。頑張ってください。お願いします。」
船長「あとよぉ今回の話は納得できる作りじゃねぇからよぉ。そのうち改変しまくると思います。」
船員「職人気質で草」
船長「なるべく週1投稿しますんで読んでやってください。お願いします。」
船員「本文より長くなりそうで草」
船長「ぶっちゃけ後書き書いてる方が楽しいよね。」
船員「てなわけで、次回はオリキャラ×デ×ハンター×ハンター、マジュウ×ナ×キツネ!絶対読んでくれよな!」
船長「タイトル適当だな…」