「見ろよ。また魔獣注意の看板だぜ…はぁーあ…まだ小屋は見当たらねぇし…歩き疲れた…」
老婆の言われた通り3人は一本道を2時間程ひたすら歩き続けていた。
「ウィル!早くしないと置いていきますよ!」
遠くからパーシアが呼ぶ。
「はぁーあ…ハイハイ…今行くぜ…」
「おい!二人共、家が見えてきたぞ!」
ユミヒデが薄暗い道先に佇む建物を指さす。
「…何か様子が変ですね…こんなに暗いのに明かりが消えている…」
その時、三人の居る位置でも良く聞こえるくらいに大きな女性の悲痛な叫び声が家の方から聞こえてきた。
「おい!早くいくぞ!」
悲鳴を聞き、三人は急いで建物の方へと駆けて行った。
「大丈夫か!」
3人が思い切りドアを開けたすぐ先で、人の二倍程はある狐のような化物が、苦しそうにもがく男の首を掴み持ち上げその場にたたずんでいた。
その傍らでは男の妻と思しき女性が壁の方にもたれながら血の湧き出ている右腕を懸命に押さえ、恐々とした表情で化物の方を見つめていた。
「あれは変幻魔獣キリコ…人の姿にも化けることの出来る、高い知能を持ち合わせた魔獣です!!」
パーシアの声に反応したのか、キリコが三人の方を向き不気味に笑う。
「おい!そいつを離せ!」
ウィルが叫ぶとキリコは近くの窓ガラスを割り、薄気味悪い高い笑い声を出しながら闇の中へと消えていった。
「待て!」
「ウィル!落ち着きなさい!まずは女性が最優先です!」
キリコを追いかけようとしたウィルの肩をパーシアが掴んだ。
「助け…て…」
女性がか細い声をあげる。
「大丈夫だ。俺の鞄の中に止血剤入りのガーゼが入ってる。」
「お願いです…私を庇って…旦那が攫われたんです…助けてあげて下さい!」
「あぁ、大丈夫だ。俺たちに任せろ。パーシア、ここで彼女の様子を見ててくれないか?」
「えぇ、任せて下さい。」
パーシアはウィルからガーゼを受け取ると女の腕にそれを巻き始めた。
「待て、ウィル、パーシア。こいつぁは恐らく罠だ。」
暫く後ろからこの一連の様子を伺っていたユミヒデが妙に神妙な面持ちで口を開いた。
「罠?罠だと?!怪我人もいるんだぞ!?」
ウィルにはユミヒデが何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「匂いだ。」
「匂い?」
「あぁ、この女からさっきの巨大な生き物と似た匂いがしやがる」
「そりゃあ怪我して引っかかれたら…」
「そう、怪我した部分は…な。確かに、この女の匂いはその怪我した部位とは違う匂いだ。だが、微かに違うだけなんだよ。」
「何を言ってるのかさっぱりだぞ…」
「お願いします!早く旦那を!」
「そうだ!早く旦那を助けねぇと!まだ遠くまでは行ってねぇと思うが…」
ウィルが割れた窓の方を見る。
「ウィル。私もユミヒデに賛同です。」
女の腕をじっと見つめながらパーシアが言った。
「パーシアまで!一体どうしちまったんだお前ら!」
「この入れ墨を見て観なさい。」
パーシアが袖をまくった女の腕をウィルとユミヒデが良く見えるように持ち上げた。
「血で少し濁ってはいますが…この入れ墨は女性が生涯独身を誓う為にするものです。…貴方、さっき言いましたよね…「旦那」を助けてくれと…」
パーシアが女性に問い詰める。
「…白状したらどうだ?なんなら俺がそうさせてやっても良いんだぜ?」
パーシアの後ろでユミヒデが腰にぶら下げていた鞘から刀を抜いた。
「ふ、二人とも何を言っているのかさっぱりだわ!は、早く旦那を追って下さい!」
パーシアの腕をほどき、女性が切羽詰まった様子で三人に訴える。
「強情な奴だな!さぁ早く白状しやがれ!それと!建物の外でコソコソしてる奴!さっさと姿を現しな!なんなら二人共俺が切り刻んでやったって良いんだぜ!どっかで観察してんだろ!この様子をよぉ!」
その場にいる全員がユミヒデのうねり荒ぶるような殺気に圧倒され、誰もが黙りこくってしまった。
「…出てこねぇのか…なら、仕方ねぇな…今からこの女を本気で斬る!三秒待ってやるよ!言っておくが俺は本気だぜ!3…」
パーシアはユミヒデの異常なまでな殺気の前に体をガクガクと震わせていた。そして前にも似たような経験をしたことを、脳裏に焼き付いた悲惨な過去の映像と共に思い出し、みるみるとパーシアの顔が蒼白に染まっていった。
「やめろ!!ユミヒデ!正気に戻れ!」
ユミヒデが秒読みを終える寸前、ウィルが女の前に歩み出た。
「やめるんだ。」
強い意志を持った目でウィルがユミヒデを睨み付ける。
「止めるな。ウィル。なんならお前もろとも叩き斬るぞ」
暫くの沈黙の間。ドアから入ってきた夜風がウィルの髪を靡かせ、そのまま窓の方へと突き抜けていった。
「良いぜ。斬れよ。」
ユミヒデは一瞬の短いため息を吐くと、目の前の獲物を捕らえるような目付きでウィル目掛け襲い掛かった。その時、
「やめろやめろ!お前ら!」
ドアの外から慌てた様子のキリコが現れた。
「試験はもう終わりだ!ったく!」
「へ?試験?」
ウィルが気の抜けた顔をする。
「たっくあんた!その物騒なもんしまってくれ!おお大丈夫かい!娘よ!」
そういうとキリコは女の方に歩みより、強く抱いた。
「こ、怖かったー」
女性がホッとした表情を見せる。この時、パーシアもハッと我に返った。
「まぁ、騙して悪かったよ。皆外出てくれ。改めて自己紹介と合否判定するから。」
「お、おいちゃんと説明してくれよ」
「良いから外に出てくれ!
キリコに連れられ3人が外に出ると、そこにはキリコに捕まった筈の男ともう一匹のキリコがいた。
「改めて、我々はナビゲーター。家族でハンター試験のナビゲーターをしている。ちなみに私がこの子達の妻だ。」
ドアから入ってきた方のキリコが紹介を始めた。
「娘でーす」
「息子でーす」
先ほどの女と男がそれぞれ紹介をする。
「て、ことは先に外いた方が…」
ウィルが先に出ていた方のキリコを指さす。
「俺がこの子達の夫だ。」
「どっちがどっちだ…」
ウィルにはこの夫婦がどっちも同じキリコにしか見えなかったが、それはパーシアにとっても同じことだった。
「ハンター試験の会場は毎年変わる。その場所を自力で探すのは非常に困難。」
「そこで、我々が受験者をそこまでナビゲートしてやるのだ。」
「だが、受験者全員を案内するわけでは無い。」
「そこで、こうやってハンター試験を受けるに相応しいかどうか我々が試しているのだ。」
キリコ夫婦が交互に説明を始めた。
「そこでまずパーシア殿、貴方は入れ墨のことに気づき、この子達が夫婦では無いことを見破った。よって合格。」
パーシアの顔に安堵の色が浮かんだ。
「次にウィル殿、貴殿の優しさと温かな人情味は十分にハンター試験を受けるに値する。よって合格。」
「ハハッ…まぁなんもしてないけど良かったぜ…」
ウィルもまた安堵の表情を浮かべた。
「そして、ユミヒデ殿…」
ここで少しだけ夫の方のキリコの声が濁った。
「…確かに…ちとやりすぎっちまったよ…すまねぇ…その…初めから試験だって分かってりゃあ……嬢ちゃんを怖がらせるつもりは無かった…これで不合格だってならよ…別にそれはそれで仕方ねぇよ…」
力無くユミヒデが応える。
「…ユミヒデ殿の観察力と洞察力。それに合わせて鬼気迫るような凄みといったら、何と言えば良いのやら…取り合えず、ユミヒデ殿も合格だ。」
「だってよ!良かったなユミヒデ」
「あぁ…」
「まぁ、そんな凹むなよ。俺なんてこいつらが全部同じキリコだってことすら見抜けなかったんだぜ。」
「同じでは…無いがな…」
キリコ夫とキリコ妻が顔を見合わせた。
「…ウィル、すまなかったな…」
「…気にすんなよ。」
ウィルがユミヒデの肩を叩いた。
「さぁ!君たちを試験会場まで案内しよう!」
そう言うと、息子と娘も元のキリコの姿に戻り、全員翼を広げ宙へと浮かんだ。
「3人とも足に捕まれ!」
言われるまま3人はキリコの足を掴んだ。そのままキリコ達は月が真ん前に見える位置まで浮かび、夜の心地良い追い風を背に飛び去った。3人を試験会場へと運ぶ為に。
船員「船長!随分遅い投稿ですね!このまま失踪するんじゃないかってビックリしましたよ!」
船長「ぐぇえええ。小説なんて全然読まんから情景描写だの、背景だのくっそムズイ。アヒィアヒィ。大体月~木曜でこんな感じにしようみたいな。そんで木曜にセリフだけのssみたいの作って、そっから情景描写だの背景だの書き足して、投稿日に完成→投稿じゃん?」
船長「完成した瞬間は一生懸命作ったものって自分の中で神作になるやん?でも投稿して1日経った後に、もう一回読むと、まるで幼稚園児がやるお遊戯会の台本…みたいな。冷静になって考えると~みたいな。そんでそっから僕の作品うんち!ってなる」
船員「書いた後ってどんなに糞でも光輝いて見えますよね!」
船長「そう、うんこが輝くうんこに見えるんだわ。ぜってぇ人気でるだろこれぇみたいな。アヒィアヒィアヒィみたいな。」
船長「ハァ…いや頑張ってるけどね。なんか俺んちに謎の何故買ったか分からない小説が四冊だけあるからそれ読んで表現磨こうとかしたりね。」
船員「青空文庫面白いですよね!」
船長「小学校高学年くらいの子が読むようなやつらしいけど。」
船員「で、次はちゃんと投稿出来るんですか!次からいよいよハンター試験ですよね」
船長「腰痛いんで無理です」
船員「てなわけで!次回は!……」
船長「畑仕事して腰痛いんで無理です」
船員「…いや、書けよ」
船長「腰が無理です」
船員「…」
船長「次回は!ヨウツウ×デ×キュウソク!イキナリ×フテイキ×ナ×コウシン!ユミヒデ×ハ×ユダ×ミツヒデ!タノシイ×アトガキ!サクシャ×ガ×シッソウ!」
船員「なんかさらっと」
船長「楽しいと思ってたものが急に辛くなる気持ち分かる。俺は富樫の休息を応援するぞ。」
船員「てなワケで次回はハンター試験開始!絶対読んでくれよな」
船長「頑張ります。てか、普通だ……」